サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
明後日。約束の日時。
三人の戦士が並んで立っている。赤と青と白。動物モチーフの戦隊。異世界の力を纏った、この世界の異物。
「…行くか」
「参るでござる」
「……はいはい」
ユキカゼは元気よく。エレンはやる気なく。俺はその中間で。三人の歩調が揃わない。揃わないが、足音だけは重なった。
広間へ歩き出した。
足音が石の床に反響する。三つの足音が重なって、規則的なリズムを刻む。広間の入り口から円卓まで、意外と距離がある。歩くたびに蝋燭の火が揺れ、俺たちの影が床の上で伸び縮みする。
円卓の、空いている席。ゲスト用の席が一つ。円卓の外周に、三勢力とは別の位置に用意されていた。招かれた客の席。俺たちの席だ。
俺は中央に。ユキカゼが右。エレンが左。三人が並んで立った。
(…静かだ)
広間に音がない。蝋燭の火が爆ぜる微かな音だけが聞こえる。だがそれも、俺たちの緊張を際立たせるだけだ。
エレンが腕を組んで壁に寄りかかりそうになっている。いや、寄りかかるのはやめろ。一応正式な場面だ。
「エレン。直立」
「……はいはい」
直立した。だがその姿勢には「早く終わらないかな」が滲み出ている。鮫のアーマーを着ていても、その気だるさは隠せない。
そして、気配が変わった。
広間の入り口。三つの方向から同時に。
足音。複数の足音。それぞれが違うリズムで、違う重さで、石の床を踏みしめている。
来た。
右側の入り口から、一団が入ってきた。紅い西装。まとわりつくような暗い気配。先頭に立つのは、小柄な少女だった。紅髪のロング。可憐な顔立ち。だがその瞳の奥に、底なしの闇が潛んでいる。胸元には、駒の紋章。
(悪魔の代表か)
左側の入り口から、別の一団。白い法衣。聖なる気配が周囲の空気を変える。先頭に立つのは、金髪の青年。温和な顔立ち。だが翼が見える。白い羽の天使の翼。背中から伸びるその翼は、純白そのものだ。
(天使の代表)
正面の入り口。最後の一団。先頭に立つのは、見覚えのある金髪。浴衣。下駄。あの夜と同じ格好。背中からはコウモリの翼が展開している。堕天使の総督、アザゼル。俺の正体を知る男。
(堕天使の代表。あの男だ)
三勢力の代表者が、同時に入場した。
円卓を挟んでそれぞれの席に着く。悪魔が右。天使が左。堕天使が正面。三つの勢力が俺たちを取り囲む形になった。
全員の視線が、俺たちに集まった。
重い。視線が物理的な質量を持っているようだ。三十以上の瞳が、俺たちを値踏みしている。好奇。警戒。敵意。興味。様々な色が混じった視線が、全身に突き刺さる。
エレンが微かに息を吐いた。「……視線が痛いですね」。だが直立は崩さない。文句を言いながらも仕事はする。そこがエレンだ。
「…ほう」
アザゼルが、楽しそうな声を上げた。あの夜と同じ、研究者の目だ。だが今は浴衣の上からではなく、円卓の向こうから俺を見ている。堕天使の総督としての目。
「来たな。ジュウオウイーグル」
「ああ。招待を受けたからな」
俺は声を変えずに答えた。ヘルメット越しの声は、低く加工されて聞こえる。正体を隠すための変声機能だ。
「それにしても」
アザゼルが頬杖をついた。
「三人だけで来るとはな。随分と自信があるのか、それとも無謀なのか」
「無謀かどうかは会議が終われば分かるだろ」
「はは。面白い奴だ」
アザゼルが笑った。だがその笑いの奥で鋭い視線が俺の全身を走査している。神器の構成を解析しようとしている目だ。今は変身している。見えているのは鷹の戦士の姿だが、それでも覗こうとしてくるか。流石は神器マニアだ。
悪魔の代表。紅髪の少女が口を開いた。
「初めまして。ジュウオウイーグル、と申しましたか」
声は可憐だが内容は鋭い。
「私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主であり、悪魔の代表を務めさせていただいています」
「リアス・グレモリー」
俺は名前を復唱した。悪魔の代表。グレモリー家。名前からして大物だ。
「貴方がたは、何者ですか? 私たちの調べでは、いずれの勢力にも属さない未知の存在とのこと。しかしこの会議に出席されたということは、何らかの立場をお持ちなのでしょう」
鋭い。単刀直入だ。だが嫌味はない。ただ事実を確認しようとしている。
「俺の名前はジュウオウイーグル。こっちは」
「拙者はジュウオウザニーでござる」
ユキカゼが一歩前に出た。狐の戦士。黄色のアーマーが蝋燭の光を受けて輝く。
「……ジュウオウシャークです。よろしくお願いします。しにたくはないんで」
エレンが一歩前に出て、言い終わる前に一歩下がった。挨拶に「死にたくはない」を混ぜるな。鮫ジューマンの性格が出すぎている。だがリアス・グレモリーはその挨拶にむしろ興味を深めたようだ。少し眉が上がった。
「我々はいずれの勢力にも属さない」
俺は言った。
「だが、この世界に関わる以上、無視できない存在だと言われたから来た。それだけだ」
「はっきりと言いますね」
リアス・グレモリーが微笑んだ。だがその瞳は笑っていない。値踏みしている。
天使の代表が口を開いた。
「私はミカエル。天使の代表です」
穏やかな声。だがその名前の重さが広間の空気を一変させた。ミカエル。天使長ミカエル。そんな大物が直接来ているのか。
「ジュウオウイーグル殿。貴方方が何者であれ、この会議に参加されたことを歓迎します。ただし、この場では、誠意をもって対話することを求めます」
「分かっている」
俺は頷いた。ヘルメットの中で、俺の顔は強張っている。だが声だけは冷静を保った。
エレンが後ろで小さくため息をついた。「……誠意。重い言葉ですね」。うるさい。
全員の視線がまだ俺たちに集まっている。三勢力の代表者。その背後に控える側近たち。全員がジュウオウジャーの姿を凝視している。
赤と黄と白。動物の意匠を冠する異質な戦士。この世界のどの勢力にも属さない、未知の存在。
視線の量が凄まじい。好奇。警戒。分析。それぞれの瞳に映る俺たちは、きっとそれぞれ違う色に見えているだろう。悪魔には不審な異物。天使には未知の存在。堕天使には研究対象。どれも歓迎されてはいない。だが拒絶もされていない。
「では」
アザゼルが手を叩いた。乾いた音が石造りの広間に反響する。
「三大勢力会議を、始めようか」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア