サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「三大勢力が会議を行う、でござる」
ユキカゼの一言が、居間の空気を凍らせた。
俺は畳の上に座り直した。六畳一間。狭い。だが今この部屋にいるのは俺を含めて七人。全員がそれぞれの理由でこの狭い空間に集まっている。
「会議ってのは、どんな内容だ?」
「詳細は不明でござる。ただ三大勢力の代表者が一堂に会するのは稀有なことらしいでござるよ」
ユキカゼが狐耳を伏せて報告を続ける。彼女が持ち帰った情報は、深夜の調査の成果だ。あのアザゼルとの接触から一夜明け、ユキカゼは再び街へ出て情報を拾ってきた。
「会議の場所や日程は分かるのか?」
「日時は近々。場所は分からぬでござる。ただ会議自体は非公開で行われるらしいでござる」
「非公開か…」
俺は腕を組んだ。
「太郎様」
低い声が俺の右側からかかった。エレンだ。鷹ジューマンの少女は、いつものように背筋を伸ばして座っている。蒼い瞳が真っすぐに俺を見つめている。
「その会議に我々が関与する余地はあるのでしょうか」
「だから今それを皆と相談しようと思ってる」
俺はエレンに頷いてから、全員を見渡した。
右からエレン。鷹ジューマン。寡黙で真面目。表情は変わらないが、その分言うことは的を射る。
その隣にレオーネ。虎ジューマン。豊満な体躯を椅子に預けて、腕を組んでいる。金色の瞳が興味深そうに俺を見ていた。
「あたしは別に乗り込んでもいいぜ。会議だろうが何だろうが、関係ねえし」
レオーネがニカリと笑った。相変わらずの武力解決派だ。
「レオーネ。会議に乗り込むのは論外だ」
「なんでい。一番手っ取り早いだろ」
「手っ取り早く殺されに行きたいか」
「…ちっ」
レオーネが舌打ちして黙った。分かってはいるのだ。ただ口が出るタイプなだけだ。
正面に座っているマンモスマンが、巨体を揺らして口を開いた。
「しかし太郎殿。会議の内容によっては我々にも影響があるやも知れぬ。無視するわけにはいかないのではないか」
「そうだな。マンモスマンの言う通りだ」
俺は頷いた。マンモスマンは熊ジューマンだ。見た目通りの怪力だが、思考は意外と慎重派だ。バランスが良い。
「ガーフィール。お前はどうだ?」
俺の左側に座っているガーフィールが、ぼそりと口を開いた。
「…見張るのはありだと思うです」
小声だ。狼ジューマンの青年は、いつもこうだ。控えめで、だが言うべきことは言う。
「見張る、か」
「会議の場所が分からなくても、動きがあれば追えるです。俺の鼻で」
「なるほど。ガーフィールの鼻なら可能かもしれない」
ガーフィールの嗅覚は狼ジューマンの中でもずば抜けている。追跡に関しては右に出る者がいない。
「レイス。お前の意見は?」
最後の一人。鹿ジューマンのレイスが、静かに顔を上げた。
「太郎様。私は会議そのものよりも、会議に至るまでの動きを把握することを優先すべきかと」
「どういうことだ?」
「三大勢力が会議を行うということは、それぞれの勢力が動きます。移動があれば、それが分かります。動きを追えば、会議の場所も自然と浮かび上がるかと」
「レイスの言う通りだ」
俺は膝に手を置いた。
「会議そのものに介入するのはリスクが高すぎる。だが動きを追うことはできる。ガーフィールの嗅覚とレイスの感知能力があれば、三大勢力の移動ルートを把握できる可能性がある」
「俺はやれるです」
「私も可能です」
ガーフィールとレイスが同時に頷いた。
「だがそれだけじゃない」
俺は声を低くした。全員の視線が俺に集まる。
「会議の動きを追うのは偵察だ。だが俺たちはもう一つ気にしなきゃならないことがある」
「アザゼルのこと、でござるか」
ユキカゼが言った。
「ああ。あの男は俺の正体を知っている。そして俺の神器に興味を示した。三大勢力の会議が行われるなら、堕天使側としてあの男も動くはずだ」
「つまり太郎様。アザゼルとの再接触の可能性があると?」
エレンの声が鋭くなった。
「否定できない。あの男は『また会おう』と言って去った。なら会議を機に接触してくる可能性は高い」
居間が沈黙した。全員がそれぞれの思考の中で沈黙を咀嚼している。
俺はその沈黙を利用して、頭の中を整理した。
三大勢力の会議。アザゼルの存在。俺たちの正体隠蔽。コンテニューメダルの破壊。全部が絡み合っている。一つ動けば全部が動く。
「方針を決める」
俺は口を開いた。全員の目が俺を見た。
「まずガーフィールとレイスで三大勢力の動きを追う。会議の場所と日程の特定が最優先だ」
「了解でござる」
「やるです」
「ユキカゼは引き続き情報収集を継続。会議の周辺情報を洗えるだけ洗ってくれ」
「お任せくださられ」
「エレンとマンモスマンは待機。万が一の時の戦力として常に動ける状態を維持する」
「承知いたしました」
「任されたでござる」
「レオーネは」
「ああ? また待機かよ」
「いや。お前には別の役がある」
レオーネの金色の瞳が細まった。
「コンテニューメダルの残骸探索を継続してくれ。会議の情報も大事だが、メダルの破壊も放置できない」
「…ちっ。まあそれならやるぜ」
レオーネが再び舌打ちして、でも納得して腕を組み直した。
「俺は」
最後に、自分の役割を口にした。
「アザゼルへの対策を考える。あの男が再来した時、どう対応するか。それを決めておかないと全員が危ない」
「太郎様が直接対応されるおつもりか」
エレンの声に心配が混じった。
「直接じゃない。だが備えは必要だ。あの男が研究者だというなら、対応の仕方も変わるはずだ」
俺は全員を見渡した。
「以上でいいか?」
「異議なしでござる」
ユキカゼが代表するように答えた。他の五人もそれぞれの仕草で同意を示した。頷き、鼻を鳴らし、ぼそりと「了解です」と呟き、腕を組み直し、巨体を揺らした。
七人の家臣。いや、六人の家臣と一人の王。狭い六畳一間の円卓会議が、ここに終わった。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア