サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「エクスカリバー、か…」
俺は夜の駒王街を、まるで自国の領土を巡視する王のように、悠然と歩いていた。読者諸君、王が自ら足を運ぶなど、本来ならばあり得ぬことかもしれない。だが、この街には未知の罠が張り巡らされている。部下に任せきりにするわけにはいかないのだ。俺の脳裏には、あの教会の二人組の言葉がこびりついていた。伝説の聖剣、エクスカリバー。しかもそれが七振りもあるという。とんでもない与太話だが、この街では日常茶飯事になりつつある。
ふと、足を止めた。鷹の視力が、俺の意志に関わらず自動で稼働し、警告を発したのだ。
「…なんだ、この気配は」
夜風に乗って、微かな、だが確かな異臭が漂ってくる。それは鉄錆の臭い。血の臭いだ。先日の首無し死体事件を思い出させる、不吉な芳香。俺は鼻を歪め、周囲を警戒した。鷹の目が闇を透かし、遠くのビルの屋上に異様な光を捉える。
「あっちか」
俺は懐からジュウオウチェンジャーを取り出した。王者の資格が赤く輝き、俺の本能に火をつける。
「本能覚醒!」
赤い光が夜の闇を切り裂き、俺の身体を包み込む。ワシの翼が背中から展開し、鋭い爪が両手に装着される。視界がクリアになり、世界がスローモーションに落ちていく。
「大空の王者、ジュウオウイーグル!」
俺は地面を蹴り、夜空へと飛び立った。風が頬を撫で、翼が大気を掴むたびに身体が浮き上がる。眼下の駒王街は、光の点々として広がる夜景に過ぎない。だが、その美しい光の海の片隅で、確かに「異変」は起きている。
俺は翼を折り畳み、急降下を開始した。赤い流星となって、俺は闇へと落ちていった。
路地裏の闇に降り立った瞬間、鼻を突いたのは濃厚な鉄の臭いと、焦げた肉の臭いだった。読者諸君、戦場の臭いを嗅いだことはあるだろうか。それは硝煙と血の混じった、吐き気を催すような悪臭だ。だが、今俺の鼻腔を満たしているのは、それ以上に悍ましい、狂気の臭いであった。
「ひぃ…ひぃぃぃ…! た、助け…」
男の掠れた声が、闇の奥から聞こえた。鷹の視力が、暗闇の中の惨状を白日の下に晒す。そこには、かつて人であったものの成れの果てが転がっていた。四肢を捻じ切られ、腹を割かれ、内臓がアスファルトの上で蒸気を上げている。まだ生きているのが奇跡のような状態だ。その傷口は、焼き切られている。傷口の周りが炭化し、黒い血がドロドロと流れ出している。
「ああ、神よ! なんと美しい! なんと神々しい!」
狂った叫び声が響き渡る。白衣に身を包んだ、女の声だ。俺は翼を広げ、路地裏の屋根の上に降り立った。そこにいたのは、聖職者の法衣を着崩し、その上から返り血で赤く染まった女だった。その手には、まばゆい光を放つ剣が握られている。エクスカリバー。教会の連人が探していた聖剣の一つだろうか。だが、その輝きは神聖などではない。欲望と狂気に満ちた、禍々しい光だった。
「神の愛を! その身に受けよ! 受けて受けて受けまくれぇぇぇ!」
女は叫びながら、倒れた男の身体に剣を突き立てた。光の剣が肉を焼き、骨を砕く。男の喉から空気が漏れるような音が聞こえ、身体がビクンビクンと痙攣する。
「ぎゃははははは! 踊るねぇ! 踊り踊るねぇ! 神の愛を感じて、ミイラみたいに干からびちゃって!」
女は恍惚とした表情で、剣を男の体内でかき回した。焼ける音、肉が剥がれる音、骨が軋む音。それらが混ざり合い、地獄の交響曲を奏でている。返り血が女の顔に飛び散り、それを舌で舐め取る姿は、まさに悪魔そのものだ。
「さあ、次はどの部分かな? 腕? 脚? それとも…ここかなぁ?」
女は剣を引き抜き、男の股間に向けた。先端から漏れる光が、男の局部を焼き焦がす。
「ひぎゃああああああああ!!」
断末魔の叫びが、夜空に響き渡った。俺は思わず目を背けそうになったが、王として、現実から目を逸らすわけにはいかない。鷹の目は、全てを捉える。男の股間が焼け爛れ、黒コゲになる様まで。
「おい、そこの狂人」
俺は屋根の上から、冷ややかに声をかけた。女がビクリと振り返る。その瞳は、狂気に満ちていたが、俺の姿を認めると、ねっとりとした欲望の色を浮かべた。
「あらぁ? なんですか、あなたは。いい体してるねぇ。その翼、切って Collection にしたいなぁ。あはっ!」
「残念だが、俺の翼はお前ごときに扱える代物じゃない。それに、王の身体を傷つけようとするのなら、相応の覚悟が必要だ」
俺はイーグライザーを構え、女を睨みつけた。男はすでに息絶えている。助けることはできない。だが、これ以上の惨劇を許すわけにはいかない。
「王? ふん! 神の代行者である私が、王ですよ! このエクスカリバー・レーヴァテインが選んだ、この世の支配者! あなたなんか、ただの獣! 獣の分際で!」
女は剣を構え、俺に向かって飛びかかってきた。光の刃が、一直線に俺の首を狙う。だが、遅い。狂気に塗れた動きは、隙だらけだ。
「言いすぎたな。地獄で後悔するんだな」
俺は翼を一打ちし、空中へと退避した。女の剣が屋根の瓦を粉砕する。俺は急降下し、赤い閃光を放った。
「遅いんだよ!」
イーグライザーが女の腕を斬り裂く。肉が裂け、血が噴き出す。だが、女は笑っていた。
「あはっ! 痛い! 痛いのが生きてる証拠! さあ、もっと痛くしてぇ!」
狂っている。完全に。だが、俺は引かない。王として、この狂人を止める。
「なら、望み通りにしてやる。痛みも何も感じられないほどにな」
俺はジュウオウバスターを銃モードに変形させ、女の眉間に照準を合わせた。
「終わりだ、クソ野郎」
引き金を引く。光弾が放たれ、女の頭部を吹き飛ばした。胴体がしばらく痙攣し、やがてドサリと倒れた。エクスカリバーの光が消え、路地裏に静寂が戻る。
俺は着地し、変身を解除した。足元には、頭部を失った女の死体と、男の無残な遺体が転がっていた。血の臭いが、鼻にこびりついて離れない。
「…これが、この世界の現実か」
俺は血に濡れたアスファルトを見つめ、拳を握りしめた。王の道は、血と泥にまみれている。だが、それでも進むしかないのだ。
「エクスカリバー、か」
俺は女が落とした剣を拾い上げた。光は消えているが、まだ微かな聖なる気配を感じる。これが、教会の連人が探していたものか。これが、人を狂わせる呪いの道具なのか。
「俺の国には、こんな狂った剣は必要ない。だが、敵の手に渡るのはもっと危険だ」
俺は剣を懐に収め、夜の闇へと歩き出した。背後には、ただの惨劇の跡だけが残された。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア