※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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霧の中の答え

ジュウオウワイルドを解除した。

 

三体のキューブが光の粒子となって消える。操縦席の感覚が途切れ、身体が元のサイズに戻る錯覚。地面の苔が足裏に伝わる。柔らかい。だが膝が笑っていた。ワイルドキャノンビームの反動がまだ残っている。

 

「太郎さん大丈夫でござるか」

 

ユキカゼが駆け寄ってきた。尻尾が心配そうに揺れている。

 

「大丈夫だ。膝が少し笑ってるだけだ」

 

「それは大丈夫じゃないでござる。無理しすぎでござるよ」

 

「王が膝を笑わせてたら威厳がないな」

 

「威厳より身体でござる。後でユキカゼ特製のマッサージを」

 

「マッサージはいい。戦いの後のマッサージは危険だ」

 

「何が危険でござるか」

 

「何も。とにかく大丈夫だ」

 

俺は膝を叩いて立ち直った。マンモスマンが黙って俺の横に立つ。何も言わない。だがそこにいる。それだけで助かる。ガーフィールが横で欠伸をしている。

 

「大将、次は俺様の出番だったぜェ。惜しいことしたァ」

 

「お前が出てたら町が消えてた」

 

「ひどい言い方だァ!」

 

俺は仲間たちの様子を確認してから、黒歌の方を見た。

 

黒歌は動いていなかった。

 

怪物が消えた場所を見つめている。砕けたメダルの破片が、まだ空中に光の粒子として漂っている。それが完全に消えるまで見届けるように。

 

俺はゆっくりと黒歌に近づいた。

 

足音が苔の上でくぐもる。紫の空の下、静かだった。

 

「黒歌」

 

「何」

 

黒歌は振り返らなかった。まだ消えた場所を見ている。

 

「話がある」

 

「話なら山ほどあるわね。あなたが知りたいことは」

 

「一つだけ答えろ。なぜ俺たちをここへ導いた」

 

黒歌の肩が微かに動いた。笑ったのか。ため息をついたのか。分からない。

 

「理由なんて言ったでしょ。あなたの目で見る必要があったから」

 

「それだけじゃない。お前は俺たちがメダルを追っていることを知っていた。ジューマンの因子を使った研究が行われていたことも知っていた。全部繋がっていた。お前が俺たちをここへ来させたのは、偶然じゃない」

 

黒歌は振り返った。

 

黄色い目が俺を見ている。妖艶な笑みが浮かんでいる。だがその奥に、別の感情が見える。

 

「ふふ。鋭いのね」

 

「鋭くなくても分かる。お前は最初から全部知っていた。俺たちがここで何を見るかも。何に遭遇するかも」

 

「全部は知らなかったわよ。メダルが落ちてくるとは思わなかったし、あの子がまだ生きてるとも思わなかった」

 

黒歌の視線が一瞬だけ、怪物がいた場所に戻った。

 

「でも分かっていたことはある。あなたなら壊してくれるってこと」

 

「壊す?」

 

「この屋敷を。この研究の痕跡を。そして、苦しんでいるものを楽にしてくれるってこと」

 

黒歌の声が低くなった。ふざけた調子が消える。

 

「私にはできなかったことよ。あの子を楽にすること。私はあの子と同じ猫だった。同じ主に仕えていた。でも私は何もできなかった。ただ見ていただけ」

 

「だから俺にやらせたのか」

 

「あなたにやらせたんじゃない。あなたがやると思っただけ」

 

黒歌は微かに笑った。

 

「別に大したことじゃないわにゃ。ただ、太郎ならば壊してくれる。そう思っただけにゃ」

 

にゃ。その語尾が不自然だった。いつもの猫又の調子じゃない。無理に元に戻そうとしている。

 

「俺の名前を知ってるのか」

 

俺は問うた。

 

「さっきから呼んでるじゃない」

 

「そうじゃない。お前は俺のことをよく知っている口ぶりだ。俺が何を壊すか分かっていただろ。俺がメダルを追っていることも。ジューマンの力も。王になるってことも。全部知ってた」

 

黒歌の目が細くなった。黙っている。

 

「お前は誰だ。ただの猫又じゃないだろ。俺のことを知っている何かだ」

 

「何かって何かしら」

 

「とぼけるな。答えろ。お前は俺のことをどこまで知っている」

 

黒歌は答えなかった。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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