昼休みの校舎裏。
風通しの悪いコンクリートの隙間で、凛は倒れている2年C組の
弓道部の副主将で、校内女子の人気を二分する優男だが、いまいち分からない。
「……間桐くん?」
彼は額には薄く汗を浮かべていた。顔色が悪く目を閉じて苦しげな呼吸を繰り返している。
そして目を疑った。
ズボンの前が大きく隆起している。布の上からでも、それは異常なほど膨れ上がっていた。
「な……っ、なにこれ……!」
思わず目を背けかけたが、慎二がうめくように声を漏らした。
「遠坂……たすけて……っ……やばい、マジで……っ……抜かないと……死ぬ……」
意味がわからなかった。けれど彼の呼吸は早く、顔には確かに痛みの色が浮かんでいた。
冗談ではないのだと、凛の本能が察知した。
「なに、これ……ほんとに……?」
恐る恐る手を伸ばす。布の上からそっと触れると、熱を持ったそれがびくりと跳ねた。
「っ……!」
触れた指先から彼の苦しみが伝わってくるようだった。
凛は膝をつき顔を赤らめながらも、慎二のファスナーに指をかけた。
怖かった。だけど、助けなきゃいけない気がした。
ファスナーを下ろすと、そこから飛び出したものは、張りつめ、痛々しいほどに熱を帯びた大きな根っこだった。
「うそ……こんな……」
慎二はうめくように呻き、頭を壁に預けていた。
凛は意を決して右手を添えた。
そして震える唇を近づけ、そっと咥える。
「……んっ……」
初めての感触。ぬるりとした先端が舌に触れ、すぐに熱い液体が滲む。
喉の奥が震え吐息が漏れそうになるが、必死に抑える。
彼の腰が小さく跳ねた。反射的に奥まで押し込まれ、凛は涙を浮かべながら、さらに口内を深く使って彼を咥え込んだ。
「遠坂……っ、やば……っ、出る……っ!」
次の瞬間、口内に熱いものが迸る。
苦味の混ざった奔流が、喉奥に押し寄せてくる。
「っ……ぅん……!」
全部、受け止めた。 吐き出さず、こぼさず、必死に飲み下した。
それが彼の命を救うことだと信じて。
けれど慎二の熱は衰えなかった。
抜いたばかりのものがすぐに硬さを取り戻し凛の頬を押し上げる。
「ま、まだ……出し切れてない……遠坂、頼む……!」
もう一度、彼女は唇を開いた。
先程よりも深く、舌の動きを添えて彼を咥え込む。
二度目。三度目。
慎二の熱は何度も爆ぜ、凛の喉の奥へと叩きつけられる。
凛の意識は白く染まり、ただ反射的にそれを飲み続けた。
その間、慎二の手が凛の脚の付け根に触れる。
制服のスカートをまくり上げ、ミッフィー柄のショーツに添えられたソフィのナプキンを、指先でそっと押しのける。
「っ……そこは……っ……!」
ナプキンを横にずらされ、濡れた秘裂が指に触れた。
すでに湿っていた。
愛液と経血が混ざった柔らかい感触が、慎二の指に絡みつく。
「遠坂……濡れてる。こんなに……」
凛は否定できなかった。
口いっぱいに熱を受け止めながら、同時に脚の奥が震え続けていた。
慎二の指が花弁を左右に割るように開き、ぬるりと中へと差し入れられる。
「やっ……あ、あっ……!」
一本、二本と、ゆっくりと入ってくる。
奥を探るように指が曲がり、指先が膣壁を擦るたびに凛の腰が震える。
初めての異物感。
だけど、もうすでに身体の奥はそれを受け入れてしまっていた。
快楽と羞恥がないまぜになり、彼女はただ彼の前に膝をついたまま、繰り返し繰り返し受け入れていた。
それが終わったのは、昼休みの終わりのチャイムが鳴る少し前だった。
制服の着崩れを直し、ナプキンをトイレで取り替え、頬を赤らめながら凛が教室へ戻ろうとしたその時。
慎二が、ぽつりと礼を言った。
「いやー、助かった。マジで死ぬかと思った」
「……は? それ、どういう意味よ」
凛の声に慎二はこともなげに言った。
「俺、呪われてんだよ。射精しないと死ぬやつ。祖父ちゃんの遺した呪具のせいで、性処理怠ると内圧で精路破裂する仕組みってやつ」
「……ふざけてるの?」
「いやマジ。今日、お前に助けられなかったら、たぶん爆発してた」
呆然とする凛に慎二はさらりと続けた。
「……あ、ちなみに桜にもやってもらってるけどな」
「……は?」
凛の眉がぴくりと動く。
「毎日してもらってるよ。朝とか夜とか。桜、意外と上手くてさ」
瞬間、凛の顔から血の気が引いた。
「なっ……」
言葉にならず、唇が震える。
「……最低……っ!!」
怒声とともに、凛の脚が振り上がる。
「ぎっ……!」
慎二の脛に思いきり蹴りが入る。彼が呻いて崩れ落ちるのも見ずに、凛は背を向けて立ち去った。
その背中に、昼休み終了のチャイムが鳴り響く。
言葉が頭に入ってこない。
いま初めて聞かされた。
その呪いとやらのために、さっきの行為があったというのなら──。
「ふざけんなっ!!」
凛は廊下で叫んだ。
涙が滲むのは怒りのせいか、虚しさのせいか。
だが一番の理由は、ワカメの熱が、まだ自分の中に残っている気がして、それが消えてくれなかったことだった。