サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
コカビエルが瓦礫の下で動かなくなるのを見届けると、俺は深く息を吐きながら変身を解除した。赤い光が霧散し、俺の身体は再びボロボロの制服姿に戻る。全身の筋肉が悲鳴を上げ、肋骨のヒビが突き刺さるような痛みを訴えかけてくる。だが、王が敵の前で膝をつくわけにはいかない。俺は痛みを押し殺し、真っ直ぐに立った。
「ふぅ…これで一件落着、か」
俺がそう呟くと、背後から衣擦れの音が聞こえた。振り返ると、リアス・グレモリーがよろめきながらも立ち上がり、俺を見つめていた。その青い瞳には、驚愕と共に、新たな興味の色が宿っていた。
「あなたが…ジュウオウイーグル。そしてあのゴリラの姿…」
リアスが低く呟く。金髪の男剣士や眼鏡の女も、呆然とした表情で俺を見ている。悪魔の連中にとって、俺の力は未知の領域なのだろう。だが、今は説明している暇はない。
「話は後だ、リアス・グレモリー。俺たちの目的はメダルの回収と破壊、そしてこの街の守護だ。お前ら悪魔と手を組むつもりはないが、共通の敵がいる時だけは別だ」
俺はきっぱりと言い放ち、レイスに目配せをした。レイスは頷き、翼を広げて俺の隣に立つ。
「さあ行くぞ、レイス。俺たちの国に帰るんだ」
「はい、王様!」
俺たちがその場を去ろうと踵を返した、その瞬間だった。
空気が、凍りついた。
いや、空気が変わったのだ。それまでの戦闘の熱気とは全く異なる、冷たく、鋭利で、研ぎ澄まされた刃のような気配が校庭に満ちた。俺の背筋が伸び、全身の毛が逆立つ。王の勘が、警鐘を鳴らし続けていた。「振り返れ」と。
俺はゆっくりと振り返った。
そこに立っていたのは、白銀の鎧を身に纏った男だった。
月光を反射して白く輝く全身鎧。その姿は中世の騎士のようでありながら、纏っている空気は血なまぐさい戦場を幾つも潛り抜けてきたような、重く冷たいものだった。顔は兜のバイザーで隠されているが、その奥から覗く瞳の光だけが、静かに、しかし狂気じみた執着を持って俺を射抜いていた。
「…誰だ、お前は」
俺が低く問いかけると、男は口元を僅かに歪めたようだった。兜の下から、低く、研ぎ澄まされた声が漏れる。
「未知の強者…か。興味深い」
男は、俺を見つめたまま、一歩も動かない。だが、その存在感は圧倒的だった。まるで、一本の巨大な剣がそこに突き刺さっているかのような威圧感。先ほどのコカビエルとはまた違う、質量の違う強者だ。
「お前は…教会の者か? それとも、別の何者か?」
「名乗る名などない。ただの通りすがりだ。だが…」
男は、俺の目を覗き込むように首を傾げた。
「お前のその力、その眼差し…見覚えがあるような、ないような。獣の王と呼ばれたか。ふん、面白い」
男の言葉には、敵意は明確にはない。だが、そこにはもっと恐ろしいものがあった。「観察者」としての冷酷な視線だ。まるで、実験動物を見る研究者のような、あるいは、これから狩るべき獲物を見定める猟人のような目だ。
「…俺に何か用か」
俺はイーグライザーの柄に手をかけたまま問いかけた。レイスもまた、オーストリッチフェザーを展開し、臨戦態勢に入っている。ダチョウの脚が地面を掻き、いつでも走り出せる準備を整えていた。
「用? いや、特にない。ただ、見てみただけだ。聖剣を砕き、堕天使を打ち倒すその姿をな」
男はふっ、と笑ったようだった。そして、踵を返す。
「だが、気をつけるがいい。この世界は、お前の知っている場所とは少し違う。我のような「未知」が、闇の奥に潛んでいる」
男は、白銀の背中を見せながら、闇の中へと消えていった。まるで最初から存在しなかったかのように、音もなく。
「…何者だ、あいつ」
俺は男の消えた方向を睨みつけたまま呟いた。鷹の視力でも、あの男の正体を掴めなかった。だが一つだけ言えることがある。あいつは強い。間違いなくデスガリアンの幹部クラス、あるいはそれ以上の。
「王様…あの人、すごく危ない匂いがしました。まるで…刃物みたいな」
レイスが震える声で言う。彼女のダチョウの本能もまた、あの男の危険性を察知していたのだろう。
「ああ。だが、今は追うな。俺たちにはコカビエルの残したメダルの回収がある。それに…」
俺は視線をリアスたちに戻した。彼女たちはまだ呆然としているようだ。
「リアス・グレモリー。俺たちは行く。だが、覚えておけ。俺はこの街を守る。お前らがこの街を焼こうとするなら、その時は俺が敵だ」
俺はそう言い残し、レイスと共に夜の闇へと消えた。背後でリアスが何かを叫んだ気がしたが、もう振り返らなかった。
王の道は、まだ続く。未知の敵が現れようと、この街を守るという誓いは変わらない。俺は王になる男だ。どんな逆境も、俺と俺の家臣たちが切り拓いていく。
「さあ、帰るぞレイス。腹が減った」
「はい! 私もお腹ペコペコです!」
俺たちは夜の駒王街を駆け抜けた。風が傷を癒やしてくれる気がした。王の国は、まだ始まったばかりだ。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア