※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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記憶の海より引き揚げし者

俺の拳がバングレイの腹部を捉えた。

 

ドガアッ!

 

ゴリラの拳が、バングレイの青い体を凹ませる。衝撃波が森を薙ぎ払す。木々がへし折れ、地面が裂ける。

 

「バリッ…!」

 

バングレイが呻く。だが俺は止まらない。

 

もう一発。右拳。左拳。右拳。連続で叩き込む。ゴリラの腕は、一撃一撃が砲弾だ。当たるたびにバングレイの巨体が揺れる。

 

「シンジ!」

 

「…うん!」

 

シンジのクロコダイルフォームが、バングレイの右側から突っ込む。野性解放した鱷の爪が、バングレイの義足を砕くように叩きつける。

 

ズガアッ!

 

バングレイが体勢を崩す。俺はその隙を見逃さない。ゴリラの拳を振り上げ、バングレイの顎を下から殴り上げる。

 

ドゴオン!

 

バングレイの頭が仰け反る。六つの目が空中を彷徨う。

 

「今だ! シンジ、もう一発!」

 

「…行く!」

 

シンジがバングレイの背後に回り込む。鱷の顎がバングレイの背中に食らいつく。同時に俺が正面から拳を叩き込む。

 

前と後ろ。同時攻撃。

 

ドガガガッ!

 

三連撃。四連撃。五連撃。

 

俺の拳が、バングレイの体を殴り続ける。ゴリラの力は、イーグルの比じゃない。一撃ごとに衝撃波が走り、地面が砕け、木々がなぎ倒される。

 

シンジの爪が、バングレイの背中を引き裂く。青い体液が飛び散る。だがバングレイは倒れない。

 

(硬い。やっぱり硬い)

 

だが押している。確かに押している。俺とシンジの連携攻撃に、バングレイは防戦一方だ。

 

「バリバリ…バリカユ〜…」

 

バングレイが呻く。六つの目が、俺とシンジを交互に見ている。

 

「バリカユ〜。なんだか、面倒になってきたなぁ」

 

その言葉が、俺の背筋を凍らせた。

 

面倒になった?

 

撤退するのか。いや。バングレイの目が、変わった。六つの目が、一斉に俺を凝視している。

 

「王様。お前さんの記憶、ちょっと拝見といこうか」

 

「何?」

 

バングレイの右手が、伸びた。

 

速い。速すぎる。俺の反応が間に合わない。

 

ゴリラフォームは、イーグルほどの速度はない。回避が遅れる。

 

バングレイの手が、俺の頭を掴んだ。

 

「っ……!」

 

頭が、焼ける。

 

熱い。頭の中が熱い。記憶が、引きずり出される感覚。脳の奥に指が突っ込まれて、無理やり掻き回されているような。

 

(何を、されてる)

 

記憶が、流れる。

 

駒王学園での日々。リアス・グレモリーとの出会い。アザゼルとの会話。デスガリアンとの戦い。ジューマンたちとの出会い。

 

そして。

 

ある記憶が、バングレイの手に引っかかった。

 

(いや。まさか)

 

俺の脳裏に、あの光景が蘇る。

 

堕天使。コカビエル。

 

かつて駒王学園を襲った堕天使。三大勢力の会談を血で染めようとした狂人。俺たちが、駒王学園の仲間たちと共に戦った相手。

 

その記憶を、バングレイが掴んだ。

 

「バリバリ。なるほどねェ。お前さん、堕天使とやり合ったことがあるのか」

 

「離せ!」

 

俺はバングレイの手を振りほどこうとした。だがゴリラフォームの力でも、バングレイの握力には勝てない。

 

「面白い記憶だ。バリカユ〜。こいつァ使える」

 

バングレイの六つの目が、笑った。

 

「お前さんの記憶から、実体化させてやるよ」

 

「なっ……!?」

 

バングレイの右手から、光が溢れた。

 

俺の頭を掴んだ手から流れ出す光が、空中に形を成していく。翼。黒い翼。堕天使の翼。長い黒髪。冷酷な瞳。見覚えのある姿。

 

コカビエル。

 

かつての記憶から、実体化した堕天使が、そこにいた。

 

「嘘だろ…」

 

コカビエルが、俺を見ている。あの時と同じ目だ。冷酷で、傲慢で、全てを見下す堕天使の目。

 

「バリバリ。どうだ、王様。懐かしい顔だろ?」

 

「お前、何をした」

 

「言ったろ。俺様は記憶を読める。右手で触れた相手の記憶を読み取り、それを現実に引きずり出す。バリカユ〜」

 

バングレイが俺の頭から手を離した。俺は後退する。頭が痛い。記憶を無理やり引き抜かれた感覚が残っている。

 

コカビエルが、空中に浮いている。黒い翼を広げ、俺たちを見下ろしている。だがその表情は、どこか虚ろだ。記憶から実体化された存在特有の、生気のなさがある。

 

「だが、こいつァまだ足りねェな。バリバリ」

 

バングレイが懐から、銀色の円盤を取り出した。

 

コンティニューメダル。

 

「このメダルを食わせりゃ、記憶から実体化した野郎でも、立派に戦えるってもんだ」

 

「やめろ!」

 

俺が叫んだ時には、もう遅かった。

 

バングレイがメダルを空中に放り投げる。メダルがコカビエルの胸に吸い込まれていく。

 

瞬間、光が爆発した。

 

*  *  *

 

コカビエルが、巨大化した。

 

メダルの光がコカビエルの身体を包み込み、膨れ上がらせる。数十メートルの巨体へ。黒い翼が空を覆う。堕天使の光が森を焼き払う。

 

ドドドドドッ!

 

地面が揺れる。コカビエルの巨体が空に浮いている。その影が、森全体を飲み込んでいく。

 

「バリカユ〜。でかくなったなァ」

 

バングレイが満足そうに笑う。

 

「じゃあな、王様。こいつの相手はお前らに任せるぜ」

 

「待て!」

 

「バリカユ〜。待つわけねェだろ。俺様は忙しいんだ」

 

バングレイの体が、光に包まれた。

 

「また会おうぜ。ジュウオウジャー。バリバリ!」

 

光が弾けた。

 

バングレイの姿が消える。瞬間移動だ。森の中に、バングレイの気配が消えた。

 

残されたのは。

 

巨大化したコカビエル。

 

記憶から引きずり出された堕天使が、メダルの力で巨大化し、空に浮いている。

 

「太郎さん!」

 

ユキカゼが駆け寄ってきた。他の仲間たちも集まってくる。

 

「あれは…何でござるか」

 

「コカビエルだ」

 

俺は言った。声が低くなる。

 

「俺の記憶から、バングレイが実体化させた」

 

「記憶から…?」

 

ユキカゼが目を見開く。

 

「あいつの手で俺の頭を掴まれた。そこから記憶を読み取って、コカビエルを実体化させたんだ」

 

「そんな能力が…」

 

「あるんだ。あいつには」

 

俺は巨大化したコカビエルを見上げた。黒い翼が空を覆い、堕天使の光が地上を照らしている。

 

「それにメダルを食わせた。巨大化させるために」

 

「つまり、あれを倒さないと」

 

「ああ」

 

俺は頷いた。

 

「バングレイは消えた。追うのは後だ。今はあれを何とかしないと、この森どころか故郷まで壊される」

 

コカビエルの光弾が、森の端を焼き払った。木々が炎上する。

 

放置できない。

 

俺は仲間たちを見回した。

 

「全員聞け。バングレイは一旦退いた。だがあいつを追うのは後だ。今は目の前のコカビエルを優先する」

 

「分かったでござる!」

 

ユキカゼ。

 

「あれを倒せばいいんでしょ」

 

レオーネ。

 

「時間がない。早く」

 

マンモスマン。

 

「おォ! デカい奴は得意分野だァ!」

 

ガーフィール。

 

「はいはい。巨大戦ね。やったことあるけど」

 

レイス。

 

「…やるしかない」

 

シンジ。

 

全員が頷いた。

 

俺は巨大化したコカビエルを見上げた。

 

(記憶から引きずり出された偽物だとしても)

 

あのコカビエルの力は本物だ。メダルで巨大化していれば、その威力は計り知れない。

 

だが。

 

「俺は王になる男だ」

 

俺はチェンジャーに手をかけた。

 

「偽物だろうが記憶だろうが、俺の国を脅かすなら倒すだけだ」

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
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