※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

453 / 484
豪腕の力

「な…!?」

 

コカビエルの目が見開かれた。聖剣光の槍の一撃を素手で受け止められた驚愕。その表情から初めて余裕が消え、代わりに悍ましい怒りが滲み出す。俺の掌と聖剣の接触点から火花が散り周囲の空気がビリビリと震えた。

 

「おのれ…! 獣の分際で聖剣を受け止めるなど…!」

 

「受け止めただけじゃねぇよ」

 

俺はニヤリと笑んだ。ゴリラの腕力は鷹の機動力とは正反対だ。速さはない。だが一撃の重さと防御力は鷲の比ではない。俺は握りしめた掌に力を込めた。光の槍の刀身がミシミシと悲鳴を上げる。

 

「これだッ!」

 

俺は聖剣を握りつぶす勢いで力を込めコカビエルごと前に押し出した。巨体が地面を削りながら突進する。コカビエルは resist できず後方へ吹き飛ばされた。

 

「ぐあっ…!」

 

コカビエルが空中で体勢を立て直す。その表情はもはや笑みではなく怒りに歪んでいた。

 

「貴様…ただの獣ではないな。その力は…」

 

「言ったろ。俺は王になる男だ。お前ごときに負けるわけにはいかないんだよ」

 

俺は巨腕を振り回しドラミングを打ち鳴らした。重い音が校庭に響き渡る。レイスがその音に反応して走り出す。オレンジの残像が校庭を横切り風が巻き起こった。

 

「王様私の風で敵の動きを読みます!」

 

「来いレイス!」

 

レイスの風読み能力が発動する。彼女が走るたびに生まれる風の流れがコカビエルの動きを俺に伝えてくる。鷹の視力はもうない。だがゴリラの力とレイスの風があれば敵の動きは見えなくとも感じ取れる。

 

「くそっ! 風読みだと? 小賢しい真似を…!」

 

コカビエルが光の槍を三本生成し投擲してきた。だがレイスの風がそれを教える。右肩左腰正面。三方向からの同時攻撃。だが俺にはもうわかっている。

 

「右ッ!」

 

俺は右からの槍を巨腕で弾き飛ばした。金属の塊が砕ける音が響く。

 

「左ッ!」

 

左からの槍を掌で握りつぶした。光の破片が散らばる。

 

「正面は…叩き潰す!」

 

正面からの槍を俺は避けずに受け止めそして握りつぶした。光が消滅し残ったのは俺の拳だけだった。コカビエルの表情が再び驚愕に歪む。

 

「ありえん…! 光の槍を素手で…!」

 

「ゴリラの握力は四百キロだ。光の槍ごとき砕けないわけがない」

 

俺は不敵に笑った。ゴリラの力は単純だ。だが単純ゆえに圧倒的だ。受け止め握りつぶし叩き潰す。そこに技巧など必要ない。あるのは純粋な力だけだ。

 

「レイス次だ!」

 

「はい! 左から二本同時に来ます! その後右に迂回して一本!」

 

「わかった!」

 

レイスの風が全てを教えてくれる。彼女の走りが生み出す風の流れがコカビエルの魔力の軌道を正確に予測し俺に伝えていた。俺は左からの二本を同時に掌で受け止め握りつぶし右からの一本を腕で弾き飛ばした。

 

「なぜだ…! なぜ私の攻撃がすべて読まれる…!」

 

コカビエルが焦燥に顔を歪める。その表情に初めて恐怖の色が混じった。

 

「お前は一人で戦ってると思ってるだろ。だが俺は一人じゃない」

 

俺は巨腕を掲げた。

 

「俺には仲間がいる。風を読む走者が俺に敵の動きを教え俺がその力で敵を砕く。それが俺の王国の戦い方だ」

 

「王国だと? 笑わせるな! 獣の王国など…!」

 

「笑わせねぇよ。見せてやるだけだ」

 

俺は地面を蹴った。ゴリラの脚力は鷹の飛翔には及ばない。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。