これは人間に憤怒した創造主とそれに歪に抗う人間達の物語。
今の地球は全く美しくない。
余が銀河を作り上げそこから暫く立った後の地球は美しく緑と青の星だったのに今はどうか?。
身の程も弁えぬ人間共が跋扈し穢れた星になってしまった。
許せん………。
我が家族達よ人間共を滅ぼすぞ。
奴等同士で殺し合いをさせるのだ。
―――――
「ただいま」
「お帰りなさいませ御嬢様」
黒後家。
日本有数の名家でありその家の一人娘である黒後美銀は本日も高校生活を終え帰宅してきた。
出迎えるのはこの家の守衛の柊源治である。
黒後家の守衛を務めて早半世紀近く、70半ばの老齢だがハキハキとした様子で喋るこの家の門番である。
今日はそんな柊にプレゼントがある。
「柊いつもお疲れ様。これでも飲んで」
「おぉ。これはこれはよーいお茶ですか」
「えぇ。嫌だった?」
悪戯っぽく笑いながら言うと「滅相もございません」と首を横に振り柊は差し出されたペットボトルお茶を受け取る。
「大好物で御座います故、後でゆっくり飲ませて頂きます」
「良かったわ」
「御嬢様」
「なぁに?」
「若い頃の母上に目元が似てこられましたな。瓜二つです」
「クスッ……。何よそれどうリアクションしていいか分からないわ。でもありがとうね」
美銀はそう言うと家の中へと入っていった。
正直柊の言葉自体は嬉しいし彼に悪意が無いことは美銀自身が一番理解していたが………親との関係を考えれば複雑な気分である。
―――うふふ。懐かしいわね。
あの頃はお父様もお母様も仲が良かったし私と一緒に遊んでくれたけど中学に上がってから二人は出張が増えたのよね……高校になってからは未だに直接顔すら合わせてない………。
本当にあの人達は血の繋がった私の両親なのかしら……。
疑念を抱きながらも美銀は大きな玄関の戸を開けばあや数人の執事とメイドしかいない家に「ただいま」と帰宅の挨拶をした。
「お帰りなさいませ御嬢様」
「ただいまばあや」
ばあや事、冴島雅も高校を卒業してからずっとこの家に女中として仕えていた。
美銀のオムツを取り替えた事は勿論、母のオムツも取り替えた事があり他の若い執事やメイド達を持ってすら冴島さんには叶わないと言わしめるベテランである。
「ばあや他の人達はどうしたの?」
「あぁ!他の連中なら今家を掃除してる最中です!。全く今の若者はだらしないったらありゃしませんねぇ!」
「勿論美銀御嬢様は別ですがね!」と言う彼女の顔は生き生きとしていた。
「ふふふ。まぁ程々にね」
「えぇ気をつけます。ところで御嬢様今日はなんだかお顔が優れませんが?」
……流石、小さい時から美銀を見て来ただけはある。
恐らく美銀が何を取り繕うとしてもばあやにだけは通用しないだろう。
「……ちょっとね」
「ストレスを溜めるのは良くありません。私で良ければ話しを聞きましょう」
「分かった。ありがとう………」
「ではこちらにお座りください」
ばあやは美銀の手を握りながら居間まで連れて行ってくれた。
しわしわな手だが幼い時から感じる暖かさは一切変わりない。
―――ありがとうばあや。