サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「消えろォ! 私の前から消え失せろォ!」
男が絶叫すると同時に、剣がまばゆい光を放った。視界が白く染め上げられ、俺は本能的に腕で顔を庇う。光が収まった時、男の姿は跡形もなく消え失せていた。
「どこへ行った…!?」
路地裏には、俺一人だけが残された。いや、違う。確かにここにいるはずだ。あの狂人は、剣の能力で姿を消したのだ。透明化。随分とチートじみた能力だ。だが、そう都合よく逃がすと思うなよ。
俺は深く息を吸い込み、鷹の視力を最大限まで稼働させた。瞳孔が極限まで開き、世界がスローモーションへと落ちていく。色彩が鮮明になり、空気の粒子の一つ一つまでが見えてくるようだ。
「……いた」
姿は見えない。だが、空気の揺らぎが見えた。男が移動するたびに、空気の中に微かな歪みが生じる。透明になっても、存在そのものが消滅したわけではない。ただ、光を屈折させているだけだ。ならば、風を読めばいい。
右側の塀の上。空気が不自然に淀んでいる。足音は消しているが、移動するたびに起きる微風は隠せない。まるで、透明な迷彩を纏った獲物が、茂みの中を這い回るようなものだ。
「見えてるぞ、お前の居場所」
俺が呟くと、空気がピタリと止まった。驚愕しているのが手に取るようにわかる。奴は自分の能力が完全であると信じていたのだろう。だが、相手が悪かったな。大空の王者の目の前で、逃げ惑う獲物に未来などない。
「ぐっ…! なぜ…なぜバレるんですかァ! 私の神聖なる剣の力が…!」
男が動揺したのか、透明化が僅かに解け、輪郭が透けて見えた。必死に剣を振り上げ、俺に斬りかかろうとするその姿は、滑稽ですらある。
「だから何度も言ってるだろ。お前は遅いんだよ」
俺は翼を一打ちし、男の頭上へと飛び上がった。空中で身体を捻り、急降下の姿勢を取る。重力と推進力が加わり、俺の身体は赤い弾丸となる。
「そんな…見えてるはずがない…! 見えてるはずが…!」
男が叫びながら剣を振り回すが、それは空を切る音しか立てない。俺の軌道はすでに読まれている。鷹の目が捉えた獲物からは、絶対に逃れられないのだ。
「終わりだ、狂人」
俺はイーグライザーを構え、男の懇願ごときの抵抗を無視して、その手首を狙って一閃した。
「ぎゃあああああっ!!」
男の手首から鮮血が噴き出し、光の剣が宙を舞う。透明化が完全に解け、男がその醜悪な姿を露わにする。俺は着地すると同時に、崩れ落ちる男の腹に蹴りを叩き込んだ。
「がはっ…!」
男は空気の塊を吐き出すように呻き、白目を剥いて昏倒した。さっきまでの狂気じみた勢いはどこへやら、ただの気絶した男に成り下がった。
「ふん。口ほどにもないな」
俺はイーグライザーを収め、変身を解除した。赤い光が霧散し、俺は再び制服姿に戻る。路地裏には、気絶したはぐれエクソシストと、彼が落とした光の剣だけが残されていた。
「ふん、これで一件落着か」
俺は気絶した男の傍らにしゃがみ込み、地面に落ちていた光の剣に手を伸ばした。触れれば熱を持ち、皮膚を焼きそうなほどのエネルギーを感じる。なるほど、はぐれエクソシストとて舐めてかかれる相手ではない。だが、王となる男にとって、そんな武器はただの道具に過ぎない。回収し、解析し、俺の国の盾とする。それが筋というものだ。
指先が剣の柄に触れようとした、まさにその瞬間であった。
読者諸君、鷹の視力を持つこの俺でさえ、何が起きたのか理解するのに一瞬の隙を要したのだ。風が、泣いた。いや、空気が裂けたのだ。鼓膜が破れるかと思われる鋭い音と共に、俺の目の前で「何か」が通り過ぎた。
「なっ──!?」
俺の身体は、王としての長年の経験が刻み込んだ本能に従い、無意識のうちに動いていた。地面を蹴り、バックステップで距離を取る。同時に、胸の王国の駒が熱を帯び、俺の前面に薄紅色の障壁を展開したのである。これは変身状態でなくとも、王の資格が主の危機を察知して発動した守護の結界であった。
直後、衝撃波が俺の障壁を叩きつけた。ガラスが砕けるような音が響き、結界に亀裂が走る。だが、持ちこたえた。防御は成功したのである。
「誰だ!?」
俺は叫びながら、周囲を警戒した。鷹の視力を全開にし、路地裏の闇をスキャンする。だが、誰の姿も見当たらない。いや、それどころではない。俺の目の前には、あまりにも凄惨な光景が広がっていた。
さっきまで気絶していた男──はぐれエクソシストの身体が、両断されていたのである。
水平に、だ。
首から上が微塵もなかった。正確に言えば、首から上が存在しなかったのだ。切断面は焼き切られたように真っ黒に焦げ、血の一滴すら漏れ出していない。あまりに速すぎる斬撃が、出血すら許さなかったのだろう。だが、その胴体からは、まるで壊れた水道管のように、遅れて認識した血液がドクドクと噴き出し始めた。赤黒い液体がアスファルトを赤く染め上げ、鼻をつく鉄錆の臭いが充満する。
「っ…」
俺は息を呑んだ。これは、戦いではない。虐殺だ。一方的な、圧倒的な力による殺害である。俺が防御したその一撃が、もし直撃していれば、俺の身体もあの男と同じ運命を辿っていただろう。王の威厳も
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア