サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「ったく、どうしたもんかね…」
俺が腕を組み、言葉の通じないこの異国の戦士とどう対峙すべきか思案していた、まさにその時であった。
「ゼノヴィアー! どこですかー!?」
闇を切り裂くような、明るく間延びした声が公園に響き渡った。少女の声だ。しかも、日本語だ。俺は声のした方へ顔を向ける。月明かりの下、木々の間から飛び出してきたのは、もう一人のフード姿の人物だった。
いや、正確には、フードは被っているが、その服装は先ほどの大剣の戦士よりも軽装で、動きやすさを重視しているように見えた。そして何より、その髪。フードの隙間から覗くのは、ツインテールに結われた栗色の髪だった。
「あっ! いたいた! もう、勝手にどっか行かないでくださいよぉ!」
その少女は、大剣の戦士──どうやらゼノヴィアという名前らしい──の姿を見つけると、ぴょんぴょん跳ねながら駆け寄ってきた。しかし、途中で俺の姿に気づき、ぴたりと足を止める。フードの下から覗く大きな瞳が、驚きと警戒に見開かれた。
「あれ? あなたは…?」
「そっちこそ何者だ。その大剣の連れか?」
俺がそう返すと、少女は慌ててフードを脱いだ。現れたのは、あどけなさの残る顔立ちの少女だった。歳は俺と同じくらいか、少し下か。ツインテールが特徴的で、その髪の毛は月光を受けてキラキラと輝いて見える。
「わ、私は紫藤イリナ! 教会の者です! ええと、あなたは…?」
イリナと名乗った少女は、俺の鋭い目つきに気圧されたのか、少しどもりながら答えた。俺は腕を組んだまま、値踏みするように彼女をじろりと見る。
「俺は唯我太郎だ。お前ら、不審者。こんな夜中に、物騒なモン持ってうろついて、何が目的だ」
俺が大剣を指さすと、イリナは「はっ!」とした顔で、慌てて俺とゼノヴィアの間に入ってきた。
「ま、待ってください! 誤解です! この子、ゼノヴィアっていうんですけど、悪い人じゃないんです! ただ、エクスカリバーを取り戻す任務でこっちに来てて、それで迷子になってただけで…!」
「エクスカリバーだと?」
俺の眉がピクリと動く。エクスカリバー。イリナは先ほどゼノヴィアの口から飛び出した単語と同じものを口にした。伝説の聖剣を「取り戻す」? つまり、今は失われているのか?
「はい! あなた、何か知ってたりしませんか!? 最近、この街で妙な事件が起きてるって聞いたんですけど!」
イリナは必死の形相で俺に詰め寄ってくる。どうやら彼女は、俺が例の首無し死体事件のことを知っていると踏んで、情報を聞き出そうとしているらしい。だが、俺はそんな彼女の勢いを冷静に遮った。
「待て、落ち着け。お前ら、まずは状況を説明しろ」
俺が命じるように言うと、イリナは「ひぇっ」と小さく悲鳴を上げ、ビシッと背筋を伸ばした。俺のあまりの迫力に、恐怖したのだろう。
「は、はい! ええと、私たちはですね…!」
イリナは早口で、しかし丁寧に説明を始めた。彼女たちはバチカンの命で、盜まれたエクスカリバーを追ってこの駒王町にやってきたこと。エクスカリバーは全部で七振りあり、そのうちのいくつかが、この街に潛む何者かの手に渡っていること。
「それで、到着早々にはぐれちゃって…ゼノヴィアは日本語話せないし、私は焦っちゃうしで…」
イリナはシュンと肩を落とす。その隣で、ゼノヴィアは相変わらず無表情で突っ立っていたが、俺の目を見て、微かに、ほんの微かに頭を下げた。武器を構えないことで、敵意がないことを示しているらしい。どうやら彼女たちは、先日の狂ったエクソシストや、彼を殺した透明な敵とは別物のようだ。少なくとも、俺を害そうとしているわけではない。
「…あなたは、関係ない人みたいですね。ごめんなさい、驚かせちゃって」
イリナはぺこりと頭を下げた。どうやら俺を「事件とは無関係な、ちょっと強面の一般人」と認識したらしい。
「ああ、気にするな」
俺はひらりと手を振った。だが、この出会い、そしてエクスカリバーの話は、決して無関係ではなさそうだと、王の勘が告げていた。首無し死体。消えた光の剣。そして、伝説の聖剣を追う教会の戦士。この街で、何かとてつもなく面倒なことが起きている、ということだけは確かなようだ。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア