※この作品はR-18です。

【ゲームのデータ】引き継ぎ! C級テイマーに転生!   作:BIBI

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第25話 闇ギルドの団員だけど人気者!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 観光客が賑わう――森天(しんてん)。かなり田舎な見た目だが、伝説のモンスターが眠るといわれる遺跡があり、外国人から人気が高い。

 

 

「一応聞くが、何でここに来たんだ?」

 

 

 赤い髪の男――アタルは缶コーヒーを飲みながら、隣に視線を向けて歩く。表情に焦りや緊張感はなく、まるで旧友に話すかの様な気軽さだった。

 

 

 今日はリーグの衣装や軍服は着ておらず、私服姿。テイマーなので魔力で年中気温を無視できるが、一応周囲に合わせて黒いジャケットを着ていた。

 

 

「貴方達と同じです。カーネリアンの動向を探った結果、ここら辺かなって……」

 

 

 ショウはサンドイッチをパクパクと頬張りながら喋り、所々聞き取りづらい。彼もアタル同様に何の緊張感もない。

 

 

 

 ただアタルとは違い、白いシャツに黒いズボン。いつもと同じ格好であり、あまり周囲の服装に合わせないタイプらしい。

 

 

 

 恐らく背負っている背嚢の中に、黒いロングコートが入っているのだろう。それをいつでも着れる様に、あえて軽装なのだと思われる。

 

 

 

「…………。流石というべきか、全く……」

 

 

 ヒイラギはアタルと同様の理由でここに居て、今日は私服で行動していた。

 

 

 セーターが良く似合っており、彼が女性から人気の高いテイマーなのにも説得力があるほど、整った容姿と相俟って見栄えが良い。

 

 

 

 だが――。

 

 

「ショウ君……。何で生の方がイケメンなの……?」

 

 

「神々しいよ……。生きててよかったぁ」

 

 

「やっば……。顔、整いすぎでしょ……」

 

 

「芸能人でもいないから、あんなイケメン……! 俳優になってくれたら出演する映画全部見に行くしグッズも買うのに……!」

 

 

 

 ショウの方が圧倒的に容姿が優れている所為で、ヒイラギは周囲から気にも留められていない。周囲の女は足を止め、ショウの姿に注目し感動していた。

 

 

 

 感極まって涙を流す者までいた。どうやらSNSを良く利用する若者の間では、彼は最近飛躍的な人気を高めているらしい。

 

 

 

 世界的に注目されている犯罪者だと言うのに、嫌悪感や恐れを抱く者は殆どいない。

 

 

「つーかお前……、普通に街歩いているよな……。当たり前の様に食べ歩きしている所とかSNSでも写真がよく上がってるし……」

 

 

 

 追われている自覚ねぇのかよと、アタルは肩を竦めて視線を前に向け、遠くに高く聳えている和風城を見上げていた。

 

 

 

「別にコソコソする理由がないので……。寧ろ、人が多い場所の方が、貴方達が戦いにくい分だけ僕は有利です。政府も民間人が巻き込まれる可能性を考えて、おいそれと戦闘の許可なんて出しませんよ」

 

 

 

 仮にカーネリアンが襲撃してきたら、それはそれで美味しいとショウは考えている。多少街に迷惑を掛けても、相手の戦力を確実に削れるなら十分得だ。

 

 

 

「…………まぁ、確かに」

 

 

 実際今は周囲に人が多く、アタルはショウと敵対する気は起きなかった。

 

 

 この一ヵ月で何度もショウはカーネリアンと市街戦を繰り広げ、民間人を巻き込んできた。もう十分、彼が民間人を巻き込む事に躊躇がないタイプだと分かっている。

 

 

 

 故にアタルとしては、出来る限り戦う事は避けたい。

 

 

「一応聞くけど、君はカーネリアンについて、どこまで知っているんだい?」

 

 

 ショウの背に向かってヒイラギは質問を投げかけてみた。素直に答えるとは思えないが一応だ。

 

 

「……大して知りませんね。知る必要もないので調べてません」

 

 

 のんびりと卵サンドを食べながら、興味なさ気に応えるショウ。

 

 

「知る必要がない……?」

 

 

 再びアタルは隣を歩くショウを見た。

 

 

「とりあえず奴等が暴れていたら見つけて殺す。それを続ければ、戦いは終わります。アイツ等が何を考えているかなんて、どうでもいいんですよね」

 

 

 カーネリアンの本拠を炙り出すのは至難の業。しかも幹部やボスの方針がバラバラで途中から空中分解する始末。

 

 

 

 こんなめちゃくちゃな連中に対し、馬鹿正直に探り合いしていたら切りがない。そう判断したショウは、シンプルに敵が暴れたらぶち殺す方針を選択していた。

 

 

 

「……何でそこまでしてカーネリアンを殺したいんだよ」

 

 

 アタルは警察に協力する事もあり、当然だがある程度ショウについても調べている。だが彼がカーネリアンに恨みを持つ理由は分からない。

 

 

 

 少なくとも調べた範囲で、彼がジャスパーに入ってまでカーネリアンを殺したがる理由は見当もつかなかった。

 

 

 

「カーネリアンの目的は希少なアイテムの独占と、敵対者の殲滅です。アイツ等がいると困るんですよ、強いテイマーがいなくなるので」

 

 

 

 ショウは卵サンドを食べ終わり、ゴミを紙袋に入れた。「ほらよ」と予備の缶コーヒーをアタルが渡してきて、ショウは「ありがとうございます」と遠慮なく受け取った。

 

 

 

「……強いテイマーがいないと困るのか?」

 

 

 アタルはショウを横目に反応を探る。嘘かどうか正確に看破できる洞察力なんてありはしないが、それでもショウが分かりやすい反応をしてくれるかも知れない。

 

 

 

 自然に彼の様子を伺いつつ、アタルは返答を待っていた。

 

 

「……優秀なテイマーがいるから、希少なアイテムが市場に流れるんです。優秀なテイマーが減れば、希少なアイテムを自力で入手しないといけなくなります。凄く困るんですよ、僕等みたいな研究職は」

 

 

 

 愛情補正や効率的なレベル上げの知識を、世間に広めるよう仕向けた理由でもある。ショウは人材を世界的に増やす事で、手軽に希少なアイテムを集めようとしていたのだ。

 

 

 

 故に、市場を荒し、テイマーの育成を邪魔するカーネリアンは、ショウにとって本当に厄介な存在であり、すぐにでも消し去りたい外敵だった。

 

 

 

「そういえばジャスパーの本質は錬金術だったか……。確かに、カーネリアンが世界を支配すれば人材不足は確実だね……」

 

 

 

 これはテイマーの間でも噂や問題になっている事であり、ヒイラギとしては納得の答えだった。

 

 

 最近は特にそうだ。シノンの書いた本の内容がネットにばらまかれた事もあり、モンスターの食事に使用する果物などが品切れになる事態が多発している。

 

 

 

 需要に対し供給が追い付いていないのだ。もっと強いテイマーが多くなり、供給が増えない限り、値の高騰はしばらく続くだろう。

 

 

 

 そういう意味では、今はテイマー業界は深刻な人材不足と言える。

 

 

「……そういや部下は連れてきてねぇのか? リンネに会いてぇんだけど」

 

 

 個人的な理由ではなく、ジャスパーがカーネリアンと敵対する理由に話を擦り替えられた時点で、アタルはもう深く聞くつもりはなくなっていた。

 

 

 

「あの天才美少女達は別に重要な仕事を任されているらしいです。残りの部下は、かなり怖い奴ばかりだから置いてきました」

 

 

 

 あからさまに嫌そうな顔をして、ショウは缶コーヒーを飲み、深く溜息を吐いた。

 

 

「怖いだと……? お前から見ても、そこまで危険な部下がいるってのか……?」

 

 

 アタルは目を見開き、素直に驚いた様子だ。まさかショウが恐れるほど強大な力を持つ者が他にもいるというのかと、激しい焦りを抱く。

 

 

 

「いえ……。危険ではないんですけど、顔が怖いんですよ……」

 

 

 ジャスパーは闇ギルドだけあって、ガラの悪い人が多い。つまりショウの苦手な人ばかりという事。

 

 

 周囲からすればどうでも良さそうな話だが、ショウにとっては凄く憂鬱な話だった。自分の方が強いのは理解している。だけど、それはそれとしてわざわざ話し掛けたい相手じゃないのだ。

 

 

 

「「…………」」

 

 

 アタルとヒイラギは呆れた様な表情を隠す気にもなれなかった。何言ってんだコイツという感じの視線をショウに向けている。

 

 

 

「僕ガチガチの陰キャだから……、顔が怖くて、威嚇が上手な人が苦手というか……」

 

 

 思い出しただけで憂鬱になるのか、ショウは肩を竦めて落ち込んだ様子だ。

 

 

「強い癖に何ビビってんだよ……。しょうもねぇ」

 

 

 軽く殺せる相手を恐れるなんて理解できない。アタルはどちらかと言えば気が強い方な上に育ちも良くない。ショウの気持ちは理解できない様子だった。

 

 

 

「まぁ、君は育ちが良いからね」

 

 

 一方ヒイラギはある程度理解を示している。彼は優秀なテイマーの多い名家の生まれであり、かなり育ちが良い。

 

 

 彼自身はイキリ系であり弱い奴に恐れる事はないが、身内に気の弱い人は何人かいた。だから育ちが良い人が、野蛮人に精神的な壁を作っている事は見慣れているようだ。

 

 

 

 

 

 








〈あとがき〉

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