サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
ジュウオウワイルドを解除した。
三体のキューブが光の粒子となって消える。操縦席の感覚が途切れ、身体が元のサイズに戻る錯覚。地面の苔が足裏に伝わる。柔らかい。だが膝が笑っていた。ワイルドキャノンビームの反動がまだ残っている。
「太郎さん大丈夫でござるか」
ユキカゼが駆け寄ってきた。尻尾が心配そうに揺れている。
「大丈夫だ。膝が少し笑ってるだけだ」
「それは大丈夫じゃないでござる。無理しすぎでござるよ」
「王が膝を笑わせてたら威厳がないな」
「威厳より身体でござる。後でユキカゼ特製のマッサージを」
「マッサージはいい。戦いの後のマッサージは危険だ」
「何が危険でござるか」
「何も。とにかく大丈夫だ」
俺は膝を叩いて立ち直った。マンモスマンが黙って俺の横に立つ。何も言わない。だがそこにいる。それだけで助かる。ガーフィールが横で欠伸をしている。
「大将、次は俺様の出番だったぜェ。惜しいことしたァ」
「お前が出てたら町が消えてた」
「ひどい言い方だァ!」
俺は仲間たちの様子を確認してから、黒歌の方を見た。
黒歌は動いていなかった。
怪物が消えた場所を見つめている。砕けたメダルの破片が、まだ空中に光の粒子として漂っている。それが完全に消えるまで見届けるように。
俺はゆっくりと黒歌に近づいた。
足音が苔の上でくぐもる。紫の空の下、静かだった。
「黒歌」
「何」
黒歌は振り返らなかった。まだ消えた場所を見ている。
「話がある」
「話なら山ほどあるわね。あなたが知りたいことは」
「一つだけ答えろ。なぜ俺たちをここへ導いた」
黒歌の肩が微かに動いた。笑ったのか。ため息をついたのか。分からない。
「理由なんて言ったでしょ。あなたの目で見る必要があったから」
「それだけじゃない。お前は俺たちがメダルを追っていることを知っていた。ジューマンの因子を使った研究が行われていたことも知っていた。全部繋がっていた。お前が俺たちをここへ来させたのは、偶然じゃない」
黒歌は振り返った。
黄色い目が俺を見ている。妖艶な笑みが浮かんでいる。だがその奥に、別の感情が見える。
「ふふ。鋭いのね」
「鋭くなくても分かる。お前は最初から全部知っていた。俺たちがここで何を見るかも。何に遭遇するかも」
「全部は知らなかったわよ。メダルが落ちてくるとは思わなかったし、あの子がまだ生きてるとも思わなかった」
黒歌の視線が一瞬だけ、怪物がいた場所に戻った。
「でも分かっていたことはある。あなたなら壊してくれるってこと」
「壊す?」
「この屋敷を。この研究の痕跡を。そして、苦しんでいるものを楽にしてくれるってこと」
黒歌の声が低くなった。ふざけた調子が消える。
「私にはできなかったことよ。あの子を楽にすること。私はあの子と同じ猫だった。同じ主に仕えていた。でも私は何もできなかった。ただ見ていただけ」
「だから俺にやらせたのか」
「あなたにやらせたんじゃない。あなたがやると思っただけ」
黒歌は微かに笑った。
「別に大したことじゃないわにゃ。ただ、太郎ならば壊してくれる。そう思っただけにゃ」
にゃ。その語尾が不自然だった。いつもの猫又の調子じゃない。無理に元に戻そうとしている。
「俺の名前を知ってるのか」
俺は問うた。
「さっきから呼んでるじゃない」
「そうじゃない。お前は俺のことをよく知っている口ぶりだ。俺が何を壊すか分かっていただろ。俺がメダルを追っていることも。ジューマンの力も。王になるってことも。全部知ってた」
黒歌の目が細くなった。黙っている。
「お前は誰だ。ただの猫又じゃないだろ。俺のことを知っている何かだ」
「何かって何かしら」
「とぼけるな。答えろ。お前は俺のことをどこまで知っている」
黒歌は答えなかった。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア