※この作品はR-18です。

【ゲームのデータ】引き継ぎ! C級テイマーに転生!   作:BIBI

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第12話 リーグ試験!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 今日は朝から、テレビもネットも大盛り上がりで、シノンの話題ばかり。

 

 だが、それはそれとして、予定通りリーグ試験のブロンズが開催される。

 

 

 今回の優勝者はシルバーの出場資格が与えられ、ゴールド、プラチナ、順で優勝できればリーグに入団できる決まりだ。

 

 

 プロを目指す為のテイマーとしては、最初の一歩。多くの人が優勝は有り得ないと意気込みながらも、どの程度自分が通用するか緊張した様子。

 

 

 

 観客席はシノンの話題で盛り上がる人達もいるが、殆どは目の前の試合に集中し、誰か勝つか金を賭けて遊んでいる。

 

 

 今回最も注目されているのは、リンネとアイリだ。

 

 

 どちらも大会とかではないが、闘技場を借りて対戦していた時の様子がネットに出ており、かなり強いのではないかと噂されている。

 

 

 そして何より、二人共飛び抜けた美少女だ。

 

 

 彼女達を一目見ようと集まった男達も、ここには大勢押し寄せている。というか円型闘技場を囲む観客席の半数が、そういうファンで詰め尽くされている。

 

 

 テレビに出ている様な芸能人でもなければアイドルでもないのに、凄まじい人気だ。顔が良くて強いというだけで、ここまで人気が出るとは、リンネやアイリも予想していなかっただろう。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 モンスターの純粋な成長だけで考えれば、レベル5違えば、20%近く基礎能力に差が生まれるらしい。

 

 

 という事はレベル20差があれば、2倍くらい基礎能力に差が生まれるという事。

 

 

 だからこそ今までレベル上げが難しかった低ランクモンスターが、雑魚扱いされていた。

 

 

 しかし現在は、その常識が覆った。

 

 

 寧ろ今は低ランクモンスターの方が強いと認識されつつある。

 

 

 何故なら、低ランクモンスターの方が〈種族スキル〉が強い傾向があるからだ。特に変異種のモンスターは弱点属性が増える分、種族スキルが強化されるらしい。

 

 

 

 だとしたら低ランクモンスターの方が強いと思われるのは当然だった。

 

 

「結構好きだったが、仕方ないか……」

 

 

 闘技場を囲む観客席の内部に作られた、テイマーの待機所。金髪を腰まで伸ばした小柄な少女――リンネは、一体のドラゴンを撫でていた。

 

 

 その竜は黄金の鱗に覆われ、体長3メートルを超えるドラゴン――ジガルゴというA級モンスターである。

 

 

 これからはテイマーにとって、激動の時代となるだろう。ランク至上主義が覆り、低級テイマーも奮起し始めた。

 

 

 世界中で多くの人が低級モンスターを連れて、レベル上げを始めている。

 

 

 もうA級モンスターのジガルゴを育て続けるのは止めるべきだろうと、リンネは考えていた。

 

 

「シノンの奴……。まさか研究者としても天才だったとは……」

 

 

 リンネはシノンとは既知の仲ではない。噂で聞いていただけだ、自分に匹敵するかも知れない天才だと。

 

 

 だがその認識を改める必要があると、彼女は考え始めていた。

 

 

 リンネは駆け出しではあるが、無敗の実力者で同世代では最強だと自負している。だが彼女はテイマーという一点突破の才能で有り、それ以外の殆どが不器用で苦手という特徴を持つ。

 

 

 

 だから勉強も苦手でテイマーとして卓越した才能を持ちながら、テイマーの専門学校で飛び級ができなかった。

 

 

 故にシノンより年上なのにも関わらず、まだテイマーとしては駆け出しである。

 

 

 それに比べ、シノンは座学も得意。努力も当然。テイマーとしても類稀な才能を持つ。生まれも育ちも良くて、性格まで良いと評判。おまけに、モンスター研究や錬金術の分野でも、歴史的な偉業を成したと称えられている。加えて、本や魔道具の販売を始めるらしく商売にも意欲的。モンスター愛護の価値観を浸透させる立役者として、これから祀り上げられる事を考えれば、世界中で味方する人も大勢いる。

 

 

 

 リンネから見れば、シノンは万能の天才であり、遥か格上に見えていた。ただテイマーとして優れているだけの自分とは違う。

 

 

 少し自信喪失し、リンネは肩を落としていた。

 

 

「凄い時代になったもんだよね。まさか低ランクモンスターが頭角を現すなんて」

 

 

 茶髪で太ったオッサン――ドルイ。彼は丸眼鏡が良く似合う人で、シャツと七分丈のズボンという軽装だが、何となく清潔感のある人だ。

 

 

 

「……もう、このジガルゴは育てるのを止めるのかい?」

 

 

 ドルイは背が高い方であり、自然と身長が130センチ程度しかないリンネを見下ろす様な姿勢となる。

 

 

「そうしようと思っている。気に入っているが、これからの時代では戦いに付いていけないだろう。今後は新しいモンスターをテイムして、しばらく旅に出るつもりだ」

 

 

 ジガルゴの腹を撫でながら、リンネは溜息を漏らす。可愛らしい顔でクラシカル系のワンピース姿なのに、彼女の口調は少し固有というか男勝りで、妙なギャップがある。

 

 

 

「……君もそうか。いや、シノン君のニュースを聞いたプロのテイマーも、多くが朝から旅に出てしまっている。やはり優れたテイマーとは、思い切りがいいというか、思い至ったらすぐ行動。という性格の人が多いな」

 

 

 現在、世界中はある種の危機に陥っている。闇ギルドが潜んでいるのに、テイマーの多くが人里から離れ、旅に出て行こうとしていた。

 

 

 そして政府所属のテイマー達も、旅で修行をしたがるだろう。だとすれば退職する者も増加する。

 

 

 これは大袈裟な話じゃなく、何か街に被害が遭った時、対処できる人員が少なくなってしまう。そうドルイは今後の治安悪化を危惧していた。

 

 

 

「私は特に焦っている……。今までなかった感覚だ。敗北感というか、とにかく才能の差を見せつけられて、不安になった。もしかしたらシノンの方が、私より強い可能性もある。何せこれから種族スキルや技構成が重視され、テイマー補正のゴリ押しが難しくなる。まるでルール自体を変えられて、自分が不利な立場になった気分だ」

 

 

 

 今まで世界王者も時間の問題だと思い、リンネは慢心していた。だが、これから搦め手を重視するテイマーが増えれば、格下に足を掬われるかも知れない。

 

 

 

 単純に力押しだけを考えて、モンスターを育てる事を止め、もう少し頭を使って育てないと勝てなくなる。そうリンネは判断し、何を育てるべきなのか頭を悩ませていた。

 

 

 

「君もか……。ウチのアイリもそんな様子だったよ。アイリは昔から何をやらせても人より上手くできる天才だった。だから少し傲慢になって、他人を対等だと思っていない素振りがあったんだ。でも今日、シノン君の話題を知り、初めて激しい劣等感を抱いていた。シノン君が完全に自分の上位互換だと、心のどこかで認めてしまったんだろうな」

 

 

 

 ドルイはアイリの父親だ。昔から娘を溺愛していたが、他人を見下す様な態度は良くないと注意していた。

 

 

 子供だからこその万能感とは違う。本当に万能なんじゃないかと思わせるほど、アイリは様々な才能に満ちていた。

 

 

 幾ら慢心は身を滅ぼすと教えても、ドルイの言葉では娘に響く事はない。

 

 

 何かあってからでは遅いからどうしたものかと、彼が悩み半ば諦めていた時、シノンという天才が現れた。

 

 

 自分なんて大した事ないと、アイリは認めてしまったのだろう。娘が落ち込み、焦っている姿は可哀想だが、ドルイとしては良い経験を得たのではないかと思っている。

 

 

 

 

 








〈あとがき〉

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