サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
バングレイが動いた。
バリブレイドを肩から下ろし錨型の大剣を地面に叩きつける。ズガアンと森が揺れた。土砂が舞い上がり、木の根が悲鳴を上げる。
「バリバリ。来いよ、ジュウオウジャー」
六つの目が、俺とシンジを捉えていた。
「シンジ」
「…はい」
「お前と二人で行く。他の奴らはメーバの残党を頼む」
「分かった」
シンジの声は短い。だが、迷いがない。
俺はイーグライザーを構え、翼を広げた。シンジはライノスフォームのまま、ジュウオウザライトを握りしめる。
「行くぞ」
「…うん」
同時に、地を蹴った。
* * *
俺は空へ跳んだ。
野性の感覚が研ぎ澄まされる。鷹の目がバングレイの動きを読む。六つの目がどこを見ているか。どの腕が動くか。腹の大砲がいつ火を噴くか。
全部、見える。
「遅い!」
上空から急降下。イーグライザーを振り下ろす。赤い斬撃がバングレイの頭部を狙う。
だが。
ガキィン。
バングレイが右手のバリブレイドで受け止めた。重い。剣が弾かれる。俺は空中で体勢を立て直し、もう一度斬りかかる。
「バリカユ〜。軽いな。王様の剣はそんなもんか」
「うるさい!」
二撃目。三撃目。連続で斬りつける。だがバングレイは全て受け止める。いや、受け流す。剣の軌道を読まれている。
(硬い。それに、速い)
以前戦った時より、確実に強くなっている。動きが洗練されている。錨の重さを利用した受け流し。フックの義手で死角から攻撃。腹部の大砲が俺を狙う。
「っと!」
俺は急上昇して大砲の光弾を避ける。だがバングレイは追撃してくる。バリブレイドを振り上げ、電撃を放つ。
ビリビリビリ。
電撃が空気を裂く。俺は翼を畳んで急降下。地面スレスレで回避する。
「太郎!」
シンジの声。ライノスフォームの黒い影が、バングレイの背後から突っ込む。
ズドン。
体当たり。だがバングレイは微動だにしない。四〇〇キロの突進を、片腕で受け止めている。
「バリバリ。軽い軽い。お前さん、力が足りねェな」
バングレイがフックの義手を振るう。シンジの装甲を掴み、そのまま投げ飛ばす。シンジが地面を転がる。
「シンジ!」
「…平気」
シンジが立ち上がる。装甲は無事だ。だが、攻撃が通じていない。
(ライノスの突進力でも足りない。バングレイのパワーが上がってる)
俺は着地して、イーグライザーを構え直した。バングレイの六つの目が、俺とシンジを交互に見ている。余裕だ。全く余裕がある。
「バリカユ〜。二人がかりでもこの程度か。絆とか言ってたわりに、大したことねェな」
「まだ終わってない」
「バリバリ。じゃあ見せてみろよ。お前らの本気ってやつを」
バングレイが、バリブレイドを大きく振りかぶった。
* * *
(このままじゃジリ貧だ。力で押し負けてる。なら)
俺は腰のジュウオウチェンジャーに手を伸ばした。
(もっと力が要る)
チェンジャーの画面を操作する。イーグルのマークが過ぎ、次のマークを選ぶ。ゴリラのマークだ。
「野性開放!」
叫んだ瞬間、チェンジャーが強く輝いた。
赤い光が弾ける。俺の全身を包む装甲が音を立てて再構成される。イーグライザーが手の中で変形し、巨大な拳へと変わる。赤い装甲が黒と銀に変わり、腕が太くなる。胸部の意匠がゴリラの顔へ。肩が広がり、全身に筋肉のような装甲が盛り上がる。
ジュウオウゴリラ。
力に特化した形態。
「シンジ! お前も来い!」
「…うん!」
シンジがジュウオウザライトを操作する。キューブを回す。カチカチカチ。ライノスのマークが過ぎ、鱷のマークが来る。カチ。
スイッチを押す。カチリ。
だが、変身の仕方が違う。
シンジの声が響く。
「野性解放!」
光が爆発する。青緑色の光がシンジの全身を包む。ライノスフォームの装甲が砕け、鱗状の装甲へと変わる。だが通常のクロコダイルフォームとは違う。装甲がより分厚く、より獰猛な意匠へ。背中の魚の意匠が巨大化し、顎が大きく開く。両腕に分厚い鱗の装甲が重なり、爪がより鋭くより長くなる。
野性解放クロコダイルフォーム。
力に特化した鱷の姿。
* * *
「バリバリ…!」
バングレイの六つの目が、初めて見開かれた。
俺はゴリラの拳を握りしめる。拳が、ギチギチと音を立てる。力が漲る。野性の本能が、全身を駆け巡る。
「バングレイ」
「バリカユ〜。形態を変えたところで」
「うるさい」
俺は地を蹴った。ゴリラの脚力は、イーグルの比じゃない。一瞬でバングレイの間合いに入る。
拳を振り抜く。
ドガアアアッ!
バングレイがバリブレイドで受け止める。だが、今度は違う。バングレイの足が後ろに滑った。俺の拳の威力に、押されたのだ。
「バリッ…!?」
「押されてるぞ、バングレイ」
俺はもう一発、拳を叩き込む。バングレイがフックの義手で受け流す。だが、その腕が軋む音が聞こえる。
「シンジ!」
「…行くよ」
シンジのクロコダイルフォームが、バングレイの背後から迫る。野性解放した鱷の顎が、バングレイの脚に食らいつく。
「バリバリバリ!?」
「離さない」
シンジが噛みついたまま、バングレイの動きを封じる。鱷の顎は一度食らいついたら離れない。野性の本能だ。
俺はその隙に、拳を振り上げる。
「終わりだ!」
バングレイの頭部に向けて、全力の拳を叩き込む。
ドゴオオオン!
バングレイの巨体が後方へ吹き飛んだ。木々をなぎ倒し、地面を削りながら森の奥へ消えていく。
「…はぁ」
俺は拳を下ろした。ゴリラの腕が微かに震えている。力を使い切った感覚。だが、まだ倒れていない。
バングレイは、立ち上がった。
「バリカユ〜。やるじゃねェか」
六つの目が、まだ光っている。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア