サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
爆発の余韻が消え去り、俺たちは変身を解除して、静まり返った路地裏に立っていた。夜空にはまだ黒い羽根がちらほらと舞い、地面には巨大なクレーターが残っている。明日のニュースが思いやられるが、それはまた後で考えるとして。
「にしても、お前ら、よくここがわかったな」
俺がガーフィールとマンモスマンに向き直ると、ガーフィールが牙を剥いて笑った。
「勘だぜェ、大将。どうやらアンタが呼んだみてェだ」
「俺も同じだ。気がついたらここにいた」
マンモスマンが低く唸るように答える。どうやら二人とも、理由はわからないが俺のピンチを感じ取って駆けつけたらしい。まあ、深く考えるのはやめよう。今はただ、仲間が増えたことを素直に喜ぶべきだ。
「とにかく、一度戻るぞ。ここで立ち話もなんだ」
俺たちは足早にアパートへと戻った。時刻は深夜を回っている。廊下を歩く俺の後ろを、ガーフィールとマンモスマンが続く。レオーネとエレンはすでに部屋の中だ。俺はドアを開け、二人を招き入れた。
「入れよ」
「お邪魔するぜェ」
ガーフィールが身をかがめて部屋に入る。虎のジューマンである彼は小柄な方だから問題ない。問題は次の巨体だった。
「…………」
マンモスマンがドアの前で立ち尽くしている。全高279センチ、体重400キロの巨体は、一般的なアパートのドア枠を優に超えていた。彼は長い鼻をゆっくりと動かし、ドアのサイズを測るように見つめる。
「入れない」
「だよなぁ」
俺は頭をかいた。予想はしていたが、やはり物理的に無理だ。マンモスマンが横向きになろうが、かがもうが、ドア枠よりも彼の体躯の方が大きい。
「ちょっと待ってろ、窓から入れるか確認する」
俺が部屋の窓を全開にすると、マンモスマンは窓の外から中を覗き込んだ。しかし、窓枠もまた彼の巨体を受け入れるには狹すぎる。おまけにここは二階だ。彼が無理に入ろうとすれば、壁が崩壊する。
「窓もダメだ」
「当然だろう」
マンモスマンが低く唸る。その声には諦めの色が滲んでいた。俺はしばらく考え込み、一つの結論に達した。
「仕方ねぇ。窓は開けっ放しにして、お前はここから会話に参加しろ」
「……了解した」
こうしてマンモスマンは、窓の外から顔だけを部屋の中に入れるという奇妙な体勢で落ち着くことになった。長い鼻が部屋の中に垂れ下がり、巨大な牙が窓枠にカツンと当たる。レオーネがそれを見て豪快に笑った。
「はははっ!なんだいその格好!」
「笑うな」
マンモスマンが不機嫌そうに鼻を動かす。エレンはすでに布団にくるまって寝ているが、ガーフィールは興味津々で彼の鼻をつついていた。
「でけェなぁ、やっぱり」
「やめろ」
「いやしかし、これは困ったな」
俺は部屋の中を見回した。すでにレオーネとエレンが居候している状態で、これ以上人間(正確にはジューマンだが)を増やす余裕はない。いや、増やすのは構わないが、マンモスマンの場合は物理的に部屋に入れないのだ。
「お前、どうするんだ?ずっと外にいるわけにもいかねぇだろ」
「俺は別に構わない」
「俺が困るんだよ!近所の目もあるし、第一こんな真夜中に窓の外に巨大なマンモスがいたら通報されるわ!」
俺が叫ぶと、マンモスマンはしばらく沈黙し、やがて重々しく口を開いた。
「では、俺はどうすればいい」
「とりあえずだな……」
俺はもう一度、マンモスマンの巨体をじっくりと観察した。全高279センチ。ドアの高さはおそらく180センチ程度。横幅も問題だが、何よりの問題はあの巨大な牙だ。あれがなければ、もしかすると横向きにかがめばギリギリ入れるかもしれない。
「お前、その牙、なんとかならねぇのか?」
「牙は俺の誇りだ。そう簡単に外したりはできない」
「外せって言ってるんじゃねぇ。せめて何かで覆えねぇか?あの牙が壁や家具に当たったら、このアパートが崩壊する」
「ふむ……」
マンモスマンは鼻を器用に動かし、自分の牙を撫でた。確かに、あの巨大な牙がむき出しのまま室内に入ろうものなら、壁紙どころか柱さえも粉砕されかねない。
「ちょっと待ってろ」
俺は押し入れを漁り、使っていない毛布を引っ張り出した。かなり大きなサイズだが、あの牙を包むには心もとない。しかし、ないよりはマシだ。
「これで牙を包め。少なくとも直接壁に当たるよりはマシだろ」
「……承知した」
俺は窓から身を乗り出し、マンモスマンの二本の牙に毛布を巻きつけた。右の牙に一枚、左の牙にもう一枚。巨体ゆえに作業は難航したが、なんとか両方の牙を厚手の布で覆うことに成功する。見た目はかなり間抜けだが、致し方ない。
「よし、これで試してみろ。ゆっくり、慎重に入るんだ」
マンモスマンは無言で頷き、再び玄関へと回った。俺たちは廊下に出て、彼の挑戦を見守る。レオーネがビール片手にニヤニヤしている。
「入れると思うかい?」
「賭けるか?」
「乗ったぜェ、俺は入らねぇ方に賭ける」
ガーフィールが楽しそうに言う。俺はため息をついた。マンモスマンがドアの前で立ち止まり、深く息を吸い込む。彼は上半身を可能な限りかがめ、横向きになってドアに挑んだ。
「……ぬっ」
まず右肩がドア枠にぶつかる。次に左肩。彼は身体をひねりながら、じりじりと前進する。毛布で覆われた牙がドア枠をこすり、メリメリと嫌な音がした。
「やばい、壁が……!」
「大丈夫だ、まだ持ちこたえている」
マンモスマンが冷静に言うが、壁紙はすでに破れかけている。彼はさらに身体をひねり、ついに上半身が部屋の中に入った。しかし、問題はここからだ。彼の下半身がまだ廊下に残っている。
「あと少しだ!」
「これ以上は無理だ」
「いや、いける!あきらめるな!」
「……ぬうっ!」
マンモスマンが力を込めて前進しようとした瞬間、ドア枠がミシミシと悲鳴を上げた。壁に亀裂が走り、天井から粉が落ちてくる。俺は青ざめた。
「やめろ!やめろ!一旦戻れ!」
「……了解」
マンモスマンはゆっくりと後退し、再び廊下に戻った。ドア枠はかろうじて原型をとどめているが、壁には明らかなヒビが入っている。俺は頭を抱えた。
「やっぱり無理か……」
「当然だ。俺の体格は人間の住居には適していない」
マンモスマンが低く唸る。その声には明らかな不満が込められていた。
「ジューマンワールドはもっと広かった。建物も、道も、すべてが俺たちに合わせて作られていた。だが、この世界は……」
彼は長い鼻を不機嫌そうに揺らした。
「狹すぎる。小さすぎる。住みにくい」
「そりゃあ、人間の世界だからな」
俺は苦笑しながら、とりあえず窓の外にいるマンモスマンに缶ジュースを渡した。彼は器用に鼻でそれを受け取り、器用に飲む。
「まあ、とりあえず今夜はそれで我慢してくれ。明日、大家に相談して何か手を考える」
「承知した」
こうして俺のアパートに、またしても厄介な居候が増えたのだった。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア