身体の疼きが中々収まらず、今朝は寝不足を感じていた。
あくびをしながら身なりを整えてリビングに顔を出す。
『おはようございます』
鷹野さんが朝食を準備していた。
「秋穂さんはまだ来ていませんか?」
『木原さんでしたら社長の部屋にいらっしゃいますよ。阿見さんも一緒です』
「そう、ですか」
やはり、そういう事なのだろう。予想は当たっていたようだ。
「少し外を走ってきてもいいですか?日課にしているんです」
『構いませんが、30分ほどで戻ってきてください』
「はい」
陰鬱な気分を取り払うつもりで私は走りに別荘を出た。
多少は気が晴れたところで戻ると全員が揃っていた。
秋穂さんは気怠げな表情をしているが、阿見さんと鳥羽は調子が良いように見える。
『さて、七海くんも戻ってきたところで朝食にしようじゃないか』
本当はこんな男と朝食を共にするのは嫌だったが食べない訳にもいかないので黙って席に着く。食事の味は悪くなかった。
『私は仕事があるのでね。夕方までは楽に過ごしてくれ』
鳥羽はそう言って自室に入っていったが、そう言われてもやる事がなく、どうすれば良いのか分からない。
『七海さん、それから木原さん。よろしいですか?』
「何か?」
『洗濯をしますので、昨日の下着など洗うものがあれば持ってきていただけますか?』
替えの下着は多めに持ってきたが、それでも1週間も洗わない訳にもいかない。他人に洗われるのは抵抗があったが頼む事にした。
夕方まで課題を終わらせようと手をつけたがどうにも集中出来なかった。
諦めてベッドに横になりながらスマートフォンでネットサーフィンを行う。
彼やいろは達は私が仕事中だと思っているからか、連絡は来ていなかった。
(まだ6日間もあるのね。早く帰りたいわ)
誰かがノックをする音で目が覚めた。いつの間にか眠ってしまったようで窓から見える景色は既に日が沈んでいた。
『やちよ、大丈夫?』
秋穂さんが様子を見に来たらしい。
「大丈夫です。眠ってしまったみたいです」
『もう夕飯ですって。食べられそう?』
「すぐに行きます」
こんな状況でもやはりお腹は空くようだ。
既に人数は揃っていた。
鷹野さんが作ったものはどれも美味しく、箸が進んでしまう。
顔を出すのが遅れたお詫びという訳ではないが食器を洗うのを手伝った。
『七海さん、ありがとうございました。あとはやっておきますので入浴を済ませてきてはいかがですか?』
時間は20時を過ぎていた。入浴するには丁度いい時間だと思い、着替えを用意して浴室に向かった。
浴槽には既にお湯が張られていた。髪や身体を洗い湯船に浸かると心地良い気分になってくる。脚を伸ばせる浴槽なんてオーストラリアでの撮影以来だった。
湯を堪能しているとガラス戸の向こうから秋穂さんが話しかけてきた。
『やちよ、入浴が済んだら部屋に来てほしいそうよ』
誰が伝言を頼んだかなんて考えるまでもなかった。
「分かりました」
性器のケアに無頓着だとは思われたくないので慎重に洗う。
いつかのように挿入して終わりではないだろうと思うと気が滅入ってくる。
髪を乾かし身なりを整え、鳥羽のいる部屋に向かった。
「七海です」
『ああ、君か。入ってくれ』
「失礼します」
扉を開けると私が浸かっている部屋の2倍ぐらいの広さがあり、ベッドも5人ぐらいなら余裕で寝られる大きさだった。
鳥羽はソファに座って何かのお酒を飲んでいる。私よりも先に入浴を済ませていたのでバスローブを羽織っていた。
『まあ、座りなさい』
自分の隣に座るように目で促してくる。
「失礼します」
適度に距離を取りソファに座る。
『さて、呼び出した要件は分かるな?』
「…はい」
一晩相手をしろ。きっとそういう事なのだろう。
『話が早くて助かる。仕事を早く片付けた甲斐があったというものだ』
お酒を飲み干した鳥羽にベッドへと連れられるとそのまま押し倒された。
「あの、灯りを…」
『散々裸を見られたんだ。今更恥ずかしがる事もないだろう』
こちらの意見は却下されてしまう。
諦めて身体の力を抜き、全てを差し出すことにした。
鳥羽が覆い被さってきて首筋の匂いを嗅いでくる。
『やはり美女はいい匂いがするものだな』
深く息を吸われるたびに鳥肌が立つ。
私の顔を見つめながらパジャマのボタンを外していく。
恥ずかしさから顔を背けようとするが空いた手で正面を向くように固定される。
ブラジャーに包まれた胸が露わになっていくのを自分でも眺めていた。
『ほう、今日の下着は白か。何色持っているのかね?』
「5色ほどです」
『一番気に入っている色は?』
「…青」
『ならば最終日にはそれを着けてきてもらおうか』
下着の色まで指定されるのは屈辱だった。
「…分かりました」
気を良くした鳥羽はブラジャーの上から胸を撫でてくる。下着が型崩れしない力加減で行ってくる事からも慣れている事が分かるが、焦らされているようで胸が切ない。
『君が経験済みで良かったよ。阿見くんは処女だったから快楽を教え込むのに時間がかかってね』
「私の知る彼女はあんな風じゃなかった。あなたのせいだったのね」
『彼女も同意の上さ。今では望んで私に抱かれている』
「私は絶対に屈したりしないわ」
『それは楽しみだ。私としてもやりがいがある』
鳥羽は私の背中に手を滑りこませると素早くホックを外した。
そのまま肩紐を下され、あっという間にブラジャーを脱がされてしまった。
『手で隠すなんて不粋な事はしないでくれよ?』
反射的に隠しそうになったが、その言葉に従って身体の脇に揃える。
「良い子だ。褒美をやらねばな』
そう言って乳首に唾液を塗りこんでいく。触れるか触れないかという絶妙な舌の動かし方に翻弄される。
「…っ」
口に手の甲を当てて声が漏れそうになるのを堪える。
鳥羽はもう片方の胸に口を寄せて同じように唾液を塗りこんでいく。
既に唾液に塗れた乳首は人差し指と薬指に挟まれ、優しく扱かれている。
(なに、これ?こんなの知らない…)
刺激の仕方としてはまだまだ弱いはずなのに、そこから得られる快感は今までよりもずっと強烈だった。
どのくらいの時間が経ったかは分からないが、同じ間隔と力加減で両方の乳首が指に刺激され続けている。
『どうした?乳首だけでイキそうか?』
今までそんな経験はした事がない。だが、鳥羽の言うように延々とそこだけを弄られ続けて達してしまいそうな自分がいる。
頭を左右に耐えようとするが、淡々と与えられる快楽に限界を迎えてしまった。
「イ…く」
身体を大きく弾ませて甘美な絶頂を迎えた事を知らせる。
(胸だけでイカされるなんて…。下を触られたらどうなってしまうの?)
それを想像すると、どうなるのか確かめてみたくなる。
『胸だけでイクのは初めてのようだな。今までのやり方があっていないんじゃないのか?』
「そっ、そんな訳…」
必死に言い返そうとするが言葉が詰まってしまう。
『まあ、良い。それよりも下着はおろか、パジャマも用を成していないようだ。私が脱がせてやろう』
「えっ…?」
言葉を理解するよりも早く鳥羽に腰を持ち上げられ、下着ごとパジャマを脱がされる。
『ほら、下着はもうビショビショだ』
見せつけるように脱がした下着に顔を埋めて匂いを嗅ぎ始める。
『甘い匂いがするな。この感じだと君の愛液もさぞや美味なんだろう』
それはこれからやちよの性器に舌を這わせて愛液を啜ると宣言しているのと同じだった。
鳥羽の頭が足元に下がっていく。目的は分かっているが拒めない。あの舌使いでクリトリスを責められたらどれだけの快楽が得られるのだろう。
その期待感から無意識のうちに脚を開いていた。
鳥羽は濡れそぼった秘所に鼻を埋めて深呼吸を繰り返している。
『やはり良い匂いだな。次は味を確かめさせてもらおう』
熱を持った舌があわいを舐め上げる。
『とろみがあって木原くんよりも甘みが強いな。彼女のものも程よく酸味があって美味だったがね』
味の感想はこれまでといった感じで鳥羽は愛液を舌で掬ってはそれを美酒を味わうように堪能して飲み込んでいく。
その間もやちよへの愛撫は忘れていない。
愛液を啜りながら器用に指を動かして的確にクリトリスを探り当て、また触れるかどうかといった距離を保ち刺激を与えてくる。
(駄目、こんなの我慢出来ない)
まだ本気で責めている訳ではないだろうが、もうイカされてしまいそうだ。
そう思った時、鳥羽の舌が陰裂を離れて更に下に降りていく。
会陰を唾液で濡らし、舌は肛門に触れた。
(えっ?)
思わぬところからの刺激に驚いてしまった。
「ちょっ、どこを舐めて」
『肛門だよ。ここを舐められるのは初めてかな?』
「あ、当たり前でしょ?」
『君の恋人はこんな事も出来ないのか。私に委ねるんだ、まだ君の知らない快楽を教えてやる』
「い、いや」
言葉では否定してみせてもそれが本心ではないことは誰の目にも明らかだった。脚を胸に抱えて鳥羽が舐めやすいようにすらしてみせる。
『協力的なのは良い事だ。褒美にまたイかせてあげようじゃないか』
鳥羽は今度は肛門を舌でつつきながら、人差し指を秘所に差し込み的確にGスポットを探り当て、外側からはクリトリスをマッサージをするように親指で柔らかな愛撫をしてくる。
女の身体に習熟した者にしか成し得ない連動した動きにやちよは身を委ねて快楽を享受していた。
思考すらままならない頭を左右に振りながら二度目の絶頂を迎えた。
『先ほどよりも派手にイッたじゃないか。肛門を責められるのも悪くないだろう?さて、そろそろ私も楽しませてもらうとしよう』
バスローブを脱ぎ捨て、露わになった肉棒は既に最大限まで怒張していて鈴口は先走りの液で濡れている。
『では失礼するよ』
鳥羽が肉棒をやちよの膣口に押し当ててくる。
鳥羽が避妊具を着けていないことは分かっていたが止める気は起きなかった。
(これもあの映像を取り返すために必要なことなのよ)
この行いに正当性を持たせるために自分を誤魔化せる理由をでっち上げる。
その間にも鳥羽の肉棒はやちよの中を掻き分けて奥へ奥へと入っていく。以前のような裂かれるような痛みは一切無く、受け入れたことへの達成感すらあった。
『さあ、全部入ったぞ』
そう言って鳥羽はやちよの腹部を撫でた。
『痛みがないようなら動くが構わないな?』
返答を発する代わりに頷く。動いてほしいだなんて恥ずかしくて言えなかった。
抽送の動きすら鳥羽は巧みだった。やちよが最も快楽を得られる角度や速度を確かめながら的確にそこを突き上げてくる。
やちよはジワジワと膣内を押し広げられる感覚が特に気持ちいいと感じていた。
(ああ、こんなの初めて)
『さて、少し早いが出させてもらうとしよう。構わないね?』
再び蕩け始めた頭では言葉の意味を理解するのに時間がかかる。
(出すって何を?どこに?)
だがそれを理解しようとするのは快楽を得ることの邪魔でしかなかった。
大きく頷き、自分も快楽を得ようと乳首とクリトリスを弄る。
鳥羽は最奥を小刻みに突き、そこに熱い飛沫を解き放った。
膣内で暴れる肉棒の動きにやちよは3度目の絶頂を迎えていた。
『ふう。七海くんの中もいい具合だったよ』
「…どうも」
深い快楽から戻ってきたやちよは膣内射精を赦したことに罪悪感を抱いていない自分に戸惑っていた。
むしろ最奥に精液を流し込まれ、穢されたことに快楽すら感じていたように思う。
『さて、私としてはやり足りないところなのだが、まだ五日間も残っているからな。あとの楽しみに残しておくとしよう。七海くんも疲れただろう?また湯船に浸かってゆっくり休むと良い』
「…はい。失礼します」
愛液で湿った下着やパジャマを着る気にはなれず、全裸のまま鳥羽の部屋を後にする。
自室に戻ろうとしたところで秋穂が部屋から飛び出してきた。
きっと鳥羽との情事を終えるのを待っていたのだろう。
涙ながらに抱きしめられるが、私の心の中には穢される事への悦びが芽生えていた。