-1-
私の身体に温かいものがが満たされていく、それはまるで安心を形を成したもののようで肌を触れている彼にもっと近づきたいと裸のまま抱き合う私の細い腕に力が入ってしまう。
深く抱き合っている私からは彼の顔は見えないが彼の抱く筋肉質な腕は力強くも優しく私を包み込み、彼も私と同じように安心しきっているのだと感じる。
こうしてつながり合っていた私達だったが、時間が経つにつれて理性が戻っていき、これが何度目かも分からない研究なのだと思い出してくる。
「運命くん、名残惜しいけど今回の研究も終わりだね。」
そう言いながら私は抱き合っていた腕を離し接続部を外す。すると私の性器から白濁とした粘性のある液体が糸を引くように垂れてきた。
それを研究材料として試験管の中に入れていきながら私は彼に話しかける。
「運命くん、いつもごめんね。実験の為とはいえもう妊娠できない私に中出ししてくれて。いつも頑張ってくれる運命くんの事女性として大好きだよ。」
その言葉を聞いた彼は悲しそうな顔をして私の事を大好きだと言ってくれる。いろんな人から言われるその言葉は今はなぜか私の心に響いた気がした。
そんな事をできるだけ顔に出さないように意識して言葉を選んでいく。
「運命くん、今日も研究に付き合ってくれてありがとう。ママはまだ研究しなきゃいけないけど運命くんはこのまま寝てても大丈夫だからね。また私の事愛してくれると嬉しいな。」
そう言うと疲れたらしい彼はあくびをした後に微笑むと「研究頑張ってね」と手を振ってくれる。
服を着終わった私はその言葉に返事をして研究室へと向かうのだった。
-2-
私、メイズは久条運命の事を愛している。
この感情を抱いたのはいつだったか分からない、だが今のこの感情は本物だと確信しているのだ。
だからこそ私は私自身が許せない、子供を授かることのできない私の身体が。
「どうして私は……私だけ妊娠できないの……」
理由は分かっている、あの忌々しい軌道修正との戦いのせいだ。
この日常を守るために私は戦い軌道修正を退けた、だがそこで出た犠牲は少なくなかった。その内の1つは私の妊娠機能だったのだ。
「私の好きという思いは本物なのにまるで身体は嘘をついているみたいじゃない……」
他の人よりも小さな歩幅はさらに小さくなっていき曲がり角を曲がった所で足は進まなくなる。
今の日常を守るためにも少しの時間も惜しいというのに、私が欲しかった日常がもう手に入らないと知っているからか進むことができなくなってしまう。
「どうして……私の幸せは……」
そして現状に耐えきれなくなった私はしゃがみ込み涙をぽたりぽたりと流してしまう。優しく強い皆のママじゃないといけないのに叶わないワガママを言ってしまう。
「どうして私は幸せになれないの。」
その言葉がきっかけとなり涙がどんどんと押し寄せてくる。
残った理性でなんとか大声で泣くことは我慢できたが今は動くこともできない。
こんな所をみられてはいけない。だからこそなのだろうか声を掛けられてしまう。
私の想い人、久条運命その人に。
「え……運命くん……」
突如現れた彼に私は驚きと恥ずかしさで涙は止まり顔が赤くなってしまう。
そして頭の中が空白になっていたその間に私は抱きしめられていた。
そして彼はゆっくりと話す。
「メイズの事が好きだ。友愛ではなく恋愛という形で大好きなんだ。」
その言葉に私は驚いた、裸で言い合ったあの言葉が本物なのだったと。
彼はこう続ける、
「愛の結晶を授かれないのは分かっている。だけど私は愛しているメイズの隣に居たい。この気持ちは本物だ。」
私は思わず叫んでしまう。
「私も運命くんの事大好きだよ!!ママとしてじゃない、一人の女性として大好きなの!!」
そして彼を強く抱きしめる、この愛を確かめるように。
やっと気付けた。
私が戦う意味はこの愛を守る事だったのだと。
その為に私は彼のための力になろう、そう誓うのだった。