※この作品はR-18です。

深見さん家の ふたりごと   作:霧里

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DLC:恋と水着と、照れ隠し(Hシーン

 

プールからの帰り道。美優は、奏汰を連れて家に戻る。

 

言い訳は、何だったかな?

 

思いつかなかったら、無言ででも家に引っ張っていったかも知れない。

プールから上がった奏汰の体は、すっかりと冷えてしまっていた。電車での移動中も、車内の空調は容赦なく彼の体温を奪っていく。

 

いつもより冷たく感じる彼の手を、いつもより深く握っていた。

 

降りる駅に着くまでの時間。その間ずっと抱きついているわけにもいかない。

でも、どうかな? 人の目がなければ、それでも良かったんだけど、私は。

 

がたん、ごとん。電車が揺れる。

 

奏汰の手を握りながら、彼の方へ体を寄せた。

ちょっとでも、温かくなればいいなって。奏汰の体温を頬に感じてる内に、疲れた体は、うつらうつらと船を漕ぎ始めていた。

 

***

 

一緒にお風呂に入らない?

 

私の家のほうが近いから、そのままだと風邪を引いてしまうかもしれないから。

説得と言うよりは、半ば強引に。家に帰った私は、奏汰をお風呂に押し込んだ。

 

「私……可愛い、よね?」

 

脱衣所の鏡には、水着に着替えた私。いつもとは違う自分が映っていた。

胸元を飾る白いフリル。その中心で、きゅっと可愛らしく結ばれたオレンジのリボン。軽やかに揺れるはずのスカートは、水を吸って重たくなったままだったけど。

 

やっぱり、ちょっと派手なんじゃないかな?

 

こんなに大きくお腹を見せて……。ううん。首を振って、言い訳をしそうになった自分を追い払う。でも、だって……は、もうおしまい。

ひよりちゃんに、いっぱい励ましてもらったから。奏汰も可愛いって言ってくれた。

 

それでもっていうのは、二人を疑うみたいでイヤ。

 

一つ頷いて、お風呂場の入口へと視線を移す。

すりガラスに浮かぶ奏汰の影。扉一枚隔てた向こうに水着姿の彼がいる。

 

別に、やましい気持ちがあるわけじゃない。

 

せっかく新しい水着も買って貰ったのに、これっきりになるのが、少し勿体ないなって思っただけ。

 

また、一緒に行けばいいじゃない。

 

そうは思うんだけど。でも……。我慢できなかった。

 

奏汰に「可愛い」って言われたのが、思っていたより嬉しかったのかも。

そう思うなら、もっとちゃんと見てくれて良かったのに。

 

プールの間中、奏汰はずっとソワソワしてた。泳がせた視線は私を見たり、見なかったり。人前なのを気にしたのかな? いくら……その。恋人だからって、ジロジロ見てるのは、ちょっと変だろうし。

 

「奏汰? 入るよ?」

「う、うん」

 

二人っきりなら、もっとちゃんと見てくれるかな?

 

扉を開けた瞬間に、むわっとした熱気が脱衣所にまで流れ込んでくる。

つま先に感じるタイルの冷たさ。汗もかいてないのに、肌が湿り気を帯びてくる。

ガチャリ。お風呂場の扉を締め切ると、濡れた空気に全身が包まれた。

 

奏汰は椅子に座ったまま、私に背中を向けていた。

扉の締まる音にピクっと体を揺らして、それきり。視線を下げて固まってしまう。

 

「奏汰?」

「……なに?」

 

なにじゃなくて、私を見て欲しいんだけどな。

でも、奏汰は壁の方を向いたまま、こっちを見ようともしない。プールで遊んでいた時の方が、まだ見てくれていたくらいだ。

 

恥ずかしいのは、分かるけど。

 

私だって、そうなのに。

 

シャワーの前に置かれた鏡には、赤くなった奏汰の顔が映っていた。

それが見えてるってことは、奏汰からも私が見えるってこと。鏡に映る私と奏汰の視線が重なると、彼は慌てて顔を伏せてしまう。

 

ふーん……。

 

そういう事するんだ。

 

私だって勇気を出して、お風呂にまで誘ったのに。可愛いって言ってくれたのは奏汰の方なのに。二人っきりになった途端、見てもくれなくなるなんて。

 

ちょっと不満。

 

でも、同時にからかいたくもなってくる。無理矢理にでも振り向いて貰おうって、悪戯心に胸がくすぐられた。

 

「じゃあ……。背中、流してあげるね?」

「え、あっ。いいって、別に。一人でできるし……」

「ダメ。せっかく二人で入ってるのに……。何か、しようよ?」

「何かって……」

 

ああ、違うことを考えたんだな。なんとなく、そう思った。

こっちを見れないのも、多分そのせい。いま動いてしまったら、私にバレるかも知れないから。腰を引いて、背中を丸めて。落ち着くまで、何でもないふりをするしか できなくなってるんだ。

 

で、それは何時落ち着くの?

 

あんまりゆっくりしていると、奏汰が湯冷めしてしまいそうだ。

 

泡立てたタオルを、奏汰の背中にそっと当てる。

ドキドキと伝わってくる鼓動の音。ちょっと冷えてしまった彼の肌。

その冷たさを拭うように、タオルを上下に動かしていく。

 

優しく擦って、柔らかく滑らせて、自分の体を洗う時よりも丁寧に。

次第に、私の体温が奏汰に移り、冷えた肌が温かさを取り戻す。

緊張も解れてきたのか、肌を撫でるたび、奏汰はモジモジと背中を逃がすように動いていた。

 

「くすぐったいって……」

「じっとしてて。子供じゃないんだから、ちゃんと洗ってあげられない」

「いいって言ってるじゃんか……」

「やだ」

「やだって……」

 

そう言う美優の方が、子供っぽいじゃないか。

口ごもった奏汰の言いたい事が、なんとなく分かってしまう。

 

でも、やめない。

 

ダメとかじゃないんだ。これが私のワガママなのは分かってる。

一通り背中を流し終わると、今度は腕を回して、タオルを彼の胸に押し付けた。

 

「ちょっ!? 美優っ。前はいいって、自分でやるからっ」

 

手を抑えられて、タオルが指の間から滑り落ちる。

べちゃり。重たい水音が聞こえるのと同時に、私は奏汰を後ろから抱きしめた。

 

「うっ……っぁ!?」

 

言葉もない。声も出ない。

 

ちょっとズルかったかも。

私が抱きつくのと同時に、奏汰は逃げようとして背中を逸らす。

押し付けた胸の膨らみが形を変えると、彼はいよいよと固まって、動かなくなってしまった。

 

「ねぇ、奏汰? なんで見てくれないの?」

 

抱きついた奏汰の耳元で、そっと囁く。

拗ねたように少し唇を尖らせて、煽るように吐息を吐き出した。

 

「可愛いって言ってくれたの。ウソ、だった?」

「嘘じゃないっ! 嘘じゃないって……。だからダメなんだ。美優、ほんとにちょっと離れて。悪戯だったら、もうさ? 俺が悪かったから」

「やだ」

「やだって、また……っ」

 

苛立ち始めた奏汰の声。

 

私はそれにも構わず、彼の胸を撫でていく。

ゆっくり、円を描くように。いつか奏汰が、私の胸を触ったのと同じように。

ぬるり、ぬるぬる。石鹸の泡を、かき混ぜるように指を動かす。

女の子の柔らかさとは、似ても似つかない。多少盛り上がってはいても、それは少し筋張った筋肉の膨らみだ。

 

やっぱり、私のとは全然違うんだ……。

 

重さがあるっていうのかな? 分からないけれど。がっしりしていて、逞しいって言葉の意味を、肌で感じている気がした。

 

はぁ……。

 

吐息が熱くなる。

 

なんだか、のぼせてきたみたい

 

変なの。まだ、シャワーの一つも浴びてないのに。

 

分かる。分かってる。エッチなこと考えてるんだ、私。

自然と、彼を抱きしめる腕にも力が入る。石鹸の絡んだフリルが泡立ち始め、私の胸元を白く覆い隠していった。

 

しゅる……しゅるり……。

 

泡まみれの背中を、水着が擦れていく音がする。

むにゅりと、石鹸が泡立つほどに滑りが良くなった。フリルで作った泡の塊が大きく動く。そこから広がる淡い快感。彼の体温が、水着の奥まで染みてくる。

 

気づいちゃった。

 

ぷっくりとした柔らかな突起が、私の手のひらに触れる。

奏汰の胸を撫でていると、指先にその感触が引っかかりだした。泡で滑って、ピンと弾けたその途端。奏汰の口から可愛らしい声が飛び出した。

 

「んぁっ……!?」

 

乳首、男の子でも気持ちいいんだ。

 

触れるたび、奏汰は肩をすくめて声を漏らす。

ちょっと苦しそう。でも、女の子のように高くはなりきれない。少し掠れた声は、私と同じ 快感の吐息に違いなかった。

 

「奏汰? 気持ち良い?」

 

真っ赤になった横顔が、ふるふると揺れ動く。

ちょっと女の子みたいだ。乳首弄られて、気持ちがいいだなんて、男の子としては抵抗があるのかな。

 

「もう、やめっ……」

「私のは、あんなに触ったくせに?」

「__っ!?」

 

ちょっと意地悪。

 

クスリと、耳元で微笑みかける。人差し指と、親指で、すっかりと固くなってしまった彼の乳首を、ちょんっと摘み上げた。

ガチッと、硬い音が頭に響く。突然動いた奏汰の肩に顎を押し上げられて、危うく舌を噛みそうになった。

 

「__ぃたっ!? もう、奏汰……急に動かないでよ」

「それはっ、美優が変な事するからだろ……っ!」

「あ、うん。ごめん……ね?」

 

やりすぎた、かな?

 

語気を荒げた奏汰に、はしゃいでた心が、しゅんっと萎んでしまった。

ていうか、なんでこんな事してたんだっけ? 今思えば、二人でゆっくりする時間がほしかっただけ。気分はまだ、プールの続き。いつもと違う自分の姿に、いつも以上にはしゃいでしまって。

 

気づけば、危うくケンカになりそうだった。

 

「あ、いやっ。ごめん、大きな声出して……。怒ってるとかじゃなくて、俺」

 

お風呂場に反響する奏汰の声。はっとした彼は、何か言おうとして結局何も言えないまま俯いてしまう。

 

ちょっと気まずい。

 

「先に上がるね……」そう言って、逃げ出したい。

けど今逃げたら、この後 奏汰にどんな顔すれば良いのかわからない。

せっかく今日一日楽しかったのに、苦い思い出で終わってしまうのはイヤ。

 

だから……。だからせめて、一個だけ。

 

逃げるにしても、それを聞かないと。

 

「あの、ね? イヤ……だった?」

 

それを知りたい。私に触られるのがイヤだったの? 私が調子に乗りすぎただけ? それがわからないと、もう奏汰と手を繋ぐのですら怖くなる。

 

「イヤ……じゃないよ。イヤだったんじゃなくて。恥ずかしいとかさ、色々あったし。急に触られて驚いたのも……それに」

「それに?」

 

まだ、迷っているような素振りだった。

でも私は、その先が聞きたい。「私にどうして欲しいの?」言葉にはしないでも、期待を込める。彼の背中を押すように問いかけた。

 

「……続き。お願いして、いいか?」

「あっ……うん」

 

言い淀んだ彼は、口ごもって。ようやく、少しぶっきらぼうに。

「お願い」と、言われた私は、それだけで胸が熱くなってしまう。

 

ちょろいんだ。

 

私も、奏汰も、ちょっとからかっただけで、やる気になって。

鏡に映った私達は、お互いの顔も見れないくらいに真っ赤になっていた。

 

 

***

 

 

「じゃあ、その。こっち向いてくれる?」

「……う、うん」

 

頷いた奏汰は、美優と正面で向かい合う。

 

もう、誤魔化しようがなかった。

自分の水着を押し上げる固いもの。こんなの見せたら、美優に幻滅されるんじゃないかって、隠したかったのに。期待しないはずがない。お風呂に誘われたときから、ずっと意識をしてしまっていた。

 

いや、多分、もっとその前から。

 

二人で帰りの電車に乗っていた時も、ゴムボートの上でじゃれ合っていた時も。

着替えを待つ間、待ち合わせの前。思い返せば今日一日中、ずっと美優の事を考えていた。

 

分かっててやってるのかよ。

 

後ろから抱きつかれた。逃げようとするほど、余計に抱きしめられる。

俺の背中に押し付けられた美優の膨らみが、形を変えているのに気づくと、もう動けない。

 

こうならないように、ずっと我慢してたのに。

 

石鹸で滑る肌の上を、美優の手が優しく撫でる。

いつも繋いでいる手の温もりが、いやに艶めかしい。泡立った石鹸のせいなのか、誘うような動きのせいか。

 

背中に感じる柔かい膨らみが、むにゅりと動いた。

美優の水着の裏にある小さなしこり。曖昧だった感触が、次第に主張しはじめると、指先でくすぐられるような刺激に変わっていく。

 

こんなにされたら、イヤでも美優を意識してしまう。

だんだんと、苛立ってもきた。無邪気なままに戯れてくる美優は、あんまりに無防備過ぎたんだ。

 

何か間違ったら、そのまま美優を押し倒してそうで怖い。

 

傷つけたくはない。けど、ずっとからかわれているのも辛くなって、つい。

声が大きくなってしまった。

 

こくり……。

 

美優が、息を呑んだのが分かる。

 

開いた足の前。しゃがみ込んだ美優は、一点を見つめたまま動かない。

俺を隠しているのは水着だけ。それも、見れば見るほど膨らんでいて、もう言い訳のしようもなかった。

 

「じゃあ、その……」

 

良いんだよね? 触っちゃうよ?

 

俺の股間と顔とを見比べながら、何度も視線で問いかけてくる。

今度は怒らないよね? 不安そうに揺れる美優の瞳を見つめ返して、俺はもう一度、大きく頷いてみせた。

 

「お願い。美優に……して欲しい」

「う、うん」

 

それで、彼女も覚悟が決まったようだ。小さくても、しっかり頷いた美優は、恐る恐る俺の方へと指を伸ばす。ちょんっと、触れられた途端に痺れが走る。ビクッと、突然震え上がった俺に驚いた美優は、慌てて指先を引っ込めてしまった。

 

「だ、大丈夫?」

 

気遣わしげに、俺の方を見上げてくる。

 

「うん。気持ちよかっただけから、それで。続けて?」

「わ、わかった……。がんばる、ね」

 

がんばるのか。

 

ふと漏れたその言葉は、俺にというより自分に向けられている気がした。

おっかなびっくり。美優の指先が、もう一度俺に触れる。水着越しでも良い。

美優が俺に触れようとする光景は、ますます俺を興奮させてくれる。

 

ドキドキと、痛いくらいに心臓が脈を打つ。

その熱が、直接股間を膨らませて、水着とお腹の隙間を広げていく。

 

まるで、美優に見せつけるみたいだ。

 

触れられるたびに大きく跳ねて、もっと触れて欲しいと強請りだす。

 

シュルリ……。水着を撫でる固い衣擦れの音。

けれど、それはすぐに粘り気を帯びて、ヌルっとした感触に覆われていった。

腰が甘く痺れて、ゾクゾクと震えだす。下腹にぐっと力を込めて、今にも飛び出しそうになる欲望を抑え込む。

 

ああ、まただ。

 

美優に触られていると、どうにも我慢が効かない。

初めてエッチをした時だってそう。関係を進めるのに精一杯で、何も出来ないまま終わってしまった。拍子抜け。口にはしないでも、美優もどこか物足りなさそうだった。

 

なんで、どうして。

 

自分で誤魔化している時よりも、刺激は弱いはずなのに。

 

「はぁっ……はぁっ……!!」

 

荒くなった吐息。浴室に反響する自分の声が、耳に返ってくる。

今にも果ててしまいそうな声音に、限界を突きつけられているみたいで悔しい。

 

すぐに終わって、美優にがっかりされたくない。

 

つまらない意地だと分かってはいる。

 

そんなの、美優は喜ばない。気持ちいいなら気持ちがいいって、素直に果ててしまったほうが、ずっと喜んでくれる筈だ。今だって「これでいいの?」と、問いかけてくる瞳は、不安そうに揺れたまま。俺がハッキリしないから、美優も自信が持てないでいる。

 

それでも、歯噛みをしてまで欲望を耐えた。

 

まだ、終わりたくはない。

 

美優に触れてもらえている。いくら気持ちがいいからって、水着越しで終わってしまうのは……。ああ、悔しいのはそうか。美優のことを満足させてやれなかった後悔よりも、彼女を感じる暇すらなかった事の方が、ずっと悔しいのか。

 

「美優……んっ、もっと。すぅ……はぁっ……ぁ。して、欲しい」

「もっと……て。でも奏汰? 苦しそうだよ? あのね? 無理しなくても、良いんだよ? 笑ったりなんか、私。またしたくなったら、してあげるから……だから」

 

出していいよ?

 

言われると、甘えたくなる。

 

「また、してあげるから」って、そんな風に言われたら、もう我慢している理由が分からない。でも、でもっ。出すにしたって、このままは……あんまりだ。

 

「ちがっ、おれ……出したいからっ。出すなら、せめて美優の……手でっ」

 

何を言ってるのか、もう自分でも。熱を持った頭には、もう一つの事しか浮かばなかった。出したい、出したい。水着越しじゃ嫌だった。せめて、美優の手の中で、もっと彼女を肌に感じていきたい。

 

「手って……そっか、うん。じゃあ水着……下ろすね?」

 

美優の指が、俺の水着に引っかかると、そのままゆっくりと引き下ろしていった。

少し強引に、慣れない手つきで。水着の端に引っかかった先端が弾かれる。

勢いよく顔を出し、大きく震えるのと同時に、強い快感が走った。

 

「うわぁ……。奏汰、なんでこんな……ぅぅっ」

 

淫靡な光景だった。

 

大きくなった俺を見つめながら、顔を真っ赤にする美優。

先端から跳ねた先走りが、彼女の頬を汚していた。汗とは違う重たい雫。

それを指ですくった美優は、指先の間で広げてみせる。次第に熱っぽさを増す彼女の吐息に、俺の興奮も収まりがつかなくなっていた。

 

このまま彼女の顔に。

 

白く染まる顔を思い浮かべて、ブルっと、苛立ちが股間を震わせた。

 

***

 

「あ……。ごめんね、奏汰? すぐするから……我慢しないで? いつでも、良いからね?」

 

奏汰を包み込むように、私は両手をそっと伸ばす。

 

力加減なんか分からない。本当に触って大丈夫なのかも。

 

今にも爆発するんじゃないか。触れる直前、大きく跳ねた彼に驚いて、思わず手を引っ込めてしまった。こんなに腫らして、痛くはないのかな? 今だってずっと苦しそう。

 

焦れたように自身を震わせた彼の先端から、透明な何かがダラダラと溢れてくる。

 

精液……。

 

そうじゃない。

 

自分の体に降り掛かった熱を思い浮かべて、これじゃないと断言できる。

それに、アレはもっと白かったし。匂いだって、全然。

 

すんっと鼻を鳴らせば、石鹸の香りの中、僅かに奏汰の匂いはあった。

胸がドキッとする。もっと嗅いでみたくなって、大きく息を吸い込んだ。

けれど彼の匂いは、水着に残っていたプールの匂いと混ざって、すぐに分からなくなってしまう。

 

「美優……っ。触るなら……はやくっ」

「あ、うんっ。ごめん、奏汰。すぐ……するから」

 

本当に辛そうだった。

 

焦れったそうに腰が揺れる。ギリギリと、彼が座っていた椅子とタイルが擦れて、歯噛みをしているような音がした。手の平を近づけるだけで、彼の熱気が伝わってくる。驚かさないように、ゆっくりと。

 

「ぁっ……!」と、奏汰の口から声が漏れる。

 

躊躇いがちな声とは裏腹に、奏汰は元気よく自身を跳ねさせた。

気を抜いたら、手の中から逃げていってしまいそう。元気過ぎる男の子を逃さないように、私はもう少しだけ、彼を包む手に力を込める。

 

痛くはない? 大丈夫?

 

気になって見上げた彼の顔はでも、私を見ているようで視線は重ならない。

もっと下。顔じゃなくて、胸元を覗き込まれているような感じだった。

そんな所見たって、何が面白いんだろう? 水着に寄せられて、なんとか谷間を作る程度。ひよりちゃんみたいに大きくはないのに、そんなにみちゃって。

 

奏汰に見られていると、胸の奥がムズムズするような高揚を感じていた。

胸元を見つめる彼の熱は冷めないどころか、もっと食い入るように、少しだけ顔を近づけてくる。

 

 

***

 

美優から目が離せなかった。

 

それはまるで、白いヴェールを脱ぐように。

隠れていたものが暴かれる瞬間に、視線が引き寄せられる。

 

ささやかな膨らみに、谷間なんてあるかどうか。

でも、上から覗き込んだ彼女の胸元。中心にできた僅かな隙間に、崩れた泡が流れ込んでいく。

 

ズレた水着と柔肌との間に浮かぶ、白いライン。

日焼け止めでも隠しきれなかった、肌色の違いがイヤに魅力的だった。

 

「奏汰のえっち……」

「え、あっ! ごめん……っ。なんか、気になって」

 

唇を尖らせた美優は、あんまりに恥ずかしくなって、言葉で奏汰の視線を遮った。

見てくれたのは嬉しい。けれど、あんまりに熱心過ぎて、流石に戸惑ってしまう。

 

「なにを、そんな見てたの?」

「何って……その、日焼けの跡が……さ? それで、俺……」

「日焼け? ああ……うん。ちょっと焼けちゃってるね」

 

小麦色にもならない。自分でも気づかなかったくらいだ。

私の胸を象ったような水着の跡が、薄く色づいた肌を浮かび上がらせている。

 

確かに、ちょっとエッチかも。

 

「見たい?」

「へ? あ、いや……その」

 

上目遣いに問いかけると、奏汰は慌てて横を向いてしまった。

イヤとは言わないんだね、それでも。もう自分でも、何を言ってるんだか。

 

胸がドキドキしすぎて苦しいのに、もっとドキドキしたくなる。

大胆になる自分を止められない。あんなに恥ずかしかったのに、それも分からない。熱に浮かされた頭は、ぼんやりとし始めて、上手く働いてくれなかった。

 

水着の肩紐に指を掛ける。

 

胸の締め付けが少し楽になると、白い膨らみが彼の前に晒されていく。

全部は脱ぎたくないな。恥ずかしいのは、まだ少し。それに、せっかく出来てる谷間が、消えちゃいそうなのもイヤ。

 

じっと、見られてる。

 

穴が空くほどって、多分こういうの。

 

期待……されてるんだ。添えた手の中で、彼がムクムクと膨らみを増していく。

その一線を越えてしまったら、歯止めが効かなくなるのは分かっていた。

でも……。好きな人に、もっと見て欲しい。誘惑には抗えない。

 

フリルの端を指で摘んで、少し強引に下へと引っ張る。プルッと……。それはまるで、ゴムで弾くみたいに。

 

私のでも、ちゃんと揺れるんだ。

 

白い膨らみの頂点。桜色に染まった私の乳首が顔を出す。

水着の締めつけで持ち上げられた胸の膨らみは、まるで彼に見せつけるかのように、乳首を上向かせていた。

 

……。

 

言葉もでない。

 

初めて見た美優の膨らみに、奏汰はただただ言葉を無くす。

感動。それにも近い高揚だった。非日常的な彼女の魅力。水着姿にさえ目を奪われていたのに、さらけ出された膨らみが目に焼き付いて離れない。

 

美優とエッチした日。触れた胸の感触を思い出していた。

こんなに綺麗な膨らみを、好きに出来ていたんだ。

 

正直に、興奮する。

 

俺の手の中で震えていた柔らかさを、もう一度__。

欲望のままに、形を変える彼女の膨らみを見るのは、どんなにか。

 

下腹に力を入れたせいで、跳ねたモノが美優の手のひらに擦れると、頭がヒリつくような痺れが走った。

 

滅茶苦茶にしたくなる。

 

美優に触れて欲しい自分と、美優に触れたい自分。

少しでも動けば、すぐにも果ててしまいそうなのに、衝動的な欲求には抗えない。

 

「んっ……。ねぇ、奏汰?」

「うっ、あっ……」

 

熱を孕んだ彼女の声に、鼓動が跳ねた。

ガツンッと、頭が何かに叩かれたみたいだ。前のめりになった美優が、俺に寄りかかってくる。両手が頬に添えられて、近づいてくる彼女から目が離せなかった。

 

***

 

奏汰に顔を近づけながら、私はゆっくりと目を閉じた。

 

触れ合った唇が甘く溶ける。頭の中が痺れたみたい。

キスは好き。奏汰と一つになれた気がするから。

 

はむ、はむ……。

 

唇をついばむたび、胸の奥がきゅんと締めつけられる。

舌を絡ませ合うような、深いキスもいいけれど。軽く唇を重ね合っている方が好き。あんまりエッチなのは、自分が分からなくなって怖くなる。

 

奏汰、奏汰……。

 

呼びかける代わりに、何度も唇を重ねて、彼を求めた。

頭がぼんやりしてくる。もう、彼の事以外考えたくない。我慢が出来ないのは、奏汰だけじゃないんだよ? 私だってそう。こんなにしてたら、もう無理。

 

ごめんね……。してあげるって言ったのに。だけど__私だって奏汰に触れたいの。

 

ぽっと、体の奥が熱くなる。

 

このまま流されてしまいたい。

 

キスをしながら、前のめりになった私は、奏汰を押し倒してしまったのも気づかなかった。ガタンッと、鈍い音がする。カラカラと奏汰の座っていた椅子が、転がっていくのが横目に見えた。

 

「っ、あっ、痛っ。美優……大丈夫?」

「ぁ、やだっ。ごめんね、奏汰……っ」

 

いつの間に、奏汰を押し倒しちゃったんだろう?

 

怪我とか、しなかったかな?

 

どこか痛がる様子はない。

 

むしろ、私を見上げる瞳は変わらないまま。

視線は、さらけ出された胸元__淡く色づく先端に、そっと向けられている。

元気よく跳ねた彼が私を指し示すと、求めるように身を震わせた。

 

夢中になってくれてるんだ。

 

その視線に、態度に、体が熱くなる。

 

倒れ込んだ奏汰の上にまたがった私は、そっと彼自身へと私を宛てがった。

くちゅり……。水気の含んだ水着が押されて、私から熱が溢れ出す。

じんわりと、腰全体に広がる快感。そっと背筋を撫でるような、甘い痺れが頭に届く。

 

少し、腰を引いて、また戻す。

 

むき出しの彼自身に、私を押し付ける。拙い腰の動きは、次第に熱を上げていった。気持ちがいい。もっとと、それが欲しくなる。

見下ろした奏汰は、とっても苦しそうだった。歯を食いしばって、顔を歪めて、今にも出してしまいそうなのを必死に堪えてくれている。

 

「奏汰っ、ぁっ、ぅぅっ♥ ごめ、ん。ごめんねっ。あと、ちょっとっ……はっ、あっ、もう、少しだけ……だからっ、ああっ♥」

 

もっと、もっと……。

 

初めて奏汰とエッチした時も。一人で慰めている時も。

それは、それで気持ちが良かったけれど。後ちょっと、もう少しだけ、何かが物足りなかった。

 

体の奥に生まれた熱が全身に広がって、肌が火照りだす。

身動ぎするたび、水着の締め付けに苛まれた。擦れた肌が、焦れったくなって堪らない。

 

もっと触れたい、触れて欲しい。

 

胸がドキドキする。息が苦しくなって、口に出した声は形にならなかった。

私のエッチな声が、お風呂場に響いてる。水着越しに感じる彼の熱は、ますますと膨らんで、私の興奮を煽ってくる。

 

「……ぁっ」

 

見ちゃった。見てしまった。

 

視界の端にちらつく影。それが気になって視線を上げると、鏡に映った自分と目が合ってしまう。

 

頬を染めて、今にも泣き出しそう。半端に開いた唇が震えて「奏汰」と、彼の名前を象った。私が切なく疼く。緩みきった表情は甘く溶けて、瞳から涙の粒が流れ落ちた。

 

もう、見てられない。

 

奏汰に恋する声が止まらない。

小さな嬌声を繰り返すたび、積もり積もった興奮が、私の体を重たくしていくみたいだ。

 

恥ずかしさに堪えきれず、私はそっと奏汰を見つめ返した

自分が、こんなエッチな顔してるなんて思わなかった。それも全部 奏汰に見られてて。そりゃ、奏汰だって こうなるよ。また、私の下で彼が熱くなるのが分かってしまう。

 

興奮してるんだ、私で。

 

私も、奏汰で……。

 

 

***

 

 

もう、いつ出してしまってもおかしくはなかった。

 

「奏汰」呟く声に、俺も美優を求めてしまって、高ぶりのままに自分を押し付けた。

 

「ごめん」「もうちょっとだけ」俺の上に跨った美優は、うわ言のように、それを繰り返しながら涙をこぼす。ぽたり、ぽたぽた……。そんなに、泣かなくたっていいのに。美優に泣かれると、悲しくなってしまう。それがたとえ、悪いものではなくても、やっぱり彼女には笑っていて欲しい。

 

美優の涙が、少しだけ俺の興奮を鎮めてくれた。

けれど、それだけで収まるはずはない。今にも出そうで出ないのは、美優を受け止めた俺自身が、彼女に潰されているせい。

 

物理的に出口を塞がれた俺の熱は、ずっと根本で燻ったまま。

かなり苦しかった。今すぐ、美優から主導権を奪い返して、欲望をぶつけたいとも思う。

 

でも、我慢、我慢だ。

 

歯を食いしばって、苦しい顔は隠せない。

笑顔を作ってやることまでは出来ないけれど。美優が落ち着くまでは、なんとか。

 

流れる涙を拭うように、彼女の頬に手を添える。

 

熱い吐息を繰り返した美優は、ふと表情を緩めて、俺の手に重ねてくる。

自然と、指を深く絡ませ合っていた。ぎゅっと、遠慮がちに求めてくる美優の手を、確かに強く握り返す。

 

「ごめん、美優っ。でも俺っ、そろそろ……っ!」

「はぁっ……んっ♥ うん……大丈夫、だから……っ。奏汰も、動いて……ね?」

 

流石に辛い。

 

我慢しよう。そうは思っても、美優の動きにつられて腰が浮く。

ぐちゅり、ぐちゅり……。水着越しのはずなのに、美優の中にいた時のような温かさも感じていた。腰を動かすたび、溢れた熱が俺達の隙間を埋めていく。

 

もう本当に、挿れてしまおうか。

 

快感に染まる意識の片隅で、突き上げるように動きを変える。

けれど、ピタリと肌に合った美優の水着は、少し擦り上げたくらいではズレることはなかった。イライラが募る。堰き止められていた欲望が、熱を上げて膨らんでいくと同時に、美優を求める動きにも力が入ってしまう。

 

***

 

「いいよ……。奏汰、きて……っ♥」

 

その一言で、奏汰は腰を跳ね上げた。

分かってる。奏汰が私に潜り込もうとしてたこと。水着をズラそうとするような動き。でも先端が引っかかる度、溢れた私達の熱で滑って狙いが定まらない。

 

ごめんね、奏汰。

 

どうにかしてあげたいけど、私だってどうにもならない。

滑った奏汰の先端が、不規則に私を刺激する。それを何度も繰り返された。

体から力が抜けて、腰が落ちていっちゃう。指を差し入れて水着をずらして上げようにも、もう無理。甘い痺れに囚われた私は、指先の一つも自由にならない。

 

繋いだ彼の手を握りながら、快感を受け止めるのに精一杯。

私の下で彼の熱を強く感じるほど、真っ白い綿に優しく包まれて、体に力が入らなかった。

 

柔らかくて、温かい。

 

気持ちがいいけど、でも苦しい。

 

ぎゅぅっと、全身が締め付けられているみたい。

 

心も、体も、白い綿で いっぱいだった。少しずつ強くなっていく締め付けに、何も考えられなくなる。求めてくる彼の熱に、私が疼いてしょうがない。

 

凄いんだ。

 

その瞬間に、奏汰が腰を跳ね上げた。

ズルリと、熱の塊が私の上を滑っていくの。あんまりの勢いに、とうとう水着が押し込まれて、中にまで食い込んでくる。

 

まるで、ホットミルクのカップをひっくり返したみたいだった。

 

ドバッと、お腹の上に熱い何かが注がれる。

 

自分じゃもう、体を支えてられなかった。そのまま奏汰にしがみつきながら、彼の熱を受け止めた。本当に、中に出されちゃってるみたい。ビクビクと、私達の間に挟まれた彼が震えるたびに、お腹の上に新しい熱が生まれていく。

 

「あぁぁっ……♥ んっ、ぁっ、やっ……なに、これっ、奏汰……っ♥」

 

その熱に煽られて、私を包んでいた真っ白い綿が一気に燃え上がった。

お腹の奥から強い快感が湧き上がる。腰がガクガクと震えあがり、背筋が伸びた。

身を焦がすような快感が、頭の中まで燃え広がってくる。

 

気持ちがいいとか、それすら、もう……。

 

あまりの快感に、自分を見失っていた。もう、戻ってこれないじゃないか。

うわ言のように奏汰の名前を呼びながら、彼にしがみつくしかできない。

「美優」と呼び返されて、ようやく自分がちゃんといるんだと安心できた。

 

「そうた……っ。はぁっ、はぁっ……んっ♥」

 

いつまで、そうしてたんだろう。

 

ふわっと、灰が舞い上がるように、燃え残っていた快感が私を震わせた。

それでも、私は奏汰に体を預けたまま。彼の胸元で荒い吐息を繰り返す。

 

「美優? だいじょうぶ?」

「……うん」

 

頭を撫でられ、背中をぽんっと叩かれた。

乱れた呼吸が落ち着くまで、ずっと。子供をあやすみたいな仕草に、恥ずかしさを思い出した私は、ようやく頷くことが出来た。

 

体を起こしてみれば、もう大惨事。

 

ホットミルクまみれに なってしまったお腹の上。

タイルの目地を伝って流れていった白濁は、排水口で詰まり、小さな塊を作っていた。

 




お風呂から上がった後、にっこにこの美優母にホットミルクとか出されて赤面して欲しい。
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