「へー。お前は闇属性の力を身に着けたんだぁ!。黒後美銀!」
―――これは何……?。夢?。
美銀が自分が今見ている光景を夢と認識するのにそう時間は掛からなかった。
眼前に
もう一人の彼女は何処か悲哀を帯びた目をしながら喪服のような黒いドレスに身を包み、頭には漆黒の薔薇の花飾りがしてある。
銀髪故、漆黒の薔薇の花飾りは夏の日を照らす影のように目立っていた。
そして彼女は華奢な身体には見合わない身の丈はありそうな剣をロサに振り下ろした―――。
「ぁはははははは!。教えてやるよ!、人間風情が
ロサも乗り気でもう一人の美銀の斬撃をその手で受け止めた。
「きゃあ!」
生じた衝撃波と共に彼女は目を覚ました。
―――――
「!?」
思わず飛び起きる美銀。
彼女の身体は冷や汗で全身びっしょりだった。
あの夢が伝えたい事は一体なんだろうか―――。
不安か……焦燥が見せた悪夢か………。
それともこれから待ち受ける未来を見せた正夢か………。
現在の彼女にそれを知る術はない。
「起きたか美銀。おはよう」
先に起きていた泰は自分と違いもう既に着替えていた。
彼の服はこの家から拝借した物である。
美銀は止めたが彼は「非常時だからしょうがねぇだろ」と彼女の静止を聞かなかった。
「おはよう……泰」
「お前魘されていたけど大丈夫か?」
「平気……非日常だからね。きっとストレスよ」
昨日の事を思い出してきた。
互いの自己紹介も終わり赤ちゃんが寝た後、色々な意味で疲れてるのに動くのはあまりにも危険(珍しく美銀と泰どちらも考えが一致)と判断しこの子の家に泊まったのだ。
作戦会議と言う程高尚な物ではないが三人で居る時襲われたらどう対処するかや、美銀は泰から実際に人間をどう殺めたかも聞いたりした。
そして家の中から武器になり得そうな物を拝借(美銀はこの認識だが泰は状況が状況だから盗んでも問題なしと考えている)し、夜に美銀が夕食を作った。
ちょうどカレーのルーと冷蔵庫に挽き肉があったので手軽なカレーライスを2人分作ると「うん普通にうめぇわ」と泰が完食したので「良かったわ」と笑いながら美銀は言った。
赤ちゃんには当然ミルクを与えた。
こちらも美味しそうにゴクゴク飲みちゃんとゲップしてから二人より早く眠りについた。
その後数回身体を重ね二人も気を失うように就寝し今に至るわけである。
「お前の朝飯普通に楽しみ」
着替え終わった美銀に泰はそう言葉を掛ける(彼とは違い自分の家を出る時トランクケースに入れたものだ)。
彼にしては珍しく頬杖をつき足をバタバタさせながら料理を待っていた。
「見て分かるぐらいにルンルンしてるわね」
「俺は食事の時だけが唯一の安らぎだったからな。幸せになれるんだ……生きてて良かったってな」
「泰……。ねぇ貴方も料理覚えてみない?」
「俺が?」
「そうよ。もし私が居なくなった時きっと役に立つわ……あの赤ちゃんの為にもね」
「……んだよ物騒な事言いやがって。でもま、どうせ暇だしやってみようかな」
「良かった。じゃあシチュー作りましょ。まずそこの鍋に水を入れて」
「おう」
「次は―――」
気付けば二人は料理に熱中していた。
ばあやから教わり手慣れている美銀のサポートの下美味しいシチューが完成したのである。
対面しながら二人は座り、「どう?」と美銀が聞くと泰は笑いながら「最高」と答えた。
おぎゃあおぎゃあと声が聞こえる。
……二日目の非日常の始まりだ。