サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
俺はジュウオウイーグルの姿のまま、紅の髪の女性を見下ろしていた。鷹の視力が彼女の全身をスキャンする。駒王学園高等部の制服、背筋の通った立ち姿、そして何より、その身体から発せられる尋常ではない魔力の波動。この女は、間違いなく人間じゃない。
「あら、怖がらなくてもいいのよ」
紅の髪の女性が口を開いた。その声は落ち着いていて、どこか余裕を感じさせる。まるで俺の警戒など最初から織り込み済みだと言わんばかりに、彼女はゆっくりと歩み寄ってきた。
「私はリアス・グレモリー。駒王学園高等部の三年生よ」
リアス――彼女は自分の名をそう名乗った。グレモリーという姓には聞き覚えがある。確か、悪魔の名家の一つだ。つまり、この女は悪魔ということになる。先日のコンティニューメダルを所持していたはぐれ悪魔とは違う、正真正銘の純血の悪魔だ。
「あなたは?」
「……ジュウオウイーグルだ」
俺は警戒を解かずに答えた。本名を明かすのは得策じゃない。相手が悪魔ならなおさらだ。リアスは俺の返答に少しだけ眉を上げ、面白そうに笑った。
「ジュウオウイーグル?変わった名前ね。それにその鎧、ただの人間が纏うには強力すぎる気配がするわ」
「お前に話すことはない」
「そう。でも、さっきの堕天使との戦い、見ていたわよ。あなた、なかなかやるのね」
リアスは俺のすぐ近くまで歩いてきた。距離はわずか三メートル。彼女の魔力が肌に触れるように感じられ、鷹の本能が最大級の警告を発している。この女は強い。少なくとも、さっきの堕天使とは格が違う。
「それより、こいつはなんだ?」
俺は視線で地面に倒れている男子学生を示した。さっき堕天使に胸を貫かれたはずの学生は、まだかろうじて息をしているようだった。リアスは彼を見下ろし、小さくため息をついた。
「かわいそうに。まだ若いのに、堕天使に目をつけられたのね」
そう言いながら、リアスはスカートのポケットから何かを取り出した。それは小さな駒――チェスの駒だった。俺はそれを見て、思わず息を呑んだ。それは俺の王国の駒と形が違うが、概念としては同じだ。悪魔の駒、そう直感した。
「なんだ、それは……?」
「これ?これは『悪魔の駒』よ。人間を悪魔として転生させるためのアイテム」
リアスは手の中の駒を俺に見せながら、平然と言ってのけた。悪魔の駒。人間を悪魔に変える道具。俺の王国の駒が仲間を強化するのに対し、あれは種族そのものを変えるのか。
「驚いた?あなたが何者かは知らないけど、この世界にはこういうものがあるのよ」
リアスはそう言うと、しゃがみ込んで、倒れている男子学生の胸にその駒を押し当てた。駒が赤い光を放ち、男子学生の身体を包み込む。傷口がみるみる塞がり、彼の顔に血の気が戻っていく。
「……っ!」
俺は言葉を失った。死にかけていた人間が、駒一つで蘇生していく。それだけじゃない。彼の身体からは微かに魔力が感じられるようになっている。悪魔の駒――それは、人間を悪魔に変える転生の道具だったのだ。
「これで彼は、私の眷属として生まれ変わるわ」
リアスが立ち上がり、俺に向き直る。彼女の目は、どこか品定めをするように俺を見つめていた。まずい。このままここに留まれば、俺の王国の駒のことも探られるかもしれない。
「……興味深いものを見せてもらった」
俺は翼を広げ、後退した。
「どこへ行くの?まだ話は終わってないわよ」
「俺は俺の目的がある。悪魔と関わるつもりはない」
「あら、つれないのね」
リアスが笑みを深める。その笑顔は美しかったが、同時に危険な香りがした。彼女は俺に興味を持っている。このままだと、こちらの素性を探られる可能性が高い。
「また会うこともあるだろう。その時までに、お前が敵か味方か決めておけ」
俺はそれだけ言い残し、大空へと飛び立った。翼が夜風を切り、一気に高度を上げる。地上ではリアスがまだ俺を見上げているのが見えたが、俺は振り返らずにその場を離脱した。
空の上で、俺は変身を解除した。赤い装甲が消え、もとの制服姿に戻る。夜風が火照った身体を冷やしていく。
「悪魔の駒……まさか、この世界にも俺の神器に似たものがあるとはな」
王国の駒と悪魔の駒。その違いはまだわからないが、あのリアス・グレモリーという女は危険だ。魅力的で、俺よりも弱いかもしれない。
けれど、デスガリアンとは違う何かを感じた。
「どうする、俺」
俺は誰にともなく呟き、アパートへの帰路についた。今日見た光景が、これからの戦いにどう影響するのか、まだわからない。ただ一つ確かなのは、この駒王街には俺の知らない勢力が確かに存在し、互いに何らかの形で関わっているということだ。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア