※この作品はR-18です。

【ゲームのデータ】引き継ぎ! C級テイマーに転生!   作:BIBI

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第17話 カーネリアン!!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 ヒナタは父親からの愛情に飢えている。殆ど会えず、優しくされた経験は殆どないが、それでも彼女はひた向きに、ジャスパーで貢献しようと考えていた。

 

 

 

 アビリティの負担で、このままだとヒナタの命は長くない。後数年程度の時間しか残されていなかった。

 

 

だからせめて父親の為に、何かできる事はないかと彼女は考えて行動している。

 

 

 今回の大会。優勝賞品は希少なアイテムであり、一度リンネの手に渡れば奪う事は難しいだろう。

 

 

 リンネは名家の生まれであり、親族がテイマーとして一流であり、敵に回すとしたらかなり厄介で、正直割に合わない。

 

 

 

 それにリンネは護衛として、高レベルのモンスターを貰っている。大会で使用する事はないだろうが、命懸けの戦いとなれば使用してくるはずだ。

 

 

 

 だからアイテムの入手は、大会で優勝する事が手っ取り早い。

 

 

 優勝して、父親に献上したい。その一心で彼女はこの大会に望んでいた。

 

 

「――――面白い」

 

 

 金色の髪を掻き上げて、イライジャは不敵に笑う。

 

 

「ジャスパーの第二部隊隊長。鳴上ヒナタ。お前が立ち塞がるのか」

 

 

 闘技場に出向いて来たヒナタを見て、彼はケタケタと笑う。

 

 

「…………」

 

 

 ヒナタはもう、自身がジャスパーの団員である事を隠す気は無い。年齢的にも良い頃合いでもあると割り切り、イライジャと対立する道を選んだ。

 

 

「…………ヒナタが、ジャスパーの隊長?」

 

 

 リンネは親友だと思っていた相手が、闇ギルドの団員だと知って狼狽している。声の聞こえない観客を除けば、その場の大勢も驚きを隠せない様子。

 

 

「あくまで、お飾りの隊長だ。もう寿命も短く、死に掛けの娘に、ボスが与えたお情けの立場。隊長と言いつつ、無能な部下の躾を担当しているだけだ」

 

 

 リンネに向かって、イライジャは丁寧に説明した。彼は相手を挑発する趣味はないが、強者故に無駄話で時間を潰す事はよくある。

 

 

「…………ひぃ!」

 

 

 銃口を突き付けられ、怯える観客。イライジャが喋っている間に、観客席にサブマシンガンを片手にカーネリアンの下っ端が駆け付けていた。

 

 

『ヒイラギ。動くなよ。お前が動けば、観客が死ぬと思え』

 

 

 小型拡声器を使用し、実況席にいるであろうヒイラギにイライジャは忠告する。

 

 

「…………くッ」

 

 

 歯噛みし、悔しそうなヒイラギ。彼は表情に出さないだけで内心歓喜している、これで戦わずに済むぞと。

 

 

「ヒイラギさん……」

 

 

 ミカはヒイラギの様子を見て、観客の命を優先させていると勘違いしている。本来、闘技場の者達と協力した方が勝算は高いはずだ。

 

 

 その勝機をあえて逃すのはきっと、観客の命を重んじている事に他ならない。そう彼女は冷静に判断している。

 

 

「良かったな、父親がジャスパーのボスで。貴様の様なアビリティもろくに使用できない出来損ないでも、立場上は偉くなれたんだ。さぞ気分が良かったろう」

 

 

 胸元の衣嚢から煙草を取り出し、イライジャは火を付けた。ふぅっと煙を吐き出しながら余裕の態度で、ヒナタと視線を合わせる。

 

 

「……私は確かにジャスパーですが、リンネ、アイリ、一時的に協力しましょう。私達が手を組む以外に、この男に対抗はできません」

 

 

 

 イライジャの言葉を意に介さず、ヒナタは平静な態度で提案した。「色々聞きたい事はあるけど……。仕方ないか」リンネは溜息を漏らし、アイリは「……当然、協力します」と自信なさ気に身構える。

 

 

 

「貴様はつくづく悪党には向いてないな。善にも悪にもなれない、つまらん奴だ。悪党とは社会に適応できない欠陥品であるべきだ。お前の様に親の為、友人の為に、フラフラと歩む道を変える半端者は、平凡でまともな生き方を選ぶべきだった」

 

 

 

 本当に落胆した様子で、イライジャはヒナタを蔑む。友人を見捨て、逃げればよかったものを、わざわざ勝算の薄い戦いに身を投じる。道の逸れた生き方をするには、あまりにも軟弱な思考だと純粋に見下しているのだ。

 

 

 

「安心しろ。お前は健康に生まれたとしても、そう長く生きる事はなかったはずだ。人の道を踏み外した癖に、引き返す道を探すお前の様な腰抜けは、どれだけ健康な体を持っていても早死にするものだ」

 

 

 

 歴戦の猛者というだけあり、イライジャには妙な貫禄があった。バチバチとオーラが迸り気配は全く抑えられていない。

 

 

「「「…………ッ」」」

 

 

 剥き出しのオーラ。それは明確な敵意として観客席、実況者席にまで伝わった。怯える観客、一瞬悲鳴を上げた者は銃殺され、辺りは再び静まり返る。

 

 

 声を発する事すら弱者には許されない状況。ガタガタと震え、心臓がギュッと縮まる様な思いを、大勢の人は強いられる。

 

 

 イライジャの発する大きな気配を機に、更に空から二体の竜が舞い降りた。

 

 

「隊長。私がアイリをやります」

 

「私がリンネを殺すわ」

 

 

 それぞれプロに匹敵する気配を纏う隊員二人、マテオとエイヴァ。彼等もかなりの実力者であり、連れている竜も高レベルで基礎能力が高い。

 

 

 

「…………ッ」

 

 

 リンネとアイリだけではなく、ヒナタにも緊張が走る。

 

 

 イライジャだけでも勝ち目の薄い戦いだ。そこに増援はかなり致命的だと感じ、自然とヒナタは唇を噛む。

 

 

「――――来い」

 

 

 アイリは母親から受け継いだ高レベルの大きな狼型のモンスターを二体、その場に出した。もはや敵対は避けられないのなら、全力を尽くすしかない。

 

 

 彼女の目には迷いはなく、「とにかく全力で戦いましょう」と、リンネとヒナタに視線を向けていた。

 

 

「――出て来い」

 

 

「――来て」

 

 

 リンネとヒナタも迷いを振り払い、それぞれが護衛用に持たされているモンスターを呼び出す。

 

 

「掛かってこい」

 

 

 不敵な笑みを浮かべ、イライジャは余裕の笑みを崩さなかった。他の隊員達も全く恐れる様子はなく、ただ一方的な戦いになると確信していた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 テイマーの対戦は最も人気な競技であり、リーグ試験ですら視聴率が40%超える事も珍しくない。そして今もリーグ試験の会場は撮影されており、全国に放送され続けている。

 

 

 昼間だというのに、大勢の国民が注目している。仕事の手を止め、テレビを観ている者も少なくない。

 

 

「マジかよ。こんな事が……」

 

「何が目的なんだ?」

 

 

 ビルに張り付けられた大型のモニター。それを見上げる人々は騒がしい。面白がる者や心配する者、反応は様々である。

 

 

「…………」

 

 

 黒いコートを脱ぎ、街を歩いていたショウも足を止め、モニターを観ていた。

 

 

 彼は知っている、イライジャが序盤に出てきていい相手じゃない事を。

 

 

 ライバルキャラが二人いる状況でも、絶対に倒せない難敵だとショウは溜息を吐き、足に力を入れる。

 

 

 まるで高レベルのモンスターみたいな速度で跳躍し、ショウはビルの外壁を駆け、屋根や屋上を足場に会場へ向かった。

 

 

 

 









〈あとがき〉

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