サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
夜の駒王街は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返り、ただ街灯の薄明かりだけがアスファルトを照らしていた。俺は一人、この街に潛む不穏な気配を探りながら、路地裏を歩いていた。王としての務めだ。だが、そんな高潔な理由だけで夜の街を彷徨っているわけではない。コンビニへ夜食の買い出しに行った帰りだということは、誰にも言うまい。
「ふむ、今日のカップラーメンは和風だ。楽しみなもんだ」
俺はビニール袋を片手に、鼻歌交じりに歩を進めた。その時である。静寂を破る、ガサゴソという怪しい音が、路地の奥から聞こえてきたのは。
「なんだ? 野良猫か?」
俺は足を止め、鷹の視力を微かに稼働させた。闇に慣れた目が捉えたのは、大きなゴミ箱に半ば身を突っ込んでいる人影……いや、人影にあらず。
薄暗い中でも見間違えようがない。腰から下は太く頑丈なダチョウの脚。両腕は黒・灰・白の羽毛に覆われた翼。そして、その翼で器用にゴミ箱の中身をかき回している姿。間違いない。あれはダチョウ獣人のレイスだ。かつてジューマンワールドで共に戦った、あのお節介焼きのリーダーだ。
「おい、そこのダチョウ。何をやってるんだ?」
俺が声をかけると、その影はビクリと震え、勢いよく顔を上げた。嘴の端には、どこかの飲食店から出されたのであろう食べかけのキャベツの千切りがついている。
「ひゃあっ!?」
レイスは素っ頓狂な声を上げ、翼をバタバタとさせて後退った。その拍子にゴミ箱が倒れ、中身がアスファルトの上に散乱する。生ゴミの臭いが、夜の冷たい空気に漂った。
「た、太郎!? ……いや、違うのか? でもその顔、その嫌な感じのするオーラ……間違いない!」
レイスは涙目で俺を見つめると、次の瞬間、全力で走ってきた。ダチョウの脚力は伊達じゃない。猛スピードで迫るオレンジ色の残像。俺が回避する間もなく、彼女はそのまま俺に突っ込んできた。
「うおっ!?」
ドスンッという重い衝撃と共に、俺は路地裏の壁に押し付けられた。レイスが俺の胸に顔を埋め、翼で俺の身体をきつく抱きしめている。柔らかい羽毛の感触と、彼女の豊満な胸の感触が、コンビニ袋ごと俺の身体を包み込んだ。
「太郎ぉぉぉ!! 本当に太郎なのぉぉぉ!? わ、私ねぇ! 迷子になって! お腹空いて! もう死ぬかと思ったんだからねぇ!!」
彼女は大声で泣きじゃくりながら、俺の制服を涙と鼻水で濡らしていく。その力は強く、ダチョウの怪力で締め上げられ、俺の肋骨がミシミシと悲鳴を上げた。
「ぐっ……苦しい……離せ、レイス! つか、お前なんでこんなところにいるんだよ!」
俺が必死に抗議すると、レイスは顔を上げ、涙でぐしゃぐしゃになった顔で俺を見つめた。その瞳には、恐怖と安堵と、そして再会の喜びが入り混じっている。
「知らないよ! 気がついたらこの街にいて! 周りは人間ばかりで! 翼隠すのも大変で! それにお腹空いて! ゴミ箱にいい匂いがするものがあったからつい……うぅぅ……」
彼女は再び俺の胸に顔を埋め、ギュウギュウと抱きしめてきた。その身体は小刻みに震えている。一人で見知らぬ世界に放り出され、空腹で怯えていたのだ。かつて群れを率いたリーダーも、王の前ではただの泣き虫なダチョウに戻るらしい。
「はぁ……まったく、お前は相変わらずだな」
俺は呆れながらも、自由になった片手で彼女の頭を撫でた。ふわふわの羽毛の感触が掌に伝わる。レイスは「ひゅっ」と鼻を啜り、俺の体温を確かめるようにさらに強く抱きついてきた。
「よかった……まだ夢じゃないよね? 太郎がいるってことは、ここは安全な場所だよね? ご飯食べられるよね?」
「ああ、食えるよ。とりあえず俺の家に来い。カップラーメンくらいなら分けてやれる」
俺がそう言うと、レイスの瞳が輝いた。涙で潤んだその目は、まるで餌を前にした小鳥のように可愛らしく……いや、ダチョウだが。
「本当!? 王様、大好き!!」
彼女は再度、猛スピードで俺に抱きついてきた。今度は首に腕を回し、へばりつくように抱き着いてくる。その身体からは、ゴミ箱の臭いと、彼女自身の野性的な体臭が混じり合って漂っていた。
「わかったから! 首絞まる! 苦しいって!」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア