※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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仮面の王、獣の仮面で御堂に立つ

明後日。約束の日時。

 

三人の戦士が並んで立っている。赤と青と白。動物モチーフの戦隊。異世界の力を纏った、この世界の異物。

 

「…行くか」

 

「参るでござる」

 

「……はいはい」

 

ユキカゼは元気よく。エレンはやる気なく。俺はその中間で。三人の歩調が揃わない。揃わないが、足音だけは重なった。

 

広間へ歩き出した。

 

足音が石の床に反響する。三つの足音が重なって、規則的なリズムを刻む。広間の入り口から円卓まで、意外と距離がある。歩くたびに蝋燭の火が揺れ、俺たちの影が床の上で伸び縮みする。

 

円卓の、空いている席。ゲスト用の席が一つ。円卓の外周に、三勢力とは別の位置に用意されていた。招かれた客の席。俺たちの席だ。

 

俺は中央に。ユキカゼが右。エレンが左。三人が並んで立った。

 

(…静かだ)

 

広間に音がない。蝋燭の火が爆ぜる微かな音だけが聞こえる。だがそれも、俺たちの緊張を際立たせるだけだ。

 

エレンが腕を組んで壁に寄りかかりそうになっている。いや、寄りかかるのはやめろ。一応正式な場面だ。

 

「エレン。直立」

 

「……はいはい」

 

直立した。だがその姿勢には「早く終わらないかな」が滲み出ている。鮫のアーマーを着ていても、その気だるさは隠せない。

 

そして、気配が変わった。

 

広間の入り口。三つの方向から同時に。

 

足音。複数の足音。それぞれが違うリズムで、違う重さで、石の床を踏みしめている。

 

来た。

 

右側の入り口から、一団が入ってきた。紅い西装。まとわりつくような暗い気配。先頭に立つのは、小柄な少女だった。紅髪のロング。可憐な顔立ち。だがその瞳の奥に、底なしの闇が潛んでいる。胸元には、駒の紋章。

 

(悪魔の代表か)

 

左側の入り口から、別の一団。白い法衣。聖なる気配が周囲の空気を変える。先頭に立つのは、金髪の青年。温和な顔立ち。だが翼が見える。白い羽の天使の翼。背中から伸びるその翼は、純白そのものだ。

 

(天使の代表)

 

正面の入り口。最後の一団。先頭に立つのは、見覚えのある金髪。浴衣。下駄。あの夜と同じ格好。背中からはコウモリの翼が展開している。堕天使の総督、アザゼル。俺の正体を知る男。

 

(堕天使の代表。あの男だ)

 

三勢力の代表者が、同時に入場した。

 

円卓を挟んでそれぞれの席に着く。悪魔が右。天使が左。堕天使が正面。三つの勢力が俺たちを取り囲む形になった。

 

全員の視線が、俺たちに集まった。

 

重い。視線が物理的な質量を持っているようだ。三十以上の瞳が、俺たちを値踏みしている。好奇。警戒。敵意。興味。様々な色が混じった視線が、全身に突き刺さる。

 

エレンが微かに息を吐いた。「……視線が痛いですね」。だが直立は崩さない。文句を言いながらも仕事はする。そこがエレンだ。

 

「…ほう」

 

アザゼルが、楽しそうな声を上げた。あの夜と同じ、研究者の目だ。だが今は浴衣の上からではなく、円卓の向こうから俺を見ている。堕天使の総督としての目。

 

「来たな。ジュウオウイーグル」

 

「ああ。招待を受けたからな」

 

俺は声を変えずに答えた。ヘルメット越しの声は、低く加工されて聞こえる。正体を隠すための変声機能だ。

 

「それにしても」

 

アザゼルが頬杖をついた。

 

「三人だけで来るとはな。随分と自信があるのか、それとも無謀なのか」

 

「無謀かどうかは会議が終われば分かるだろ」

 

「はは。面白い奴だ」

 

アザゼルが笑った。だがその笑いの奥で鋭い視線が俺の全身を走査している。神器の構成を解析しようとしている目だ。今は変身している。見えているのは鷹の戦士の姿だが、それでも覗こうとしてくるか。流石は神器マニアだ。

 

悪魔の代表。紅髪の少女が口を開いた。

 

「初めまして。ジュウオウイーグル、と申しましたか」

 

声は可憐だが内容は鋭い。

 

「私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主であり、悪魔の代表を務めさせていただいています」

 

「リアス・グレモリー」

 

俺は名前を復唱した。悪魔の代表。グレモリー家。名前からして大物だ。

 

「貴方がたは、何者ですか? 私たちの調べでは、いずれの勢力にも属さない未知の存在とのこと。しかしこの会議に出席されたということは、何らかの立場をお持ちなのでしょう」

 

鋭い。単刀直入だ。だが嫌味はない。ただ事実を確認しようとしている。

 

「俺の名前はジュウオウイーグル。こっちは」

 

「拙者はジュウオウザニーでござる」

 

ユキカゼが一歩前に出た。狐の戦士。黄色のアーマーが蝋燭の光を受けて輝く。

 

「……ジュウオウシャークです。よろしくお願いします。しにたくはないんで」

 

エレンが一歩前に出て、言い終わる前に一歩下がった。挨拶に「死にたくはない」を混ぜるな。鮫ジューマンの性格が出すぎている。だがリアス・グレモリーはその挨拶にむしろ興味を深めたようだ。少し眉が上がった。

 

「我々はいずれの勢力にも属さない」

 

俺は言った。

 

「だが、この世界に関わる以上、無視できない存在だと言われたから来た。それだけだ」

 

「はっきりと言いますね」

 

リアス・グレモリーが微笑んだ。だがその瞳は笑っていない。値踏みしている。

 

天使の代表が口を開いた。

 

「私はミカエル。天使の代表です」

 

穏やかな声。だがその名前の重さが広間の空気を一変させた。ミカエル。天使長ミカエル。そんな大物が直接来ているのか。

 

「ジュウオウイーグル殿。貴方方が何者であれ、この会議に参加されたことを歓迎します。ただし、この場では、誠意をもって対話することを求めます」

 

「分かっている」

 

俺は頷いた。ヘルメットの中で、俺の顔は強張っている。だが声だけは冷静を保った。

 

エレンが後ろで小さくため息をついた。「……誠意。重い言葉ですね」。うるさい。

 

全員の視線がまだ俺たちに集まっている。三勢力の代表者。その背後に控える側近たち。全員がジュウオウジャーの姿を凝視している。

 

赤と黄と白。動物の意匠を冠する異質な戦士。この世界のどの勢力にも属さない、未知の存在。

 

視線の量が凄まじい。好奇。警戒。分析。それぞれの瞳に映る俺たちは、きっとそれぞれ違う色に見えているだろう。悪魔には不審な異物。天使には未知の存在。堕天使には研究対象。どれも歓迎されてはいない。だが拒絶もされていない。

 

「では」

 

アザゼルが手を叩いた。乾いた音が石造りの広間に反響する。

 

「三大勢力会議を、始めようか」

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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