【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
唐突に原作知識無し勢を置き去りにする番外編。
モンスターのうろつく廃墟、アルティミシア城。
ついに俺達はその最新部まで到達した。
この扉を開けたらきっともう戻れない。
「みんな、心の準備は良いな?」
俺は一人じゃない。
ここには俺の言葉に答えてくれる仲間達がいる。
「今更すぎるなスコール。それとチキン野郎、ビビるんじゃねぇぞ」
映画の真似をしてガンブレードを振って構えを決めるサイファー。
憎まれ口を叩いているが、旅の中で誰よりもいち早くゼルに対する侮りの認識を改めたのがサイファーだった。
魔女の騎士を目指していたコイツは一時の間洗脳されていたが、収容所生活でしょうきを取り戻し、風神とリノアに再び会う為に俺達は仲間になった。
まさか再び出会った風神とリノアが妊娠してシングルマザーになっているとは思ってもみなかったが……。
元依頼人のリノアは色々話したくないような目にあってきたのだという。
そんな彼女はママ先生から力を受け継いで魔女になったせいで、アルティミシアに憑依されガルバディアやエスタで様々な問題を引き起こした。
そして最終的にエスタの魔女の封印を解いて宇宙で漂流する羽目になる。
それを命懸けで助けようとしたのがサイファーだった。
「おうよ! 俺達の世界を滅茶苦茶にしようとしてる魔女に、落とし前をつけさせてやるぜ!」
ゼルはステップを踏み、シャドーボクシングで想像のアルティミシアを相手取った。
ここまで険しい道のりだったが、ゼルの知識と拳には何度助けられたかわからない。
……これ以上ゼルについて話す内容が無い。
強いて言うなら……収容所で酷い目に遭わされている時、同じく酷い目に遭わされているゼルを見て、
俺は一人じゃ無いと、心の支えにしていた事ぐらいか……。
自分一人じゃどうにもならない状況下で、他人との繋がりの大事さを教えて貰った。
そういう意味では感謝するべきなのかもしれない。
ありがとう。物知りゼル。
「心の準備なんてみんなと再会した時から決まってたよ。行こう、僕達が未来を、そしてセルフィ達の人生を救うんだ」
アーヴァインは銃弾を込めて扉に向かって狙いを定める。
セルフィ達が行方不明になってから一番凹んでいたのがアーヴァインだった。
風神やリノアに続いて、セルフィとキスティスもシングルマザーの未亡人となっていた。
その子育てと人生を支えてやるという気概はこの中でも最も高いだろう。
彼女達を助ける前に、世界が終わっては元も子もない。
早く魔女の野望を打ち砕いて、子守りに行かねばならないと語っていた事を思い出す。
まあ良い話に聞こえるが、幸か不幸かセルフィもキスティスも優秀なので、別に子育てに困っているという感じでは無かったのが玉に瑕だ……。
「やってやるもんよ! 俺達の手で未来を変えるもんよ!」
雷神は棍を回転させポーズをとる。
ここにいるのはかつて何時も陽気だった雷神では無い、その表情は風神が隣にいなくなった日から一度も心の底から笑う事は無かった。
再び風神と再会するまでは……。
D地区収容所から脱出した後に、サイファーと俺達が一つのパーティーになれたのはそんな凹みきった雷神のおかげだった。
こいつは今、風神の赤ちゃんに懐かれているので時間圧縮から帰る時はお土産を持って帰らなければと意気込んでいる。
「ええ、荒事は苦手ですが……こんなおじさんでも出来る限りの力は尽くしたいと思いますよ。それが私の贖罪です」
シド元学園長が魔法のランプとバトル計を構える。
魔女の騎士としてガーデンとママ先生を守れず追放処分となった学園長は、失った妻を取り戻す為に俺とサイファーを収容所から救出してここまで一緒に戦ってきてくれた頼れる大人だ。
ママ先生とせっかく再会できたのだから、俺達の戦いにまでついてくる必要も無かった筈だが、責任感の強さでここまで同行してきた。
頼りになる大人がサポートしてくれるのはありがたい。
この人がいなければ、多分今頃ガルバディアとエスタの大陸を二分する世界大戦はもっと長引いていた筈だ。
ノーグ率いるガーデン陣営の戦力をどうにか味方にできたのはシド元学園長の存在が大きかった。
「未来の魔女とはどんな魔法を使ってくるのか楽しみでおじゃる!」
どうしても時間圧縮の先にいるアルティミシアを見たいと言って、無理矢理ついてきたオダイン博士。
デリングシティの次期大統領候補と親交があったというこの人が、ガルバディア大陸にママ先生を引き取りに来ていた事で俺達と出会い、全ての情報が繋がった。
その研究さえできれば良いという性格には困った物だが、この老人の癖にやたら元気に動き回る博士がいなければ、今頃この世界は時間圧縮に飲み込まれて消え去っていた筈だ。
俺達は最後の扉を開ける。その先に待つのは天国か地獄か。
何が出てきても俺達7人なら乗り越えてみせる、ここまで送り込んでくれたエルお姉ちゃんの期待を裏切るわけにはいかない……。
いや……俺自身が期待に応えたいと思ったんだ。
全てを終わらせて必ず迎えに行くから待っててくれ。エルオーネ。
そして扉を開き、目の前に広がる城主の間で魔女アルティミシアが俺達を見下ろした。
シド元学園長の指に嵌っているソロモンの指輪が輝き出す。
元々結婚指輪が収まっていたその場所は、妻を守ってやれなかった悲しみと戒めの意味を込め、代わりに悪魔との契約の証が嵌め込まれていた。
ディアボロスとグラシャラボラス、2体の悪魔が元学園長のサポートを受けながら戦う。
エスタの科学力を結集させた最新のバトル計がリアルタイムで戦況を計測し、恐ろしく正確で的確な支援を可能とする。
長年ガーデンで生徒達を見守ってきた彼の経験値と判断力も、そのサポート能力の後押しをしていた。
「学園長!」
厄介な存在だと認識されたのか、シド元学園長へとアルティミシアの魔法が撃ち込まれる。
「ふう……やれやれ、今の私は学園長ではありません。ただのシドです。貴方もそろそろ学生気分は終わりにして呼び捨てにしてくれて良いんですよ?」
「……勘弁してくれ」
正直、いまだに学園長呼びではない事には違和感がある。
「再び私を狙ってくるこの瞬間を待っていたんですよ……スコール、サイファー、今です!」
シド学園長がバトル計を掲げる。
「合わせろスコール!」
「言われなくてもわかってる!」
ガンブレードを構えて飛び上がった俺とサイファーを背に仲間達の陽気な声が聞こえた。
「おいおい、僕達を忘れてもらっちゃこまるよ〜」
「そうだぜ! 俺の見せ場も残しといて貰わなきゃな!」
「スコールとサイファーばっかり目立ってずるいもんよ!」
「今の魔法は初めて見るでおじゃる! これは凄い大発見でおじゃる!」
行くぞアルティミシア!
俺たちの必殺技が過去現在未来の全てを救うと信じて……!
FF8、完。
古き良きFFらしさとは、パーティメンバーにおっさんとか爺が居る事だ。
という意見を目にした事があります。
打ち切りではないです。