サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
駒王中等部の門をくぐった時、懐かしい匂いがした。プールの塩素と、グラウンドの土と、古い校舎の木の匂いが混ざり合った、日本の学校特有の臭いだ。ジューマンワールドでの一夏は刺激的だったが、こういう平凡な日常も悪くない。
「ここが、俺たちの新しい居場所か」
隣に立つ絶花が小さくうなずいた。彼女は今日からここの中等部に通うことになった。刀「天聖」を持った小心者の剣士で、友達作りが人生の目標だ。だが、俺の幼馴染みであり、最強の侍でもある。
「太郎くん……普通に、友達を作りたいんです」
「わかってる。だが、俺は王になる男だ。目立つのは仕方ない」
「また、そういうことを……」
絶花がため息をついたその時、チャイムが鳴った。俺たちは指定された教室へと向かった。
教室の扉を開けると、一斉に視線が集まった。クラスは三十人ほどの生徒で、大半が運動部っぽい体格をしていた。サッカー部かバスケ部か、とにかく身体を動かすことに自信があるような連中ばかりだ。転入生ということで、全員が興味津々と言った顔だ。
「新入りだな」
「体格は普通じゃねえか」
「あの隣の女の子は……なんか、剣道部とか?」
囁き声が聞こえる。俺は無視して、壇上へと立った。担任の先生が自己紹介を促す目でこちらを見ている。
「今日から転入した、唯我太郎だ」
俺は堂々と宣言した。
「いずれ、王になる男だ」
沈黙が訪れた。全員が目を瞬きもせず、俺を見つめている。やがて、教室の後方で誰かが笑い声を漏らした。
「ははっ!なに言ってんだこいつ!」
「王?中等部で?」
「面白い奴来たな!」
呆然とする生徒たちの中、一人の大柄な生徒が席を立った。ラグビー部か何かだろう、肩幅が俺の倍ほどある。彼は不敵な笑みを浮かべ、俺の前に歩み寄った。
「おい、転入生。調子に乗ってんじゃねえぞ」
「お前は?」
「このクラスの副番長だ。番長が今日休みでよかったな。お前みたいな奴、すぐに潰されるとこだった」
「ふん」
俺は鼻で笑った。ジューマンワールドでデスガリアンと戦った経験からすれば、こんな中学生の威嚇など蚊の鳴き声も同然だ。だが、ここは人間の世界。王になるためには、地盤を固める必要がある。
「面白い。戦いたい奴からかかってこい!」
俺はそう叫び、身構えた。副番長が眉を吊り上げ、右のパンチを放ってきた。遅い。鷹の視力で正確に読み取り、軽く身を傾ける。拳が頬の三センチ手前を通過し、空を切る。
「なっ!?」
副番長が驚く間もなく、俺はその勢いに乗せて彼の背後に回り込み、軽く足を払った。大柄な身体が床に倒れ、鈍い音を立てる。
「次は?」
俺が周囲を見回すと、別の生徒が飛びかかってきた。今度は空手か何かやっているらしい、蹴りがまともな形になっている。だが、鷹の目はその軌道を完全に捉えていた。俺は腕を上げてその蹴りを受け止め、流すようにして相手のバランスを崩す。
「三つ目」
次々と生徒たちが襲いかかってくる。三人目、四人目、五人目。俺はすべて受け流し、最小限の動きで相手を無力化していく。鷹の視力と、ジューマンワールドで鍛えられた戦闘感覚が、こんな場面でも完璧に機能していた。
「こいつ……強え!」
「何者だよ……!」
倒れた生徒たちが呻きながら、俺を見上げている。俺はその中心に立ち、制服のホコリを払った。
「ここが、この学校だったら、面白い!」
俺は高らかに宣言する。
「戦いたい奴からかかってこい!!」
その瞬間、教室の扉が勢いよく開かれた。入ってきたのは、金色の髪をした少女だった。凛とした美貌に、圧倒的な威厳を感じさせる。教室の空気が一瞬で張り詰め、生徒たちが息を呑む。
「騒がしいわね。一体、何が起きているの?」
「あ、あかねさま……」
副番長が床から這い上がりながら、恐れ多そうに口を開く。どうやらこの学校には、俺が知らない「番長」がいたらしい。金色の髪の少女――あかねが、鋭い目で俺を見つめた。
「あなたが、今日の転入生?」
「ああ。唯我太郎だ。王になる男だ」
「またその台詞……」
絶花が小さくうめく。あかねは一瞬だけ驚いたように目を見開き、やがて小さく笑みを浮かべた。
「王、ね。面白い。あなた、私と勝負しない?」
「番長との直接対決?」
「そう。あなたが勝てば、この中等部の番長はあなた。私が勝てば、あなたは私の下僕。どちらにせよ、面白い関係になれるわ」
俺は笑った。まさか、入学初日からこんな展開になるとは。だが、王になるためには、こういう試練を乗り越える必要がある。
「良かろう。俺が相手をしてやる」
その勝負は、放課後のグラウンドで行われることになった。あかねは格闘技の達人らしく、空手と柔道の全国大会で優勝経験があると聞く。生徒たちが集まり、二人の決闘を見守る。
「始め!」
副番長が合図をかけた瞬間、あかねが動いた。予想以上に速い。鷹の視力がやっと捉えるレベルの突きが、俺の喉元へと迫る。俺は間一髪で身をずらし、カウンターの膝蹴りを放つ。あかねが軽く後ろに飛び、距離を取る。
「やるわね」
「お前もな」
次々と技が交錯する。あかねは完璧なフォームで攻撃を繰り出し、俺は鷹の目とジューマンワールドでの経験でそれを読み、回避し、反撃する。グラウンドに二人の足音が響き、集まった生徒たちが歓声を上げる。
「あかねさま、本気だ!」
「転入生もすげえ……!」
激しい打ち合いの末、俺はあかねの袈裟斬りを腕で受け止め、その隙に内股を払った。あかねがバランスを崩した瞬間、俺はその背後に回り込み、首筋に軽く手刀を当てる。
「……っ!」
「俺の勝ちだ」
あかねが体を震わせ、やがて地面に膝をついた。周囲が一瞬の沈黙に包まれ、次の瞬間、大歓声が湧き上がった。
「やった……転入生があかねさまに……!」
「新しい番長誕生だ!」
あかねが顔を上げ、悔しそうに、しかしどこか楽しそうに俺を見た。
「……認めるわ。今日から、あなたがこの駒王中等部の番長ね」
「当然だ」
俺はそう言い、周囲の生徒たちを見回した。運動部ばかりのこのクラスで、俺はたった一人で「番長」の座を手に入れた。だが、俺の目的はこんな学校の支配者になることじゃない。
「聞け、俺は王になる男だ。この学校の番長程度で満足するつもりはない。だが、ここが俺の国の第一歩になる。お前ら、俺に従う価値があるか、これから見せてみろ」
生徒たちが一斉に拳を突き上げ、歓声を上げる。その中で、絶花が小さくため息をつきながらも、どこか誇らしげに俺を見ていた。
こうして、俺はなぜか駒王中等部の番長になったのだった。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア