善良魔導士の【ハーレム孤児院】運営計画 ~行き場のない命を救うために作った孤児院が、気付いたら訳あり美少女ばかりの俺専用オナホ養護施設になっていた件~ 作:ダザリアン
新生活が始まり数日後。
カリオンが庭の掃除に精を出していると、この日も早朝からソフィが屋敷を訪れた。また掃除を手伝うのかと思いきや、今回は別件らしい。
「えっ――受け入れて欲しい子がいる?」
「ようやく孤児院らしくなるな。まぁ歓迎できる話でないが……ギルドで面会をしたいそうだ。書類も預かって来た、私が案内するとしよう」
二人は早速ギルドへと向かう。
何故ソフィが会いに来たのかと言うと、屋敷の様子を見たがっていたクロエを『公私混同するなっ!』と一喝し、伝言役を買って出たらしい。
勿論その真意をカリオンには言えなかったが。
「レミナ・アイゼンベルク……女の子?」
「そうだ。○4歳だからまだギルドに登録できないし、保護者を必要としている。最低でも二年は預かることになるな」
「王国は16歳の代が最低年齢だっけ……可哀想に、この歳で親を失うとなると物心ついた頃とはまた違う思いが……ん、アイゼンベルク?」
道中、受け取った書類をパラパラ捲りながら確認するカリオン。すると、アイゼンベルクという名字が引っ掛かったのか。彼は首を傾げた。
「もしかして、南地区の貧困街でお花を売っていた人? ほら、路上での商売を認めて欲しいって、前にギルドへ飛び込んで来たじゃないか」
「あぁ覚えているぞ。クロエが困っているところを、私も話を聞いてあげたからな」
「でも、子どもがいるなんてひと言も」
「居たんだよ。それが」
曰く少女の母は夫と死別して以来、毎日のように違う男を連れ込んだり自宅に帰らなかったりの生活を送っていた。そのせいで娘のレミナは、ずっと家の奥に閉じ込められていたそうだ。
「なんでまた?」
「男たちの関心が娘に移るのを恐れたのだろう。街の寺子屋にも通わせず、ほぼ軟禁状態だったとか」
「そりゃ酷い話だな……」
そして先日、泥酔した母は橋から落下。
翌朝に無残な姿で発見された。
するとだ。ご近所の方々が協力して葬儀の準備をしていると、一人の少女が現れ『ママ、死んじゃったの……?』と尋ねるではないか。
なんと近隣住民もレミナの存在を関知していなかったらしく、南地区の貧困街は大混乱。
かと言って面倒を見れる者や親族など誰もおらず、ひとまず彼女はギルドの預かりに。
調べると出生届は出ているし健康状態にも問題は無かったが、肝心の引き取り手が居ない状態。
「私もまだ会ってはいないんだが、飯だけはたらふく食っていたみたいだぞ。とても○4歳には見えないとクロエが話していた」
「お金が無いのにご飯はあったんだ?」
「自炊ができると言っているみたいだし、無いなりに知恵を凝らしたんだろう。君が家事を学ぶことになるかもしれないな?」
「あははっ……面目ない」
と言いつつも、カリオンはこの時点で若干だが安心していた。独り身で兄弟もいなかった彼は、子どもの面倒を一切見たことが無い。
適性検査を行わず彼に任せた弊害だ。長らく行動を共にしたソフィはよく知っているが、この男は自分の食事にさえ無頓着な節がある。
「いずれはもっと、小さい子を預かるケースも出て来るだろう。お試しと言うとその子に失礼だが、一人目にはちょうど良い相手じゃないか?」
「そうかもね。でも預かる子には変わらないし、その子は『孤児』なわけだから……お父さんらしく背中を見せてあげないと!」
「うむ。その意気だ、カリオン」
私もちょくちょく顔を出すから安心しろ、と一言。ソフィもレミナ・アイゼンベルクという少女がどんな子なのか、想像を働かせた。
クロエが実年齢を疑うほどの外見。
ご飯は食べている……ということは、少しぽっちゃりした体格なのだろうか?
(まぁ、○4歳だからな。ほとんど大人みたいなものとは言え、ヘタレのカリオンでは余計なことを考える余裕も無いか……ずっと隣にいた私に一瞬たりとも欲情しない、コイツではな! まったく、髪を下ろしたのに気付きもしないっ!)
サバサバ系美剣士・ソフィ。
凛々しい見た目とは裏腹、結構乙女である。
*
「ということで、レミナ・アイゼンベルクさんです。レミナさん、ご挨拶しましょう。こちらが孤児院を運営されるカリオンさんで……」
ギルド内の個室に案内された二人。
隣に座るクロエとほとんど背丈が変わらない少女。なんだかソファーが狭く見える。
「……えっ、本当に? この子が!?」
「はい。間違いなく二日前からギルドで預かりになっている、レミナ・アイゼンベルクさんです……あの、できれば目を擦るのはちょっと」
「す、すみませんっ!? いや、でも……ッ」
ソフィに至っては口をあんぐり開けたまま、氷みたいにピシッと固まっている。カリオンも目の向け処に困りアタフタ、しどろもどろ。
「はじめまして……レミナ、で良いかな? カリオン・サンチェスです、先日まで『チーム・アウトランズ』っていうパーティーで活動していて、それで引退して、孤児院を任されることになって……! あっ、えっと、26歳独身です!?」
「……っ」
「は、ハハハハ……」
なるほど。確かにデカい。
背も高く大人びている子だ。
(栄養、全部そっちに行った感じ……ッ!?)
クロエが幼少の頃に使っていたという、自宅から持ち寄せた簡素なワンピースを着ている。
正直、似合っていない。ある意味では。
パッツパツである。胸元が。
今にも引き千切れそうだった。
「ちょっとこっち来いクロエ……!」
「な、なんですかソフィさん!?」
ようやく冷凍保存が溶けたソフィ。
部屋の片隅にクロエを引っ張り出し耳打ち。
「よくもまぁ『歳の割に大柄』とか、そんな適当なことが言えたな……!? カリオンがむっつりスケベなことくらいお前も知ってるだろ!」
「分かってますって!? お父さ……じゃなくてギルドマスターもちょうど良いタイミングだからって、さっさと承認しちゃって……!」
「それを止めるのが娘の仕事だろォ……!?」
孤児院の運営は領から依頼された公共事業。
既に話が通ってしまっている以上『やっぱりナシで』とはいかないのである。
と言うか『大人び過ぎている』なんて馬鹿な理由で却下できるわけがない。二人は次にカリオンを呼び出し、鬼のような形相でこう告げた。
「良いかカリオン、あの子は○4歳だ。どっからどう見ても大人だが、でも本当にそうなんだ! お前、その辺ちゃんと
「二人暮らしとか同棲とか、そういうのじゃないんですよ……! 未成年ですからね、未成年! カリオンさん、ロリコンじゃないですよね!?」
圧という圧を掛けられ、カリオンは冷や汗交じりに黙ったまま頷くほかない。そんな三人の様子を、レミナは遠巻きにぼんやりと眺めていた。
既に諸々の支度を済ませていたレミナは、今日から早速お屋敷で世話になることとなった。
つまり、カリオンと二人きりである。
ソフィは屋敷に入り浸る気満々だったが、残ったパーティーの面々が『カリオン抜きでも戦えるように作戦を考え直さないと』と妙にヤル気だそうで、名残惜しくも討伐クエストへ向かった。クロエもギルドの仕事があり穴を開けられず。
「まだ掃除の行き届いていない場所もあって、申し訳ないんだけど……取りあえず部屋を一つ用意した。大広間もソフィが片付けてくれてさ。どこでも、好きな場所で寛いでくれ!」
「……お邪魔します」
「ただいま、だろ? 家なんだから!」
「あっ……うん。ただいま」
よそよそしい、の見本みたいなやり取り。
取りあえずカリオンは『頼れる孤児院の父長さん』と思って貰えるように、それっぽい堂々とした振る舞いを心掛ける。心掛けるが。
(参ったぞこりゃ……喋ってくれないわけじゃないけど、なにを考えているのかサッパリ分からん……! ま、まだ嫌われてはないよな!?)
屋敷を一通り案内したのだが、あまり興味が無さそうに見える。驚きもしなければ、どこどこが汚いと文句を言ったりもしない。故に、謎。
それどころか、時折カリオンの目をジィーっと見つめてボンヤリしている。奥手のカリオンは恥ずかしがって顔を背けてしまう始末。
「……なんて呼べばいい?」
「えっ!? あ、えっと……そう、パパだ! パパって呼んでくれ! 孤児院の運営者は父長って呼ぶらしいから、お父さんだ。うん間違いない!」
「……分かった。じゃあ、パパね」
こくんっ、と素直に頷く。
表情が一切変わらない。
それが逆に怖い。
(ど、どうすれば心を開いてくれるんだ……? やっぱり父親がいなかったから、男っていう生物そのものを警戒しているのかな……ううむ)
ひとまず時間的にお昼ご飯だ。
カリオンはダイニングの併設されたキッチンへと赴き、ソフィから教わった簡単な料理を作り始める。するとレミナが着いて来た。
「それ、違う。先に調味料を入れるの」
「えっ……こ、こう?」
「そんな感じ。パパ、料理できないのね」
早々に見抜かれてしまった。
そして『自分も作る』と言い出し、テキパキと調理を進めていく。これではどっちが大人で孤児なのか分かったモノではない。
ガックリと肩を落としたカリオン。
その隣でレミナは言うと。
(……誰かと料理するの、初めてかも)
包丁一つも扱えずカリオンはてんやわんや。
そんな彼を眺め、陰でクスリと笑うのであった。