サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「配達完了! 次はどこへ行けばいいんですかねぇ…」
レイスはオレンジ色の配送バッグを背負い、駒王街の路地裏を駆けていた。ダチョウ獣人の脚力は、自転車もバイクも霞むほどの速さを誇る。彼女にとって配達は「めんどくさい仕事」ではなく、むしろ「全力で走れる砂漠」のようなものだったのだ。風が羽毛を揺らし、アスファルトを蹴るたびに足裏のクッションがバネのように反発する。この爽快感こそが、彼女の唯一のストレス解消法だった。
だが、その風切り音に混じって、彼女の鋭い聴覚は異様な音を捉えてしまったのである。
「…なんですか、あの音」
ドォンッという、鈍い爆発音。そして、か細い悲鳴。普段なら「めんどくさいから関わりたくない」と耳を塞ぐところだが、彼女の背中には「王の家臣」としての誇りがあった。それに何より、あの音のした方向は、次の配達先の近くだったのである。
「チッ…嫌な予感がしますねぇ」
彼女は舌打ちし、速度を上げた。路地の角を曲がった瞬間、彼女の目に入ってきたのは、地獄絵図そのものだった。
黒い翼を持つ堕天使たちが、数人の市民を追い回しているのだ。建物の壁は黒く焦げ、アスファルトにはクレーターが穿たれている。そして彼らの手には、禍々しい光を放つ剣や槍が握られていた。
「…コカビエルの配下、ってところですか」
レイスは即座に状況を理解した。先日王が苦戦した堕天使の幹部。その手下たちが、今まさにこの街で暴れている。彼女は配達バッグを地面に置き、オーストリッチフェザーを展開しようとした。
しかし、その隙を彼らは見逃さなかった。
「おやおや、どこへ行くのかな、鳥ちゃん?」
頭上からねっとりとした声が降ってきた。見上げると、黒いローブを纏った堕天使が一人、彼女を見下ろしていた。その目は、獲物を玩ぶ捕食者のそれだ。
「邪魔だよ。お前みたいな鳥には用はないが…まあ、暇つぶしにはなるかな」
男は手を掲げ、光の槍を生成した。レイスは反射的に翼を交差させ防御姿勢を取る。だが、相手の速度は速かった。
「ヒッ!?」
ドガッという衝撃が翼を襲い、レイスの身体が宙に浮いた。強烈な一撃に呼吸が詰まり、視界が歪む。彼女は路地裏の壁に叩きつけられた。ズガァンッという音と共にコンクリートがひび割れ、彼女の背中に激痛が走る。
「がはっ…!」
口から血が溢れる。肋骨がイカれたか? 痛みで目尻に涙が滲む。だが、彼女は立ち上がろうと足に力を込めた。
「逃がさないよ」
男がゆっくりと近づいてくる。その背後から、さらに二体の堕天使が現れた。彼らはニタニタと笑いながら、逃げ惑う市民たちを無残に切り裂いていく。断末魔の叫び。血の噴水。肉片がアスファルトの上で踊る。
「クソッ…王様に…知らせないと…!」
レイスは震える手でポケットのスマホを探った。しかし、男はそれを許さなかった。
「おっと、連絡はなしだ」
男の蹴りがスマホを弾き飛ばした。ガシャンという音と共に画面が粉々に砕け散る。そして次の瞬間、鋭い爪が彼女の腹を掠めた。
「ぎゃあっ!」
制服が裂け、鮮血が飛び散る。白い肌が露わになり、そこから赤い線が走る。男は舌舐めずりをし、その血に濡れた爪を顔の前にかざした。
「いい色だ。恐怖の色だね。さあ、もっと泣かせておくれよ」
男は再び爪を振り上げた。レイスは恐怖で身体が竦んだ。死ぬ。ここで、こんな理不尽な場所で、ゴミのように殺される。王様に何も伝えられずに。配達のバイトも、ご飯も、もう二度と味わえないのか。
「いや…だ…」
彼女の脳裏に、あの大盛り食堂の風景が浮かんだ。王の家臣たちの笑顔。ガーフィールのポテトチップス。エレンの冷たいツッコミ。レオーネの豪快な笑い声。そして、王様の背中。
「死にたくない…! 私は…!」
その時だった。
レイスの言葉が、他の仲間達にまで響き始めたのである。
* * *
俺はアパートの椅子でうたた寝をしていた。エレンとレオーネに「寝ろ」と言われ、渋々従っていたのだが、不意に王国の駒が熱を帯びた。
「ん…?」
胸の駒が、赤くない。オレンジ色に光っている。レイスの駒だ。それが激しく明滅し俺の意識を引っ張る。
「レイス…?」
感覚が繋がった瞬間、俺は悟った。レイスが危ない。それも、ただの危険じゃない。命がかかっている。
「おいレイスに何かあったぞ!?」
俺は立ち上がり叫んだ。エレンが布団から顔を出しレオーネがビールを置く。ガーフィールが身構えマンモスマンが窓から顔を突っ込む。
「兵の駒が反応してる。場所は…あっちだ!」
俺は鷹の視力で位置を特定した。距離はそれほど遠くない。だが早く行かねば。俺はジュウオウチェンジャーを握りしめた。
「俺が行く。お前らは後から来い!」
俺はアパートを飛び出し変身した。
「本能覚醒!」
赤い光が夜の闇を切り裂き、ワシの翼が展開する。
「大空の王者ジュウオウイーグル!」
俺は夜空へ飛び立ち、全力で現場へと急行した。風が頬を切り裂くほどの速度。だがそれでも遅いと感じる。レイスの命がかかっているのだ。一分一秒が惜しい。
現場に到着した時、俺の目に入ってきたのは、想像以上に悲惨な光景だった。
レイスは血まみれで壁に押し付けられていた。制服は裂け翼は泥と血に塗れている。その周囲には三体の堕天使が取り囲んでいた。一人は爪を研ぎながらニタニタと笑い、もう一人は光の槍を弄び残り一人は無言で剣を構えている。
「離せ…! 私は…王様の…!」
レイスが弱々しい声で抵抗するが、堕天使は全く意に介さない。
「王様? 獣に王様がいるのか? あはは、面白いね。その王様に、お前の死体を送りつけてあげようか」
男が爪を振り上げた。その瞬間、俺の脳で何かが切れた。
「貴様らァァアア!!」
俺は急降下し、男の横腹にキックを叩き込んだ。ドガンッという轟音と共に男の身体が横へ吹き飛び壁を突き破っていく。
「なっ!?」
残りの二体が驚愕の声を上げる。俺は着地し、レイスの前に立ちはだかった。
「遅くなった、レイス。大丈夫か?」
「お、王様…! 来てくれたんですね…! 私…」
レイスは涙目で俺を見上げた。その顔は血と涙でぐしゃぐしゃだが、その瞳には確かな安堵の色が宿っていた。
「無事でよかった。だが、今はまだ安心するな。こいつらは俺が片付ける」
俺はイーグライザーを構え、残る二体の堕天使を睨みつけた。
「お前がジュウオウイーグルか。獣の王とやらは」
光の槍を持つ男が、冷ややかに言った。
「我々はコカビエル様の配下。お前のような獣に遅れは取らんよ」
「試してみろ」
俺は低く答えた。だが内心では焦っていた。レイスの状態が悪い。早く決着をつけ、彼女を安全な場所へ移動させねば。
男が光の槍を投擲してきた。俺は翼で回避し反撃の斬撃を放
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア