サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
夜の駒王街は静寂に包まれていた。街灯の明かりが道路を照らし、時折通り過ぎる車のヘッドライトが闇を切り裂く。俺は一人、住宅街を歩きながら鷹の視力で周囲を探っていた。
「今夜こそ、何か掴む」
俺は小さく呟き、両目にワシの本能を宿らせた。瞳孔が開き、視界が一気にクリアになる。闇に溶け込むようにして存在する微かな魔力の痕跡までもが、色鮮やかなオーラとなって視界に飛び込んでくる。
この一週間、俺は毎晩のように駒王街を巡回していた。リアス・グレモリーとの遭遇以来、この街に潛む闇の存在が気になって仕方がなかったのだ。コンティニューメダルを持つ堕天使、悪魔の駒で人間を転生させるグレモリー家の令嬢、そしてオカルト研究部に集う人外の者たち。この街には、俺たちの知らない何かが確かに存在している。
「ん?」
その時、鷹の視力が遠くの空に異常を捉えた。黒い影が二つ、夜空を高速で移動している。シルエットから判断するに、人間ではない。翼を持った人型の存在――堕天使だ。
「見つけたぜ」
俺は即座にジュウオウチェンジャーを展開し、腰のホルダーから取り出した。王者の資格が輝き、赤い光が街灯の明かりを圧倒する。
「本能覚醒!」
俺の身体が光に包まれ、ワシの本能が全身に漲る。腕には赤い装甲が装着され、背中からは大きな翼が展開した。頭部にはワシのくちばしを模したマスクが形成され、視界がさらにクリアになる。空気の流れ、風の向き、獲物の動き――すべてが手に取るようにわかる。
「大空の王者、ジュウオウイーグル!」
俺は変身を完了させ、夜空へと飛び立った。翼が風を切り、一気に高度を上げる。地上の住宅街がみるみる小さくなる。
夜空を駆ける感覚は、いつ味わっても痺れるようだ。風が赤い装甲を撫で、翼が大気を捉えるたびに身体が軽くなる。ジュウオウイーグルの本能覚醒状態――ワシの野性が、俺の身体の隅々まで行き渡っている。
「あいつらだ」
鷹の視力が、遥か前方を飛ぶ二つの影を捉えた。黒い翼を持つ人型の影。堕天使だ。奴らは駒王街の住宅街を抜け、郊外の森の方角へと飛んでいく。スピードはそこまで速くない。おそらく、誰かに追跡されているとは夢にも思っていないのだろう。
俺は高度を上げ、雲の薄い膜に身を隠しながら追跡を続けた。地上の街灯が星屑のように煌めき、遠くには海の黒々とした水面が広がっている。だが、眼下の美しい夜景に見とれている暇はない。俺の目は、ただ前を行く堕天使の背中だけを追っていた。
奴らの飛行軌道は不規則だ。時折、旋回したり、高度を落としたりしながら、何かを探しているようにも見える。だが、大まかな方向は北東だ。駒王街の外れ、人家がまばらになった山林の方角。
「どこに向かってる?」
俺は少しスピードを落とし、距離を詰めすぎないように調整した。相手は空の支配者を自称する堕天使だ。不用意に近づけば、気配を悟られる危険がある。
十数分ほど飛んだだろうか。堕天使の二つの影が、ふっと高度を下げた。その先にあるのは、森の奥にひっそりと佇む古びた建物だった。月明かりに照らされたそのシルエットは、尖塔と十字架を頂く、一つの教会だ。
「教会、か」
俺は眉をひそめた。堕天使が神への反逆者であるなら、教会というのは矛盾する場所だ。だが、奴らにとっては廃墟となった神の家など、格好の隠れ家なのかもしれない。
俺は教会から数百メートル離れた上空で停止し、ホバリングしながら鷹の視力を最大限に稼働させた。
「見せてもらおうか」
視界が一気に拡大し、教会の細部まで克明に映し出される。屋根はところどころ崩れ落ち、ステンドグラスの大半は割れている。外壁は蔦に覆われ、長年手入れされていないことが窺えた。だが、その廃墟の奥からは、強烈な負の魔力が噴き出していた。
「これは……」
教会の周囲には、見えない結界が張られていることに気づいた。魔力の流れが歪んでおり、一般人が近づけば無意識に足がすくむか、あるいは単に通り過ぎてしまうように誘導されている。しかし、鷹の視力を持つ俺には、その魔力の網の目が赤く浮き上がるように見えた。
そして、内部の気配。堕天使の二体だけじゃない。教会の地下あるいは奥深くから、さらに数つの魔力的反応が感じられる。弱いもの、強いもの、そして……底知れない何か。
「数は不明だが、少なくとも五体以上はいるな」
俺は舌打ちした。単独で乗り込むには、敵の手駒が多すぎる。しかも、建物の中に逃げ込まれた場合、閉鎖空間での戦いはイーグルの機動力を殺されることになる。
窓から中を覗き込もうと試みたが、内側は漆黒の闇に覆われており、鷹の視力でも詳細までは読み取れない。ただ、黒い翼を持つ影が窓の内側を行き交っていることだけは確認できた。
「ここが奴らの本拠地か」
俺はイーグライザーの柄を握りしめた。今すぐ突っ込んで、奴らを皆殺しにしてやる衝動が湧き上がる。ジューマンワールドでデスガリアンと戦った時のように、正面から扉を蹴破り、王者の力で制圧する。それも王の在り方の一つだ。
だが、今の俺には仲間がいる。レオーネ、ガーフィール、エレン、マンモスマン。そして絶花。彼らなしで無茶をすれば、王ではなくただの暴君に過ぎない。
「引くぞ」
俺はそう決断し、翼を翻した。今夜はあくまで偵察だ。敵の位置、戦力、拠点の構造。これらの情報を持ち帰り、仲間と共に完璧な作戦を練る。それが、衆を率いる王の戦い方だ。
俺は夜空へ舞い上がり、来た道を引き返した。夜風が熱い頬を冷やしていく。鷹の本能が、背後の教会から溢れ出す邪悪な気配を警告し続けているが、俺は前だけを見据えた。
「待ってろよ、堕天使ども」
アパートが見えてきた。窓の外にはマンモスマンの巨大な顔が、夜空を見上げている。俺は中庭に着地し、変身を解除した。赤い光が霧散し、制服姿に戻る。
「ボス、戻ったか」
マンモスマンが低く唸る。俺は頷き、アパートの階段を駆け上がった。
「ああ。それと、集まってくれ。でかい話がある」
部屋に入ると、レオーネがソファから身を起こし、ガーフィールがポテトチップスを咀嚼する手を止めた。エレンは布団にくるまりながら、半開きの目でこちらを見ている。そして絶花が、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「太郎くん、顔が怖いです」
「そりゃそうだ。堕天使の巣窟を見つけてきたからな」
俺はテーブルに地図を広げ、教会の位置を指し示した。
「お前ら、出番だ。俺の家臣たち、仕事の時間だぜ」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア