サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「がっ…!」
コカビエルの蹴りが俺の腹部を捉えた。赤い装甲がひしゃげ、衝撃が内臓を震わせる。俺の身体は空中で弾き飛ばされビルの壁を叩きつけられながら地上へと落下していった。壁を削られガラスが粉砕される音が耳元を掠める。だが止まらない。重力が俺を無慈悲に引きずり下ろしていく。
「ぐっ…うぅ…!」
ドガァンッという轟音と共に俺はアスファルトに叩きつけられた。地面がひび割れクレーターが形成される。全身に痛みが走り視界が一瞬暗くなった。口中に鉄の味が広がる。血だ。肋骨の何本かが悲鳴を上げているのがわかった。
「ははっ…デスガリアンの幹部といい、こういう上級奴は拳の重さが違うんだよ…」
俺は震える腕で地面を押し立ち上がろうとした。だがその時頭上から冷たい殺気が降り注いできた。見上げればコカビエルが夜空に浮かんでいた。その手には巨大な光の槍が握られている。狙いは正確に俺の心臓へと向けられていた。
「終わりだ、獣。地面に這いつくばったお前に慈悲などない」
コカビエルが腕を振り下ろす。光の槍が流星となって俺に向かって落下してくる。速い。今の満身創痍の俺に回避できる速度ではない。鷹の視力で軌道は見えている。だが身体がついていかない。
「避けられないなら…避ける必要がない」
俺は地面を蹴り前へ出た。いや前へ出て受けた。光の槍が俺の正面に迫る。その瞬間俺の全身に熱いものが駆け巡った。胸の王国の駒が猛然と脈打ちワシの本能が限界を超えて覚醒する。筋肉が膨張し神経が焼き切れるほどの速度で信号を伝える。視界が赤く染まり世界がスローモーションに落ちた。
「本能覚醒!!」
俺は叫び光の槍を右拳で真正面から殴った。
ドゴォォォォン!!
衝撃波が周囲のビルを震わせアスファルトを波打たせる。光の槍が砕け散り無数の光の砕片となって夜空に舞い上がった。俺の拳からは白煙が立ち昇り装甲がひび割れているが腕はまだ繋がっていた。
「な…!?」
コカビエルの目が見開かれた。堕天使の幹部が明確な動揺を示している。光の槍を素手で跳ね返すなど前代未聞の事態だろう。
「ありえん…!堕天使の光の槍を獣の拳で弾き返すなど…!」
「ありえるさ。俺は王になる男だ。お前の槍ごときで止まれるかよ」
俺はひび割れた拳を握りしめコカビエルを睨みつけた。全身が悲鳴を上げているだが王の威厳にかけてここで膝は折らない。
「…ふん。面白い。だが今夜はこれまでだ」
コカビエルは鼻を鳴らし翼を広げた。追撃の構えではない。退く気だ。
「待て!まだ…!」
「無駄だ。お前との遊びはこれまで。私は忙しい身でね。この街で行われる『計画』の準備を進めねばならん」
「計画…?」
「そうだ。聖剣エクスカリバー。そしてこの街に潛む悪魔ども。すべてが揃った時この街は炎に包まれる。楽しみにしているがいい獣の王とやら」
コカビエルは高笑いを残し夜空の彼方へと飛び去っていった。黒い翼が月明かりに溶け込みやがて完全に見えなくなった。
「くそ…逃げられたか」
俺は膝をつき荒い息を吐いた。全身の痛みが一気に押し寄せてくる。だがそれ以上に頭の中を占めていたのはコカビエルの最後の言葉だった。
計画。聖剣エクスカリバー。そしてこの街の悪魔。
すべてが絡み合っている。コンティニューメダル、はぐれエクソシスト、教会の戦士、そして堕天使の幹部。駒王街は今、見えない糸で絡め取られようとしていた。
「王の勘が言ってる…こいつはデスガリアンの時よりも面倒なことになるってな」
俺は変身を解除し制服姿に戻った。夜風が火照った身体を冷やしていく。割れたアスファルトと崩れたビルの壁。コカビエルの圧倒的な力が残した爪痕だ。
「だが…光の槍を殴り返した。俺の力はまだ伸びるってことだ」
俺は拳を見つめ小さく笑った。ひび割れた装甲は消えたが拳の奥に熱いものが残っている。王者の資格と融合した王国の駒が新たな力の片鱗を見せたのだ。
「コカビエル…次に会う時は逃がさない。王の名において必ず倒す」
俺は夜空を睨みつけ踵を返した。帰らねばならない。仲間たちが待っている。そしてこの情報を共有し次の対策を練らねばならない。王の戦いはまだ始まったばかりだ。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア