ようこそクズカスのヤリチン至上主義の教室へ 作:ホメロス
視界が、ぐらりと揺れる。
真っ白なシーツが、私自身の額から滴り落ちる汗によって、いくつもの薄暗い染みを作っていた。
「あ……っ、ぁっ、く……っ♡」
喉の奥から絞り出されるのは、私のものではないような、ひどく掠れた情けない吐息だった。
両手両膝をベッドに突き、無様に尻を高く突き上げるという、動物のような四つん這いの姿勢。
ここは私の部屋。
誰にも侵されるはずのなかった、聖域のはずだった。
だけど今、この部屋の空気は、ひどく粘り気を帯びた熱気と、噎せ返るような男女の汗の匂いによって、汚染されていた。
ずちゅうううっ……!!♡♡
「ひぐっ!?♡ あ゛っ、あぁっ……!♡」
背後から、容赦のない分厚い肉の楔が、私の後の穴――本来ならば決して排泄以外の用途で使われることなどないはずの、不浄な小さな穴を強引に抉じ開け、侵入してくる。
(……っ、あぁ……♡ 違う、こんな……こんなの、間違っているわ……ッ!♡)
頭の片隅で、残骸のように残った理性が叫ぶ。
だが、限界まで押し広げられた柔らかな粘膜は、熱く硬い男の象徴の形を克明に記録しながら、逃げ場のない圧迫感とともに、腹の奥底へとその侵略を許してしまう。
「どうした堀北。今日はやけに力が入ってるな。もっと力抜けよ、俺のが奥まで入らねぇだろ」
私の腰を浅黒い大きな手がガッチリと掴み、固定する。
九頭春日。
軽薄で、いつも余裕ぶった笑みを浮かべている、あの男の低い声が耳元を打つ。
「くっ……九頭、くん……っ♡ もう……やめ、なさい……っ♡」
威圧するように放ったはずの私の言葉は、震えと熱を帯び、まるで甘えているかのように鼓膜に響いた。
「やめる? 冗談言うなよ。お前が勝負に負けたんだ。これは正当な罰ゲームだろ?」
ぬぷっ、ずぶぶぶぶっ……!♡
「あ゛っ、んっ、ぃひぃっ……!♡」
私の言葉など意に介する様子もなく、彼の腰が重く沈み込む。
極太の楔が、膣内の隅々までを灼き焦がすような温度で擦り上げながら、直腸の奥深くに容赦なく打ち付けられた。
(っ……!♡ ああっ、奥……っ♡ 奥に、こんな……大きすぎるのが……入って……っ!♡)
息が止まる
前ではなく、後ろの穴。
そこを貫かれているという異常な事実が、私の中の自尊心を強く刺激し、砕いていく。
なぜ、こんなことになってしまったのか。
思考を逃避させるように、私は霞む頭で過去を振り返った。
九頭春日。
入学当初の私にとって、彼は数多くいる有象無象のクラスメイトの一人でしかなかった。
無駄に馴れ合うことを嫌い、自らの能力のみでAクラスに上がれると信じていた私にとって、彼のような軽薄な男は視界に入れる価値すらない存在。
だが、現実は残酷だった。
結果を出せると思っていた私は、クラスの中で徐々に孤立していき、対して彼は、持ち前の余裕と要領の良さで、気づけばクラスの中心人物たちの間にスッと入り込み、私が持っていない影響力を確実に広げていった。
それが、ひどく気に入らなかった。
あんな女遊びぐらいしか余念がなさそうな男が、なぜ私よりも優位に立っているのか。
そんな苛立ちを募らせていた矢先、私は彼に、決定的な弱みを握られてしまった。
堀北学。
私にとって絶対的な指標であり、生徒会長として学園の頂点に君臨する彼が、あの日、不甲斐ない私に対して直接的な暴力を振るった。
私にとっては、それは兄からの正当な躾の一環であり、不甲斐ない自分にとって受け入れるべき罰だった。
だが、他人が見ればどうだろうか。
もしあの映像が学校側に提出されれば、三年生である兄の経歴に、そして卒業後の進路に致命的な傷がつくことは免れない。
それだけは、絶対に避けなければならなかった。
だから私は、九頭くんの提案に乗った。
『俺と勝負して、お前が勝つことができれば、このデータは綺麗さっぱり消してやる。でも、お前が負けたら提出する。どうしてもっていうのなら……俺の言う罰ゲームを、一つ受けて達成できれば、勝負に負けた分はチャラにしてやってもいいけどな』
最初は、すぐに勝てると思っていた。
学力であれ、運動であれ、私が彼に遅れをとるはずがないと。
だが、結果は惨憺たるものだった。
連戦、連敗。
その度に、罰ゲームと称して、私の身体は彼に弄ばれることになった。
最初は、屈辱と怒りで狂いそうだった。
自分の肉体が、好きでもない男の手によって暴かれ、性的な視線を浴びせられること。 触れられる度に、穢されていくという絶望感。
そのはず、だったのに……
じゅぷっ、ぬちゅり……っ、ぬぷぷぷっ♡♡
「あぁっ、んっ、はあぁっ……♡」
部屋に響き渡る、水気を帯びた卑猥な音。
彼が腰を引くたびに、腸の粘膜が吸盤のように太い肉の柱に吸い付き、外へと引っ張り出されそうになる。
そして再び、強烈な勢いで最深部へと打ち込まれる。
(……あぁ、なんで……♡ こんな、後ろの穴を犯されて……♡ 頭が、真っ白に……っ♡ 気持ちいいなんて、思っちゃダメ……なのにっ♡)
そうだ。
私は、狂ってしまったのだ。
負けても、身を辱められているというのに。
理不尽に陵辱されているというのに。。
こうして自らの裸身を晒すことも、アナルセックスを強要されることも、異常であるはずなのに、いつしか私の中で「当たり前」のものになりつつあった。
怖い。
そんな自分に慣れ始めている自分が、たまらなく恐ろしい。
「どうした堀北。考え事か? 俺のちんぽ咥えながら考え事なんて、生意気なやつだ」
「ひゃああっ!?♡ ち、が……っ、あ゛ぁぁっ!♡」
九頭くんの腰の動きが、唐突にその角度を変えた。
ただ前後にピストンするだけでなく、下へ押し潰すようなストローク。
ごりゅっ♡
腸壁の薄い膜を隔てて、彼の太い亀頭が、私の女性としての最も深い場所――子宮の裏側を、直接擦り上げるように削った。
「あ、い、い゛ぃぃぃぃッッ!!♡♡」
全身の毛穴が爆発するような快感。
背骨を駆け抜けた電流が脳髄を直撃し、視界がチカチカと明滅する。
「前よりびくびく跳ねるようになってきたな。わかるか?」
「そ、れ……っ、だめっ……♡ やめ、て……そこは、おかしく、なっちゃう……っ♡」
私は堀北鈴音。
こんな、汚らわしい行為で、卑劣な男に降伏するような女ではない。
そのはずなのに、私の口からこぼれ落ちるのは、彼に媚びへつらうような、甘ったるい喘ぎ声ばかりで。
「やめるわけないだろ。好きなんだろ? わかってるよ。こうして、勝負に負けて、罰として後ろの穴から子宮をガンガン突かれる……気持ちいいよな?」
「ちが……っ、私は、こんな……ああっ♡ ああっ♡ ひぐっ、んおおお゛お゛っ!!♡♡」
ずちゅっ!♡ どちゅうううっ!!♡ ぐりゅっ!♡
容赦のない、重く深い一撃が、連続して子宮の裏側を打つ。
擦れ合うことで生じる焼け焦げるような快楽の熱が、私の胎の深部をどろどろに溶かしていく。
(あぁっ……九頭くんの、おちんぽが……私の子宮を壁越しに、叩いて……っ!♡ 壊れちゃう……ッ!♡)
理性が、敗北感と暴力的な快楽の濁流に呑み込まれていく。
シーツを握りしめていた指から力が抜け、私の身体はただ彼の一撃を受け止めるためだけに、みだらにビクビクと痙攣を始める。
ぐちゅ、じゅるるるるっ……ぬぽぉっ♡
「ひぐっ、あ゛っ、んああぁっ……♡♡」
九頭くんの腰が大きく引かれる。
その瞬間、腸の柔らかな粘膜が、彼の熱を帯びた凶悪な形にぴったりと吸い付いたまま外側へと引っ張られ、私の最も奥深い場所が裏返ってしまいそうなほどの強烈な喪失感に襲われた。
(あっ、抜かれちゃ……っ♡)
頭では彼を拒絶しなければならないと分かっているのに、私の肉体は彼が引き抜こうとする度に、キュウッ、キュウッとすがりつくように腸壁を収縮させ、その極太の熱を必死に引き留めようとしてしまう。
「おいおい、そんなにキツく締めるなよ。お前の後ろの穴、俺のが抜けそうになる度に、すごい力で吸い付いてくるぜ? どんだけ俺のチンポが好きなんだよ」
「ち、が……っ、そんなの、じゃ……っ、ひゃんっ!♡」
ずぶぶぶぶっ!!♡ どちゅううっ!!♡
否定の言葉を遮るように、再び容赦のない最深部への侵撃。
「あ゛あ゛っ!♡ ぎっ、んお゛お゛お゛お゛っ!!♡♡」
「ちがうって? じゃあなんだよ、このお前の卑猥な声は。勝負に負けて、俺に後ろから犯されてる今の状況が、たまらなく気持ちいいんだろ?」
九頭くんの浅黒い手が、四つん這いになっている私の腰をさらに高く引き上げ、より深い角度で突き入れられるように姿勢を強制する。
「や、やめ……っ、わたし、は……罰ゲーム、だから……っ、仕方、なく……っ♡」
「ああ、そうだな。お前は兄貴のためにこの罰ゲームをちゃんと受けないといけない。そういう理由がある。負けたから受けている正当な罰だ。だから、恥じる必要もない。ただ俺に犯されて、気持ちよく鳴いていればいいんだよ」
(……っ、そう、よ♡ これは、兄さんを守るため……仕方なく、だから……っ!♡)
その言葉が、私の頭の中で反響する。
免罪符の言葉が、快楽を受け入れるための理由へとすり替わる。
敗北。
その言葉を頭に思い浮かべるだけで、なぜか背筋にゾクゾクとした悪寒にも似た熱が走り、下腹部がキュンッと痛いほどに疼いた。
勝負に負け、彼に支配され、こうして惨めに身体を弄ばれる。
その「敗者」としての立場を自覚する度に、心の底から湧き上がる痺れるような快感。
ぬぷっ、じゅるっ、ぐちゅうううっ!♡
「ああっ♡ ひぃっ♡ 九頭、くんっ、もっと……っ、もっとぉっ……♡」
言葉を飾る余裕が失われた。
私は敗者で、兄を守るためには彼に従わなくてはならなくて、そんな言葉が頭を埋め尽くす。
心から屈したわけではないと言い聞かせていると口から言葉が漏れ、無意識に自ら尻を振って彼の突き上げを迎え入れ始めていた。
「っ……! 堀北……マジでエロいな。後ろの穴、中がうねるように動いて……絡みついてくる」
九頭くんの息遣いが、荒く乱れる。
その低く熱を帯びた吐息が、彼の限界が近いことを知らせていた。
「あ、あっ♡ 九頭くんの、硬いのっ……!♡ 私のなかで、熱く、なって……っ♡ だ、だすのね……っ?♡」
「ああ、もう我慢できねぇ。堀北、お前のこの卑猥な穴の奥底に、俺の精液、全部ぶちまけてやる。しっかり受け止めろ」
「だめっ♡ だめよっ♡ そんな、汚いトコロに……っ!♡ 中に出すなんて、私……本当に、おかしくなっ、ひぎぃぃッ!!♡♡」
ずちゅっ!!♡♡ どちゅううううううっっ!!♡♡
これまでのストロークとは比較にならない、全身の体重を乗せた一撃。
極太の楔が、私の直腸の行き止まりを強引に押し広げ、奥の奥、子宮の真裏にピタリと密着する。
逃げ場のない圧迫感と、腸が破裂しそうなほどの膨張感。
「いくぞ、堀北……っ! 勝負に負けた証としてたっぷりと味わえッ!」
「あ゛っ、あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁーーーーッッ!!!♡♡♡」
どくっ!♡ びゅるるるるるるるっっ!!♡♡
排泄のためだけに存在していたはずの不浄な空間に、熱く、粘り気のある男の体液が、暴力的な勢いで直接射ち出された。
(あぁっ!♡ 熱い……っ!♡ 熱いのが、私の奥に、どくどくって……ッ!♡)
腸壁を直接叩く、白濁した熱の塊。
それが最も恥ずかしい場所に大量に注ぎ込まれ、腸の中をドロドロに満たしていくという事実。
びゅるっ、どくどくどくっ……!♡♡
「ひぐっ、んおおお゛お゛お゛っ!!♡♡ 熱いの、いっぱい、出てるぅっ……!!♡♡ お尻の穴に、九頭くんのが、いっぱいぃぃッ!!♡♡」
敗北の証。
服従の烙印。
その熱を帯びた証拠が私の最深部に刻み込まれるたび、私の脳内で何かがプツリと弾け飛んだ。
「お゛っお゛っお゛ぉぉ……っっ!♡♡♡ イグっ!♡♡ イぎまずっ……!!♡♡ お゛イ゛゛グッッ…………!!♡♡♡」
視界が真っ白に閃光する。
思考は完全に停止し、ただ細胞の一つ一つが、不浄の穴に注がれる精液の熱を味わっていく感覚。
絶叫とともに絶頂し、私は四つん這いの姿勢を維持することすらできず、その身体はベッドに崩れ落ち、みだらにビクビクと痙攣を繰り返したのだった。
朝。
無機質な電子音が、室内に鳴り響く。
「……っ、ん……」
規則正しい生活を自らに課している私にとって、アラームが鳴る前に目を覚ますのは当然のルーティーンだった。
だが今朝は、目を開けることすら億劫に感じるほど、全身を分厚い疲労感が覆い尽くしていた。
重い鉛を引きずっているかのような四肢の気怠さ。
そして何より――。
(……痛い、わね。それに……熱い……)
シーツの中で寝返りを打とうとした瞬間、腰の奥底、直腸のあたりからズキリとした鈍い痛みが走り、思わず小さく顔をしかめた。
昨夜の記憶が、鮮明な熱を伴って脳裏に蘇る。
私の部屋、私のベッド。
そこで彼に四つん這いの姿勢を強いられ、罰ゲームとして、不浄の穴を容赦なく抉り開けられて――
「……んっ」
思い出しただけで私の心拍数が跳ね上がり、下腹部がキュンッと収縮した。
布団をめくり、自らの身体を見下ろした。
寝る前に億劫な身体をなんとか動かし、身体を洗いパジャマに着替えた。
ベッドの方も悲惨なことにはなったが、それでもできる限り痕跡は消して眠りについた。
昨日の痕跡はどこにも残っていない。
そのはずだったのに。
にちゅっ……。
「あ……っ」
股間から、ひやりとした液体が、太ももを伝って垂れ落ちる感覚。
寝る前に、キチンとシャワーを浴びて身体を清めたというのに湿り気を帯びている秘部。
(シャワーを、浴びないと……)
私は逃げるようにバスルームへと向かい、熱いシャワーを浴びた。
肌を打つ湯の熱で誤魔化しながら、そっと自らの秘部へと指を伸ばす。
「っ……ぁ、く……」
指先が触れただけで、過敏に跳ね上がるような刺激が脳を貫いた。
後ろの穴ばかり刺激され、最近はこちらを弄られていないのにどうにも敏感になってきている気がする。
秘部の入り口だけではない、もっと奥。
彼のペニスで裏から小突かれた最奥――下腹部の部分、子宮がどうにも疼いたように熱を帯びている感覚。
(……なんで、こんな……っ、私の身体……)
シャワーの音に紛れさせて、浅い呼吸を繰り返す。
自分の身体が、自分の意思から離れていく感覚。
まるで九頭春日という男に作り替えられていくような感覚に、恐怖と屈辱、怒り――そして、背筋がゾクゾクするような暗い喜びを感じかけ、私はそんな考えを頭を振って追い出した。
そんなことあるわけがない。
「……大丈夫よ、あんな卑劣な男に負けるだなんて。絶対に……っ」
濡れた髪をタオルで拭きながら、私は鏡に映る自分を睨みつけた。
冷たい水で顔を洗い、表情を引き締める。
学校では、今まで通り私でいなければならない。
縦え、身体を弄ばれた措定も、私の意志まで完全に屈服したわけではないのだから。
―――
教室の扉を開けると、そこにはいつも通りの、騒々しくも平和な日常の風景が広がっていた。
始業前のこの時間は、生徒たちが思い思いのグループを作り、談笑に花を咲かせている。
「あ、堀北さん。おはよう」
自分の席に向かおうとした私に、柔らかい声がかけられた。
櫛田桔梗。
クラスのアイドル的存在であり、男女問わず絶大な人気を誇る彼女。
「……おはよう、櫛田さん」
私は平静を装って、短く返す。
彼女との関係性は、一言で表すなら「複雑」だった。
入学当初、私は無駄な交友関係を一切不要と断じ、誰とも群れることなく「孤高」を貫いていた。
能力の低い者を切り捨て、自分一人の力でAクラスに上がることができると盲信していたのだ。
だが、結果は散々なものだった。
個人主義が災いし、私はクラスで完全に孤立し、兄さんからの失望の眼差しを受ける始末。
一方で彼女は試験で活躍し、クラスをまとめ上げ、クラスの中心人物としての地位を確固たるものとし、実質的なリーダーへと登り詰めた。
彼我の功績の差は明らか。
私は自らのやり方の限界を痛感せざるを得なかった。
仲間を持つことで初めて頂に近づくことができる、その事実に気づいた私は、不本意ながらもクラスメイトたちと歩み寄る努力から始めなければならなかった。
とはいえ、そういったことを得てしてない私が、平田洋介や軽井沢恵といったクラスの中心人物たち、そしてこの櫛田桔梗とうまく関係性を築くことなど不可能に近かった。
それを可能にしたのが――皮肉なことに、あの九頭春日だった。
彼は持ち前の軽薄さと要領の良さで、あっという間にクラスのヒエラルキーの中枢に入り込んでいた。
彼が間を取り持つ形で、私は少しずつクラス内での発言力を得て、今ではクラスの実質的な方針を決める平田くんたちと議論を交わせる位置にまで来ている。
私自身の努力もあったが、彼の影響力がなければ、ここまでスムーズに事が運ばなかったこともまた事実だった。
「堀北さん、髪、少し跳ねてるよ。直してあげる」
「え……? あ、ちょっと……」
櫛田さんが自然な動作で手を伸ばし、私の襟足のあたりを指先で梳いてくる。
その接触に、私はわずかに肩を強張らせた。
(……どういうつもりなの、彼女は)
私は気付いていた。
彼女のこの天使のような人当たりの良さは、あくまで完璧に作られた「仮面」でしかないことを。
理由はわからないが、彼女は私を敵視していたはずだった。
それは間違いない。
笑顔の裏から感じる敵意のようなものを感じ取り、だからこそ好きになれずにいたのだが、彼女のそんな雰囲気はいつの間にか消えていた。
実は思い違いだったのかと言わんばかりに。
方針を転換して、クラスの中心人物である彼女たちと歩調を合わせることにした私だったわけだが、櫛田さんと関わることだけは正直なところどうなのかと悩んでいたのだが……この調子だ。
彼女は異様なほど親身になって接してくるのだ。
まるで、私の世話を焼くことを心底楽しんでいるかのように。
警戒していたこちらがバカらしくなるぐらいに。
「ふふ、これで完璧。今日も可愛いよ、堀北さん」
「……余計なお世話よ。髪くらい自分で直せるわ」
「つれないなぁ。でも、そういうツンとしたところも堀北さんらしくて好きだけどね」
櫛田さんは全く悪びれる様子もなく、ふんわりとした笑顔を浮かべている。
その笑顔の奥には、かつて見たような笑顔の裏にドロっとへばりついたような悪意は感じられない。
だからこそ、困惑する。
なぜ彼女は、こんなにも態度を軟化させたのか。
問い詰めたくもあるが、ようやくクラスとしての立場も改善されていっている途中なのだ、クラスのアイドルである彼女と変に諍いの種になるようなことはしたくない。
どうしたものか。
そう考えを巡らせていると、教室の後ろの扉が開き、聞き慣れた、軽薄な声が響いた。
「おーっす。お前ら、朝から元気だなー」
ビクッ。
その声を聞いた瞬間、私の背筋に電気が走り、身体が無意識のうちに強張った。
(……っ、平静を装いなさい。私。彼を見ただけで動揺するなんて、愚かすぎるわ……)
私は必死に呼吸を整え、手元の教科書に視線を落とした。
関わらない。
こちらからは絶対に視線を向けない。
関係は隠しているのだから、教室内ではそう振る舞えばいい。
だというのに、私の聴覚は、彼の立てる些細な衣擦れの音や足音を、獲物を警戒する草食動物のように過敏に拾い上げてしまう。
「あ、九頭くん。おはよう」
櫛田さんが、先ほど私に向けていたのと同じ、いや、それ以上に甘く弾んだ声で彼に挨拶をする。
「おう、櫛田ちゃん。今日も朝から可愛いな」
「もう、相変わらずお世辞が上手いんだから」
二人の会話が耳に届く。
その瞬間、なんとなく違和感を感じた。
櫛田さんも九頭くんも、誰にでも友好的というか、社交性の高い人物だ。
だから、二人が親しげに会話をしていても別に違和感はない。
そのはずなのに、視線を絡める二人の様子に何かを感じた。
「おーい、九頭。ちょっと来てー」
「ん、なんだよ軽井沢。朝から人使い荒いな」
そう声をかけたのは軽井沢さん。
彼女もまた、社交性のある人物ではあるがそれはあくまで女子の範囲の中だけ、平田くんの彼女という立場もあるのか男子生徒とはあまり会話をしないタイプだったはずだが、九頭くん相手には気安く、そして勘違いだろうかどこか甘えたような響きを含んでいた。
「いいからちょっとこっち来て。この問題わかんないんだけど」
「はいはい。お前、ほんと俺がいねぇとダメだなー」
九頭くんが軽井沢の席に近づき、彼女の後ろから覗き込むようにして教科書を見る。
その距離が、異常に近い。 軽井沢の金色の髪が、九頭くんの顔に触れそうになっているのに、彼女は少しも嫌がる素振りを見せない。
「あははっ、九頭、それ絶対、違うし!」
「マジで? わりぃ、俺も勘で言ったわ」
二人して笑い合う姿は、ただのクラスメイトに対してはどうにも親密過ぎるように見えた。
(……軽井沢さんまで。……いえ、別にどうでもいいでしょう? 何を気にしているの、私。彼が誰と仲良くしていようと……いえ、違うわ。これはあれよ、彼のような卑劣な男が他の女子生徒にも手を出しているんじゃないかと気になるのは当然で……っ)
言い訳がましい言葉が頭の中で反響する。
なぜ、私がこんな感情を抱かなければならないのか。
彼は、私の弱みを握り、脅迫し、強引に身体を奪っているだけの最低の男。
気にする理由など、欠片もない。
それなのに。
心が乱れる。
身体の奥、子宮の部分が甘く疼く。
ジリジリとした熱を帯びる。
「――堀北さん」
不意に、真横から声が降ってきた。
ビクッとして顔を上げると、そこには櫛田さんが立っていた。
九頭くんは、いつの間にか男子のグループの方へと移動していた。
「な、なに……かしら」
動揺を悟られまいと、私は努めて冷ややかな声を作った。
だが、櫛田さんの顔を見た瞬間、私の言葉は喉の奥に詰まった。
いつも完璧な笑顔を崩さない彼女が、今、私に向けているのは、ひどく艶やかな――意味深な笑みだった。
「堀北さん、顔、真っ赤だよ? ……九頭くんのこと、目で追ってたでしょ」
心臓を素手で握り潰されたかのような衝撃。
「違っ……! 私は、彼のことなんて……」
「ふふっ、焦らなくても大丈夫だよ。わかるから」
櫛田さんが、私の耳元に顔を寄せ、吐息が掛かるほどの距離で甘く囁いた。
「九頭くんって、なんだかちょっと強引で、でも大人の余裕があって……惹かれちゃうのも無理ないよね。実はね、私も最近……彼のことが、すごく気になってるんだ」
ドクンッ。
私の身体から、スッと血の気が引いていくのが分かった。
本当に言葉通りの意味なのか。
気になっているから、私に牽制を仕掛けてきた――そうとも取れるが、彼女の艶然とした瞳がそれを否定する。
直感する。
それは愉悦だ。
高みから見下ろすように、哀れみを持った視線。
想像したくもない光景が、勝手に脳裏にフラッシュバックした。
あの軽薄な笑顔を浮かべながら、櫛田さんの柔らかな身体を押し倒し、私がいつもされているように、強引に服を剥ぎ取り、そして、私の腸をどろどろに溶かしたあの極太の熱で彼女をよがり狂わせる彼の姿を。
「あっ……はぁっ……」
無意識のうちに、私の口からひどく熱を帯びた吐息が漏れた。
「あ、ごめんね堀北さん。変なこと言っちゃった。じゃあ、また後でね」
櫛田さんは悪びれる様子もなく、ふわりと微笑んで自分の席へと戻っていった。
一人残された私は、必死に自分の身体に起きている異変を押し殺そうとしていた。 太ももを固く閉じても、股間の奥底からじわりと滲み出してくる、みだらな湿り気。
(……なんで……私は、こんな……っ)
その日、私は授業の内容をほとんど頭に入れることができなかった。
ただ、視界の端に映る九頭くんの背中と、彼に親しげに話しかける女子たちの姿を見るたびに、私の子宮が火を点けられたように熱く疼き続けるのを感じながら……
夜。
生徒寮の自室。
シャワーを浴び、清潔なパジャマに着替えたというのに、私の身体はまるで熱病にでも冒されたかのように、じっとりと汗ばんでいた。
「はぁっ……ふぅっ……」
ベッドに横たわり、シーツを固く握りしめる。
下腹部の奥、女性としての最も深い場所――子宮が、ズキズキ、キュンキュンと、脈打つような痛みを伴って疼き続けている。
風邪ではないのに、ずっと熱っぽい。
(……私の身体……ずっと、奥のほうが、うずいて……っ)
原因は明白だった。
ここ最近、勝負に負けた後の「罰ゲーム」は、決まって後ろの穴を犯されることだった。
そして、彼はただ私の直腸を蹂躙するだけでなく、執拗に特定の角度を狙い澄まして突いてきた。
腸の薄い膜越しに、子宮の真裏を直接擦り上げ、刺激を送るように。
最初はただ脳髄が焼き切れるような圧倒的な快感に悲鳴を上げているだけだった。
だが、その暴力的なまでの刺激が、続いたあと、どうにも私の子宮は熱を帯びるようになった。
行為が終わったというのに、深くイッたというのに、ジンジンと火照ったような疼きが子宮の奥に残る感覚。
それが段々と強くなり、無視することができないほどになっていた。
(……っ、どういったつもりかはわからないけど、彼のせいで、私の身体がおかしくなったことはわかる……っ! ふぅ、ふぅ……こんな、熱を欲しがるような……っ!)
悔しさに唇を噛む。
だが、いくら頭で彼を憎もうとしても、身体の疼きは一向に収まらない。
むしろ、彼に「作り変えられてしまった」という屈辱的な事実を認識するほど、私の奥底から熱い粘液が溢れ出すのを感じてしまう。
「あっ……んっ……くぅ……っ♡」
耐えきれず、私は震える右手をパジャマのズボンの中に滑り込ませた。
かつてはこんなことなどしなかった。
なのに、最近では当然のようにやっている。
自らの秘部。
そこは、すでに自分の意志とは無関係に、どろどろの愛液でひどく濡れそぼっていた。
(……っ、こんなこと、してはいけないのに……でも、奥が……熱くて、苦しい……っ)
ぬちゅり♡
指先が湿った秘部に触れた瞬間、卑猥な水音が静かな部屋に響いた。
私は息を詰め、そっと中指の腹で、硬く勃起した小さな蕾を擦った。
「ああっ……! んっ、ふぁあっ……♡」
鋭い電流が背筋を駆け抜け、腰が跳ねる。
だが、足りない。 表面的な刺激では、この重苦しい子宮の疼きを鎮めることなど到底できない。
私は焦燥感に駆られるように、指をゆっくりと沈め込んだ
誰にも侵されていない場所。
彼に後ろを好き放題に犯されながらも、奪われていない純潔の場所。
じゅちゅっ……ぬぷっ♡
「ひぐっ……あ……っ、ちが、う……これじゃ……っ♡」
指を出し入れし、必死に自らの内壁を擦ってみる。
しかし、私自身のか細い指先がもたらす感触は、もどかしく、物足りない。
私の身体が訴えている。
もっと太くて、熱くて、硬いもの。
私のこの熱く蕩けた柔らかな粘膜を限界まで押し広げ、子宮の入り口まで届くようなものが――
「あぁっ……ちがう……っ♡ そんなこと、考えてな……っ♡ わ、私は……っ♡」
疼きは消えない。
解消しようと指をどれだけ動かしても、もどかしく、物欲しくなるばかり。
くちゅっ、ぢゅるっ……!♡
「あっ、あっ、あぁっ……♡ これじゃ……っ!♡ もっと、奥……疼いて……っ♡ ひんっ……♡」
どれだけ指を激しく動かしても、子宮の奥で燃え盛る熱は冷めるどころか、ますます勢いを増していく。
結局、私はまともな絶頂すら迎えることができないまま、ただ徒労感とみだらな愛液だけをシーツに撒き散らし、荒い呼吸を繰り返すことしかできなかった。
(……明日。明日は、また勝負……次こそは勝って……兄さんのため……。でも、負けたら……っ♡)
熱で霞む頭の片隅で、そんなことを考えながら私は一睡もできないまま、長く苦しい夜を過ごしたのだった。
翌日の放課後。
人気のない旧校舎の空き教室。
窓から差し込む夕日が、机の上に置かれたチェス盤を赤く染め上げている。
「さて、と。今日も元気に勝負といくか、堀北」
向かいの席に座る九頭くんが、悪びれる様子もなく軽薄な笑みを浮かべた。
私は彼から視線を逸らし、盤上に並べられた白と黒の駒を見つめる。
前までなら、この瞬間から勝負のために切り替わるはず。
だが、最近の私はどうにもおかしい。
勝負の際に集中し切れてないことがよくあるようになった。
特に今日の私は酷い。
昨夜、自らの指で弄っても全く鎮まらなかった下腹部の疼きが、おさまらなかったのも影響しているが、彼とこうして向かい合った途端、より熱を持って脈打ち始めた気がして全くといっていいほど集中できない。
(……落ち着きなさい。今回の勝負はチェスよ。やった経験はそれほどないけど、ゲームである以上は勝ち目のある勝負。彼に勝利してこの関係に終止符を……)
自分にそう言い聞かせ、一つ深く深呼吸をした。
しかし、彼から発せられた次の一言が、立て直そうとしていた私の精神を酷く揺さぶった。
「ああ、そうだ。始める前に、今日の『罰ゲーム』をあらかじめ決めておくぜ?」
「……っ、罰ゲームを先に?」
「別にいいだろう? 勝てばいいんだよ、勝てばな。それで罰ゲームの内容なんだけど……今までずっと、後ろの穴ばかり使ってやってたけど。そろそろ、前の方も使いたくなったなって」
心臓が、跳ね上がった。
「な、なにを……言って……」
「まあ、可哀想だからさすがに奪ってやらないように俺もやってたけどさ。これだけ負けたんだ、そろそろちょっとした罰ゲームだけでチャンスをあげてやるってのもなぁ?」
「ちょっとした罰ゲームだなんて……」
「おいおい、罰ゲーム自体は俺の慈悲だぜ? 勝負してやってるだけでもチャンスを与えてやってるのに、罰ゲームさえ達成できればまたチャンス。別に俺は堀北のことなんて無視して、提出してやってもいいんだ。あれだけ機会を与えてやったんだ感謝されることは非難される謂れはねぇ」
「それは……!」
「決定事項だ。いいか、よく聞け。今回お前が負けたらその時は――」
彼が身を乗り出し、盤面越しに私の耳元へと顔を近づける。
首筋に吹きかかる、ひどく甘くて熱い吐息。
「――お前の処女を奪う。大事に守ってきたその処女膜を、俺の太いのでぶち破って、お前の奥深くに直接、たっぷりと俺の精液を注ぎ込んでやる」
ドクンッ!!♡
全身の血液が、一瞬にして沸騰した気がした。
処女を、奪う。
私がこれまで、どんなに後ろを蹂躙されようとも、かろうじて守り抜いてきた最後の砦。
それをついに彼が奪いに来たという事実に、私はきっと声を上げるべきだったのだろう。
立場が圧倒的に不利で、騒いだところで変わらなかったとしても、女性として大事なものを奪われる、そう宣言されたのだから。
それなのに。
「あ……っ、ぁ……♡」
私の口から漏れたのは、抗議の言葉ではなく、ひどく熱を帯びた甘い吐息だった。
(だめ、よ……そんなこと……っ♡)
想像が頭を支配する。
身体がその想像――彼の逞しい剛直によって貫かれる私の光景に勝手に反応し、きゅうぅぅっと切なく子宮が甘く疼き、収縮した。
下着の奥から、どろり、と大量の愛液が溢れ出し、太ももを伝って垂れ落ちそうになる感覚。
私は必死に膝を閉じ、顔を真っ赤にして彼を睨みつけることしかできなかった。
「……最低ね。知っていたけど。あなたみたいな最低な男に負けないわ」
震える声で、精一杯の強がりを絞り出す。
「ははっ、いい目だ。そうだよ、勝てばいいんだ。兄貴のことと自分の処女を守るためにさ。……さて、始めようぜ」
彼は余裕の笑みを崩さないまま、椅子に深く背もたれを預けた。
先行を促され、私は震える指先で、ポーンの駒を前に進めた。
カツン、という硬質な音が、静かな教室に響き続ける。
彼が動かした黒いナイトが、私の白いポーンを盤上から弾き飛ばす。
『ほら、力抜けよ。今からお前のここを、俺のコレでぐちゃぐちゃにしてやるからよ』
『あ、ひっ……だめ、やめ……っ!♡』
(……っ!? な、なにを想像しているの、私はっ……! 彼が変なことを言うから……っ)
盤面を見つめているはずなのに、視界の端で彼の大きな手が動くたび、私の胸を鷲掴みにしたときの感触が蘇る。
あるいはペニスを舐めさせられたときの記憶、手で扱かされたときの記憶、秘部を舐められたときの記憶、指で弄られたときの記憶。
呼吸が浅くなる。
勝負の緊張のせいだと、自分に言い聞かせる。
カツン、カツン。
ゲームは中盤戦へと差し掛かっていた。
私はなんとか理性を総動員して盤面を分析しようとするが、思考はひどく鈍く、靄がかかっているようだった。
(もし、負けたら……私は、彼に……っ♡)
彼のあの、凶悪なまでに太く、熱くそそり立ったペニス。
何度も見て覚えてしまったそれが頭を過る。
私の後ろの穴を何度も犯し抜いた剛直が、まだ誰の形も知らない私の入り口を容赦なく肉の壁を押し広げて侵入してくる。
そんな想像。
下腹部の奥底がズキズキと熱く痛み、呼吸が浅く、速くなっていく。
「はぁっ……ふぅっ……♡」
「おいおい、どうした? まだ中盤だぜ。そんなに息切らして、頭に血でも上ったか?」
彼が盤面から視線を上げ、私の顔をニヤニヤと見つめながら言ってきた。
「っ……なんでも、ないわ。ただ……少し、暑いだけ……っ」
「へぇ? 暑いねぇ。……てっきり、負けた後のこと想像して、股の間でも濡らしてしまってるんじゃないかと」
「なっ……! ふざけ、ないで……っ!」
私はひっくり返ったような声を上げた。
(……違う、そんなことない。私は……勝ちたいの。兄さんのために勝って、チャンスを得る……そのために……)
私は歯を食いしばり、必死に盤面に意識を戻す。
彼は強い。
だが、完璧ではない。
勝機は必ずある。
私は深呼吸をして、彼の陣地深くへとビショップを進めた。
ここから一気に攻勢に出る。
そう決意した時、私の目の前で、信じられない光景が繰り広げられた。
「……おっと、手が滑っちまったな」
彼が、なんの躊躇いもなく、自身の最も重要な駒であるキングを、私のクイーンの斜め前――全く無防備な位置へと移動させたのだ。
「え……?」
私は目を疑った。
トラップか? 何かの罠か?
だが、何度頭の中でシミュレーションを繰り返しても、結論は一つしかない。
このキングを取れば、私の勝ち。
わざわざキングを差し出すような一手。
「悪手」という言葉すら不相応な動かし方。
私は恐る恐る顔を上げ、彼を見た。
彼は、頬杖をつきながら、すべてを見透かしたような目で私を見つめ返していた。
「ほら、どうした堀北。お前の番だ」
彼の口から発せられたその言葉に私はハッと我に返った。
どんなつもりかはわからないが、彼がわざと差し出したこのキングを取れば、これさえ取れば私は勝てる。
兄さんを守れて、そして私の貞操も守れる。
(……っ、そうよ。それでいい……それを望んで……)
私は、盤上のクイーンへと震える右手を伸ばした。
あとはキングを取るだけ。
たったそれだけの動作なのに、なぜこんなにも腕が重いのか。
「ああ、取られちゃうな。そうすると俺の負けか? 残念だ。そうすると堀北の処女を奪えないな。実に残念だ」
腕が止まる。
「約束だからな、手は出さない。期待していた分、収まりがつかないが……それは頼んで抜いて貰うか」
「ふ、っ……うっ」
「ああ、でも残念すぎるからな。しばらく、堀北との勝負も中断だな。安心しろよ、その間は提出なんてしないから。お前にとってもいいことだろう? 1番は俺の手にある証拠を消去することだが、次善の策は兄貴が卒業するまで時間を稼ぐことだ。卒業してしまえば意味なんてなくなっちまう。だから、堀北にとって俺が萎えてくれことは都合がいい……そうだろう?」
「あっ、う……っ」
「しばらく、引きずるかもなぁ。年内いっぱい、いや来年になってもしばらくは堀北に手を出さないかも……。ああでも安心しろよ、クラスに迷惑はかけたくないからそっちのサポートは続けるから」
彼の言葉に私の心臓が、早鐘のようにリズムを刻む。
(ああ、なんて……ひどい。本当に……クズよ、この男っ!)
彼は言っている。
この勝負に勝てば手を出さない、と。
勝負をしないということは罰ゲームもないわけで、彼の言葉を信じるなら身を穢される心配もない。
――それでいいのか、と問いかけている。
(私に、勝利を捨てるように選べ……と? 彼に、処女を奪われるために……?)
言い訳の余地はない。
少し腕を動かせば手に入る勝利。
そして、勝利を得ることができれば今後も身を穢される心配がなくなる。
処女を奪われることもなくなる。
あの太くて熱いモノで、私の内側を満たしてもらえない。
(……っ、だめ、よ。私は……そんなだらしない女じゃない……私は……!)
必死に指先に力を込めようとする。
あと少し動かすだけでいいのに動かない。
(だめよ、だめ……っ! それはだめ……堀北鈴音。それは、それは……っ)
私の腕は動かない。
(――言い訳の余地が……なくなるっ! そんな、だって……少し動かすだけで勝てるのに、それなのに……そんなことしたら、私……認めるようなもので、だから――)
「堀北」
「ぅ、あ……っ♡」
涙がぽろぽろと零れていく。
ここでキングを取らなければ、勝利を自ら手放したのと同義。
誤魔化しのしようもなく、言い訳の余地もなく、勝利を捨て……そして、敗北を求めていること。
いや、もっと正確に言うのなら。
負けることで得られる、あの何とも言いがたい背徳的な快楽で、被虐的な快楽を求めていることを認めるようなもの。
それはこれまで築いてきた堀北鈴音という存在を否定するに等しく、自尊心を徹底的に踏みにじる行為であり――
「あ……っ、ぁあ……っ♡」
だからこそ。
カランッ。
指先から力が抜け、私の手から駒がこぼれ落ち、力なく盤面上に転がった。
「……どうした堀北。取らないのか?」
九頭くんの言葉が私を打ち据える。
言葉にして認めろ、と促される。
私は、ボロボロと悔し涙をこぼしながら、ただ口を開いた。
「ま、参り……ました……っ♡」
その言葉を口にした瞬間。
私の背筋を、今までに感じたことのないほど強烈で、電流のようなゾクゾクとした快感が駆け抜けた。
負けた。
私は、自らの意志で、『勝利』を捨て、『敗北』を選んだ。
その事実にどうしようもなく悦んだ。
「ふはっ、よく言ったな、堀北。お前は最高のマゾ女だ」
彼は立ち上がり、私を見下ろす。
その目は、私という雌をどう食べようかとしか考えていない雄のそれだった。
「わかってるな。負けたからには、約束通り罰ゲームだ。……俺の部屋に来い、長い一日になる」
その命令に対し、私はもう、何の反論もできなかった。
ただ、涙で濡れた顔を上げ、蕩けきった牝の顔で、小さく頷くことしか。
「……はい……っ♡」
私はこの日、自ら誇りを捨て去った。
ただ彼に犯されるために。
ガチャリ、と無機質な音を立てて、九頭くんの部屋のドアが閉まった。
外界から完全に遮断された密室。
男の部屋特有の、わずかに汗と整髪料が混じった匂いが鼻腔をくすぐり、それだけで私の子宮がびくびくと切なく疼いた。
「さてと。それじゃあ、約束通り『罰ゲーム』を始めようか。堀北……まずは服を脱げ」
「っ……」
振り返った彼の肉食獣のような瞳で私を射抜いた。
逆らうことなどできない。
私は震える指先で、制服のボタンに手をかける。
ブレザーを脱ぎ、ブラウスのボタンを一つ、また一つと外していくたびに、空調の冷たい空気が素肌に触れる。
だが、それ以上に、私の内側から湧き上がる異様な熱気が、全身をひどく火照らせていた。
スカートを足元に落とし、下着も脱ぐ。
既に彼には何度も見せた私の生まれたままの姿。
馴れたつもりだったのに、いつもよりも羞恥心が強く、感じてしまっている気がする。
彼の視線は私の柔らかな膨らみから、くびれた腰、そして――。
「……ははっ、すごいな」
私の股間へと下り、九頭くんは意地悪く口角を上げた。
「まだ何もしてないのに、びっしょりじゃないか。そんなに、期待してたのか?」
「ちがっ……! これは、その……っ」
「隠しても無駄だぜ。これだけ汁を垂れ流しておいて。……お前は結局のところ、いじめられるのが大好きな、マゾ女だったってことだ」
びくんっ♡
マゾ女という、蔑みの言葉。
怒りの一つでも反応としてみせるべきなのに、私の背筋に甘い痺れが駆け抜け、下腹部の奥底を熱くさせた。
怒らなければならないのに。
否定しなければならないのに。
見下されるように、言葉で貶められることに、私の身体は抗いがたい興奮を感じてしまう。
「ほら、ベッドに仰向けになれ。で、脚を大きく開いて、お前のまんこを俺に見せろ」
「あ……っ、ぁあ……っ♡」
促されるまま、私はシーツの上に背中を預けた。
両膝を立て、ゆっくりと左右に開く。
見られたくない。
触れられたわけでもないのに、濡れそぼっている情けない姿。
だが、そんな姿を見られているという羞恥心が、より興奮を刺激し、私の理性をごりごりと削り取っていく。
「よし、いい子だ。……それじゃあ、入れる前に、お前の口からしっかりと宣言してもらおうか」
彼が、ポケットから携帯端末を取り出し、カメラのレンズを私に向けた。
「な、なにをして……っ!?」
「罰ゲームなんだから当然だろ。お前が自らの意志で負けを認め、俺に処女を差し出す。その証拠を残しておくんだよ。……安心しろ、俺が楽しむために使うだけさ。ほら、言え」
彼はそう言って、ベッドの脇に立ち、服を脱いだ。
ぼろんっ、と飛び出してきたのは、これまで私の後ろの穴を容赦なく蹂躙し続けてきた、凶悪なまでに太く、赤黒くそそり立った彼のペニス。
今から行われることに興奮しているのだろう、雄々しく勃起していた。
その圧倒的な熱の塊が私の目の前に突きつけられ、ひくひくと脈打っているのを見ただけで、呼吸が浅く、速くなっていく。
「俺が言う通りに復唱しろ」
「っ……あ……っ♡」
「言わないなら、お預けだ。……いいな?」
そう言って私の耳に口上を囁いた。
その卑猥極まりない口上に顔を赤らめるも、熱く疼く子宮に促されるように私は口を開いた。
「……わたし、堀北鈴音は……っ♡」
私は、カメラのレンズを見つめながら、言葉を紡ぎ始めた。
「九頭春日くんに……敗北した、証として……♡ 大事にしていた処女を、捧げます……っ♡」
くちゅっ。 言葉を発するたびに、秘部の奥から溢れ出す愛液が、恥ずかしい水音を立てる。
「どうか……私の処女を……九頭くんのおちんぽで奪って、初めての男になってください……っ♡」
言い切った瞬間。
私は絶頂した。
自ら敗北し、誇りも何もかもを投げ捨て、快楽を求め屈服の口上を記録され、処女を捨て去るという――惨めで、浅ましい、圧倒的な背徳感。
「ああっ……!♡ んんっ、はぁっ、あぁっ……♡」
「ははっ、マジかよ。言っただけでイキやがった。どんだけ負けるのが好きなんだ、お前は」
嘲笑う彼の声が、遠くで聞こえる。
もう、何も考えられない。
今はただ……早く、早く私を滅茶苦茶にしてほしい。
「ほら、ご褒美だ。欲しかったんだろ? 俺の、コレが」
ずちゅっ……!!♡♡
「ひぐっ……!?♡♡ あ、ぁああああっ……!!♡♡」
彼は私の両膝をガッチリと掴んで押し広げると、何の準備もなしに、その極太の先端を、私の狭い入り口に押し当て、一気に沈み込ませてきた。
処女膜が、無慈悲に引き裂かれる鋭い痛み。
だが、その痛みは一瞬で、それを遥かに凌駕するほどの、凶悪な熱と厚みが、私の未開の肉壁を容赦なく押し広げていく感覚に塗り潰された。
めりっ、ぬちゅちゅちゅっ、ごちゅぅぅっ……!♡♡
「あ、痛、い……っ!♡♡ でも、あぁっ……太、い……っ!♡♡ 灼けちゃう……っ♡ 私の、おまんこが……っ♡」
「痛いか? 安心しろ、すぐに気にならなくなる。……ほら、一番奥まで入れてやるよ」
彼が腰を深く沈める。
ずっぷんっ!♡♡
彼の太く長い楔の先端が、私の子宮の入り口――これまで後ろから叩かれるだけだった最も敏感な場所に届いた。
その瞬間。
「ッッッ!?♡♡ あ゛、お゛、ぉ゛ぉ゛ぉぉぉーーーッッ!!♡♡♡」
頭の中が焼き尽くされるような快楽。
これまでのアナルへの刺激とは全く違う、子宮の奥底から爆発するような本能的な歓喜が奔った。
私の視界は真っ白に弾け、喉の奥から、自分でも聞いたことのないような声が迸った。
「っ……すげぇな、お前。入れただけでこんなに締めてきやがって。……負けて喰われるのが、そんなに気持ちいいのか、変態マゾ女」
「あ、ぁ……ちがっ……わたし、は……変態なんかじゃ……っ♡」
絶頂の余韻で白濁する意識の中、私は必死に首を振って否定しようとする。
だが、彼は私の耳元に顔を寄せ、意地悪く囁いた。
「好きでもない男に、無理やり処女を奪われてイッておいて、何を言ってやがる。お前は十分に変態女だよ。チェスでわざと勝ちを捨ててまで、俺に犯されることを選んだ、救いようのない「敗北願望」持ちの敗北マゾだ」
「あ……っ、ぁあ……っ♡」
彼の言葉が染み入るように響く。
それが正しいのだと、理解させられる、受け入れてしまう。
ずちゅっ、どちゅうううっ!!♡♡
「ひんっ!?♡ ぁ、あっ、あっ……♡♡」
九頭くんは容赦のない速度で腰を打ち付け始めた。
激しいピストンが生み出す、水分の多い卑猥な打撃音。
それが静かな部屋に反響するたび、自分が今、彼に犯されているのだと、使われているのだという事実が突きつけられる。
「あ、だめ……っ!♡ そんなに激しく、したら……おかしくなる……っ!♡ 私、もう……っ♡」
「嫌なら抵抗してみろよ。無敵の堀北鈴音様だろ? ほーら、頑張れ頑張れ。俺みたいな男の下に敷かれて、めちゃくちゃにされて、悔しくないのか?」
彼が挑発するように言い放ち、私の両手首を大きな手で掴むと、ベッドのシーツに強引に押さえつけた。
私は、言われるがままに腕に力を込め、彼の拘束から逃れようと身体を捩った。
「んっ……!♡ くっ、離して……っ!♡」
だが、びくともしない。 私の細腕がどれだけ抵抗しようとも、男としての圧倒的な骨格、分厚い筋肉に裏打ちされた彼の力には、何一つ抗うことができなかった。
もがけばもがくほど、彼の重い身体が私にのしかかり、密着した下半身がさらに深く私を抉る。
――勝てない。
その事実が明確になればなるほど、胸が熱くなる。
頭脳の勝負でも負け、肉体的な力の差で制圧され、今の私はただ蹂躙されるだけの無力な雌でしかない。
それがわかればわかるほど、私の心臓をドクンッと大きく跳ね、子宮の奥で燃え盛る熱は増幅する。
「ああっ……!♡ むり♡ 勝てな、い……っ!♡ かなわな、いぃっ……♡♡」
抵抗すればするほど、無力を感じれば感じるほど……気持ちいい。
そう受け入れた瞬間、身体の強張りが解け、私の内部はさらに柔らかく、彼の太い熱を受け入れるためにだらしなく広がっていく。
「ははっ、いいぞ。完全に雌の顔になったな。……そろそろ、出しそうだ。抵抗しないと、お前の綺麗な子宮の奥底に、俺の汚い精液をたっぷり注ぎ込むぞ? 逃れられたら許してやるぞ、どうする?」
「あ……っ、いや、っ……中には、だめ……っ♡ 妊娠、しちゃう……からっ♡ ぁあ……っ!」
ぱんぱんっ!♡ ぱんぱんっ!♡ どちゅんっ!♡
全力で抵抗するもびくともしない。
このまま種付けさせられる、拒絶しても無意味で、ただ抵抗の余地もなく、射精を決められる。
その事実が私をどうしようもなく興奮させる。
「やめ、てぇ……♡」
抵抗に意味がない以上、私にできるのはこうして懇願することだけ。
卑劣な男相手に、脅して相手を手込めにする酷い男相手に、情けなく、惨めに、縋ることだけしかできない。
その屈辱にゾクゾクする。
「――やだね。ほら、しっかり受け止めろ!!」
そんな敗者の懇願など一蹴される。
ずどんっ!!♡ どちゅぅぅぅっ……!!!♡♡
「あ、ぎっ……!!♡♡ ぁあ゛あ゛っ……♡♡♡」
彼が、これまでで最も深く、重い一撃を私の子宮口に叩き込んだ。
そして、そのままの体勢で腰を固定し――
どびゅるるるるっ!♡♡ どくぅっ、どくぅっ!!♡♡
熱く、どろどろとした液体の塊を、私の最も深い場所へと吐き出したのだった。
「ひんっ、ぁ……!♡ あつ、い……っ!♡ 熱いの、入ってき……っ♡ ああああぁぁぁーーーッッ!!♡♡♡」
抵抗空しく、力でねじ伏せられ、純潔だった子宮に直接ドクドクと精液を注ぎ込まれていく。
その屈辱と圧倒的な敗北感。
私はその意識を真っ白に染めながら、深い絶頂へ至ったのだった。
――
処女を散らされ、純潔だった子宮の最深部に初めての熱い種を注ぎ込まれたあの瞬間から、どれだけの時間が経過しただろうか。
部屋の中にはむせ返るような男女の匂いと、精液と愛液が混ざり合った生臭い香りが充満していた。
「はぁっ……あ、ひぃっ……んぁっ……♡」
私はうつ伏せの状態でベッドのシーツに顔を押し付けられ、だらしなく口を開けたまま、ただただ生温かい涎を垂れ流していた。
後ろから乱雑にピストンされ、私の細い首筋には、彼の腕が回されて、ギリリと力が加えられていた。
「どうした鈴音。もう動けねぇのか? 孤高の優等生様も、一晩中俺のデカチンで子宮を叩き潰されたら、ただの肉の穴になっちまうんだな」
「あ、ぐ……っ、く、るし……っ、春日、くん……っ♡」
首を絞められ、気道が圧迫される息苦しさ。
だが、その生命の危機を感じるほどの「力の差」が、今の私にとっては狂おしいほどの快楽のスパイスへと変換されてしまっている。
脳に酸素が回らず、意識が薄れて言っているのに、下半身で荒れ狂う彼のペニスの感触は、何倍にも鋭敏になって私の神経を焼き焦がしてくる。
ずちゅっ!!♡ ぐちゅちゅちゅっ!!♡
「んぎっ!?♡ ぁ、お゛っ、あ゛あ゛っ……!!♡♡」
首を絞められたまま、背後から容赦のない角度で腰を打ち付けられる。
うつ伏せの状態で後ろから突き上げられるこの体位は、彼がどれだけ深く侵入してきても、私の方からは一切逃げることができない。
私の子宮口は、すでに九回も彼の濃い精液を叩きつけられ、ドロドロにふやけきっているというのに、一向に衰える気配のない逞しいペニスの先端によって休む間もなくいじめられ続けている。
(ああっ……無理♡ 勝てな、い……っ♡ 春日くんに勝つなんて、無理だった……っ♡)
何度も何度も、抵抗しようとした。
だが、そのたびに彼の無尽蔵のスタミナと、男としての逞しさにねじ伏せられ、無理やり絶頂へと引きずり込まれた。
その反復が、私の精神に、魂に変質不能な傷跡を刻み込んでいく。
「鈴音……どんな気持ちだ? 勝負に負け続けて、自ら勝利を捨てて、俺の下敷きになってこうして犯され続ける気分は?」
「あ、ぁあっ……それ、は……っ♡」
否定の言葉を紡ごうとする口から、甘ったるい喘ぎ声がこぼれ落ちる。
「最高に気持ちいいだろう? こんなに後ろの口までヒクヒクさせて俺のチンポに吸い付いてきてるんだからな、お前の子宮、俺が突き上げるたびに『もっと負かして、もっとめちゃくちゃにして』って締め付けてやがる」
「あ、ひっ、ひんっ……♡ やめ、いわない、で……っ♡」
ぬちゅるるるっ、ばちゅうううっ!!♡♡
彼の重い腰が、私の柔らかなお尻の肉を激しく叩き潰す。
そのたびに、接合部から白濁した泡がじゅくじゅくと溢れ出し、シーツを醜く汚していく。
首を絞められているせいで、私の視界はチカチカと点滅を繰り返し、思考という思考が意味をなさなくなる。
(……っ、気持ち……いい♡ そう……気持ち、いいの♡ まったく敵わない相手に、こうして蹂躙されて、抵抗もできなくて……♡ 何度もぎとぎとのざーめん注がれ……て♡ めちゃくちゃにされて……仕方なくて、だから……っ♡)
残ったのは本能だけ。
理性の欠片も全て溶け落ちて、ただ啼き声が零れ続ける。
「ひ、ぐっ……♡ あ、あぁっ……♡ まけ、負けました……っ♡ 私の、まけ、ですぅっ……♡」
今の私はどんな顔をしているのだろうか。
懇願するような言葉だけが垂れ流される。
「ははっ、負けたっていう度に締め付けてるじゃねーか。いい具合の敗北マゾの変態女に出来上がったな。ほら、ご褒美だ。お前の大好きな、俺の熱い種をまた腹の底に注ぎ込んでやるよ!」
「あ、ぁ……っ!♡ くる、の……?♡ また、あついの……くるのぉっ……!?♡♡」
彼は首を絞めながら、最後の一滴まで、私の胎の奥底に注ぎ込むために無慈悲な深いストロークを繰り返す。
ごちゅぅぅぅっ!!♡ ずちゅっ、ずちゅんっ!!♡♡
「お゛っ、お゛ぉっ、イ゛っ……!♡♡ ぁあ゛あ゛っ……!!♡♡♡」
ラストスパートの、情け容赦のない連続ピストン。
子宮口が破裂しそうなほどの強烈な刺激に、私の全身の筋肉がビーンッと反り返り、限界を超えた快感が背骨を駆け上がって脳髄を真っ白に染め上げた。
「――っ、出すぞ、鈴音!! しっかり受け止めろ!!」
「あ、だめぇっ、だめえぇぇーーッッ!!♡♡ いぐぅううううぅぅッ!!♡♡♡」
どぷっ、びゅるるるるるるっ!!♡♡ どくぅっ、どくぅっ!!♡♡
彼が最も深く腰を沈めた瞬間、熱く粘り気のある精液の奔流が、私の胎の奥底へと勢いよく叩きつけられた。
「んん゛ッッ!!♡♡ ぎゅ、う゛お゛っお゛っ!!♡♡♡ イ゛っ、イ゛グッッ!!♡♡ お゛ん゛ッッ!♡♡♡」
とても自分の口から出ているとは思えない、獣のような、だらしない声が部屋に響くのをどこか他人事のように聞いていた。
私は首を大きく反らせ、白濁した意識の中で、ひたすらに連続絶頂を繰り返す。
身体がガクガクと痙攣し、彼から注ぎ込まれる雄の熱を、子宮がビクビクと収縮しながら一滴残らず飲み込み、味わう。
「はぁっ……はぁっ……。こんなに美味そうに俺の精液を飲み下しやがって」
「あ、ぁ……ぁあ……っ♡♡」
絶頂の余韻で、私の身体はピクピクと跳ね続けることしかできない。
彼がゆっくりと楔を引き抜くと、ぽっかりと開いた私の入り口から、どろりとした大量の白濁液が、だらしなくシーツへと溢れ出していくのを感じた。
「……どうだ、堀北。敗北マゾアクメの感想は」
彼が私の濡れた髪を撫でながら、耳元で悪魔のように囁いてきた。
私は、焦点の定まらない瞳で彼を見上げながら、ただ笑みを浮かべるのが精一杯だった。