異世界に転移した少女がどうやってもハッピーエンドにならない話 作:マロマラ
2人は最初にアニメショップに行き、グッズを見ていた。
「このグッズ新作だぁ!こっちも!あっ、これも!」
「よかったね、ハジメ」
ハジメは興奮した様子でグッズを漁り、光はその様子を嬉しそうに見ていた。
「ヒカリちゃんは何も買わないの?」
「うーん……私はこれを買おうかな」
光が手に取ったのは光とハジメが小学低学年の頃にひっそりと流行った魔法少女アニメの主人公のキーホルダーだった。
「懐かしいね。ヒカリちゃん、ずっと見てたもんね」
「うん、大切な思い出なんだ」
光はその人形を大切そうに撫でて優しい目で見ており、ハジメは不思議そうに光を見ていた。
その後、買い物を済ませて昼食を食べに行き、2人は近くの公園を散歩していた。
「今日は少し暑いねー」
「うん……」
少し汗ばむくらいの気温で2人は暑そうにしていると木陰のベンチを見つけて、2人は並んで座った。
「もうすぐ夏だね。ヒカリちゃんは夏休みにどこに行きたいとか考えてる?」
「うーん……今は考えていないかなぁ」
「そっかぁ、今年はヒカリちゃんとコミケに行きたいな」
「こみけ……?」
「うん!世界最大級の同人誌即売会で色んなマンガやアニメの二次創作作品を売買してるの!サークルでマンガやゲームを出してるんだ。じ、実は私も今、ゲームを作ってて……」
ハジメは少し恥ずかしそうにしながら話すと光は驚く。
「そうなの?ハジメは凄いね!色んなことが出来て」
「そ、そんなことないよ。お父さんやお母さんの仕事の手伝いしてるからそういうのが得意なだけだし、学校じゃオタクや根暗女とか言われちゃうし……」
自分を卑下するハジメを見て、光はハジメの手を両手で握り締めてハジメの顔に近づいて見つめる?
「そんなことないよ!ハジメは凄いよ!人に出来ないことをやっているんだから!」
ハジメを励ます光だが、励まされた当の本人であるハジメは至近距離で光の顔を見て心臓が高鳴っていた。
(ヒカリちゃんのまつ毛って長いんだ。顔たちもスラっとしていて目立たないけどやっぱり美人。それになんかいい匂いがするし……あっ、手がすっごいすべすべで気持ちいい)
「ハジメは凄いんだからもっと自信を持って、ね?」
(あっ、好き)
微笑む光を見て、一瞬で落ちたハジメは暫く放心状態になってしまった。
「ふぁ……」
「ヒカリちゃん、眠いの?」
「あ、ご、ごめんね。昨日夜更かししちゃって」
昨日は電車で痴漢をしてきた男にラブホテルに呼び出されて、夜通し犯されていた。
そのため寝不足で体力もあまり残っておらず眠気が一気に襲ってきたのだ。
眠そうな光を見て、ハジメは恥ずかしがりながら提案する。
「も、もし良かったら、膝枕する?」
「……うん、じゃあ少しだけお願いするね」
眠気が限界まで来ていた光はハジメに甘えて横になり、ハジメの膝に頭を乗せた。
すぐに光は眠ってしまったが膝枕をしているハジメは先の至近距離で見つめ合いもあって胸の高鳴りが抑えられなかった。
(はわわわっ!?ひ、ヒカリちゃんの顔が私の太ももにぃ!)
寝てしまった光の顔を見て、興奮が抑えられず鼻息が荒くなってしまう。興奮をなんとか押さえ込んで、光の寝顔を目に焼き付けようと目を向けたが寝ている光の唇に目が行ってしまった。
「ヒカリちゃんの……唇……」
光の瑞々しくプルンッとした唇を凝視し、徐ろに顔を近づけてしまう。
(私、何やっているんだろ……こんなこといけないのに……なんでヒカリちゃんを
理性が働くが欲望に従って顔を近づけてキスをしようとする。
しかし、ハジメの足にサッカーボールが当たって正気に戻ってビクリッと震えてしまう。
「ん……ハジメ、どうしたの?」
「えっ、あっ、いや……な、なんでもないでしゅ……」
「?」
ハジメは自己嫌悪になりながら自分がしようとした事に恥ずかしくなり顔を赤くして俯いてしまった。
「んっ♡ちゅっ♡ハジメ、すき♡大好き♡」
「ちゅっ♡んちゅっ♡わ、私も…!ヒカリちゃんが好き♡好きぃ♡」
光はハジメとベッドの上でお互い下着姿で告白しながらキスをしていた。
いつも恵里たちの相手や売春の時にするような肉欲を満たすためのエグいキスではなく、初々しく気持ちを確かめ合うキスだ。
しかし、ハジメとキスをしながら光はこれが夢だと分かっていた。
(これ……夢の中だよね。ハジメとこんな風になるなんてあり得ないのに……でもいいや、夢の中でも)
そうは思うがたとえ夢の中でもハジメと愛し合えると思うと嬉しくなってしまう。
キスをしながらお互いの体を撫であい、興奮が高まってきた瞬間、耳元でハッキリと聞こえた。
『見ツケタ』
「ひぃっ………!?」
声が聞こえた瞬間、布団から飛び起きた。
体中から冷や汗が流れて、その顔色は血の気が引いていた。
「な、なに……?なんなの……?」
寒くもないのに体がブルブルと震えてしまい、自分自身で抱きしめてしまう。
幸せな気分から得体の知れないもののせいで恐怖とも言えない感情が光を支配していた。
夢のせいで遅れそうになってしまった光は慌てて教室に入るとクラスメイト全員が光を見る。
ほとんどのクラスメイトが侮蔑の目で光を見るが、檜山たちは下心がこもった目でニタニタと気色の悪い笑みを浮かべていた。
昼休憩か放課後に呼び出し、犯そうと考えている。
恵里、鈴、雫、香織は笑顔を浮かべて光が来たことに嬉しそうにしているのが分かった。
いつも通りの学校だと少し安心しているとハジメが近づいてきた。
「おはようヒカリちゃん。遅刻しそうだったけどどうしたの?」
「ハジメ……」
夢のことを思い出してハジメの唇につい目がいってしまうがそれと同時にあの声を思い出して、また身震いしてしまいそうになり誤魔化す。
「う、ううん。寝坊しちゃって」
「そうなの?なら、いいけど……」
光の変化にハジメは気になったが光が大丈夫だと言うので気にしないことにした。
「はーい!皆さん!席に着いてください!ホームルーム始めますよー!」
そこに愛子が入ってきて光が席に行こうとしたとき、光輝の足元から教室を覆うように魔法陣が広がった。
「きゃあ!?」
「な、なんだぁっ!?」
クラス全員が驚き、戸惑いの声を上げるなか光はその魔法陣に見覚えがあった。
(これってあの時の……!?)
小学五年生になりたての時、突然足元に同じ魔法陣が現れて異世界に転移させられた。
そこで待っていたのはまさに地獄だった。
「ハジメ!!逃げて!!」
「ヒカリちゃ……!」
その瞬間、目が眩む程の光が放たれて、クラスにいた全員の姿が消えてしまった。
光が収まり、目を開けるとそこはどこか神殿だった。
周りにはファンタジー映画に出てきそうな司祭の服を着た男たちが取り囲んでいた。
クラスメイトが突然の事態に戸惑う中、光はある一点だけを見ていた、いや目が離せなかった。
神殿の大きな壁には壁画が描かれており、そこには美しい金髪の女性が慈愛の笑みを浮かべていた。
しかし、それを見た光は過去のトラウマが思い起こされていた。
突然飛ばされた異世界。
訳も分からず処女を奪われて、始まった調教。
人の尊厳を奪われる陵辱の数々に精神は摩耗して、次第にそれを受け入れてしまい陵辱を快楽として受け入れていた幼い自分。
「………」
「ひ、ヒカリちゃん……ここどこなんだろ?ヒカリちゃん?」
突然の事態に不安になったハジメが光に近づいて声をかけるが光はカタカタと震えており、ハジメは尋常じゃない光の状態に戸惑い、どうしようか悩んでいると一際偉そうな司祭の服を着た老人が前に出てきた。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
そう言って、イシュタルと名乗った老人は、好々爺然とした微笑を見せる。
光はイシュタルの姿を見て、息を呑んでハジメの腕を掴んだ。
「ひ、ヒカリちゃん?本当にどうしたの?」
「は、ハジメ……こ、ここから逃げないと……は、早く」
「どうかされましたかな?」
ハジメの腕を必死に引いて逃げようとする光の前にイシュタルがいつの間にか目の前に来ており、ハジメと光を見下ろす。
ハジメには親切に心配してきてくれたように見えたが、光には自分を狙う獣のようにしか見えなかった。
「と、友達の様子がおかしくて」
「それはいけない。ですが安心してください。
イシュタルの言葉に光は何も言えず、震えることしかできなかった。