※この作品はR-18です。

【ゲームのデータ】引き継ぎ! C級テイマーに転生!   作:BIBI

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第2話 さっそく進化させるぞ!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 ――日が昇るまで、僕はネコマルと一緒にモンスターを狩り続けた。恐らく10時間くらいだろう。

 

 

 

 コガネイルは仲間意識が高く、一体が死ねば集団で襲ってくる。だからこそ効率よく戦うにはうってつけの相手であり、実際、短時間で大量の経験値を得られた。

 

 

 

 ネコマル、遂にレベル5。進化の時が来た。

 

 

「――出て来い」

 

 

 

 掌に光が集まり、結晶化を始める。パキパキと音を立てながら、白い水晶――白竜ノ魂が結晶として現れる。

 

 

「……にゃ?」

 

 

 

 興味深そうに、ネコマルは顔を上げる。しゃがんで僕はネコマルに白竜ノ魂を近づけ、そして胸に押し付けて言う「――――進化しろ」と。

 

 

 

「にゃ……!」

 

 

 

 白竜ノ魂は輝き、ネコマルの体に吸収されていく。これは通常の進化とは異なる特殊なものだ。

 

 

 

 通常の進化はレベルアップに伴って、自然と行われる。しかし今回の進化は違う。可能性の分岐。つまり変異種に進化させる行為。

 

 

 

 ネコマルの体が光り進化が始まる。

 

 

「…………にゃ!」

 

 

 

 輝きが収まると、ネコマルはクラマルに進化しており――なんと殆ど見た目が変わっていなかった。変化と言えば、真っ白だった毛に黒が混ざったくらいだろう。

 

 

 

「可愛いなぁ! ……はぁはぁ♡」

 

 

 

 白黒になり、より好みの見た目に変化した事で僕は思わずクラマルを抱き締める。「…………」面倒臭そうな様子で、クラマルはされるがまま。

 

 

 

 もう抵抗する気はゼロなのだろう。顔をグリグリと押し付けられても、何も抵抗せず、欠伸をしながら、ぐったりと体から力を抜いている。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 白髪を肩まで伸ばしている冷たそうな女――天衣カキネ。屋敷の一室で彼女はソファに座り、携帯を耳に当て、眉間には皺を寄せている。

 

 

 

「ショウが帰宅していない? それがどうかしましたか?」

 

 

 

 実の母親とは思えない言葉。カキネは本当にショウの事には関心がないらしい。昨夜から息子が失踪していると聞かされて、この反応である。

 

 

 

『…………いえ。申し訳ございません』

 

 

 

 下手に言い訳せず部下は謝罪する。経験則だ。下手に何か言い訳しようものなら、その場で何かしら罰を下されてしまう事を、彼は理解していた。

 

 

 

「とりあえず大事にはせず、半年程度は放置しなさい。アレは一族の恥です。気にしなくて構いません。見つかるまで学園には欠席と伝えておきなさい」

 

 

 

 それだけ言い、カキネは携帯電話を畳み、テーブルに置いた。息子の安否など、どうでもいいのだろう。心配する様子何て欠片もなく、優雅に紅茶を飲んでいる。

 

 

 

「……兄さんを探さなくていいんですか?」

 

 

 

 白髪を腰まで伸ばした少女――シノン。彼女は見るからに育ちの良い、お嬢様という雰囲気を纏っている。彼女は綺麗系のカキネとは違い、可愛い系の顔立ちだが、何となくの印象はよく似ていた。

 

 

 

 少しピリッとする様な、生真面目な印象。不機嫌そうな、生意気そうな目つき。白いブラウスに黒いジャケット、黒い短パンという男勝りな服装も相俟って、お淑やかな雰囲気は殆どない。

 

 

 

「心配しなくていいのよ、シノン。ショウは貴方と違って、努力もせず、家の金を使って遊んでいる様なろくでなしなの。何の才能もない癖に、テイマーになりたいだとか我儘を言い始めた挙げ句、一族の恥となる様な成績で……。本当に、何がしたいんだか……。貴女はあんな出来損ないなんて気にせず、自分の事に集中しなさい」

 

 

 

 カキネは娘のシノンを溺愛しており、対照的にショウを見下し放置していた。世間体を気にして、金だけ与えているだけで愛情はない。

 

 

 

 天衣は代々優秀なテイマーを輩出してきた、由緒正しき家柄だ。カキネは第一子であるショウが生まれてきた時、あまりにも弱くて自分の子か疑ったほど、悲哀と失望を抱いたらしい。

 

 

 

 一年後、シノンが生まれてくるまで、言葉数も少なくなり周囲にも当たるなど精神的に不安定な時期が続いていたそうだ。

 

 

 

 つまりカキネにとって、ショウの存在はトラウマそのもの。関わりたくない存在で、いつ死んでも構わない、その程度の価値しかない。

 

 

 

「…………。まぁ、そうですよね……。昔は優しい人だったのに、何で、変わってしまったのでしょう。努力すら、まともにしないだなんて……」

 

 

 

 シノンは少し寂しそうな表情をした。彼女は昔、兄に優しくされ、一緒に育っていた。それが、ある日を境に会っても冷たくあしらわれるように。

 

 

 

 それからは母親が兄の悪口を頻繁に言う様になった。学園の成績はかなり優秀な部類らしいが、天衣家の中では落ちこぼれ。挙げ句、人並みの努力すらしていないと噂。

 

 

 素直にシノンとしては、兄の存在が恥ずかしかった。

 

 

 

「努力はある種の才能なの。駄目な子は、どれだけ環境が良くても駄目。本当に残酷だけどそういうものなのよ。やる気って言うのは出したいと願えば、湧き出るものじゃないの。仮にやる気を出す方法があったらなら、誰もが努力家になれているでしょうね。シノン。努力を含め何もかも才能なのよ。あの子は何も才能がなくて堕落したけど、貴女はそうならない様に気を付けなさい」

 

 

 

 カキネはショウが努力している事を知っていたが、あえて嘘を吐き、努力していないとシノンに伝える。

 

 

 

 シノンは何だかんだ兄に甘い気がしていたカキネは、どうにか精神的にも、完璧に引き離す必要があると考えていた。

 

 

 

 古い考えかも知れない。しかし腐ったミカンは周りも腐らすというのは、カキネの人生経験上、正しい様に思えていた。

 

 

 

 これだけ出来の良い娘を、出来損ないの兄に近づけるなんて、看過できない話だった。

 

 

 






〈あとがき〉

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