サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
その日、俺はとある喫茶店へと来ていた。
最近のゲームで出た喫茶店の珈琲を見て、美味そうと思いここに来たわけだが・・・
「・・・・・・」
目の前に爺さんが座っていた。知り合いではない。間違いなく、初対面のはずだ。
「すまんのぅ、他の席が空いていないらしくて、相席をお願いしてな」
「そうか」
俺は簡潔に返事をした。だが内心では、この爺さんに警戒心を抱いていた。
(なんだコイツ? 見た目は普通の老人だが……)
爺さんはコーヒーをゆっくりと飲みながら、時折窓の外を眺めている。
その姿からは害意は感じられない。しかし、どこか違和感があった。
しばらく沈黙が続く。店内は静かで、ジャズが流れている。時折聞こえるカップの音が心地よい。
「ところで、君」
突然、爺さんが口を開いた。
「何だ?」
「お前さん、随分と面白い“力”を持っておるのう」
その言葉に、俺は一瞬息を飲んだ。
(気づいたのか……?)
この爺さん、ただの老人じゃない。俺の持つ“力”――神器“王国の駒”のことを察している。
「何のことだ?」
俺は平静を装って問い返す。だが内心では警戒心を高めていた。
「とぼけるな。お前さんの周りに漂う気配……あれは普通の人間にはないものじゃ」
爺さんはコーヒーを一口飲み、ニヤリと笑った。
「まあ良い。ワシは別にお前さんと戦いに来たわけではない」
「じゃあ何のために来たんだ?」
「お前さんの“王の素質”を確かめに来たのじゃよ」
その言葉に俺は眉をひそめた。
「王の素質? どういう意味だ?」
「そのままの意味じゃよ」
爺さんはそう言って、再びコーヒーを一口飲んだ。
その時だった――
突然、店内が静まり返った。
先ほどまで流れていたジャズが止まり、客たちの話し声も聞こえなくなる。
いや……違う。
「…あんたの仕業か」
俺は目の前の爺さんを睨みつけた。
「ふむ……やはり気づいたか」
爺さんはニヤリと笑う。
「ワシの名はオーディン。アースガルズの前主神じゃ」
その言葉に、俺は思わず息を飲んだ。
オーディン――北欧神話の最高神。隻眼の老人で、「グングニル」という強力な槍を持つ。
そして何より、女好きで有名な神だ。
「さて……太郎」
オーディンは俺の名を呼んだ。
「お前さんは“王”となる素質があるのか? それともただの“駒”に過ぎないのか?」
その言葉と共に、オーディンの左眼に埋め込まれた水晶が微かに光った。
俺は無意識に拳を握りしめていた。
この爺さん……一体何を考えているんだ?
「王の素質ねえ」
そうしながら、俺は冷静に珈琲を飲みながら。
「どの王のだ?」
「ほぅ?」
俺から反対に質問されて、オーディンは笑みを浮かべる。
「例えば、武力に優れている王もいる。知力で優れている王がいる。様々な王の資質がある。俺は自分自身で戦闘能力は全然ないと自覚している。俺の部下が優秀だからだ。この意味が分かるか?」
「ほう?」
「自分自身に価値は無い。あるのは、民草の幸福の為に。それ以外の価値観はない」
「それでは、主君がいなくなれば瓦解する組織となるではないか?」
オーディンの言葉に俺は笑みを浮かべる。
「王様という役割はいるかもしれないが、その役割が回るのであればいいのではないか?」
「それは……」
「俺は王様という立場に魅力を感じない。王様というのはあくまでも役割であり、民草に支えられる存在だ。それが分かっていれば王様という立場には意味がない」
その言葉にオーディンは笑みを浮かべる。
「なるほど。お前さんは面白いな」
そう言いながら、オーディンは珈琲を飲み干す。
「じゃあ試してみるか」
「試す?」
「お前さんの王の素質を」
オーディンは立ち上がり、ゆっくりと近づいてきた。
「さあ……どうする?」
「どうするとは?」
「ワシと戦うか? それとも逃げるか?」
オーディンの左眼が光り、周囲に不思議な力が満ちる。
俺は小さく息を吐き、見つめる。
「…あんた、ここには一人で来たのか?」
「そうじゃないが?」
「護衛は?」
「…そうじゃな、行き遅れの戦乙女が一人」
「…なるほど」
その言葉にオーディンは何かを察したように。
「ほぅ、そいつを惚れさせるのか?」
「…仲良くする程度は」
その言葉を聞いたオーディンは。
「ぷっわはははあはっ」
突然、笑い出した。あまりに唐突すぎて、一瞬呆気に取られる。
「いやぁ、悪い悪い。まさかそんなことを言い出すとは思わなくてな」
オーディンは目尻に涙を浮かべながら笑い続ける。
「そいつは面白そうじゃな。まぁいい。今日はここまでにしておこう」
そう言うと、オーディンは椅子に座り直した。
「また会おう、太郎」
そう言い残し、オーディンの姿が消えた。
いや……正確には、普通の老人に戻ったのだ。
残された俺は、静かにコーヒーを飲み干す。
(まったく……変な爺さんだったな)
だが、彼の言葉は妙に引っかかった。
“お前さんの王の素質を確かめに来たのじゃよ”
王の素質……か
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア