善良魔導士の【ハーレム孤児院】運営計画 ~行き場のない命を救うために作った孤児院が、気付いたら訳あり美少女ばかりの俺専用オナホ養護施設になっていた件~ 作:ダザリアン
17. あの中に一人、妹がいる!
今朝もレミナとメルにぐっぽり搾り取れる。
いつもならこのまま、近頃定番の遊びとなっている全裸鬼ごっこが始まるところだが。
この日はどうしても外せない用事があり、寂しがる二人に見送られ、カリオンは市街地へと向かった。孤児院運営の命綱とも言える要件だ。
「こちらが報酬分、もう一つが半年分の運営予算となります。お一人で持ち歩くのも危険なので、お帰りの際はわたしが屋敷まで同行しますね」
「あぁ~。じゃあ、お願いします……」
ギルドは今日も今日とて大盛況。
中には『魔導士のカリオンだ』『久々に顔を見たな』『引退したらしいぞ』『今は子どもたちの世話をしているらしい』なんて声もチラホラ。
正直、カリオンは聞きたくない。
変な噂が混じってそうで怖い。
カウンターでクロエから革袋を受け取る。
孤児院運営は領から依頼された事業なので、カリオン自身にも報酬は発生する。当然の話だが、如何せん彼は働いている実感が無い。
その額、金貨五十枚。
滅多に無いAランクの討伐をこなしてギリギリ届くかというライン。ただでさえ金に無頓着なカリオンはすっかり困り果てていた。
「いや~。今朝に領主様の代理人さんがいらっしゃいまして、それで自分が受け取ったんですけど……危うく手が伸びるところでしたね」
「冗談キツイっすよクロエさん……」
「はいっ。冗談です♪」
で、もう一つのデカい革袋は……帰って枚数を数えるだけで何日掛かることやら。
見たことも手にしたことも無い桁外れの大金に、握り締める手がガチガチ震えてしまう。
「くくくくクロエさん、これ……ッ」
「あはははっ! もうカリオンさんったら凄い顔。じゃあ、一旦お預かりします。そんなホイホイ持ち歩きたくないですよね~」
「かっ、買い物してくるんで!?」
「はいは~い、ごゆっくり~♪」
半ば強引に突き返し、自分の報酬だけ持ってギルドを後にするカリオンであった。金貨五十枚も大金の筈だが、既に感覚が狂い始めている。
(なんでセックスしてるだけで報酬発生してるんだよ、意味が分からんッ……えっ、俺がおかしいのか? 社会常識? 娘って犯すのが普通?)
とても冷静ではいられず、道行く中年男性に声でも掛けそうな勢い。その瞬間にすべて終わるので間違っても早まらないで欲しい。
何はともあれ、生真面目なカリオンは非常に居心地が悪かった。運営者として大した努力もしていない自分に、この報酬はちっとも相応しくない。
ほんの気紛れで散在してしまう前に、孤児院生活で役立つモノの購入に費やそうと考えた。
(予算の無駄遣いも減らせるし、そうしよう!)
真っ当なアイデアに見えなくもない。
しかし誰もがご存じの通り、予算とは使わなければ減らされてしまうのが世の常。この手の常識がトコトン皆無の残念な男である。
「おっ……レディース専門店か」
目に付いたブティックへ何の気なしに足を踏み入れる。あれほど美しい少女が二人も住んでいるのに、可愛いお洋服を最近まるで見ていない。
当人たちが着たがるかはまた別の話として、余所行きの恰好を幾つか用意しておけば困りはしないだろう。カリオンは吟味を始めた。
「あらっ、魔導士のカリオン様じゃない! もしかして彼女さんへのプレゼントをお求めで?」
「ど、どーも。えっと、そんな感じです」
「でしたら、今シーズンはこちらがおススメですわ。ワンポイントに星紋刺繍の入った、若い方に人気のお召し物で……」
化粧の濃い女性店員に絡まれる。
すっかり面影が無いが、彼は街の危機を救った超有名パーティーの(元)一員。初対面でもこれくらいのテンションで話し掛けられるのが日常だ。
故に、下手な真似ができない。
まさかプレゼントする相手が未成年の孤児だと知られた日には……隙を見せないよう必死に気を尖らせるあまり、思ったような買い物はできず。
「ではこちら、すべて包んでおきますわね~」
(サイズくらい言えば良かったかなぁ……)
あの子たちの趣味じゃなさそうな服が次々と積み重なっていく。準備が終わるまで時間が掛かりそうだ。カリオンは他の商品を探す。
(下着か……いや、一番要らないわ)
絶対にそんな筈は無いのだが、喜ぶ顔がまったく思い浮かばないのが彼としては悩ましい。
レミナに至っては先日『常におまんこを見せられる格好、それがお屋敷の正装よっ!』とメルに熱弁を振るっていた。んなわきゃない。
「おい、そういう買い物は男一人でするものじゃないぞ。変質者と間違えられたらどうする?」
「ううぉっ、ソフィ!?」
「最近そんな反応ばっかりだな……」
いつ間にやら隣に立っていたソフィ。
彼があまりにも挙動不審なので、声を掛けずにはいられなかったようだ。カリオンの手にしていた下着を引っ手繰り、呆れ顔でこう続けた。
「前に私が買ったのはレミナの分だけだったな。どれ、選んでやろう。メルの好みそうなデザインは? それくらいもう把握しているだろう?」
「あぁ~。えっと、これ……とか?」
「ふむ。白系統が好きなのか」
この手の買い物は今後、私を誘うように。とポツリ。それ以上なにを咎めることもない。
どうやら下着を買い与えようとした真の理由までは悟られなかった様子。言わぬが花。
「そ、それにしても、こんなところで会うなんてね。ここ結構高い店だし、ソフィってブランド物とか全然興味無いと思ってたよ」
「別に良いだろう……私も良い歳だし、休みの日に着飾るくらいのことはするべきかと、そろそろ思っていた頃だ。貯金も貯まる一方だしな」
「良い歳って、ソフィまだ若いでしょ?」
「21歳だ。ちゃんと覚えておけ」
メルに買い与える分を幾つかポイっとカゴに投げ入れる。が、まだ選んでいた。こっちは自分の買い物か……思わず目を逸らすカリオンである。
「まったく、君は本当に言葉選びが下手と言うか、なんと言うべきか。歳を取ったという意味ではないぞ? お年頃、ってことだ」
「あぁそういう……えっ、相手いるの?」
「……ふんっ!」
「いや、ちょっ、なんでカゴを」
「プレゼントしろ。日頃の感謝だ」
「それって買う側が言う台詞じゃ……?」
外で待っている、そう呟いてそさくさと店から出てしまう。自立した大人の女性そのものみたいなソフィが、こんなワガママを言うとは珍しい。
勿論カリオンにしか見せない姿だし、顔は炎属性魔法の如く真っ赤に染まっていたのだが、根が童貞気質の朴念仁では気付くことすらできず。
(はぁ……わざわざ気遣った私が馬鹿みたいだ。子どもの相手ばかりで疲れているだろう、偶には同世代とデートでも……なんてな)
厳密にはソフィが結構年下なのだが、出逢って数日で敬語を使うのを辞めた。対等な関係でいたいからと、彼女が言い出したのだ。
それが他ならぬ恋心の芽生えだと、自覚して認めるまでそれはそれは長い時間を要した。
結局、今日まで想いを伝えられないまま。
(なんて浅はかな女だ、デザインの良くない下着をわざわざ選ぶとは。メルに申し訳ない……レミナだってまだまだ幼いし、ライバル扱いしたところで誰が得するわけでも……いや、しかし……うぅむ)
悩める乙女、ソフィ・ルチアーノ=フロレンツィオーネ。ノイヴァルトでは結構珍しい、複合名字の持ち主だ。理由は彼にも明かしていない。
言うほどのことでもないから黙っているだけだが、実は出生に関して一つ秘密がある。
まさかそれが、彼の心のドアを叩く最良の手段だとは。駆け引きのイロハも分からない恋愛経験皆無のソフィに、想像できるわけもなかった。
「えっ、メルちゃんの申請が却下された?」
「既に届出があるそうです。ノイヴァルトではなく、地方都市のセルファーストという街らしいですが。血判も登録されていましたよ」
一方こちらは、カリオンとの再会を今か今かと待ち侘びながら、溜まった書類仕事を爆速で片付けているギルド事務員のクロエ・ストランド。
すると同僚の女性が申し訳なさそうな顔でやって来て、セルファーストという街の役場から預かった一枚の書類を彼女に手渡した。
森で暮らしていた獣人のメルには住民票が存在しない筈なので、新たに申請する必要がある。
大した苦労は無く、名前と生年月日、本拠地を記載し民生局に丸投げするだけ。本来は。
クロエはまだ知らなかったのだ。
とっても賢い例の獣人少女が、幼少期の記憶をちゃんと持っていること。そして、自分と母を捨てた人物が誰なのか覚えていることも……。
「じゃあ転居届を出せば良いわけですね。えー、でもどうしよ。また血判取るの可哀想だなぁ~。誰か複写魔法とか使えませんでしたっけ?」
「あのクロエさん、それはともかくですね……これちょっと見てみてください。何かの間違いじゃないかと思って、確認して欲しいんです」
「間違い? 何がですか?」
「そのっ……名字とか、家族情報の欄を」
封を解き書類を取り出すクロエ。
記されていたメルのプロフィールとは。
「……えっ? ストランド?」
確かに『メル・ストランド』と表記されている。
クロエと同じストランド性。
その時だった。
ブースが一層騒がしくなり、クロエの元へ大柄な男がのっそのっそと歩いて来る。
なんてことない顔で声を掛けた、彼の名は。
「どうだクロエ。仕事は捗っているか?」
「お父さん……っ」
「マスター、だろう? まだ癖が抜けないのか!」
豪快に笑う髭面の男。ノイヴァルト辺境領のギルドを運営・管轄するギルドマスター。クロエの実父でもある、ヘルマン・ストランドだ。
(ど、どういうこと……ッ!?)
そして、記載された情報が正しければ。
メルの父親も彼、ヘルマンらしい。