サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
夜が更けた頃だった。
俺はテントの外で寝ていた。地面の苔が柔らかくて、思ったより寝心地がいい。焚き火はもう消えていたが、残り火の温もりが空気を包んでいた。
その時だ。
空気が、変わった。
ビリ、と。
肌を刺すような悪寒が、首筋を走った。寝転がっていた身体が跳ね起きる。手は自然と腰のジュウオウチェンジャーへ伸びていた。
「……何だ、これ」
呟くようにつぶやいた。
気配だ。間違ない。何かが、来る。
王国の駒が警鐘を鳴らしている。頭の奥で、リン、リン、と。敵意の気配。それもただの敵じゃない。
「太郎さん」
ユキカゼの声。テントから飛び出してきた彼女の狐耳が、完全に伏せている。尻尾が膨らんで逆立っている。戦闘態勢だ。
「分かるでござる。この気配……知ってるでござる」
「ああ。俺もだ」
エレンが木の陰から出てきた。目は完全に開いている。睡そうな様子は微塵もない。サメの尻尾が、刃のように真直に張り詰めている。
「この匂い。忘れない」
「ああ。忘れられるわけがない」
絶花が刀を手に取っていた。鞘から抜いていない。だがその指は、いつでも抜刀できるように柄を握っている。顔が硬い。彼女も、覚えているのだ。
シンジはテントの陰から顔を出した。青白い顔が、さらに青白くなっている。
「……何、なんですか、これ」
「敵だ」
俺は短く答えた。
「昔の、な」
* * *
全員が、その地点へ向かった。
森の奥。木々の間を抜けて、開けた場所へ出る。月明かりが差し込む小さな広場だ。そこで、それいた。
まず目に入たのは、見覚えのある奇声だった。
「チャリリリン、プルプル!」
金貨の音を模した奇声。それと共に、四つの触手が生えた顔が月明かりの下で蠢めいていた。
メーバ。
デスガリアンの戦闘員。あの夏何度も戦った敵だ。だが、何故ここに。
「メーバだと……」
ユキカゼが呟いた。尻尾が、さらに膨らんだ。
「何故。デスガリアンは、もう……」
「終わったはずだ。あの夏で」
俺は歯を食いばった。
あの夏、俺たちはデスガリアンを倒した。戦いを終わらせた。だが、このメーバはあの時と同じ姿で、そこにいる。
否。
メーバの後ろに、もっと大な気配があた。
メーバは、ただの尖兵に過ぎない。本命はこの気配の方だ。
俺は顔を上あげた。
木々の上。月を背にした巨影。ソレは、そこにいた。
「……冗談だろ」
俺の声が、震えた。
ソレは、笑った。
「バリバリバリ! 久振りだな、ジュウオウジャー!」
青い体。六つの眼。フック状の義手。腹に仕込まれた大砲。右手に握った、錨型の大剣。右足も義足のよう機械。
バングレイ。
デスガリアンの荒くれ者船長。
あの夏、確に倒したはずの敵。
「何故だ。何故、生きている」
「バリカユ〜。その言葉、聞きたかったぜ」
バングレイが木の上から飛び降りた。ズシン、と地面が揺れる。巨体が俺たちの前へ立はだかる。
「俺様が死ぬわけがなかろうが。バリバリ。宇宙の海を渡る船長を、そんじょに殺れると思うなよ」
六つの眼が、俺たちを順に眺めていく。蔑むような嘲けるような、そんな目だ。
「バリカユ〜。人間同士の絆とか。バリカユ〜。笑わせるぜ。お前ら、絆なんてものに縋われて俺様に立向かってのか?」
「絆は、縋われてるわけじゃない」
俺は言い返した。声が、自然と低くなる。
「俺たちは、自分の意思でここにいる。絆は縛じゃない。俺たちが選んだものだ」
「バリカユ〜。同じ事だろ。選んだ絆に、縛られてる。バリカユ〜。何が違うんだか」
バングレイが右手の大剣を、肩に担ぎ上けた。
「まあ、いい。今日は挨拶を言いに来ただけだ。バリバリ。お前ら、まだ生きていたのかと思てな」
「挨拶?」
「ああ。俺様の船に、お前らを乗せてやろうと思てな」
バングレイの六つの眼が、俺をじっと見た。
「バリバリ。王様を目指してるんだろ? 丁度だ。俺様の下に就け。そうすれは、王になれる」
「断る」
即答だった。
「俺は、誰かの下に就く王にはなない。俺の国は俺が作る」
「バリカユ〜。いい返事だ。そんじゃ、力尽くで、俺様がお前らを従わせてやるよ」
バングレイの六つの眼が、光った。
殺気が、森全に満ちた。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア