善良魔導士の【ハーレム孤児院】運営計画 ~行き場のない命を救うために作った孤児院が、気付いたら訳あり美少女ばかりの俺専用オナホ養護施設になっていた件~ 作:ダザリアン
「ふぅ~。二往復は流石にシンドイなぁ……」
額に滲む汗を袖口で拭い、カリオンは雲一つない青空をのんびり見上げた。ゼルフォン王国・ノイヴァルト辺境領では早くも初夏の香りが漂う。
長い坂道を歩き、再び市街地が見えて来た。
「ようカリオンさん。今日も精が出るねえ!」
「あぁどうも。えぇ、出てますよ、精!」
「ハハッ、なんじゃそりゃ! ほれよ、オマケでもう一個持ってけ。腹空かせた子ども相手じゃ、アンタの食べる分も足りねえくらいだろ?」
「ありがとうございます~~」
買い忘れた食材を探し市場を散策。
かつて街の危機を救った冒険者パーティーの一員でもあるカリオン。そのため顔は知られており、このように市民は概ね好意的に接してくれる。
更に言えば、直近で加わった『怪我で冒険者を引退し孤児院の運営者になった』というお涙頂戴&献身性の塊みたいな聖人エピソード。
ただでさえ天井へ届いていた評判・評価はより揺るぎないものとなっている。当のカリオンとしては、別に肖ろうというつもりも無かったが。
(うん……なんか全然、大丈夫だ。アンジュさんも、クロエとソフィのことは公にしていないみたいだし。バレる要素が一つも無いんだよな)
軽い足取り。単純な思考回路。
こうも都合の良い環境が完成しては、そりゃ油断や隙も生まれてしまう。変に周囲の目を恐れたりはしなくなったが、逆に堂々とし過ぎである。
(早く帰って結果を聞かないと……楽しみだなぁ~! 俺もついに本物のパパってわけか……!)
二度目の買い出し。理由はただ一つ。
最初に向かった際、いの一番に『
キェルツェ氏の来訪から十数日。それを境に、毎日欠かさず……前からずっとそうだったが、全員へ均等・平等に生ハメ中出しは続けている。
成人組に至っては一度も避妊をしていないので、流石にそろそろではないか、というわけだ。レミナとメルも十分に可能性はあるだろう。
(なんて言うか、不毛な悩みだったよなぁ~。だって俺たち、ちゃんと本気で愛し合っているんだから……年齢差とか、関係無いじゃないか!)
根拠にしては弱過ぎる。
楽観的な妄想が止まらない。
(確かに俺は孤児院の長。父長さんだけど……でも、孤児とセックスしたり、孕ませたり、結婚しちゃいけないなんてルールは存在しない。だってノイヴァルトには、今までずっと孤児院が無かったんだ。つまり俺が初めての父長さんで、ルールそのもの……ってクロエさんも言ってたし! キェルツェさんがどうした! 話せば分かる人だ! ノイヴァルトの出生率も上がって、喜ばしいことだ!!)
紙袋を抱えているおかげで、なんとか勃起を隠せている有様。なんなら当人は勃起していることさえ気付いていない。なんたる盲目か。
氏の追及を乗り切った経験が、完全に間違った類の糧となってしまったようだ。そして、それを後押してしまう大人組。頼りにならない。
がしかし、クロエの悪知恵には一聴の余地が無いこともなかった。ノイヴァルトに限らず、王国には婚姻年齢の制限が存在しないのだ。
満16歳を持って成人扱いされることから、結婚に関しても『まぁ早くて20歳くらいからだよね』という曖昧な運営が続いている現状。
話を聞いてカリオンは飛び上がるほど喜んだ。
唯一最大の懸念であった『知らんけど法律とかどうなの?』みたいな心配もこれでゼロ。
勿論、無理やり襲ったり結婚を強制するのは、無期懲役に匹敵する重罪。だが生憎、この孤児院に『強要』された人物など、ただの一人だって。
(よしっ、これで最後っと……
「あらサンチェス殿」
とびきり下品な妄想に浸っていた、その時だ。
人混みをヌッと嗅ぎ分け、見たことのある顔が現れた。この街で彼を名字で呼ぶ唯一の人物。
「きききっ、キェルツェさん!?」
「奇遇ねこんなところで。お買い物? あぁ、蜜角獣《ハニー・ホーン》の特濃ミルク。栄養たっぷりで身長も伸びやすいから、メルさんにピッタリね」
「そ、そうです。まさにその理由で……ッ!」
プライベートで敬語は使わない主義なのか。
妙に馴れ馴れしいのが気になる。
距離を詰められないよう紙袋を前へ押し出す。カリオンは昂る気持ちをここばかりは一旦抑え、落ち着いた大人らしい対話を試みた。
「キェルツェさんは? お休みですか?」
「半休よ。昨日まで大忙しだったから、少し息抜きをと思って。あぁ、夕方までには届くと思うから、お帰りになったら確認してくださいな」
「へっ? と、届く? 確認?」
「今年の夏から施行される新法について、民生局が分かりやすく纏めたものよ。孤児院の長である貴方には、なるべく早く目を通して欲しくて」
「新法……法律、ですか?」
なんのことだかサッパリだ。
カリオンには政治がわからぬ。
腰を振り、孤児を誑かし暮していた。
「あぁ、じゃあ今のうちに渡しちゃいましょう。冊子が幾つか余っていたから。元ギルド職員のクロエさん? あの方にも渡しておいて」
「……新しい、婚姻制度?」
震える手で冊子を受け取るカリオン。
正直、読まなくても何となく分かった。
表紙にはお母さんと赤子のイラストが。
市民向けのパンフレットみたいなものか。
絵は私が描いたんです、中々に好評で……キェルツェ氏が鼻高々に自慢するが、欠片も耳に入って来ない。中年女性にお世辞を使う余裕など無い。
「結婚の最低年齢が……成人と同じに?」
「そうそう。まぁ、今までどうして規定が無かったのかって、私としてはずっと不満だったけれど。長年の訴えがついに、ようやく実ったの……!」
ページを捲る。
見開きでドカッと出て来た。
「何年か前にも他国であったじゃない。とある貴族が9歳の女の子を、魔法の腕を鍛える名目で一般家庭から……獄中でただのスカウトだとか、純愛だとか言っていたけれどね。馬鹿馬鹿しい。間違いなく前から目を付けていたのよ。無理やり乱暴して、洗脳染みた教育を与えたに決まっているわ……!」
憤慨するキェルツェ氏。
なるほど。まぁ、確かになと。
それはそれでカリオンも納得。
力を持たない女性、か弱い子どもを守るため、結婚年齢に制限を設ける。望まない婚姻を阻止することのできる、なんと素晴らしい法律か。
問題は次のページだった。
「死刑っすか? えっ、死刑?」
「ホント、輪廻転生の機会があることさえ惜しいくらいね。その点、帝国は素晴らしいわ。市民や観光客も罪人に石を投げることができるから」
「エグいっすね」
「性犯罪者には当然の報いよ」
落ち着いた大人の対話だ。
目が死に過ぎていることを除いて。
成人に達していない者と婚姻を目論んだ場合。また未成年の女性を妊娠させた場合、いかなる例外も適応されず、問答無用で……。
法律と呼ぶには少々過激な、背筋の凍るようなフレーズが息を吐くよう頻出する。もっとも、ほとんどの一般市民にとっては縁の無い話。
ノイヴァルトは王国の優等生。貧困街に該当する南地区だって、あくまでノイヴァルトの中では、というレベル。もっと酷い場所は沢山ある。
そもそも治安が抜群に良いのだ。少なくとも『未成年の女の子を孕ませて、無理やり結婚した』なんて凄惨な事件はここ数年、一切起きていない。
誰も起こすつもりが無い。
そんな勇気も、機会だって無い筈だ。
ただ一人。この男を除いて――。
「これからノイヴァルトはもっと良い街になるわ。この新法を機に、人々も女性の権利や福祉に対する造詣を深めていくことでしょう」
「ぁ……あ、あぁぁああ……ッ!?」
「そしてサンチェス殿。貴方には、福祉の象徴たる立派な孤児院の長として、より一層の奮起を期待させていただ……サンチェス殿?」
「すみません、きっ、急用を思い出しました!? ごめんなさい、許してくださいッ!! しっ……失礼しますぅぅうううっ!!」
「あぁそうですか。ではまた定例訪問で」
市場を走り去ったカリオン。
ついでにお茶でも誘おうと思っていたキェルツェ氏だが、あまりの勢いに引き留めるのも憚られた。きっと大切な用事だったのだろう。
(後ろ姿も凛々しくて素敵ね……なんて)
眼鏡をクイっと正し、穏やかに微笑む。
恐らく欠陥品だ。修理に出した方が良い。
(ヤバいヤバいヤバいヤバいッ、ヤバいってぇぇええ……ッ!? 頼むっ、マジで頼む! 検査薬、どうか不良品であってくれぇぇええええ!!)
叶わぬ相談である。
魔法妊娠検査薬『
自分の子を孕んで欲しい。
若く美しい娘と結婚したい……。
例え真実の愛を見つけたとしても、それらはすべて命あっての話だ。さっきと考えていることがまるで反対だが、こればかりは流石に。
稀代の楽天家にしてむっつり変態ノータリンであるカリオンと言えども、種を残したから、じゃあ死んでも良いや、とまではなれない。
「どうじてこんなこどにぃぃぃぃ……」
坂道に涙の痕が重なる。
出来の悪い童謡みたいだ。
数十分前まで思い描いていた明るい未来が、音を立て崩れていく。その様がハッキリと見えた。
この延々と続く帰り道を駆け上がった暁には、長い棒状の検査薬を両手で拵えた、美しいオナホ嫁たちが今か今かと帰りを待ち侘びていて。
開口一番『パパ、デキちゃった……♡』と言ってくれる筈だった。そんな四人を力強く抱擁し、お庭でおめでとうパンパンするつもりだった。
たったそれだけの願いも、この世界は叶えてくれないのか。何が法律だ。多数決なんてクソだ。半端な民主主義はいつだって情欲の敵だ。
浅知恵を頼りにありったけの悪口を吹き飛ばしながら、カリオンは黒い風のように走った。やがて沈みゆく憎き太陽の、十倍も早く走った。
先に待つのは天国か。
それとも、現実という名の地獄。
もとい、底なし沼か。
審判の時は下った。
「――――パパっ、おかえりなさい!」
重い扉の先に、彼女たちはいた。
四人勢揃い。
横並びで彼を待っている。
「たっ……ただい、ま?」
顔を見合わせコソコソ、ニヤニヤ。
カリオンは脱力し、芝生へ膝を突く。
「よほど気になっていたみたいだな。では決めた通り、ここはレミナに任せるとしようか……だが最初に挿入れて貰うのは、私だぞっ!♡」
「はいはいっ、くじで決めましたもんね~。そういうわけですから、メルちゃん。そろそろ涙を拭きましょう。安心したのは分かりますけどね?♡」
「うんっ……よかった、ほんとによかった……! メル、獣人だけど……みんなと違うけど、でも、いっしょだった……同じだったよ……っ!♡」
涙ぐむメルの頭を撫でる三人。
続けて代表し、レミナがその先頭に立った。不思議な感覚だ。あれだけの焦燥感が、ただ彼女を見ているだけですべて消え去るよう。
(嗚呼……綺麗だ)
眼に映る、愛すべき
あらゆる葛藤も彼には必要無い。子どもたちの未来を守り、そして未来を作ったのだ。孤児院の長として、これ以上の誉れなどあるものか。
そもそも予定通りだし。
全然、普通に、めっちゃ嬉しいし。
そうだな。もう暑いもんな。
服なんて、着ていられないよな――。
「へ、へへっ……レミナ、随分と嬉しそうじゃないか。良いことでもあったのか? みんなで秘密にしてないで、パパにも教えてくれよ……!」
「……あのね、パパっ!」
胸元へ飛び込み、レミナはガバっと顔を上げる。酷く涙に濡れた、けれど、どうしようもなく嬉しそうな、なんだかおかしな顔だった。
カリオンはつい噴き出したそうだ。
色々と限界だった。
何がと言われれば、勃起していたから。
ここは領営孤児院。
通称、ノイヴァルトのゆりかご。
カリオン・サンチェスの自宅兼職場である。
またの名を、専用オナホ養護施設。
そして今日からは。
「ねえ聞いてパパ、パパっ! とっても凄いことが起きちゃったの! あのね、あのねっ……! あたしたち、みんな――――」
以上で完結となります。
ご愛読ありがとうございました。
筆者としても、心の中に孤児のエロガキを飼うと人生が極めて豊かになることが分かり、大変貴重な学びでした。心より感謝いたします。
どのサイトか分かりませんが、春先に現代モノの新作を出す予定です。気が向いたらお付き合いください。では暫しお暇を。