※この作品はR-18です。

善良魔導士の【ハーレム孤児院】運営計画 ~行き場のない命を救うために作った孤児院が、気付いたら訳あり美少女ばかりの俺専用オナホ養護施設になっていた件~   作:ダザリアン

21 / 36
21. お父さん抹消スイッチ

 

 あの後も暫く庭でオナっていたクロエは、やがてカリオンたちが屋敷の中へ引き返したのを確認したのち、人知れず孤児院を立ち去った。

 

 さっさと解決してしまおう。

 どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのか。孤児じゃないのなら、孤児になれば良い。

 あの毒親さえ排除すれば……。

 

(もうすぐこのカラダも、処女も、未来も何もかも……貴方に捧げられます。カリオンさんっ♡)

 

 帰りの坂道を全力で駆け降りるクロエ。

 歪んだ口元をまるで制御し切れず、涎がビュンビュン後ろに飛び散らかって行く。

 要するに、もう正気ではなかった。

 

 

 その日の夜。

 事前に幾つかの()()を済ませ、仕事でもうクタクタ……と言う体で自宅へ帰って来たクロエ。

 丸一日寝て過ごしていた絶賛休日満喫中のヘルマンに、敢えて声を掛ける。そして『偶には一緒に晩酌でもしない?』と誘ったのだ。

 

「おいッ、杯が乾いているのが分からんのか! まったく、相変わらず気の遣えない奴め……」

「はいはい。お代わりどうぞ、お父さん」

 

 二人でテーブルを囲うのは何年ぶりだろう。

 粗暴な態度こそいつも通りだが、手塩に掛けたつもりの可愛い娘が初めてお酌をしてくれたのだ、そりゃヘルマンは大層ご機嫌である。

 

 まさか、想像している筈もない。

 これが娘と交わす最後の食事になるとは……。

 

「うぃぃ~……暑っちいなぁ~!」

「きゃあっ!? もう、お父さんったら!」

 

 事態はクロエの思惑通りに進んでいた。

 ヘルマンは上着のボタンをプチプチと外し、あっという間に上裸になってしまう。昔からの悪癖で、酔っぱらうとすぐ脱ぎたがるのだ。

 

「なんだぁクロエ~~! 親父の裸が気になっちまうのかァ? 隠しもしないでジロジロ見やがってよぉ、誰かに似てスケベな女だなぁ!」

「やだっ……や、やめてよぉ~」

 

 そこでクロエは、掌で顔を覆い隠しつつ隙間からちょこっと覗くという、初心真っ盛りみたいなリアクションをわざと演じてみせた。

 恥じらう生娘のような態度が大いに気に入ったのか、ヘルマンはますます調子に乗る。下も脱ぎ散らかして、いよいよパンツ一丁に。

 

「へっへっへ……! なぁクロエ、お前どうなんだ? まだ彼氏の一人もできないのかぁ? 俺が練習相手になっても良いんだぞ~!」

 

 腰をグイっと突き出し下品に笑い飛ばす。

 誰かさんに洗脳染みた軟禁生活を強いられなければ、こちとらとっくに……積年の恨みと憎悪が沸々と蘇り、クロエも流石に顔を引き攣らせる。

 

 まだだ。我慢しろ。ここからが本番だ。

 噴き上がる怒りをグッと堪え、クロエは懐に忍ばせていた()()()を取り出した。

 

「か、彼氏はいないけど、でも努力はしてるよ? 香水とか使ってみたりさ。最近気に入ってるのは、この『夜想花の雫』ってやつで……」

「おぉっ! 知ってるぞそれ!」

 

 なんだか嬉しそうなヘルマン。この手の無粋な男に香水の種類なんぞ分かるとは思えないが、どうも彼には心当たりがあるらしい。

 

「俺のオキニも使ってんだよぉ! んだぁクロエ、事務より夜職の方が向いてんじゃねえかぁ!?」

「ハハハっ……冗談やめてってば」

 

 お気に入りの嬢と同じって、そりゃそうだ。『夜想花の雫』は夜職の女性に人気ナンバーワンの媚薬入り香水。一般人が使うような代物じゃない。

 帰宅する前に恥を忍んで専門店へ赴き、薦められるがまま購入したのである。

 

 思わぬ収穫もあったところで、クロエは再び懐に手を忍ばせ、もう一つ取り出した。こちらはヘルマンにバレないよう、こっそりと。

 

 酒を継ぎ足しグビグビ飲み散らかすが、もう頭はほとんど回っていないようだ。グラスをドカッと置き、そのまま突っ伏してしまう。

 

 今しかない――。

 

「――我が手中に集え、【ウィスパーブリーズ】」

 

 クロエは未開封の香水を手早く解き放ち、宙に舞わせる。そしてもう片方に握った杖をひと振るい。風属性の初級魔法を唱えた。

 

 王国の魔導師団に入りたかったくらいなので、当然ながらクロエは魔法を使える。

 だがヘルマンは娘が自分より強くなるのが嫌で、癇癪ついでに杖を折ってしまった。今持っているのは初任給で買い直した物だ。

 ずっと黙ったまま所持し続けていたのが、まさかこんな形で利益をもたらすとは。

 

(よしっ、上手くいった……!)

 

 ウィスパーブリーズは空気の流れをちょこっとだけ操作する簡単な魔法。同じ風属性持ちのカリオンに教えて貰い、陰で練習を続けて来た。

 

 香水の匂いが徐々に部屋の片隅へ集まる。クロエは席から立ち上がりヘルマンの肩を叩いた。最初で最後のボディタッチのつもりだ。

 

「ね、ねえねえお父さん、香水まだ空けてないのに、同じ匂いがするよ……? もしかしてその、オキニ? の人が、近くにいるのかも!」

「んぉおお……? カトリーヌかぁ……?」

 

 お気に入りの嬢の名前らしい。

 華やかな匂いに釣られヘルマンは意識を取り戻した。尤も、まだまだ酩酊状態ではある。

 

「ほら、こっちこっち……! もしかしてお父さんのことが恋しくなって、会いに来ちゃったとか? きっとそうよ、そうに違いないって!」

「へへへへっ……! ったく、我慢のできねえスケベな女だぜ。昨日もあんなに可愛がってやったってのに、まだ足りねえのかぁ~……ッ?」

 

 クロエが杖を差し向ける方角へ、ヘルマンは覚束ない足取りで歩き出す。嬢の幻覚でも見えているのか。ちっとも疑う素振りが無い。

 

 部屋の扉を開け、玄関を超え。

 そして、ついに外へ。

 娘に導かれるまま、ヘルマンはパンツ一丁で夜の中心街に繰り出してしまう。幸い人の気配はまったく無いが、これじゃクロエは満足しない。

 

「そう、そのまま真っすぐ……もう少しで娼館に着くわ。今日はお金もいらない。好きなだけ、貴方の好きなことさせてあげる……!」

 

 カトリーヌという嬢に成り代わって、クロエは甘い言葉を囁きながらヘルマンを誘導する。勿論、娼館には行かない。そもそも場所を知らない。

 

 中心街でも特に賑わう噴水広場。

 今は誰もいないが、少し待てば飲んだくれや憲兵が訪れるだろう。ちょうどベンチもある。

 

「さぁ、ここに座って。わたしの匂いを嗅ぎながら、ちょっと待っててね。すぐに準備するから……ねえ、もうパンツも要らないでしょ?」

「おぉ~、脱がせてくれぇぇ……」

「じゃあ……『ウィンドカッター』」

 

 ゴムの部分を引っ張り杖先を当てる。

 対象物を切り裂く攻撃魔法、ウィンドカッターだ。これはカリオンの十八番でもある。なんだか彼に見守られているみたいで無性に嬉しい。

 

 クロエは即座に振り向き、露わとなった粗末なソレを視界に入れないよう駆け足で噴水広場を離れた。目撃者がいなければ証拠も残らない。

 

 こうしてギルドマスター、ヘルマン・ストランドは隠すもの一つ無い全裸のまま。

 見回りの憲兵がやって来るまで、夜街のド真ん中に放置されてしまったのである――。

 

「……さよなら。お父さん」

 

 今までありがとう。本当は大好きです。

 育ててくれて感謝してます。

 なんて、思ってもないことは言えない。

 

(過去の女遊びの清算? 見つかってない賄賂や不正のリーク? いやいやっ……甘いですねそんなの! ノイヴァルトでは、わいせつ罪に執行猶予が付かないのですっ♪ ひゃっふぅぅゥゥうう!!)

 

 全然、普通に、メチャクチャ楽しんでいた。

 計画通り過ぎて笑いが止まらない。

 

 こんなトンチキな娘を育てた方が悪いのだ。

 毒親に相応しい、当然の末路である。

 

*

 

 翌朝を迎えるまでもなくヘルマンは憲兵に発見され、わいせつ罪で現行犯逮捕された。

 何が何だか分からないまま留置所に連れて行かれ、挙句の果て取り調べ中に暴れ出し、公務執行妨害まで付与されるオマケつき。

 

 ニュースは瞬く間にノイヴァルトの街を駆け巡り、その多くは『いつかやらかすと思っていた』『身から出た錆だ』『これで女性冒険者も安心してギルドを利用できる』と批判的な意見で占められている。

 

 同情の余地があるとすれば、娘のクロエ。

 あの男の元で暮らしていたのだから、さぞ酷い仕打ちを受けたのだろう……悲劇のヒロインとして街中の涙を誘ったのは想像に難くない。

 

 ただ、一つ問題が。

 揉み消されていた数多の不正も噴出したことで、ギルドマスターへの復職は絶望的。それ即ち、クロエも立場を失うということである。

 

「元々お父さんのコネで就いた仕事ですし、こんなことになっても居座り続けるのはどうかなって……なので、今日付で退職しましたっ♪」

「へ、へぇぇ~~……ッ?」

 

 ヘルマン逮捕のニュースが孤児院にも伝わってから一日と経っていない。自宅から持ち寄せた私物をバックに詰め込み、彼女は現れた。

 

 取り調べの後、退職手続きも速攻で済ませてしまったという。屋敷のエントランスホールに荷物をドサッと広げ、クロエは嬉しそうに微笑む。

 

(話、早過ぎません?)

 

 なんでそんな嬉しそうなの?

 お父さん社会的に死んでますよ??

 

 と、喉の先まで出掛かったが。

 こんな良い顔されちゃ水を差そうにも。

 

「わたし、事務職以外は何もできません。そういう風に育てられたから……全裸泥酔男の娘なんて誰も雇ってくれる筈ありません。行き場が無いんです……! でもカリオンさん、約束してくれましたよね?」

「約束……? あ、うん。したね?」

「じゃあ、お世話になりますっ♪」

 

 手をギュッと握られる。

 もう片方で頬を抑えテレテレ。

 急展開過ぎてカリオンは着いていけない。

 

「もうストランド性を名乗るのもイヤなので、正式に絶縁しちゃおっかなって……カリオンさん。わたし、孤児になっちゃいましたっ♡」

 

 それはちょっと違うでしょ。絶対に。

 なんて、ツッコむ暇も無かった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。