サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「バングレイが狙っているのは冥界の巨獣…」
ユキカゼの推測を反芻しながら、俺はジュウオウキングのコックピットで腕を組む。冥界の巨獣。デスガリアンでさえ手に入れられなかった力。それをバングレイが追っている。
だが、ユキカゼのデータにはもう一つ気になる点があった。
「ユキカゼ、さっきのデータにもう一つ追加で確認してくれ。バングレイが地球で活動した記録はないか?」
「地球?なぜ?」
「あいつがここに来る前、どこにいたかだ。冥界の巨獣を狙うなら、冥界に近い場所から探すのが自然だろ。だがバングレイは地球を経由してる可能性がある」
ユキカゼが少し目を丸くした。柚葉はきょとんとしている。
「太郎、どうしてそう思うの?」
「勘だ」
即答すると、柚葉が「あー」と納得したようなしないような顔をした。ユキカゼは呆れつつも検索を再開する。
キリキリとデータが流れる。数十秒後、ユキカゼが顔を上げた。
「…あった。バングレイは地球で活動記録がある。期間は短いが、ある存在と接触している」
「ある存在?」
「キューブホエール」
その名前を聞いた瞬間、俺の背筋がピンと伸びた。
キューブホエール。鯨ジューマンの長、俺たちが一夏の冒険で出会った仲間の一人だ。巨大な体に立方体のような装甲を纏い、海を守る意思を持った大物。あいつと会うのは、あの夏以来になる。
「バングレイがキューブホエールに接触した…」
「接触の内容は不明だが、その直後にバングレイは地球を離れ、この世界へ来ている。時系列的に一致する」
「つまり、バングレイはキューブホエールから何かを聞き出したってことか」
俺は立ち上がった。ジュウオウキングの中でガタンと音がする。
「会いに行く」
「え?」
「キューブホエールに会いに行く。あいつならバングレイが何を聞き出したか知ってるかもしれない。それに…」
俺は少し言いよどむ。それに、あいつに会いたかった。夏が終わってからずっと。再会の約束を果たせないままだったから。
「それに、バングレイが地球で狙った巨獣ってのが、もしかしたら太郎の仲間なんじゃないの?」
柚葉が核を突くようなことを言う。俺は振り返る。
「どういう意味だ」
「冥界の巨獣ってさ、どこにいるか分かんないよね。でもバングレイが地球でキューブホエールに接触してから、こっちに来た。だとすれば、バングレイはキューブホエールから冥界の巨獣の情報を聞き出したってことじゃない?」
「…そうだな」
「で、もしキューブホエールがその情報を知ってたとしたら、キューブホエール自身が冥界の巨獣と何らかの関わりがあるってことになる。だよね?」
ユキカゼが柚葉の推論を補完する。
「キューブホエールは海の守護者。海はジューマンの世界において冥界に最も近い領域だ。何かを知っている可能性は高い」
「だとすれば、バングレイが狙っているのは…」
俺は言葉を継げられなかった。もしバングレイが冥界の巨獣を狙っていて、その情報がキューブホエール経由で得られたものだとすれば。バングレイが地球で狙った巨獣とは、キューブホエール自身、あるいはキューブホエールが守る何かの可能性がある。
「急ぐぞ」
俺はジュウオウキングの進路を地球に向けた。
「ユキカゼ、地球への転移座標を割り出してくれ。柚葉、お前はバングレイの痕跡が途絶えてないか監視を続けろ」
「了解」
「にひひっ、久しぶりの地球だねぇ。お土産買って帰れるかな」
「買ってる場合かよ」
ツッコミを返しながら、俺は操縦桿を握り直す。心臓が早鐘を打っていた。バングレイの狙いを突き止める。そして、キューブホエールに会う。両方が同時に進む。
ジュウオウキングが光に包まれ、世界を渡る。
◇
地球の海。あの夏と同じ、青く広がる海原が見えた。
「着いた」
だが、何かが違う。海が、静かすぎる。あの夏はもっと活気 hadatta。波の音、風の声、命の気配。今はそれが薄い。
「ユキカゼ、キューブホエールの位置は」
「探知中…」ユキカゼが目を閉じる。「…見つけた。南東120キロ、深度800。だが反応が弱い」
「弱い?」
「通常より活動レベルが低い。何かあった可能性がある」
俺は唇を噛む。バングレイが先に来ていたのか。だがまだ間に合うかもしれない。
「全速前進」
ジュウオウキングが海面を割って急降下する。気泡が渦を巻き、視界が青一色に染まる。深度が下がるにつれ、水圧が機体をギリギリと締め付ける音。
「深度400…600…800」
「いた」
視力強化が捉えたのは、海底に横たわる巨大な影。キューブホエールだ。だが、あの夏に見た雄大な姿とは明らかに違っていた。体の装甲の一部が砕け、全体の色がどこか白濁している。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア