※この作品はR-18です。

【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。   作:速射弾

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FF8編 #17 異世界転移と異世界転生を混同するべからず

 

 

館に居る女を片っ端から抱いて周る。

猛る性欲を鎮めるために開催した女食べ比べツアーは、たまに緊急開催する事がある僕一押しのレクリエーションだった。

 

扉という扉を片っ端から開けて行き、向かった部屋に突然のアポ無し訪問をし続けた先で見た物は……。

呆気に取られ窓の外を見るイデアの姿と、その先で屋敷から走り去るリノアの後ろ姿。

 

こんな事をしている場合じゃ無くなった。

明日は待ちに待った挙式の日なのに。

 

「ごめんねママ先生。ちょっと外せない用事ができたからハメハメはまた後で」

 

下品なハンドサインをしながら手を降って部屋から出た僕は、急いでメイドを呼びに行き、業務連絡を行う。

 

「リノアが逃げ出した、チョーカーの電気は……流石に無線が届かない……か。一応流してみてくれ」

 

電波障害がきつすぎて無線が繋がらない世界というのは本当に不便だ。

近場ならまだしも流石に屋敷を離れたら首輪の電気を作動する事すらできない。

 

「先程走りさるリノア様を確認したメイドがおります。既に警備の者へと追いかけるよう指示を出しました。リノア様はどういうわけか門の外へと逃げ出せたみたいですが……その……」

 

「なんだ?」

「チョーカーに反応する筈の外壁の警報が鳴らなかったみたいで……首輪の故障でしょうか?」

「ふむ……。逃げる瞬間を捕捉出来ただけでも運が良かった、と思う事にしようか……。

とりあえず軍に連絡を入れてデリングシティ全域の出入り口を封鎖しろ、駅は最優先だ。僕はオーディンと共に出る」

 

誰かを探す時、犬の嗅覚を頼りにするのはこの世界でも有益な捜査方法だった。

 

「旦那様、リノア様がもしこの包囲網を潜り抜けて、街の外に逃げる事が出来たのなら……。その時は……もう追いかけるのは止めにしてあげたりなんて……そんな可能性は……あり得ませんか……?」

 

 

おいおい、情に絆されたか? それとも同情……?

しかし……裏切る事はしない筈だ。

長年の付き合いだ。こんな軽口でこのメイドへの信頼は揺るがない。

 

「ようやく明日18歳になろうかという女の子が一人で軍の包囲網を振り切って逃げる……あり得ない仮定だ。

考える意味も無い冗談だと思って、今の話は聞かなかった事にしておくよ」

「申し訳ございません……差し出がましい事を申し上げました」

 

「ただ……そうだな。とりあえず逃げ込みそうなティンバーに兵を先回りさせておこう、とは思ったよ」

 

問いに答え、返事を聞かず僕はオーディンと一緒に車へと乗り込んだ。

婚約者を迎えに行かなくちゃ行けない。

そのためにはとりあえず、駅の出入り口にでも向かえば良いかな。

 

 

 

 

 

タキシード姿の僕とウェディングドレス姿のリノア。

 

マーメイドラインの白いドレスを着た花嫁となる彼女は、普段とは違う化粧を施されて掛け値無しにこの世で一番美しい。

そう、死んだ目で俯いていて、とてもとても美しい。

 

昨晩も僕に散々嬲られ、久しぶりに死の恐怖と大量の子種を植え付けられて反抗する事が出来なくなった彼女。

勿論首絞めでついた手形は、今日という晴れ舞台に相応しく無いので、ケアルガで消しておこうかとも思ったが……。

あえて残したままも乙だと思い、そのまま結婚式を迎える事にした。

僕の提案をリノアは快く震えながら了承してくれた。

もうこの世界のヒロインは、原作のような活発で明るく元気な女性では無い。

お淑やかで全てを諦めたような儚い女性なのだ。

 

 

 

盛大にラッパ隊の奏でる音色が鳴り響く。

僕らを乗せたパレード用の送迎車が凱旋門を通過して、大広間へとゆっくり進み出す。

デリングシティの空は分厚い雲が常にかかっており、一年中夜という不思議極まりない街だ。

そんな夜の世界でライトが華やかにパレードを彩る。

 

上品な街並みに下品なライトアップ。

20年以上ここで生きてきて既に見慣れた景色は何時と雰囲気を変えて僕達夫婦の門出を祝福してくれているように見えた。

 

カメラを構えた記者達が何度もシャッターを切っている。

普段なら民衆へ手を上げる挨拶の一つでも行う所だが、この日は緊張してそれどころではない。

 

さまざまな挨拶や両家の親の挨拶とスピーチが行われて、父の演説が僕の耳を通り過ぎる。

長いスピーチの中で、父のガルバディアンジョークが入り混じったエピソードトークのお陰で、徐々に僕の緊張は解れていった。

 

深呼吸。

父のお陰で何時もの自分を取り戻した。

そして遂に指輪の交換が始まる。

震えながら手を差し出すかどうかを逡巡している彼女の手首をとり、少しばかり強引にリードした。

 

僕の用意した結婚指輪は、昔ジュリアから奪い取ったエンゲージリングを溶かして作り直した物だ。

親から子へと受け継がれる想い。

ああ、なんと尊い契り……。

 

永遠の愛の証が、遂に彼女の薬指へとはまった。

 

勿論僕の指にも彼女からの愛の証が送られる事になるのだが……。

 

リノアは震えて動かない。

こんなのは想定済みだ。

 

「リノア、どうかしたかい? そういえば今日アンジェロが来てないよね。屋敷に戻った時に死んでたりしてなきゃ良いけど……」

 

信じられないという唖然とした表情で僕の顔を見上げた彼女。

 

「指輪、ハメてくれるよね?」

「…………」

 

僕の催促に新婦はコクリと頷いた。

取り出された指輪は僕の薬指へと綺麗に収まる。

もう、二度と外れないように……ピッタリと。

 

「僕と……結婚して下さい」

「────────はい……」

 

新婦の顔を覆っていたべールを捲り、その顔が公になる。

ウェディングドレスに包まれて居ない胸から上が、夜のライトアップに照らし出されて、昨晩付けた首元の手形とこの日の為に新調したパールホワイトのチョーカーが見えた。

 

そして────抜け落ちたリノアの表情。

 

それを見て、血液が急速に下半身へと集まっていく。

タキシードパンツが盛り上がるのを自覚し、こんな時でも元気な息子に呆れて自笑した。

 

肩を抱き寄せる。

 

近づく顔。

リノアの顔は……小さくて、綺麗で、全てを諦めていて……。

 

近づく唇。

これから先、彼女の人生は永遠に僕の……1番素敵な、コレクション。

 

 

全国民に中継されている中で僕とリノアは口付けを交わし、祝福の鐘が鳴った。

妻となった女の頬をツーっと流れる涙。

その水滴がポタポタと顎の下に蓄積して垂れ落ちる様を見る。

 

泣き止まない彼女を抱き寄せて抱擁し、耳元で僕は囁いた。

 

「勃ってきちゃった、もう我慢できないからここでやろう」

「……え?」

 

マーメイドラインドレスの上から尻を揉む。

飽きるほど繰り返してきた女を食う時の作法。

やっぱりこれをしなきゃ始まらない。

 

「あ……ありえ、ない」

 

肩を震わせながら目を見開いて、信じられない物を見てるかのような顔をする僕の妻。

ありえない……か。

 

「不可能を可能にする男、それが僕だ。ありえないなら現実を捻じ曲げて仕舞えばいい。例えば言論弾圧とかでね」

 

彼女からの返事を聞く気はなかった。

その場で押し倒してウェディングドレスを捲り上げる。

このために薄手のドレスタイプを指定したのだ。そのチョイスはやはり良かったと言わざるおえない。

 

泣き叫ぶ彼女を民衆の前で……。

立ち並ぶマスコミのカメラはその姿を捉えてシャッターを切り────

 

 

────ここ最近毎日浸っているリノアとの結婚披露宴の妄想から返って来た僕は、車の中から街を見た。

 

僕の視線の先にはまったりとした日常を過ごす人々が映り込む。

このデリングシティという街は父の統治のお陰でとても治安が良い。

家族、配偶者、恋人、友人、知人、あるいは独り身。

様々な人間のライフスタイルが織りなす景色。

その中で、何かから逃げるように必死に走る女は……とても目立っていた。

 

それを見て僕はやっぱり運命だと思った。

あぁ、この昂ったイチモツを鎮めなくては……。

 

 

 

車を降りた先で息を切らしていた婚約者に話かける。

髪を切ったぐらいで彼女の美しい顔を見間違えるはずもない。

 

痴話喧嘩というものも悪くはない。

口答えしてくるリノアを優しくいなしながら、手を差し伸べる。

 

これから夫婦になるのだ。多少何を言われても許してあげよう。

それこそが夫婦円満の秘訣だと聞く。

 

 

「さぁ、帰ろう」

 

差し出した僕の手を、怯えながら彼女が取った。

 

────その時。

 

こちらを見上げていたリノアの姿勢がゆらりと崩れ、雰囲気が変わった。

 

「ふふっ……」

「?」

 

彼女の笑い方に違和感。ついに僕への恐怖からおかしくなってしまったのだろうか。

急に重くなったように感じる空気感と共に口を開いた彼女は、超然とした態度に変化して僕に語りかけた。

 

「貴方は……デリングJr.とか言ったかしら。あの時私をコケにしてくれた事は今でも記憶に新しい。決して許しはしないわ」

「どうしたのリノア……? いや、違うな……。リノアは僕にそんな眼を向けた事なんて……。ん?やっぱり……リノア?」

 

やはりおかしい……。

しかし、リノアは気が動転してるのかと思いきやそうでも無い。

この女、逃げる最中に何処かでコンフュでもかけられたか?

 

「無様ね。愛を謳ったその口で、己の婚約者の中身が既に別人だと見抜け無いなんて……」

 

中身が別人……?

────彼女の言葉が引っかかったその時、荒い息継ぎと共に我が愛犬が急いで駆け寄ってきた。

が、オーディンは見えない壁にぶつかりキャインと泣いて跳ね返される。

唸り声を上げながらリノアに向かって吠え出すドーベルマンは、見えない力に縛られて、その場から動けなくなってしまった。

これは……まさか……!

 

「ま、まさか……。魔女……アルティミシア……」

「あら、御名答。私の事をご存じなのね?」

 

な、ななな、何でそんな奴がここにっ!?

意味がわからない。

どういう事だ。

一体何が起きればそうなる!?

 

慌てて掴んでいた手を離し後退りした。

原作のラストボスに憑依されたらしきリノアは、焦る僕を嘲笑う。

黒かった筈の彼女の瞳は金色に輝いて、汚い物を見るような視線を向けた後、その手を優雅にヒラヒラさせた。

 

「そんな……何時リノアは魔女の力を……。っイデアか……! クソっ!」

 

イデアは魔女の力の継承で人生を狂わされていた。

その力を誰かに渡して不幸を味わわせる事なんて、彼女の性格的に絶対にあり得ないと思っていた……。

 

完全な誤算だ。

 

時間圧縮で世界を滅ぼす恐ろしい魔女。

その原作知識以上に、力の封じられていない魔女という存在の恐ろしさを僕はこの世で培ってきた知識で知っている。

 

その上で判断するが、即座に何も出来ない事を理解した。

今まで行ってきたステータスのドーピングなんて意味が無く。

超越者が持つ力の前には気休めにすらならない。

 

リノアに憑依したその魔女の一挙手一投足を恐れて息を呑む。

そんな僕とは対照的に、冷たくも自信に満ち溢れた笑みで此方を見下した彼女。

 

「さぁ、貴方は私の駒になるか……それとも此処で死ぬか……。特別に選ばせてあげまs……?」

 

「?」

 

なんだ?

急に言葉の歯切れが悪くなった……?

 

「っぐ……な、手が……?」

 

アルティミシアの手が小刻みに震えている。

最初は更年期障害か何かかと思ったがそうじゃない。

彼女の金に輝く魔性の瞳が僕を睨む。

しかしその身の震えは止まらず、しまいには立っていられない程に全身が硬直してアルティミシアはへたりこんだ。

……明らかな異常事態。

 

「何をした……!?」

 

何かした記憶が無い僕には、その彼女からの問いかけに答えようが無い。

しかし魔女はその答えを導き出したらしい。

 

「ハァハァ……。この身体っ……まさか私が支配してもまだ、こんな男に恐怖してるとでも言うのっ!……くっ」

「え……?」

 

僕を守るようにして前に出た愛犬のオーディンがアルティミシアに向かって唸る。

先程まで動きを封じられていた筈なのに、僕の前に来ることが出来たという事は魔法の満足な使用すらもおぼつかないらしい。

 

険しい表情をしていた彼女は額に手を当てながら、まじまじと僕の顔を見た。

信じられない物を見るような表情。

それはまるで、先程妄想していた結婚式のリノアの見せた表情と瓜二つだ。

 

「この……記憶……。まさか……私は……」

 

自らの頬に手を当てながら吐き出したアルティミシアのその言葉と共に、重たかった周囲の空気がフッと軽くなり、リノアの身体がどさりと地面横たわる。

 

どうやらアルティミシアはリノアを乗っ取ったは良い物の、身体に残っていた調教の記憶が蘇り、その染み付いたトラウマで肉体は動けなくなったらしい。

 

そしてどうしようもないと悟って一旦抜け出し、未来に逃げたということか。

 

つまり愛の絆が彼女の意識をこの世に呼び戻した。

僕とリノアの愛は本物だったのだ!

 

 

「は、はは……死んだかと思った……」

 

誇らしい気持ちになりながら、なんとか倒れているリノアに近づいて、その小さな肩を抱きかかえる。

 

 

その時リノアが目を覚ました。

僕に抱かれ、顔が近くにあると理解した彼女はパニック状態に陥って暴れ出す。

 

「はいはい……落ち着いて……」

「いやぁ!!!やめてっ!離して!!! 私の前から消えてよっ!」

 

このドストレートで語彙力の無い悪口。

とても懐かしい気がする。

 

「全く、愛しの婚約者に向かって酷い事を言う、はは」

 

余裕を見せて笑いかける。

これこそ何時もの僕と彼女のやり取りだった。やっぱりリノアはこうでなくては……。

ピンチを脱した事に深い息を吐いて心の底から安堵。

 

……しかし、突如として僕の身体が光に包まれて輝き出した。

 

「は? な、なななんだこれ!?」

 

何処かで見たことのある点滅する光……これはデジョネーター!

まさか……まだアルティミシアがっ……!?

見るとそこにはキョトンとした表情で、リノアが地べたに女の子座りしている。

アルティ……ミシア……。

じゃ……無い?

 

「そうか! 魔女の力っ……!!」

 

憑依されてなかったとしても、魔女の力はそのままだ。

視界が黄色にチカチカと輝き、紫色の世界へと引きずり込まれていくのがわかる。

 

え?

もしかして、このまま異空間に放り出されて死ぬ?

リノアがさっき言った「消えてよ」の一言だけで?

 

「た、助けてくれぇっ!! 誰か、誰か居ないのかっ!!!」

 

お供に連れてきていた兵士達が今更ながら、ようやく恐る恐る駆け寄ってきた。

しかし彼等はこの状況にどう対処していいのかわからないらしく、魔法の光を恐れて触ろうとも助けようともしない。

愛犬は牙を剥き出しにして僕の服を引っ張ってくれるが、デジョネーターは僕という存在だけを指定して発動されたのか魔法から脱出する事は敵わず、その光は収まる気配を見せない。

 

「パパっ!! ママぁ!!! 嫌だぁあああ!」

 

僕がこんな所で、終わる訳がない!

 

「せっかく手に入れたのにぃ! 離れたく無いぃっ!」

 

原作主人公達を全員出し抜いて、父をやジュリアを死の運命から救い出して、地位と愛する女を手に入れた。

これからはエスタ国大統領の息子であるスコールを人質にしながら、魔女の威光をちらつかせてエスタ相手に有利な交渉を進め、世界を統一する。

そしてFF8の世界を全部……僕が気持ちよくなるためのテーマパークにするんだ。

その未来へのヴィジョンが……消える……。

 

「セルフィっ!キスティスぅっ!!リノアぁああああああああ!!!」

「ひぃっ……!」

 

僕は愛しのワイフ達の名前を叫びながら、戦慄いてへたり込んでいるリノアのスカートを掴む。

引きずられ倒れ込んだ彼女にのしかかり、腰を振りながら強く抱きしめてキスをする。

舌を捩じ込んで歯茎を舐めまわし唾を絡め合う。

歯が当たる事も気にせず、その美貌にへしゃげるかと思うほど顔を押し付けた。

 

きっともう僕の生命は手遅れなんだろう。

 

(だから死ぬ前にこの女を!この女を!)

 

この女を?

 

(どうしたいのか……)

 

汚したい?

犯したい?

道連れにしたい?

己の物にしたい?

殺したい?

 

それとも……愛したい?

 

明確な答えなど無い。

何かしないと勿体無いと思って足掻いただけ……。

 

ただ、その気持ちはきっと僕にとっては純粋で────世界一ピュアなキスだった。

 

そうして柔らかい唇の感触を味わいながら次元の狭間に吸い込まれ、

愛犬も婚約者も置き去りにして……僕はこの世界から追放された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……」

(最悪だ……、折角最高のハーレムを手に入れて好き放題できてたのに……)

 

歩く。

 

「ハァ……ハァ……」

(ガルバディアンコムの更新も永遠に途絶える事になっちゃった……)

 

歩く。

 

「ハァ……ハァ……」

(まあなんかまだ死んでないみたいだし、生きてるだけラッキーか……)

 

歩く。

 

「はぁぁぁあああああ」

(……なんて簡単に割り切れるもんじゃねぇよ)

 

リノアたんともうちょっとで結婚できる所まで行ってたのに……。

ハァ……。

せめて子供ぐらい作れてたら良いのになぁ。

乱交した時に中に出した息子達よ頑張ってくれ……。

 

そんなくだらない事を考えなければやっていけない程に、気を落としながら歩いていた。

 

「いや、マジでどーすんのよこれ」

 

生きられているからには空気はあるみたいだが、このまま何も食べずにこの空間に居たら死んでしまう。

ヘドロだかコールタールだかなんだかよく分からない大地を見回してみると、なんだか沢山の謎の亀裂が空間に空いている。

触ったら絶対良い事にならないだろうなという雰囲気で近寄りたく無い。

コズミックホラー系のモンスターとか出て来そうで本当に怖い。

 

そんな空間断裂を避けながら、岩だか固まったヘドロだかわからない謎地面をトボトボと歩く。

気分はさながらFF8エンディングムービーで荒野を歩くスコールだった。

 

 

スコールと違う所は、今の僕には助けてくれそうな相手が居ないって所かな〜……はは。

唯一の救いは拉致された時に備えて持っていた僅かな携帯食と擬似魔法とG.F.を閉じ込めたネックレス。

それらを所持したまま、この世界に送られたという事だった。

 

あーあ、地位と権力にしがみついた結果がこれ。

調子ぶっこき過ぎてた結果だよ……。

 

いくら権力があっても他人の気持ちを踏み躙ってたら報いがあると言う事なのか。

泣きながら謝ったらまた自宅に帰らせて貰えないかな。

 

 

大声で誰かを呼ぶ気にすらなれない。

確実に人間以外のこの土地を根城にしている化け物を呼び寄せるだろうから……。

 

このまま食う物が無い時はそれを捕まえて食べるというのもありかもしれないが、まだ慌てるような時間じゃない。

 

(いや、そもそも生き物が存在するのか?)

 

空気はあるから多分何か存在はしてると思うんだけど……。

そもそも明かりがぼんやりと光るこの地面だけというのが今更ながら恐ろしい。

空は青いどころか紫に近い黒と、濃い灰色だ。

 

マシな所は空気が比較的澄んでいるというだけ。

 

というかここって地獄的な所なのでは?

やっぱり今まで権力で良くない事しまくったから地獄に落とされたとか……。

悪い事してるなという自覚はあった。

それを承知の上でやっていたのだから、より悪いという事も想像がつく。

 

(これは罰なのか……)

 

状況の絶望感から、しばらく反省しながら歩いていたそんな時、唐突に前方で赤いマント姿の大男が亀裂から出てきた。

 

「まーた違う所に出たか……次はこっちだ! いざ行かん! 待ってろよバッ……」

 

そう言って出てきた大男は一人で勝手にペチャクチャ喋り倒しながら、再び別の亀裂に入って何処かに行ってしまった。

男が入った亀裂はそのまま飲み込むようにして閉じてしまう。

 

(……あれ、絶対ギルガメッシュだ)

 

FFの名物キャラを生で見れたのは凄い体験で、こんな状況でもなければ結構嬉しかっただろう……。

 

「いや、まあでも……別にそうでもないかもしれない」

 

(FFに思い入れ強かったなら、スコール達にもっと優しくしてる筈だしなぁ……)

 

今や僕自身FF8の世界の存在だったので、ミーハー心だけでは有り難く感じない。

せめて女じゃ無いとお話にならない。

やっぱり僕にとってはエロが1番でその他は二の次だよって事だ。

 

「そんな事よりも、脱出、出来るかもじゃん……」

 

僕は垂らされた蜘蛛の糸を目の前して、今更ながら救いがあるかもしれない事を理解した。

 

 

 

先程ギルガメッシュが入って行ったような次元の隙間が見つかったので、そこに入ってみる。

正直さっきからちょいちょい見るこの亀裂は入ることを躊躇する見た目だが、コールタールを固めた様な足場と空気意外に何もない今の世界にずっと居るよりはマシだ。

 

「今回ばかりは絶対に許さんぞリノアたん! 今度会った日には首を絞めながら犯して膣の中に小便を撒き散らしながら謝罪させてやる!」(訳: 頼みます、もう反省してるのでこの先は元のFF8世界であってください)

 

帰還を願い時空の奔流に身を任せ、飲まれる。

 

女抱けないなら死んだ方がマシだ。

そんな事を何時までも考えながら運命に祈った。

 

 

 

そして僕は、なんか良くわからない島っぽい所に出た。

 

「空が青い……」

 

波と海鳥の鳴く音。

コールタールじゃなくて土でできた大地。

草木が生える豊かな世界。

とにかく生物が生きていける自然環境。

 

「ありがとう……ありがとう……」

 

命の尊さと自然の素晴らしさを感じて、世界へと感謝する。

1日も経ってないのによくもまぁ、ここまで心の移り変わりが早いもんだなと我ながら驚愕しかない。

そのように客観的に自分を観察出来るのは、僕の良い所だった。

 

 





第一章FF8編、了。
次回エピローグとかキャラ紹介やら間話やらなんやら終わり次第、第二部FF10編開始。


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