サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
俺の拳がバングレイの腹部を捉えた。
ドガアッ!
ゴリラの拳が、バングレイの青い体を凹ませる。衝撃波が森を薙ぎ払す。木々がへし折れ、地面が裂ける。
「バリッ…!」
バングレイが呻く。だが俺は止まらない。
もう一発。右拳。左拳。右拳。連続で叩き込む。ゴリラの腕は、一撃一撃が砲弾だ。当たるたびにバングレイの巨体が揺れる。
「シンジ!」
「…うん!」
シンジのクロコダイルフォームが、バングレイの右側から突っ込む。野性解放した鱷の爪が、バングレイの義足を砕くように叩きつける。
ズガアッ!
バングレイが体勢を崩す。俺はその隙を見逃さない。ゴリラの拳を振り上げ、バングレイの顎を下から殴り上げる。
ドゴオン!
バングレイの頭が仰け反る。六つの目が空中を彷徨う。
「今だ! シンジ、もう一発!」
「…行く!」
シンジがバングレイの背後に回り込む。鱷の顎がバングレイの背中に食らいつく。同時に俺が正面から拳を叩き込む。
前と後ろ。同時攻撃。
ドガガガッ!
三連撃。四連撃。五連撃。
俺の拳が、バングレイの体を殴り続ける。ゴリラの力は、イーグルの比じゃない。一撃ごとに衝撃波が走り、地面が砕け、木々がなぎ倒される。
シンジの爪が、バングレイの背中を引き裂く。青い体液が飛び散る。だがバングレイは倒れない。
(硬い。やっぱり硬い)
だが押している。確かに押している。俺とシンジの連携攻撃に、バングレイは防戦一方だ。
「バリバリ…バリカユ〜…」
バングレイが呻く。六つの目が、俺とシンジを交互に見ている。
「バリカユ〜。なんだか、面倒になってきたなぁ」
その言葉が、俺の背筋を凍らせた。
面倒になった?
撤退するのか。いや。バングレイの目が、変わった。六つの目が、一斉に俺を凝視している。
「王様。お前さんの記憶、ちょっと拝見といこうか」
「何?」
バングレイの右手が、伸びた。
速い。速すぎる。俺の反応が間に合わない。
ゴリラフォームは、イーグルほどの速度はない。回避が遅れる。
バングレイの手が、俺の頭を掴んだ。
「っ……!」
頭が、焼ける。
熱い。頭の中が熱い。記憶が、引きずり出される感覚。脳の奥に指が突っ込まれて、無理やり掻き回されているような。
(何を、されてる)
記憶が、流れる。
駒王学園での日々。リアス・グレモリーとの出会い。アザゼルとの会話。デスガリアンとの戦い。ジューマンたちとの出会い。
そして。
ある記憶が、バングレイの手に引っかかった。
(いや。まさか)
俺の脳裏に、あの光景が蘇る。
堕天使。コカビエル。
かつて駒王学園を襲った堕天使。三大勢力の会談を血で染めようとした狂人。俺たちが、駒王学園の仲間たちと共に戦った相手。
その記憶を、バングレイが掴んだ。
「バリバリ。なるほどねェ。お前さん、堕天使とやり合ったことがあるのか」
「離せ!」
俺はバングレイの手を振りほどこうとした。だがゴリラフォームの力でも、バングレイの握力には勝てない。
「面白い記憶だ。バリカユ〜。こいつァ使える」
バングレイの六つの目が、笑った。
「お前さんの記憶から、実体化させてやるよ」
「なっ……!?」
バングレイの右手から、光が溢れた。
俺の頭を掴んだ手から流れ出す光が、空中に形を成していく。翼。黒い翼。堕天使の翼。長い黒髪。冷酷な瞳。見覚えのある姿。
コカビエル。
かつての記憶から、実体化した堕天使が、そこにいた。
「嘘だろ…」
コカビエルが、俺を見ている。あの時と同じ目だ。冷酷で、傲慢で、全てを見下す堕天使の目。
「バリバリ。どうだ、王様。懐かしい顔だろ?」
「お前、何をした」
「言ったろ。俺様は記憶を読める。右手で触れた相手の記憶を読み取り、それを現実に引きずり出す。バリカユ〜」
バングレイが俺の頭から手を離した。俺は後退する。頭が痛い。記憶を無理やり引き抜かれた感覚が残っている。
コカビエルが、空中に浮いている。黒い翼を広げ、俺たちを見下ろしている。だがその表情は、どこか虚ろだ。記憶から実体化された存在特有の、生気のなさがある。
「だが、こいつァまだ足りねェな。バリバリ」
バングレイが懐から、銀色の円盤を取り出した。
コンティニューメダル。
「このメダルを食わせりゃ、記憶から実体化した野郎でも、立派に戦えるってもんだ」
「やめろ!」
俺が叫んだ時には、もう遅かった。
バングレイがメダルを空中に放り投げる。メダルがコカビエルの胸に吸い込まれていく。
瞬間、光が爆発した。
* * *
コカビエルが、巨大化した。
メダルの光がコカビエルの身体を包み込み、膨れ上がらせる。数十メートルの巨体へ。黒い翼が空を覆う。堕天使の光が森を焼き払う。
ドドドドドッ!
地面が揺れる。コカビエルの巨体が空に浮いている。その影が、森全体を飲み込んでいく。
「バリカユ〜。でかくなったなァ」
バングレイが満足そうに笑う。
「じゃあな、王様。こいつの相手はお前らに任せるぜ」
「待て!」
「バリカユ〜。待つわけねェだろ。俺様は忙しいんだ」
バングレイの体が、光に包まれた。
「また会おうぜ。ジュウオウジャー。バリバリ!」
光が弾けた。
バングレイの姿が消える。瞬間移動だ。森の中に、バングレイの気配が消えた。
残されたのは。
巨大化したコカビエル。
記憶から引きずり出された堕天使が、メダルの力で巨大化し、空に浮いている。
「太郎さん!」
ユキカゼが駆け寄ってきた。他の仲間たちも集まってくる。
「あれは…何でござるか」
「コカビエルだ」
俺は言った。声が低くなる。
「俺の記憶から、バングレイが実体化させた」
「記憶から…?」
ユキカゼが目を見開く。
「あいつの手で俺の頭を掴まれた。そこから記憶を読み取って、コカビエルを実体化させたんだ」
「そんな能力が…」
「あるんだ。あいつには」
俺は巨大化したコカビエルを見上げた。黒い翼が空を覆い、堕天使の光が地上を照らしている。
「それにメダルを食わせた。巨大化させるために」
「つまり、あれを倒さないと」
「ああ」
俺は頷いた。
「バングレイは消えた。追うのは後だ。今はあれを何とかしないと、この森どころか故郷まで壊される」
コカビエルの光弾が、森の端を焼き払った。木々が炎上する。
放置できない。
俺は仲間たちを見回した。
「全員聞け。バングレイは一旦退いた。だがあいつを追うのは後だ。今は目の前のコカビエルを優先する」
「分かったでござる!」
ユキカゼ。
「あれを倒せばいいんでしょ」
レオーネ。
「時間がない。早く」
マンモスマン。
「おォ! デカい奴は得意分野だァ!」
ガーフィール。
「はいはい。巨大戦ね。やったことあるけど」
レイス。
「…やるしかない」
シンジ。
全員が頷いた。
俺は巨大化したコカビエルを見上げた。
(記憶から引きずり出された偽物だとしても)
あのコカビエルの力は本物だ。メダルで巨大化していれば、その威力は計り知れない。
だが。
「俺は王になる男だ」
俺はチェンジャーに手をかけた。
「偽物だろうが記憶だろうが、俺の国を脅かすなら倒すだけだ」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア