ようこそクズカスのヤリチン至上主義の教室へ 作:ホメロス
茶柱佐枝編
休日の午前。
私室の空気は、本来であれば微かな観葉植物の青い匂いと、静寂という名の平穏に満たされているはずだった。
しかし今日に限っては、部屋の温度は奇妙に高く、息を吸い込むたびに肺の奥がざらつくような、不快で微熱を帯びた空気が充満していた。
原因は明らかだ。
リビングのローテーブルを挟んで私の対面に深く腰を下ろしている男――九頭春日。
彼が全ての原因だ。
プライベートな空間である自分の部屋のリビング。
彼がそこに座り、時折ふっと息を吐く。
ただそれだけで、私は何というか座り心地に悪い気分になってしまう。
彼は生徒であり、私は教師。
緊張するなら彼の方であるというのに。
いや、私が緊張をしている……?
そんなわけがない。
立場として圧倒的に上なのはこちら。
だからこそ、緊張する謂れなどありはしない。
彼特有の微かな汗と体温の匂いが鼻腔を掠めるだけで、どこか下腹部の奥底が疼くような感覚が走ったとしても、だ。
「……それで? 改めて聞くが、わざわざ私の休日に押し掛けてき何のようだ。それに、そのふざけた機材は?」
私は腕を強く組み、背筋を伸ばした。
極力冷坦で、感情の起伏を感じさせない声を意識して紡ぎ出し、部屋の隅にセッティングされた無機質な三脚と小型カメラを睨みつける。
そんな私の視線など九頭は悪びれる様子など微塵も見せず受け流し、人懐っこいようでいて底知れさを秘めた笑みを浮かべ、肩をすくめた。
「えー? だから言ったじゃん。今日は動画を撮るんだってば。いわゆるハメ撮りってやつ?」
「ハメ撮りだと? 馬鹿なことを言うな。誰がそんなことを」
「あ、断るんだ? いいけどさぁ。俺と佐枝ちゃんは『契約』してるんだよね? もしここで拒否するなら、あの協力の話も無かったことになるけど、いいの?」
その言葉を耳にし、私は思わず舌打ちをした。
そういう契約を確かに結んだ。
私のクラスをAクラスにするために。
彼は有用な男だと思った、そして扱いやすいとも。
女好きで、そっち方面においては手が早い。
だからこそ、身体を餌にしてやれば思い通りに運ぶだろう……と。
実際、彼は契約に従って協力の姿勢を見せた。
そして、それなりの功績も。
今のDクラスのまとまりがあるのは櫛田のお陰だが、彼女の後ろには彼の尽力がある。
更に言えばクラスの女子のリーダーである軽井沢ともいい関係を結んでいる。
想定していたのとは少し違う活躍だが、欠陥品だらけの集団であるDクラスがまとまりをもって動けているのは彼の力によるものだ。
逆説的に言えば彼にそっぽを向かれた場合、Dクラスは崩壊する恐れがある。
彼自身にAクラスを目指す動機が薄い以上、やる気を出して貰うためにはこちらも譲歩を強いられる。
(そうだ。あくまで、これは私の長年の目的のために……仕方なくやってきたことで……っ)
契約を結んでから彼に抱かれた日々のことがフラッシュバックし、不意に身体を震わせた。
仕方なく。
そう、仕方なく身体を許し……そして、喘がされた時間のことを。
私にとって想定外だったのは彼という男を少しだけ甘く見ていたことだろう。
(ハメ撮り……だと? つまりはそのカメラの前で、九頭に乱暴に抱かれて……それを記録されると? そんなこと……っ)
とてもではないが許容できない。
許容できないが、九頭の機嫌を損ねるわけにはいかない。
だから、そう……仕方なく。
仕方なく、受け入れるしかない。
「……分かった。好きにするがいい。お前の性欲を処理すれば済む話なのだろう。さっさと終わらせろ」
微かな震えを押し隠しながらそう告げると、彼はニヤリと口角を上げた。
「んーん、違うよ。ただカメラ回してヤるだけじゃ面白くないじゃん? だから今日は『シチュエーションプレイ』にしようと思うんだよね」
「……シチュエーションプレイ、だと?」
「そう。カメラを部屋に置いたまま、丸一日、俺たちが『本当の恋人同士』みたいにイチャイチャして過ごすんだ。休日の家デートってやつ? で、いい雰囲気になったところで……ね?」
九頭の視線が私の胸元の膨らみから、組み合わされた太ももへと、ねっとりと這うように滑り落ちた。
ただ視線で撫でられただけだというのに、肌の表面が粟立ち、子宮がびくっと反応を返した気がした。
「――なっ!?」
「題名はそうだな……『お堅い女教師の秘密の顔』、みたいな?」
くだらない。
心底くだらない提案だった。
こんな男と恋人ごっこなど。
「教師と生徒だぞ?」
「だからこそ、背徳感ってのがあるんじゃん?」
「本当にくだらないことを考えるやつだ。……勝手にしろ。私はただ、お前の遊びに付き合わされるだけだ」
「オッケー。じゃあ、まずは形から入ろうか。恋人同士なんだからさ、呼び方変えるとするか。俺は普段の「佐枝ちゃん」から――「佐枝」って呼ぶから」
ドクン、と。
心臓が不意に大きな音を立てて跳ねた。
「……っ。な、なんだその呼び捨ては……馴れ馴れしいにも程があるだろう!」
「恋人なんだから普通でしょ? ほら、佐枝も俺のこと、名字じゃなくて名前で呼んでみてよ」
「断る。私はお前を――」
「ほーら、契約、契約。シチュエーションプレイに付き合うって言ったの、佐枝だろ?」
逃げ道を塞がれ、私は組んでいた腕を解き、膝の上でぎゅっと拳を握り込んだ。
ただ名前を呼ぶだけ。
それだけのことだ。
呼んでやれば満足する。
それがわかっているのに、妙に言葉が喉に張り付く。
何でもないはずなのに、目の前で余裕たっぷりに微笑む九頭の顔を見つめていると、喉の奥がカラカラに乾き、どうしようもない羞恥心が胃の腑から込み上げてきた。
年上の、しかも教師である私が、教え子であり、そして何よりも何度も身体を重ねた彼を恋人として……名前で呼ぶ。
妙に意識をしてしまう。
意識をしてはいけない、平常心を保とうと努めるも、そんな思考がより変に意識を促してしまう。
私は視線を彼から逸らし、熱を持って赤くなりゆく頬を隠すように俯いた。
「……か、春日」
「ん? 聞こえないなぁ」
「……春日っ。これで、文句はないだろう……っ」
途切れ途切れに、ようやくの思いで絞り出したその音は、自分でも驚くほど小さく、震えていた。
屈辱だった。
九頭はそんな私の様子を満足げに目を細め、「よくできました」と頭をポンポンと撫でてきた。
その、子供やペットを扱うかのような手のひらの温もりが、なぜか無性に私の胸の奥をざわつかせてしまった。
それから撮影が始まった。
本来なら私一人しか居ない部屋の中に、異物である彼が混ざっている休日。
それも恋人の芝居をしながら。
いつ「そういうこと」をされるのか。いつ押し倒され、服を引き裂かれ、あの凶悪な肉棒で容赦なく貫かれるのか。
部屋の隅で、カメラの赤い録画ランプが点滅し続けているという異様な緊張感の中、私は身体を強張らせながら過ごした。
ハメ撮りというのだからそうなのだろう。
彼はろくに撮影の内容も説明しなかった。
何が自然な姿を記録に残したい、だ。
九頭は一向に本格的な行為を仕掛けてこなかった。
彼は本当に、休日の昼下がりを過ごす「普通の恋人」のように振る舞った。
「佐枝、お昼ご飯作ってくれよ。オムライスが食べたいな」
そうねだられ、私は不承不承キッチンに立った。
換気扇の回る音。
フライパンでバターが溶け、卵が焼ける甘い匂い。
日常の風景のはずなのに、赤いランプの存在がすべてを非日常に歪めている。
火加減を調整していると、背後からふわりと、彼特有の高い体温が近づいてきた。
「いい匂いだな、佐枝。案外、家庭的だな」
「一人暮らしをすればこの程度はできるようになる」
「そういうもんか。俺は自分ではろくに家事なんてしないからなー」
「ふんっ、女にさせてるか。あるいはレトルトで済ませているんだろう?」
「あたりー。よくわかってるね。さすがは佐枝だ。ああ、そうそう。――その部屋着すごく似合ってるぜ。いつもカッチリしたスーツばかりだからさ、雰囲気が変わって可愛く見える」
「……冷やかしなら向こうに行け。火を使っているんだぞ。それに、服なんて……別に普通だろう」
耳元すれすれで囁かれた声に、顔が一気に熱くなった。
それをごまかすように、あえて冷たいトーンで突き放そうとした、その瞬間――
彼の大きな手が、私のエプロン越しのお尻を、ぽんっ、と軽く叩いた。
「ひゃあっ!?」
場違いなほど可愛らしく、甲高い悲鳴が私の口から漏れた。
手元のフライパンがガチャリと音を立てる。
「なっ、何をする……っ!」
「え? だって恋人同士のスキンシップだろ? これぐらい……。それにしても佐枝のお尻、服の上からでも分かるくらい柔らかくて最高だな、相変わらず」
けらけらと笑う彼を睨みつけながら、私の心臓はけたたましい早鐘を打っていた。
普段の有無を言わさず押し倒され、ただひたすらに快楽を叩き込まれる獣のような交わりではない。
そういったのなら良かった。
こういう日常に溶け込んだ些細な悪戯、ふとした瞬間の肌の接触はなんというか……慣れない。
私の理性を激しく揺さぶる。
お尻を軽く触られただけのその一瞬で、私の下着のクロッチ部分が湿った気がした。
きっと気のせいだと思い込む。
ただ、撫でられただけでそんな……。
(ヤるならさっさとやればいいのだ。いつものように乱暴に、あるいは命令をして。乱暴に服を脱がして、それから……いや、違う。これではまるで私がそれを待っているかのような……っ! そんなわけ……でも、胸はこんなに高鳴って、奥は疼いて……っ)
昼食を終え、ソファに並んで座り、動画配信サービスの映画を見ている時も私の生殺しは続いた。
九頭はごく自然に私の肩に腕を回し、私を自身の胸に引き寄せる。
彼の色黒の肌から伝わる高い体温、微かに漂う若い雄の匂い、そして規則正しい心音。
それらが私の思考をひどく鈍らせ、そしてざわめかしていく。
「あ、このシーン面白いね」
彼がそう言いながら、肩を抱いていた手をさりげなく下へと滑らせ、私の胸の膨らみにそっと指を這わせた。
「っ……! や、やめろ……映画に集中できなく、なるだろう……っ」
「まあ、まあ。恋人同士なんてこんなもんだろ」
「お前の恋人感には問題は……あ、んっ♡」
耳元で囁かれる甘く低い声。
服の上から、柔らかな双丘を揉みしだかれ、硬く尖り始めた先端を指の腹で弾かれる。
そのたびに、私の口からは「んっ……」「ふあっ……」と、情けない吐息が漏れ出てしまう。
ただの悪戯。
そう切り捨てることができないほど巧みなタッチ。
私の身体のはずなのに、まるで彼が支配者であるかのように弄び、それに対して私の身体は反応を返す。
彼にとっては、本番前のほんの暇つぶしのような動き。
(落ち着け、反応すれば思う壺。勝手に触らせて、シチュエーションプレイの恋人ごっことやらを満足させれば……それで。ただの、契約……契約で付き合ってやってるだけで。それなのに……こんなに身体が熱くなって。――まるで私が、この男に抱かれたくてたまらない雌のような……っ)
否定すればするほど、身体の熱は上がり、息は荒くなる。
夕方に差し掛かり、窓の外の光がオレンジ色に変わり始めた頃。
私たちは小腹が空いたからと頼んだ宅配のピザを頼んだ。
やってきたピザを食べている時のこと。
チーズの乗った一切れを口に運んだ私を見て、九頭がふっと笑った。
「佐枝、口の端にソースついてるぜ」
「えっ?」
私が慌ててテーブルの上のティッシュに手を伸ばすよりも早く、九頭の顔が目の前に迫った。
「――あっ」
ちゅぷっ♡
彼自身の長く、生温かい舌が、私の唇の端を舐め取った。
粘膜と粘膜が触れ合う、湿った音。ピザのチーズの香りと混ざり合う、雄の唾液の匂い。
「んんっ……!?」
「ん。美味しい。ごちそうさま、佐枝」
至近距離で見つめてくる、彼の余裕に満ちた瞳。
その瞬間、私の顔は爆発したように熱くなった。
心臓の音がうるさいほどに耳の奥で鳴り響き、ただ舐められただけだというのに、太ももの内側が小刻みに震え、子宮の奥がきゅんきゅんと甘く痺れた。
おかしい。
私にとってこの男は、契約相手であり、生徒であり、悔しいことに性的なことに巧みな男で、それで……それで。
こんな、まるで本当の恋をしているかのような、どうしようもない「ドキドキ」なんて勘違いに決まっている。
そうだ、そうに違いない。
窓の外の空が、鮮やかな茜色から深い藍色へと沈みかけていく頃。
テレビに映し出されていた映画のエンドロールが終わり、部屋の中に不意の静寂が訪れた。
エアコンの微かな稼働音と、隣に座る男の、一定のリズムを刻む呼吸の音だけが、薄暗いリビングに満ちている。
その静寂を破るように、不意にソファが軋んだ。
隣に座っていた九頭が、ゆっくりと身体の向きを変え、私の正面へと回ってきたのだ。
彼の大きな影が、窓からの残光を遮り、私の視界を覆い尽くす。
「……っ」
私が反応するよりも早く、彼の色黒で逞しい腕が私の両脇を抜け、ソファの背もたれに手をついた。退路を断たれ、上から見下ろされる形になる。
先ほどまでの「休日の穏やかな恋人」を演じていた彼の瞳は、今はもう明確に、目の前の獲物を捕食しようとする若い雄の光を宿していた。
「そろそろ、いいよね?」
「な、なにがだ?」
「わかってる癖に。そういう気分になったからさ。今から佐枝を、頂こうと思うんだけど。……いいだろ?」
彼の声はひどく甘く、それでいて逃げ場を一切許さない重さがあった。
ついに、この時が来たと身体を緊張させる。
(そうだ、私の身体を貪ればいいさ。それでお前を従わせ、そしてAクラスにいけるなら、私はそれで……っ)
何度となく頭の中で繰り返したロジック、それによって私は教師としての威厳をかろうじて張り付かせながら、私は視線を逸らした。
顔が熱くなる。
胸がドキドキと高鳴る。
あくまでもこれから行われる行為に対する緊張によって、身体が強ばっているのだ――とそう言い聞かせる。
「……好きに、すれば良いだろう」
「そ。じゃあ、遠慮なく」
その言葉を合図に、九頭の顔がゆっくりと私に近づいてきた。
いつもとは少し違う雰囲気。
いつものようにすぐに始まるのだと思っていたが、どうやら今日の彼はどこまでも「恋人」というシチュエーションに忠実らしい。
「恋人なら、まずはキスからだよね。……ほら、佐枝。舌出して」
「なっ……」
「口、開けて。舌を俺に見せてよ」
顔のすぐ近くで囁かれる。
少しだけ低くなった声、九頭からの命令。
ぞくりっとした感覚が背筋に走る。
ちらりっと部屋の隅で赤く点滅を続けるカメラのレンズに目をやった。
過ごしているうちに気にならなくなってきたが、いざ始まるとなると気になってしまう。
逡巡するも彼の瞳の奥にある昏い熱に射すくめられ、私の唇は勝手に微かな震えを帯びながら開いた。
「んぇ、ぁ……」
私はおずおずと、ピンク色の柔らかな舌先を、外の空気へと滑り出させた。
すると九頭の方も舌を出してきて――
ちゅぷっ。
「んっ……!」
濡れた粘膜同士が触れ合う、生々しい水音が響いた。
私の震える舌先を、彼自身の長く熱い舌が、下からすくい上げるように絡め取った。
ピザを食べた後の、ほんのりとした塩気とチーズの香り。
そこに混じる、彼の唾液の匂い。
それらが一瞬にして私の鼻腔を満たす。
絡み合う舌の感触、響く淫らな水音。
ねとぉ……、ちゅ、るるるるっ。
「んむ……っ、ちゅ、ふっ……ぁ、んっ……」
彼の舌は私の舌を搦め手のように包み込み、絡み合いながら、ゆっくりと、しかし確実に私の口内の奥深くへと侵入してきた。
上顎の裏をねっとりとなぞられ、歯列の裏側を一本一本確かめるように舐め回され、私の舌根まで深く吸い上げられる。
巧みすぎる舌使い。粘膜と粘膜がこすれ合い、唾液が混ざり合う湿った音が、薄暗い部屋にやけに大きく響き渡る。
(こいつ、は……本当に……っ♡)
じゅる、ちゅぷり、ずちゅるるるる……っ!
「んあっ……!♡ は、ぁっ、んんっ……!♡」
悔しいが彼はうまかった。
息継ぎのタイミングすら奪われ、私はひたすらに彼の舌の動きに翻弄される。
ただのキス。
キスをしているだけ。
下半身にはまだ何もされていない。
それなのに、口腔内を徹底的に蹂躙されるだけで、私の身体はあっという間に芯から熱を帯び、太ももの内側が小刻みに震え始めていた。
(あぁ……っ。どうして、ただキスされているだけなのに……下腹部が、こんなに熱く、なって……っ!♡)
それほどに巧みなキスだった。
キスにも上手い下手が存在するのだと九頭には教えこまされた。
かつての恋人はこんなには……ああ、ダメな思考だ。
数分間にも及ぶ、息も絶え絶えになるほどのディープキス。
ちゅはっ、と銀色の糸を引いて、ようやく二人の唇が離れた。
私の顔はきっと酷いことになっているだろう。
教師として、大人として肩肘張った仮面は剥ぎ取られ、女の顔を晒していたはずだ。
目は潤んで焦点が定まらず、口元はだらしなく開き、ツーッと一筋の唾液を顎へとこぼしながらも、それを拭う余裕もなく、荒い吐息を繰り返している。
年下の、それも生徒相手に深いキスをされて……この有様。
「はぁっ、はぁっ、んっ……♡」
「……えっちな顔になったな。その顔の佐枝、好きだぜ」
至近距離で囁かれた、その甘い言葉。
ドクン、と。
私の心臓が、今日一番の大きな音を立てて跳ね上がった。
(違う……! これは、ただのシチュエーションプレイ……その一環。カメラの前のお芝居のようなもの……っ! そんな言葉にいちいち動揺などするな、茶柱佐枝!)
熱くなった頬を意識しないようにしながら、私は何とか自分自身に言い聞かせようとする。
そんな私の動揺など知ったことかとばかりに、九頭は次の行動へと移る。
「んっ……や、やめ……♡」
ちゅぷ、はむっ♡
彼の唇が、私の敏感な耳たぶを甘噛みし、そのまま湿った舌を耳介の裏側へと這わせた。
「あ、ひっ……!♡ そこ、は……だめっ……♡」
ゾクゾクと全身の産毛が逆立つような快感。
その痺れに私が身を捩っている間に、彼の手は私の部屋着の裾を掴み、躊躇いなく上に捲り上げた。
肌寒い部屋の空気が、剥き出しになった腹部から胸元へと触れる。
私の双丘を覆っていた薄いキャミソールとブラジャーが、器用な指先によって次々と外され、私の肉体は上半身から順に彼に晒されていく。
「へぇ……。佐枝、まだ何もしてないのに、乳首ガチガチじゃん」
「ち、ちがうっ……!♡ これは、部屋が寒くて……っ♡」
「ふーん、身体は無茶苦茶熱そうに感じるけど?」
ニヤニヤと笑いながら、彼の手が私の下着の縁にかかる。
するり、と。
柔らかな布地が太ももを滑り落ち、私の下半身が完全に無防備な状態となった。
そして、九頭は脱がせたばかりのショーツのクロッチ部分を私の目の前に突きつける。
そこには、私が今日一日、悶々と溜め込んでいた欲情の証――透明で粘り気のある愛液が染み込んでいた。
「下着も、こんなに濡れてるようだけど?」
「あ、ぅ……そ、それは♡」
「俺に今日、いつ抱かれるかで悶々としてたんだ?」
「くっ、この……っ!」
「恥ずかしそうにして可愛いな、佐枝は」
「か、可愛いなどというな!」
「いやいや、佐枝は可愛いさ。エッチなことしたくてたまらない女なんて最高だろ?」
「別に、したくてたまらなかったなど……♡」
全裸にされ、薄闇の中で見下ろされる私。
カメラの赤いランプが、この無様で淫らな私の姿を全て記録しているという事実が、強烈な羞恥心となって脳内を駆け巡る。
(ああ、くそ……その目をやめろ♡ 私を見下ろす、雌を品定めするような雄の目♡ それで見られていると、こんな……あぁっ、胎の奥が疼いて……っ!♡)
その目を向けられ、犯された記憶がフラッシュバックする。
その時に与えられた快楽も同時に。
獣欲を向けられている、そのことがありありとわかる視線。
それに晒されるだけで身体が準備を整えていくようだった。
彼もまた衣服を脱ぎ始め、全裸になった。
雄としての強大な熱量を持った、凶悪なまでの硬さと太さを誇る肉棒が、私の目の前に露わになった。
その先端からは、すでに微かな我慢の汁が滲んでいた。
「じゃあ、今から入れるけど。……いいよな、佐枝?」
いつもなら、こちらの了承など一切取らず、準備もそこそこに強引に捩じ込んでくるくせに。
今日はまるで本物の恋人を労わるように、私の目を見て優しく問いかけてくる。
その言葉のギャップ、私を一人の「女」として扱ってくれる彼の手順が、私の胸をどうしようもなく締め付けた。
私はコクンと、小さく、しかしはっきりと頷いた。
(早く……♡ 早くそれを、お前の熱で、私のナカを満たしてくれぇ……っ♡)
パブロフの犬のように、私は九頭の肉棒を見ただけで、発情してしまった。
あれがどれだけ気持ちいいか、快楽を与えてくれるか、身をもって知っている……だからこそ。
私の秘所の入り口は、彼を受け入れるためにひくひくと空気をつまみながら、今か今かとその太さを待ち望んでいる始末。
しかし。
九頭はすぐには、私を満たしてはくれなかった。
彼の熱く硬い先端が、私の濡れそぼった秘裂に押し当てられる。だが、そこから先の、最も欲しい奥の部分へは進んでこなかった。
ぬちゅ……、にゅるっ……♡
「あっ……!? んっ、ひゃあっ!♡」
挿入されるのではなく、私の柔らかな秘所の表面を、彼の硬直した肉棒が前後に滑る。
いわゆる、素股と言われる行為だ。
溢れ出た私自身の蜜を潤滑油にして、最も敏感な真珠の粒を、凶悪な熱と硬さが執拗に擦り上げていく。
気持ちいい。
確かに気持ちよさは感じるが――これではない。
「んああっ!♡ ちが、それ、は……っ!♡」
「おっと、違ったか? でも、気持ちよさそうにしているしなー」
ぐりっ、ぬぷっ、にゅちゅるるる……っ!♡
「ひいっ!♡ あ、ああっ……やだ、それは、やめぇっ……!♡」
子宮が空っぽのまま、外側だけを容赦なく責められる強烈な焦燥感。
なぜ入れてくれないのか。
どうして意地悪をするのか。
もう少しで快楽を得られるというところで、お預けにされ、私の思考がグズグズに溶けていく。
(は、早く、中を……私の一番奥を、その熱で抉って……っ!♡)
「な、なんで……っ♡」
気付けば私の口から、自分でも信じられないほど甘ったるい、まるで親にすがる子供のような幼い声が漏れていた。
教師としての威厳も、年上の大人としてのプライドも、その声には微塵も残っていなかった。
九頭は意地悪く微笑み、擦り上げる動きをピタリと止めた。
「折角のシチュエーションプレイなんだからさ。佐枝にも、もっと恋人っぽく振る舞ってほしいなー。……ねぇ、俺に、どうしてほしいの?」
それは「おねだり」の要求だった。
求めているものはわかった。
だが、それを素直に飲み込めるかは別の問題で。
恥辱と、わずかに残った自尊心が、首の皮一枚で抵抗しようとする。
生徒相手に媚びるように挿入を懇願するなど……。
しかし、彼が再び、じわっ……と先端を私の急所に押し当て、今度は円を描くようにねっとりと擦り始めた瞬間、そんな薄っぺらなものはあっという間に崩れ去っていった。
にゅちゅり……、ぐちゅ、じゅぷっ……♡
「あ、ひっ……!?♡ イッ、それ、やめ……っ!♡ ああっ!♡」
「言わないなら、ずっとこのままだぜ。それでもいいのか佐枝? 佐枝の中、こんなにヒクヒク動いて、俺のを欲しがってるのに」
「や、だ……っ!♡ 欲しい、欲しいんだ♡ もう、限界で……っ!♡ だからっ♡」
「じゃあ、ちゃんと言って。誰に、何を、どうしてほしいの?」
狂おしいほどの焦燥と、限界まで張り詰めた下腹部の疼き。
もう、耐えられない。
私は涙で視界を滲ませながら、恥辱に染まった顔を振り上げた。
「か、春日……っ♡」
「うん。なあに、佐枝?」
「いれ、て……くれっ♡ 春日の……その、熱くて、大きいの……私の中に……っ♡」
「もっとエッチにいって欲しいな。俺の、何を、挿れて欲しいって?」
彼の言葉に顔を真っ赤にさせながら、私は声を振り絞った。
「か、春日の、大きくて逞しい、彼氏おちんぽを……私のおまんこの中に挿れてくれぇっ……!♡♡」
泣き叫ぶようなおねだり。
言った、言ってしまった。
これはシチュエーションプレイ、つまりは演技だからと言い訳をし、正当化するとスッと胸が楽になった気がした。
「よく言えました。……可愛いかったぞ、佐枝」
九頭は心底愛おしそうに私の頭を撫でると、ついにその腰を前へと押し出した。
ずちゅっ……!!♡♡
「あ゛……ッッ!!♡♡」
猛々しい熱と、圧倒的な太さ。
それが私の濡れそぼった入り口を容赦なく押し広げ、膣内を蹂躙していく。
およそ普通ではないサイズの肉棒、だが何度も貫かれ、彼のサイズに躾けられ、成形された私の膣はその侵入を無理なく受け入れていく。
外側だけを焦らされ続けた粘膜が、待ちわびた真の快感の到来に歓喜し、挿入される肉棒に絡みつくように激しく収縮した。
ずちゅっ、どちゅっ……、にゅちゅるるるるっ!!♡♡
「あ゛っ、ひ、ぁっ、あああああっ……!!♡♡♡」
部屋の空気を震わせる、湿った水音。
それに重なるようにして響き渡るのは、教師であったはずの私の口から放たれている高らかで淫らな嬌声。
ぬちゅり、ずぶぶぶぶぅッ!♡♡
「お゛お゛っ!♡ ひぃっ、や、ああっ、奥っ、おくぅっ!!♡♡」
いつもの激しいピストンではない。
長く、重く、そして深すぎるストローク。
根元まで引き抜かれたかと思えば、たっぷりと分泌された私の本気汁を巻き込みながら、極太の肉棒が粘膜を擦り上げ、子宮の入り口――最深部へと、ねっとりと、正確に突き刺さってくる。
「恋人らしくゆーっくりと今日はやろうか。ほーら、ずぷぷーっと」
「これ、だめぇ♡ 春日♡ これ……っ、んぉ゛お゛お゛お゛っ!♡」
「佐枝の中、めっちゃヒクヒクして……俺のをすっごく強く締めてる。そんなに気に入ってくれたんだ」
「あ、ちが、これ、はっ……♡ 春日が、変なとこっ、擦るからぁっ……!!♡♡」
私は彼の色黒の背中に爪を立て、必死に首を振った。
いつの間にか九頭のことを「春日」と呼ぶことに違和感がなくなっていた。
甘えるような声で彼の名前を呼ぶ。
それはまるで恋人のように。
(これはシチュエーションプレイ♡ 仕方なく、付き合ってやってるだけ♡ だから、名前もそう……ぃ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!♡♡)
理性の残骸が、そんな風に理論武装をする。
だが、そんな思考も彼がぐちゅりと腰を打ち付けるたびに、容易くひび割れて崩れていく。
ずちゅぅぅううっ、じゅぷ、ごちゅっ!!♡♡
「あ、イっ、イグッ!!♡♡ あぁぁあああーーーッッ!!♡♡」
目の前が真っ白に弾け、脳天から爪先に至るまでの全神経が、灼熱の快楽に塗り潰されていく。
子宮口を直接抉ってくる圧倒的な存在感。
どれだけ悔しくても、流されまいと硬く思っても、どうにもできずに私は今日もまたこうして、この熱く逞しい彼の肉棒で、イカされる。
どうしようもなく私は雌へと作り変えてしまう。
強烈な支配の感覚。
身体がガクガクと痙攣し、膣壁が勝手に九頭のモノを絞り上げるように脈打った。
「佐枝、もうイッちゃったのか? 早いなぁ。……でも、俺はまだなんだ。恋人同士なんだから、俺も満足させてくれ」
「あ、だめっ、まだ、余韻がっ……ひゃあっ!?♡」
彼が体勢を変え、抱き上げた。
密着したまま、彼の膝の上に乗る――いわゆる対面座位という体勢。
その体勢のまま、九頭は私の顔を両手で包み込み、至近距離で見つめてくる。
「なぁ、佐枝。恋人同士のセックスなんだしさ。愛を囁きあってやろうぜ?」
「あ、い……?」
「そう。俺のこと、好き? 愛してる?」
ズチュッ……と、彼が意地悪く腰を揺らす。
「ひんっ!♡ あ、ああっ……」
「言ってくれないなら、動かないよ」
最も奥の、一番熱い場所で、彼の太い楔が止まっている。
じわじわと広がる熱と、いつまでも動かない肉棒の感覚に耐えきれなくなった私の身体が、無意識に腰をくねる。
彼を求めるように動くも、九頭は動かずにじっとこちらを見つめてくる。
(やめろ♡ 見るな……♡ 私をそんなに真っ直ぐ……♡ ……ああ、いいさ。わかった。これはただのシチュエーションプレイ……演技、だから♡ くだらないお遊びに付き合ってやっているだけ……っ♡)
そう自分の中で言い訳をする。
私は涙で視界を歪ませながら、彼の首に腕を絡め、自らその唇へと顔を近づけた。
「す、き……っ♡ 春日っ、好きだ……っ♡」
「ん? もっとちゃんと聞きたいな」
「愛してる……っ!♡ 春日のこと、愛してるからぁっ……だから、もっと動いてっ……!!♡♡ お前の逞しいちんぽで私を……っ♡」
自らの口から紡ぎ出された言葉。
自分に言い聞かせたはずなのに、言葉として口に出してしまうと驚くほどに動揺してしまった。
心が揺らぐ。
不安定にゆらゆらと。
まるで本当にこの男を愛してしまっているかのような、そんな多幸感と熱に浮かされていく。
(これは演技♡ 嘘、だから……♡)
口にしてもいい。
何も問題はない。
「俺も好きだよ、佐枝」
ずちゅうううううんッ!!♡♡
「お゛お゛お゛お゛お゛っっっ!!!♡♡♡」
甘い言葉と共に叩き込まれた、今日一番の深く重い一撃。
子宮の最も柔らかな壁を、凶悪な先端が容赦なく押し潰した。
その瞬間、私は自分が教師であることなど、どうでもよくなった。
年齢差も、立場も、過去のトラウマも、すべてがこの圧倒的な快楽の濁流に呑み込まれ、溶けて消えていく。
「あ、きすっ、キスしてくれぇっ!♡♡ か、春日ぁ♡ ちゅーしてぇっ!!♡♡」
私は完全に理性を失って、本能のままに舌を突き出し、彼の口元へとすがりついた。
ちゅぷ、じゅるるるるっ!♡♡
下半身で激しく打ち付け合いながら、上半身では貪るように互いの舌を絡め合わせる。
唾液が混ざり合い、息が詰まりそうになるほどの濃厚なキス。
私が自ら腰を振り、彼の太さをより深くへと迎え入れるたび、粘膜同士が擦れ合う卑猥な水音が部屋中に響き渡った。
ぬちゅ!♡ ごちゅっ!♡ ずちゅぅぅうううっ!!♡♡
「はぁっ、んむっ……! 佐枝、いいじゃん。すっごく情熱的……俺も、そろそろ……っ」
「あ、あっ、くるっ、春日、くるのかっ!?♡♡ だして、私の中に、春日の熱いの、いっぱい、くれっ!!♡♡ んじゅるっ!♡」
色々なものを放り投げ、ただ私は彼に射精を懇願する。
あられもないハメ乞い。
九頭はその言葉を受け、私の腰を両手で強く掴むと激しく腰を動かし、そして最後に最も深い一撃を私の子宮口へと深々と突き刺した。
どちゅうううううっっ!!!♡♡
「出るぞ、佐枝」
「お゛イ゛゛グッッ…………!!♡♡♡ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーッッ!!!♡♡♡」
びゅるるるるるっ!!♡♡ どくぅっ、どくぅっ!!♡♡
私の中で、彼が白濁の熱を解き放たれた。
熱い。
あまりにも熱く、重い白濁色の液体が、私の最深部をどろどろと満たしていく。
異物が直接胎内へと注ぎ込まれる。
満たされていく、彼の熱く煮えたぎったもので。
子宮を埋め尽くされる、その至福に私の脳髄は灼き切れるような快楽を感じ、視界は極彩色の火花が埋め尽くした。
「あ……ぁ……♡ か、すが……♡ 熱い……春日の、あついぃ……っ♡♡」
「ふぅ……濃いのが出たな……」
深く、深すぎる絶頂の余韻。
私たちは互いの身体を抱きしめ合ったまま、びっしょりと汗ばんだ肌を重ね、荒い呼吸を共有していた。
彼が私の中に注ぎ込んだ熱は、しばらくの間、じんわりと私の子宮を温め続け、その重みだけで再び私が雌としての悦びを感じてしまうほどだった。
やがて、九頭がゆっくりと腰を引き、私の中から自身のモノを抜き去った。
ぬちゃ……♡
卑猥な音を立てて抜けた穴から、溢れきれなかった彼の白濁と私の愛液が混ざり合い、太ももを伝ってシーツへと滴り落ちていく。
私はぼんやりとした頭で、引き抜かれたばかりの彼の肉棒を見つめた。
あれだけの量を放ったというのに、それは未だに凶悪な硬さと熱を保ち、赤黒く猛り狂っていた。
「……佐枝? どうしたの、そんなに物欲しそうに見つめて」
「あ……」
九頭が意地悪く微笑む。
私は、もはや完全にハメ撮り云々のことをこのとき忘れていた。
ただ目の前にいる雄に、恋人に心ゆくまで抱かれたい、貪って欲しいし、その逞しい肉棒を貪りたいという本能に、私の身体が、精神が支配されていた。
私は自ら両脚を大きく、くぱぁ、と広げた。
白濁に塗れた蜜壺を彼に見せつけるようにして、私は甘く、淫らな声で懇願した。
「……春日。私……まだ、足りない……っ♡」
「へぇ……。本当に、エロいな佐枝」
「お願いっ♡ 恋人なんだろう?♡ だから……今日一日、ずっと私を……めちゃくちゃに、抱いて……くれっ♡♡」
その言葉に九頭は私に対して覆い被さってきて、そして――
私たちはそのまま一夜を共にした。
早朝。
気怠さを感じながら寝室のベッドで身を起こす。
すると、そこには。
『かすがぁ、かすがぁ♡ もっと、もっとっ♡♡ 私をいじめて……んお゛ォ゛ッ!!?♡♡♡ あ゛ぁっ!!♡♡ まって♡ まっへえ゛ッ!?♡♡ こんなっ、こんにゃの♡♡ しらにゃい゛ぃッ!!♡♡♡ こわい、へんにっ!!♡♡ ん゛お゛ぉ゛ぉッ!!!♡♡♡ びりびりって、あたまばかになってっっ♡♡ かすが、きすっ♡ きすをしてぇ!♡♡ そうしたら、私――』
「おっ、佐枝ちゃん起きた? いやー、昨日は楽しい一日だったなぁ。ハメ撮りもこの通り、見所がタップリ取れて編集するのが大変そうで」
とりあえず、枕を投げた。
「死ねぇ! 春g……いや、九頭! クズカス!」
「教師が生徒の蔑称を言うのはどうかと思うぜ佐枝ちゃん」
いつも通りの飄々とした様子の九頭の姿に、私は顔を真っ赤にしながら怒りを露わにした。
思わず、名前で呼びそうになった自分が腹立たしい。
心底、この男はクズなカスだと思った。
女の敵だ。
手当たり次第にものを投げつけ、激情を発散しようとするが収まらない。
そんな私の姿を彼は愉しそうに眺めている。
その余裕もまた腹立たしい。
これではまるで、私だけ気にしているようで……。
「まっ、偶にはああいったのも面白かっただろう」
「お、面白くなんてない! あ、あんな下らない……」
「まあまあ。また今度やろうぜ」
「二度とあんなことしたりなんて」
「佐枝。――やろうぜ?」
「……っ!」
手首を掴まれ、低い声で尋ねられて私は……。
ただ、コクリと頷くのだった。
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