※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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紫霧の果てに立つ屋敷

歩いた。

 

どのくらい歩いただろう。森の中を。紫の霧の中を。黒歌の背中を追って。

 

「おい、まだか」

 

「まだよ」

 

「もう三十分は歩いてるぞ」

 

「冥界の三十分なんてあっという間でしょ」

 

「人間の三十分は長いんだよ」

 

「じゃあ猫の三十分はもっと長いわよ。気まぐれに歩くから」

 

「気まぐれに歩くな。案内役だろ」

 

「案内してるわよ。ただ気まぐれに」

 

「気まぐれはいらん」

 

黒歌はくすくす笑いながら歩く。着物の袖が揺れる。黒髪が背中を流れる。歩く姿すら猫だ。しなやかで、音がない。

 

俺の後ろで全員が警戒しながらついてきている。ユキカゼの耳が絶えず動いている。エレンの尻尾がピンと張られたまま。レオーネが周囲を constantly 索敵している。マンモスマンの鼻が休むことなく動いている。ガーフィールが牙を隠さない。レイスが翼を少し広げたまま歩いている。絶花が刀に手を添えたまま。シンジが一番後ろで、でもついてきている。

 

「黒歌」

 

「何?」

 

「そろそろ目的地を教えろ。俺の家臣が疲れてる」

 

「家臣? あの子たちのこと?」

 

黒歌が振り返った。半分だけ。肩越しに。黄色い目が俺たち一行をゆっくりと眺める。

 

「変わった人間たちね。耳の生えた子もいれば、尻尾の子もいるし。巨大なのもいるし小さいのもいるし」

 

「仲間だ」

 

「仲間。そういうことにしておきましょうか」

 

「そういうことにしておくじゃない。仲間だ」

 

「ふふ。仲間ね。王様の仲間。そういうことにするわ」

 

「お前は俺の仲間を気に入ってないのか」

 

「別に。興味があるだけよ」

 

黒歌の目がユキカゼに止まった。

 

「その子。狐の子。可愛いわね」

 

「…ありがとうでござる」

 

ユキカゼが少しだけ俯いた。褒められ慣れていない。尻尾が微かに揺れる。

 

「耳がぴくぴくして可愛い。撫でていい?」

 

「撫でないでござる!」

 

「つれないわねえ」

 

「太郎さん以外に耳を撫でさせる気はないでござる!」

 

俺かよ。まあいい。

 

黒歌は次にマンモスマンを見た。見上げた。かなり上を。

 

「この子は…大きいわね」

 

「マンモスマンだ」

 

「マンモス。なるほどね。鼻が長い」

 

「触るな」

 

マンモスマンが低く言った。

 

「触ってないわよ。まだ」

 

「触るなと言った。オレの鼻は触らせる相手を選ぶ」

 

「選ぶの? 誰ならいいの?」

 

「ボスだけだ」

 

俺を指差した。いや、お前の鼻を触った記憶はないが。

 

「じゃあ王様に触らせてもらえばいいわね」

 

「ボスが触る理由がない」

 

「ないわね。確かに」

 

黒歌はくすくす笑った。笑いながら歩く。

 

*  *  *

 

「で、何なんだよ」

 

俺は耐えきれずに聞いた。

 

「何が?」

 

「俺たちを呼んだ理由だ。冥界に来いと言った。案内すると言った。だが理由をまだ言ってない」

 

「言ったでしょ。ついて来れば分かるって」

 

「ついて来た。まだ分からない」

 

「もう少しなの」

 

「もう少しってどのくらいだ」

 

「もう少しのもう少し」

 

「意味不明だ」

 

「意味はあるわよ。ただまだ言えないだけ」

 

「なぜ言えない」

 

「私にも事情があるの。事情っていうのは、簡単に説明できないものなのよ」

 

黒歌の声が少しだけ変わった。ふざけた調子が薄くなり、

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
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