サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
朝靄が残る京都駅に降り立つと、冷たい空気が肌を刺した。修学旅行生特有の高揚感が漂う中で、僕だけが妙に落ち着かなかった。昨日から何度も届いていたメッセージが頭を離れず、兵藤たちの賑やかな会話もどこか遠くに聞こえる。
「おい太郎!何ボーっとしてるんだよ!」
兵藤が肩を叩いてくる。「写真撮ろうぜ、ほら!」
カメラを向ける彼に、僕は無理やり笑顔を作った。この何気ない時間がどれだけ貴重か、この時はまだ理解できていなかった。
宿泊先の旅館に荷物を預けるとすぐ、校舎玄関に見たことのない制服の少女が立っていた。派手な紫髪に一本の角が目立つ姿は紛れもなく……
「お久しぶり~太郎様♪」
シオンが嬉しそうに手を振る。周囲の学生たちがざわめいている中を全く気にする様子もない。
「おいおい……なんでここに?」
「だって約束したじゃないですか~」
「いや、確かにしていたが、お前」
そうしながらも、シオンの格好を見る。
「お前、年齢とは「何か言いましたか?」別に」
成人以上の年齢のあるシオンが着ている事に、思わずため息を吐く。
「たったっ、太郎の彼女さん!?」
声の方に振り向くと兵藤達が居た。
「彼女じゃないよ」
俺は兵藤に向けて否定する。
それを聞いて兵藤はシオンをジロジロ見ていた。
シオンはそれを気にしない様子で俺の方を見て。
「私は太郎様の愛人ですよ〜」
と言い放つ。
「ええっ!?マジかよ!」
「おい太郎……お前まさか」
松田と元浜が信じられないといった顔で見つめてくる。
「だから違うって!」
慌てて否定するがもう遅い。噂好きの彼らが一度火をつけたらもう止まらない。
「太郎くんってこういうタイプ好きなんだ……」
クラスの女子たちまでヒソヒソ話を始める始末だ。
「とりあえずこっちに来てくれ」
人目を避けるように路地裏へと引きずり込む。シオンは楽しそうに笑っているだけだ。
「シオンさんよ……アンタ何考えてんだ」
「だって普通に会いに行くのつまらないじゃないですか~」
「そういう問題じゃなくて……!」
説教モードに入ろうとした矢先。
「お待ちしておりました」
そう、俺達を出迎えたのは、多くの妖怪達。その殆どが京都に住む妖怪達であった。その中の一体である大天狗の老婆が進み出て深々と頭を下げる。
「あなた様が唯我太郎殿ですね」
「ああ」
「お越しいただき感謝いたします」
「八坂様の件でお呼び立てしたのですが」
「おおよそ予想はついていますが」
「……そうですか」
大天狗はさらに深く頭を下げると、「案内いたしましょう」と言った。他の妖怪たちもその後に続く。
僕たち三人は無言のまま彼らの後についていった。
古い町並みが続く京都の裏通りは日中でも薄暗く、どこか不気味な雰囲気を漂わせている。建物同士の隙間を縫うように進んでいくうちに周囲の空気さえ変わっていくのが分かった。人間の世界と妖怪の世界の境界線を越えているような奇妙な感覚だ。
やがて辿り着いたのは古びた寺院だった。門構えこそ立派だが全体的に朽ちかけており、長年の間に廃墟と化した様子だ。
中へ入ると更に驚いた。内部は広々とした講堂になっていて中央には祭壇が設けられている。そこに集まっていたのは百を超えるであろうさまざまな種類の妖怪たちだった。
巨大な鬼や小さな鼠憑きまで種々雑多な存在が一同に介している光景は何とも形容し難いものだ。
「まさか、シオンを本当に家臣にしているとは」
「話の本題に入らなくても良いのか?」
妖怪達に対して、シオンは普段の俺に見せるような甘い顔ではなく、獰猛な鬼としての態度で応じる。
その視線に怯えるような妖怪もいれば、対抗心を燃やす者もいた。
「まずは八坂様が攫われた経緯について教えてくれ」
「わかりました」
正面に座った大天狗が重々しく口を開いた。
「実は先週のことです」
彼女によれば八坂は本来の居場所である琵琶湖畔から忽然と姿を消したという。
「我々も全力をあげて探索しましたが……」
「結果として八坂様の行方は不明のまま」
「唯一分かったのは……」
「奴らに攫われたということか」
「その通りです」
「ですが相手が何者なのか全く特定できておりません」
そこで初めて僕は質問した。
「つまり、敵の正体もわからない状態で協力を求めたいと?」
「お恥ずかしながら……」
大天狗は悔しそうに唇を噛む。
「我々だけでは力不足なのです」
「それで太郎様にお力添えをいただければと」
シオンが横から口を挟む。
「それで、どうします」
「・・・困っている奴がいるんだったら、助ける。とりあえずは、状況を色々と聞きたいが良いか?」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア