※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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最悪の再会

夜が更けた頃だった。

 

俺はテントの外で寝ていた。地面の苔が柔らかくて、思ったより寝心地がいい。焚き火はもう消えていたが、残り火の温もりが空気を包んでいた。

 

その時だ。

 

空気が、変わった。

 

ビリ、と。

 

肌を刺すような悪寒が、首筋を走った。寝転がっていた身体が跳ね起きる。手は自然と腰のジュウオウチェンジャーへ伸びていた。

 

「……何だ、これ」

 

呟くようにつぶやいた。

 

気配だ。間違ない。何かが、来る。

 

王国の駒が警鐘を鳴らしている。頭の奥で、リン、リン、と。敵意の気配。それもただの敵じゃない。

 

「太郎さん」

 

ユキカゼの声。テントから飛び出してきた彼女の狐耳が、完全に伏せている。尻尾が膨らんで逆立っている。戦闘態勢だ。

 

「分かるでござる。この気配……知ってるでござる」

 

「ああ。俺もだ」

 

エレンが木の陰から出てきた。目は完全に開いている。睡そうな様子は微塵もない。サメの尻尾が、刃のように真直に張り詰めている。

 

「この匂い。忘れない」

 

「ああ。忘れられるわけがない」

 

絶花が刀を手に取っていた。鞘から抜いていない。だがその指は、いつでも抜刀できるように柄を握っている。顔が硬い。彼女も、覚えているのだ。

 

シンジはテントの陰から顔を出した。青白い顔が、さらに青白くなっている。

 

「……何、なんですか、これ」

 

「敵だ」

 

俺は短く答えた。

 

「昔の、な」

 

*  *  *

 

全員が、その地点へ向かった。

 

森の奥。木々の間を抜けて、開けた場所へ出る。月明かりが差し込む小さな広場だ。そこで、それいた。

 

まず目に入たのは、見覚えのある奇声だった。

 

「チャリリリン、プルプル!」

 

金貨の音を模した奇声。それと共に、四つの触手が生えた顔が月明かりの下で蠢めいていた。

 

メーバ。

 

デスガリアンの戦闘員。あの夏何度も戦った敵だ。だが、何故ここに。

 

「メーバだと……」

 

ユキカゼが呟いた。尻尾が、さらに膨らんだ。

 

「何故。デスガリアンは、もう……」

 

「終わったはずだ。あの夏で」

 

俺は歯を食いばった。

 

あの夏、俺たちはデスガリアンを倒した。戦いを終わらせた。だが、このメーバはあの時と同じ姿で、そこにいる。

 

否。

 

メーバの後ろに、もっと大な気配があた。

 

メーバは、ただの尖兵に過ぎない。本命はこの気配の方だ。

 

俺は顔を上あげた。

 

木々の上。月を背にした巨影。ソレは、そこにいた。

 

「……冗談だろ」

 

俺の声が、震えた。

 

ソレは、笑った。

 

「バリバリバリ! 久振りだな、ジュウオウジャー!」

 

青い体。六つの眼。フック状の義手。腹に仕込まれた大砲。右手に握った、錨型の大剣。右足も義足のよう機械。

 

バングレイ。

 

デスガリアンの荒くれ者船長。

 

あの夏、確に倒したはずの敵。

 

「何故だ。何故、生きている」

 

「バリカユ〜。その言葉、聞きたかったぜ」

 

バングレイが木の上から飛び降りた。ズシン、と地面が揺れる。巨体が俺たちの前へ立はだかる。

 

「俺様が死ぬわけがなかろうが。バリバリ。宇宙の海を渡る船長を、そんじょに殺れると思うなよ」

 

六つの眼が、俺たちを順に眺めていく。蔑むような嘲けるような、そんな目だ。

 

「バリカユ〜。人間同士の絆とか。バリカユ〜。笑わせるぜ。お前ら、絆なんてものに縋われて俺様に立向かってのか?」

 

「絆は、縋われてるわけじゃない」

 

俺は言い返した。声が、自然と低くなる。

 

「俺たちは、自分の意思でここにいる。絆は縛じゃない。俺たちが選んだものだ」

 

「バリカユ〜。同じ事だろ。選んだ絆に、縛られてる。バリカユ〜。何が違うんだか」

 

バングレイが右手の大剣を、肩に担ぎ上けた。

 

「まあ、いい。今日は挨拶を言いに来ただけだ。バリバリ。お前ら、まだ生きていたのかと思てな」

 

「挨拶?」

 

「ああ。俺様の船に、お前らを乗せてやろうと思てな」

 

バングレイの六つの眼が、俺をじっと見た。

 

「バリバリ。王様を目指してるんだろ? 丁度だ。俺様の下に就け。そうすれは、王になれる」

 

「断る」

 

即答だった。

 

「俺は、誰かの下に就く王にはなない。俺の国は俺が作る」

 

「バリカユ〜。いい返事だ。そんじゃ、力尽くで、俺様がお前らを従わせてやるよ」

 

バングレイの六つの眼が、光った。

 

殺気が、森全に満ちた。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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