サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
俺は礼拝堂の奥へと足を踏み入れた。祭壇の裏側、かつては聖職者たちが祈りを捧げたであろう場所に、異様な光景が広がっている。石造りの壁には無数の黒い羽根が貼り付けられ、床にはおぞましい文様が血で描かれていた。ろうそくの炎が不気味に揺らめき、空間全体が腐敗した聖性に満ちている。
「なんだ、これは…」
俺の後ろから入ってきたレオーネが眉をひそめ、鼻を押さえた。彼女の獣の嗅覚は、この場所に満ちる死と堕落の臭いに反応しているのだろう。エレンは無言で鋏を構え、サメの尻尾が警戒を示すようにピタリと止まっている。ガーフィールは牙を剥き出しにし、マンモスマンは低く唸り声を上げていた。
「儀式、か」
俺は鷹の視力で部屋の中央を凝視した。そこには巨大な魔法陣が描かれ、その中心に一人の少女が横たわっている。腰まで届く長い金髪が床に広がり、シスター服を着た小柄な身体は、無数の光の鎖で縛り付けられていた。彼女の両手からは淡い緑色の光が漏れ出し、それが魔法陣に吸い取られている。
「あれは…神器か」
俺の言葉に、全員が少女を見つめた。彼女の胸のあたりで、緑色の輝きが脈打っている。それは俺の王国の駒とは異なるが、確かに神器の波動だった。
「あらあら、お客様かしら」
闇の中から、女の声が響いた。同時に、黒い翼を広げた堕天使が姿を現す。腰まで伸びる長い黒髪、紫色の瞳、身長は百六十四センチほどか。黒を基調とした戦闘衣装を纏い、露出した白い肌がろうそくの炎に照らされて妖しく輝いている。一目でわかる。こいつは、今までの堕天使とは格が違う。
「私はレイナーレ。ここのリーダーよ」
レイナーレと名乗った女は、優雅に一礼してみせた。その手には銀色に輝くメダル――コンティニューメダルが握られている。俺は即座に警戒を強めた。
「そのメダル…どこで手に入れた?」
「あら、これ?回収した戦利品よ。デスガリアンとかいう連合が残した遺物らしいわね。便利だから使わせてもらってるの」
レイナーレはコンティニューメダルを弄びながら、俺たちを見下すような笑みを浮かべた。彼女の背後には、さらに数体の堕天使が控えている。全員が光の槍を構え、いつでも戦闘に入れる状態だ。
「それより、気になるのはこっちかしら」
レイナーレは横たわる少女の頬を、まるで愛でるように撫でた。少女――アーシアは、弱々しく首を振る。
「やめて…ください…」
「この子、アーシア・アルジェントっていうの。元シスターでね、『聖母の微笑』っていう素敵な神器を持ってるのよ。どんな傷も治せる、すばらしい力。でも、彼女にはもったいないわ。だから、私がもらってあげるの」
レイナーレの手がアーシアの胸に伸びる。緑色の光がさらに強く輝き、少女の苦痛の声が部屋に響いた。神器を無理やり引き剥がそうとしているのだ。
「やめろ!」
俺はイーグライザーを構え、一歩踏み出した。だが、レイナーレは動じない。
「あら、怖い顔。でも、あなたたちにこの子を助ける権利があるかしら?この子はね、悪魔を治療した罪で教会を追放されたの。人間からも悪魔からも見放された、かわいそうな子。でも、その神器さえあれば、私はアザゼル様に認められる。この子の存在意義も、少しは報われるってものよ」
「ふざけるな!」
俺は叫んだ。アーシアの緑色の瞳から、涙がこぼれ落ちる。彼女は諦めきった表情で、天井を見つめていた。その姿に、かつての絶花の孤独が重なる。強さゆえに孤立し、誰にも必要とされなかった幼馴染みの姿が。
「お前らの都合で、他人の人生を奪うな!」
俺の怒りに呼応するように、王国の駒が胸元で熱く輝いた。レオーネが爪を構え、エレンが鋏を掲げ、ガーフィールが牙を剥き、マンモスマンが鼻を鳴らす。
「やれやれ。せっかくの儀式が台無しね」
レイナーレはため息をつき、コンティニューメダルを掲げた。銀色の光が彼女の身体を包み込み、黒い翼がさらに大きく広がる。
「いいわ。あなたたちを殺してから、ゆっくり神器をいただくことにする。さあ、かかってらっしゃい、獣ども」
俺は仲間たちに視線を送った。全員が頷く。やるべきことは決まっている。アーシアを救い、コンティニューメダルを回収し、この悪辣な堕天使を叩き潰す。
「全員、行くぞ!」
俺の号令とともに、五人の戦士が動き出した。教会の奥深くで、新たな戦いの火蓋が切って落とされる。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア