※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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暗殺と新たな力

俺は扇風機の前で仰向けに寝転がっていた。エアコンはまだ修理中だ。窓の外からは夏の終わりを感じさせる蝉の声が響いている。この部屋は暑すぎる。汗が背中を伝い落ちる。

 

「主様ぁ~、お茶をお持ちしたでござるよ~」

 

ユキカゼの明るい声が聞こえ、冷たい麦茶の入ったグラスが目の前に差し出された。狐耳がぴょこんと動く。

 

「おう、ありがとな」

 

一口飲むと、喉の渇きが癒される。ユキカゼは俺の隣に座り、肩を寄せてきた。彼女の体温が伝わってくる。

 

「主様ぁ……最近、変な輩がうろついているでござるよ?」

 

ユキカゼが突然言い出した。彼女の表情は真剣だ。

 

「変な輩?」

 

「うむ。主様を狙っている連中でござる。名前は……ディオドラ・アスタロトとかいう奴でござる」

 

ユキカゼの耳がピクリと動く。彼女の情報収集能力は侮れない。狐の耳は人間よりも遥かに敏感で、遠くの音も聞き取れるらしい。

 

「ほう……ディオドラ・アスタロトか。聞いたことあるな」

 

俺は天井を見上げながら考えた。確かどこかの貴族の末裔だったはずだ。噂ではかなりの権力を持っていると聞く。

 

「そのディオドラ・アスタロトは主様を暗殺しようとしているのでござる」

 

ユキカゼの言葉に、俺は思わず笑った。

 

「暗殺?冗談だろう?」

 

「冗談ではないでござるよ!拙者の情報網を舐めないでほしいでござる!」

 

ユキカゼが怒ったように尻尾をパタパタさせる。彼女の尻尾は水に濡れると一層艶やかになるが、今は乾いている。それでも十分に美しい。

 

「分かった、分かった。じゃあ、詳しく聞かせてくれ」

 

俺は体を起こし、ユキカゼに向き直った。彼女は嬉しそうに頷き、情報を話し始めた。

 

「ディオドラ・アスタロトは主様のことを何か恨みがある様子だったでござる?ただ、調べている限りでは外見とは裏腹に、ディオドラは聖女やシスターなど信心深い女性を誘惑して墮とすことを嗜好とする最低最悪の外道で、かつてアーシア殿が教会から追放されるきっかけをつくった張本人だと分かりました!」

 

「・・・なるほど、あの1件か」

 

それと共に、俺はあの1件に大きく関わりがある事を理解した。

 

同時に、俺は思考を巡らせる。

 

「ユキカゼ」

 

「はいっ!」

 

「レキとナンジャモを呼んでくれ」

 

「ほぅ、それはつまり」

 

「暗殺には暗殺を。そして、世論が味方をつける前に情報の拡散を」

 

「お任せをっ!!」

 

ユキカゼの言葉に俺は頷く。彼女は即座に部屋を飛び出していった。

 

「さて・・・どう料理してやろうか」

 

俺は再び仰向けに寝転がり、天井を見つめた。頭の中では既に様々な策が巡り始めていた。

 

暗殺計画の詳細はユキカゼがもたらした情報でほぼ明らかになっている。ディオドラ・アスタロトは深夜二時に高校の裏門近くで俺を襲撃するつもりらしい。単独ではなく複数の刺客を雇い、周到に準備をしているとのことだ。

 

「まずは襲撃者を排除しなければな」

 

俺は天井のシミを見つめながら呟いた。俺自身に戦闘能力はない。だが、だからといって何もできないわけではない。頭脳を使えばいくらでも対処できる。

 

しばらくして、レキとナンジャモが現れた。レキは無表情で銃を肩にかけている。ナンジャモは相変わらず派手な服装で、スマホを片手に持っていた。

 

「主様ぁ~、お呼びでござるか?」

 

ユキカゼが二人を連れて戻ってきた。彼女の狐耳が嬉しそうに揺れている。

 

「ああ。敵が来たようだ」

 

俺は二人に向かって言った。レキとナンジャモは無言で頷く。

 

「それで、どうするつもりでござるか?」

 

ユキカゼが尋ねる。俺は天井を見つめたまま答えた。

 

「ディオドラ・アスタロトの計画を潰す。それと同時に、奴の悪事を世間に知らしめる」

 

「なるほど!」

 

ユキカゼが納得したように頷いた。レキとナンジャモも小さく頷く。

 

「では早速始めるとするか」

 

俺は体を起こし、三人に指示を出した。

 

「レキ、お前は狙撃ポイントに移動しろ。ディオドラ・アスタロトが高校の裏門に近づいたら撃て」

 

「了解」

 

レキが短く答える。彼女の瞳は冷静だ。

 

「ナンジャモ、お前はネットでディオドラ・アスタロトの悪事を拡散しろ。証拠写真と動画は既に入手している。ついでにあいつと繋がってそうな奴も徹底的にな!」

 

「ニッシッシッ!了解でござる!」

 

ナンジャモがスマホを操作し始める。彼女の指先は驚くほど速い。

 

「ユキカゼ、お前は現地で情報を集めろ。もしディオドラ・アスタロトが予定より早く動いたら知らせてくれ」

 

「お任せでござる!」

 

ユキカゼが胸を張る。彼女の狐耳がピンと立った。

 

「よし、各自準備に取り掛かれ」

 

俺の言葉に三人が動き出した。レキは無言で窓から飛び出し、ナンジャモはスマホで何かを打ち込み始める。ユキカゼは廊下を駆け出していった。

 

俺は再び仰向けに寝転がり、天井を見つめた。暗殺計画は事前に潰されるだろう。レキの狙撃は完璧だ。だが問題はその後だ。ディオドラ・アスタロトの背後には何がいるのか?テロ組織「禍の団」とは何者なのか?

 

「太郎」

 

不意に声が聞こえた。俺は目を開けた。そこにはレキが立っていた。彼女は無表情のまま、俺を見下ろしている。

 

「どうした?」

 

「ターゲット確認。移動開始」

 

レキが報告する。彼女の声は感情がない。まるで機械のようだ。

 

「了解。予定通りに」

 

俺は短く答えた。レキは小さく頷き、再び窓から出ていった。

 

時計を見ると、午後10時を回っていた。暗殺計画の実行まであと4時間ほどある。俺はゆっくりと立ち上がり、窓の外を見た。月が雲に隠れ、暗い夜空が広がっている。

 

「さて、これからどうなることやら」

 

俺は独り言を呟いた。頭の中では既に次の策が巡り始めていた。

 

深夜2時。

 

俺はベッドに横たわりながら、耳を澄ませていた。遠くから銃声が聞こえる。レキの狙撃が始まったようだ。同時にスマホが鳴り、ナンジャモからメッセージが届いた。

 

「暗殺計画失敗!証拠画像アップロード完了!」

 

メッセージと共に送られてきた画像には、血だらけで倒れているディオドラ・アスタロトの姿が写っていた。顔面を狙撃され、原型を留めていない。

 

「流石はレキだな」

 

俺はニヤリと笑った。これで暗殺計画は完全に潰れた。同時にディオドラ・アスタロトの悪事が世間に知れ渡る。

 

スマホが再び鳴り、ナンジャモから新たなメッセージが届いた。

 

「テロ組織『禍の団』の情報も拡散完了!これで奴らも終わりでござる!」

 

メッセージと共に送られてきた動画には、ディオドラ・アスタロトがテロ組織と密会している様子が映っていた。さらにナンジャモは奴が所属するテロ組織の名前や構成員の情報までも流出させた。

 

「完璧だ」

 

俺はベッドから起き上がり、窓の外を見た。月が雲から出てきたのか、辺りが明るくなっている。

 

翌朝。

 

俺は新聞を広げていた。トップニュースは当然ながら昨夜の事件だ。ディオドラ・アスタロトの死と、彼が所属していたテロ組織「禍の団」の情報が詳細に報じられている。

 

「主様ぁ~!」

 

ユキカゼが勢いよく部屋に入ってきた。彼女の狐耳が嬉しそうに揺れている。

 

「どうした?」

 

「見てくださいでござる!」

 

ユキカゼがテレビのリモコンを操作し、ニュース番組をつける。画面には「テロ組織『禍の団』の裏の繋がり?」というテロップが表示されていた。

 

冥界で流れている事もあり、かなりヤバそうだな。

 

「どうやらナンジャモの情報拡散が効いたみたいでござるな!」

 

ユキカゼが興奮気味に言う。確かにテレビではディオドラ・アスタロトの死と、それに伴うテロ組織の弱体化が報じられている。しかもナンジャモの情報拡散によって、冥界上層部とテロ組織の繋がりまで浮上しているらしい。

 

「なるほど……」

 

俺は新聞を畳みながら考えた。ナンジャモの情報操作能力は予想以上だ。彼女はSNSで瞬く間に情報を拡散し、世論を味方につけた。さらに裏で動いていた連中の正体まで暴いてしまった。

 

「主様ぁ~!これで我々の勝利でござるな!」

 

ユキカゼが俺の背中に飛びついてきた。彼女の体温が心地よい。

 

「まぁ、それは良いけど、結局、こいつの所属していた禍の団はなんだったんだろうか?」

 

「さぁ?」

 

暗殺騒動が一段落した後、俺の周囲は一変した。ディオドラ・アスタロトの死は冥界中に衝撃を与え、俺の名は一気に広まった。当初は単なる噂だったが、ナンジャモが仕掛けた情報戦が功を奏し、今や俺は冥界で最も注目される存在となっている。

 

「主様ぁ~!お客様でござるよ~!」

 

ユキカゼの声が聞こえ、俺は顔を上げた。彼女は部屋の入り口に立ち、尻尾を振りながら手招きしている。

 

「客?誰だ?」

 

「天使様でござる!天界からの使者だとか……」

 

天使?まさか本当に?俺は立ち上がり、客間へと向かった。

 

客間に入ると、そこには美しい女性が立っていた。純白の衣装に身を包み、背中には光り輝く翼がある。間違いなく天使だ。

 

「初めまして。私は天使長ミカエルの使者です」

 

天使は優雅に頭を下げた。彼女の声は澄んでいて、聞いているだけで心地よい。

 

「何の用だ?」

 

「我が主ミカエルから、あなたへの贈り物をお持ちしました」

 

天使は小さな箱を取り出した。中を開けると、そこには一組のトランプが入っていた。ただのトランプではない。カードの表面には神秘的な紋様が描かれている。

 

「これは……?」

 

「神の消失によって新しい眷属を生み出すことのできなくなった天使側が、「転生天使」を生み出すために発明した新制度として造られたトランプです」

 

天使は説明を続けた。どうやらこのトランプは、人間を天使に転生させるための道具らしい。だが、なぜそれを俺に?

 

「ミカエル様は、あなたの力を見込んでいます。このトランプを使い、冥界に新たな秩序をもたらしてください」

 

天使はそう言うと、一礼して消えていった。残されたのは俺とトランプだけ。

 

「主様ぁ~?何をもらったのでござるか?」

 

ユキカゼが覗き込んできた。彼女の狐耳がピクリと動く。

 

「天使からの贈り物だ。何でも『転生天使』を生み出すためのトランプらしい」

 

「へぇ~!すごいものもらいましたね!」

 

ユキカゼは目を輝かせている。だが俺は首を傾げた。なぜ天使が俺にこんなものを?しかもこのタイミングで……

 

俺はトランプを手に取り、一枚一枚確認していった。表面には複雑な紋様が描かれているが、それ以外に特別なところはない。ただのトランプだ。

 

「おかしいな……」

 

俺は呟いた。このトランプが本当に天使を生み出す力を持っているのなら、もっと何かがあるはずだ。例えば光ったり、声が聞こえたり……

 

その時、異変が起きた。トランプの表面が突然光り始めたのだ。そして紋様が変わり始め、新たな絵柄が現れた。

 

「こ……これは……!」

 

俺は息を飲んだ。トランプの絵柄が変わったのだ。

 

カードの枚数はAからKまで12枚であるのは変わらない。

 

「・・・まさか、共鳴した変化なのか」

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
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