【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
FF8興味無い方は多分ここから読んでも問題ないと思います。
FF10編 1話 田舎者は騙されやすい
異なる世界への旅立ちか、はたまた元の世界への帰還か……。
僕が異次元から降り立ったその地は海に面した場所だったが、おそらく僕の知る地域で無い事は確かだ。
ここまで熱帯アジア感溢れる植物と気候は、FF8の世界ではあり得なかったからである。
可能性があるグランディディエリの森はもっと鬱蒼と木が生い茂っているので、やはりここは知らない世界と見て行動するのがベターだろう。
土を踏み締めて歩きながら辺りを見渡して居ると、植物に絡みつかれた古い建造物の残骸が地面に埋まっているのが分かる。
見た事も無いタイプの建物……。
こんな痕跡があるという事は、知的生命体の居る世界みたいで少し安心した。
はっきり言ってどんなに酷くて厳しい世界より、知的生命体が1人も居ない世界の方が辛い筈だ。
何せ生きる意味を見出せなくなるのだから。
ただ知的生命体と言っても人であるとは限らないし、人だとしても原始人だった場合、多分それはそれで意思疎通に苦労して辛い。
数日前まで毎日美女を侍らせて、贅を尽くした飯を食いながらふんぞり返って居られたとは思えない落差である。
「はぁ〜、僕が何したっていうんだよ……。こんな仕打ちを受ける程悪い事した覚えはないぞ……」
とりあえず生きて行けそうな事が分かって、先程まで抱いていた環境への感謝と懺悔の精神は消え去った。
そんなこんなで凹んで後悔して開き直って再び悲しみに暮れ直すという忙しい精神状態で、トボトボと歩いていると……奇跡的に村を発見した。
村の見た目からして明らかに民族とか部族といった雰囲気は拭えないが、未来的な建築も入り混じったアンバランスな風景を僕の語彙力でどう表現して良いのか難しい。
しかしながら、人が文明的な生活をしている日常風景が見えるので少しホッとする。
人間が生活している。もうそれだけで嬉しい。
そして村の入り口を彷徨いていた第一村人のおっさんの瞳に、我が存在を捕捉されてしまった……。
(展開が早すぎる……)
人が生活している事だけで嬉しいと言ったが前言撤回。
ちょっと遠くから見ただけなのに見つかるのは想定外だ。
まだ何もわからないのに原住民に発見されて、更にその相手は無造作にこちら目がけて歩いてくるではないか。
ファーストコンタクトを失敗したら拙いことになりかねない。
この村が途轍もなく排他的で、食人を主にしている可能性だってゼロじゃ無い。
慎重に……仕草に違和感を抱かせてはダメだ。
ぎごちない対応は死に直結すると思え。
当然ここでいきなり逃げるのは、「私にはやましい事がありますよ」と言っているような物なのであり得ない。
言葉はどうだ、通じるのか?
通じない場合は、何も喋らず陽気なボディランゲージでその場をやり過ごそうか……。
他所の言語を使うぐらいならば、喉に障害を患っていて声が出ないというふりをした方が良い場合もある。
その時は僕の社会的カーストが危ぶまれるが、捕まったり敵国の人間だと思われたりするよりはマシな筈だ。
極度の緊張から無駄に頭の中を回していると、現地人のおっさんが僕の目の前まで辿り着いた。
どうでもいいが……このおっさん、アジア系不細工だ。
いや、よく考えたらこれはどうでも良いと切り捨てていい事じゃ無い。
つまり……白人っぽい要素の強い見た目のFF8人種である自分は、差別の対象になる可能性があるって事じゃないか?
背中に冷や汗がじんわりと出てくる。
そんな僕に、現地人のおっさんが気さくな態度で話しかけてきた。
「おっ、にいちゃんここいらでは見ない珍しい格好だな、何処からきたんだい? その顔つき……ここらへんの奴じゃねぇな……。もしかしてアルベド族じゃねぇだろうなぁ?」
「あ、アルベド……族では無いですね……残念ながら、ははは」
聞き覚えのある単語に早速ぎこちなくなってしまった。
なんとかオウム返しで対応して、ジョークっぽく笑って誤魔化す。
というか言葉が通じた事に驚いた。
(アルベド族……。おい……もしかしてこれ……FF10じゃないか……)
なんかホッとした。
無駄に緊迫感のあった今までの自分の警戒心が馬鹿みたいである。
デジョネーターの効果で異空間に送られると言っても、FF世界という地続きではあったのだ。
「ま、髪が黄色じゃねぇからアルベドとは違うか。いや、本当に失礼な事言っちまったな……すまねぇすまねぇ、がはは」
FF10の舞台、スピラの人々はどちらかというとアジアンテイストというか、黄色人種といった感じの人々である。
一方ガルバディアに生まれた自分は、どちらかと言うと白色人種に近いタイプだ。
案の定危惧していた通り、そんな見た目の違いのせいで即座に余所者だとバレてしまったらしい。
なんとか誤魔化す為に原作知識を流用して、便利な言い訳で乗り切る事にする。
「いやぁ〜実は『シン』の毒気にやられたみたいでして……。何処からきたのか憶えてないんですよ……。ここ、何処なんでしょうかね……?」
「っ……! そりゃ兄ちゃん……大変だったな……。辛いだろうが生きてるだけで運が良かったと思うしかねぇ、よしっ、冗談とはいえ酷い事言っちまった詫びもあるし、俺ん家に隣に空き家があるから来い! 思い出すまで少しの間だろうが、世話してやるよ! 」
元気なおっさんから話を聞くに、此処はビサイド島のビサイド村という場所だった……。
皆さんご存知、ソーダ村のソーダさんみたいな地名のFF10スポットである。
というかそんな事より……。
(スピラの人間ちょろくないか……?)
特にこの目の前に居るビサイド村の田舎っぺはちょろすぎる。
適当にシンの発する毒気にやられて記憶が無いと言えば衣住食の確保ができるんだから、素晴らしい思いやりと助け合いに溢れた世界だ。
多少の人種の違いも、スピラのメイン宗教であるエボン教から迫害されているアルベド族じゃなければウェルカムなようで、正直ホッとした。
(変に差別を受ける立場だと、女を抱きづらくなりそうだからなぁ)
地球の過去の歴史の例に漏れず、この世界の差別もさまざまな悲劇を引き起こす為、侮れないのだ……。
まあそんなこんなでビサイド村に滞在するという、海外ロケ番組企画みたいな暮らしが始まった。
FF10の事は好きで何度かプレイしたし、良い話だったから今でもメインストーリーぐらいは覚えているが……。
このスピラという世界は本当に過酷で、なんか『シン』とかいう誰も敵わない巨大な化け物が津波とか起こして定期的に住んでいる所と人を壊していくのである。
僕がこれから住む事になる空き家の元の住人も、たまたま旅行先の船の上で通りかかった『シン』に襲われて死んでしまったらしい。
その『シン』を退治するために召喚士と呼ばれる術師が、究極召喚と呼ばれる必殺技の会得を目指して旅に出るのだが……。
その究極召喚。
一般層には秘匿されている情報だが、実は友情愛情の強い想いを糧にするので、知り合いを祈り子という生贄にして得る力なのだ。
そして、その究極召喚を使った召喚士自身も死んでしまう。
そこまでして『シン』とかいうゴジラもどきを倒して世界が平和になっても、また少し時間が経てば『シン』は復活して文明を破壊するし、再び人々は怯えながら暮らしていく。
あまりに未来が見えず、希望の無い世界。
人々は明るく振る舞いつつも心の奥底では絶望しており。
宗教に縋り、一時の『シン』の居ない平和の為に死にに行く召喚士達を崇めて祈るしか無い……。
とかなんとかそんな感じだ。
さて、こんな世界で全ての地位と人間関係を失った僕ちんは、何を楽しみに生きていけば良いのか……。
スピラ人と同じように絶望に打ちひしがれそうになったその時、脳裏に浮かんだのはやっぱりエロい事してぇな……という想いである。
そう、このスピラ……アジアンな男達の芋臭い雰囲気とは逆に、エロいビジュアルの女は居るし、芋臭い顔立ちの人間の中にもちゃんと美人は居る。
しかしながら僕は、無条件で権力無しに自分が女にモテると思えるほど楽観的では無い。
住む所も金も無い男とエッチしてくれる相手が簡単に見つかれば、世の中もっと平和だろう。
金さえ出せば商売女が相手してくれるかもしれないが、僕は贅沢にも愛が欲しいタイプだ。
しかも今まで極上の女共を抱きまくってきたので、そんじょそこらの生半可な売女で済ませるだけの人生では絶対に満足できない。
贅沢な暮らしをしすぎた。
ここに来て今までの生活環境が仇になっているのを自覚する。
一発やれさえすれば僕ちんが培ってきた渾身のテクニックで、どんな女もこましてやる自信はあるのだが……。
うーんどうした物か……。
こんな自分でもカースト上位の女を複数人抱く方法……。
────その時、モテるためのとてつもない名案が脳裏に閃いた。
そうだ、『シン』を倒そう。
どうやらまだこの世界は『シン』の恐怖に脅かされているみたいだし、それを僕が召喚士になって倒せばモテモテになる筈だ。
うろ覚えながら大まかな原作知識は持っているので、復活しない本当の倒し方は知っている。
それが成功すれば高い社会的地位は確約される。
別に僕が直接倒さなくても良い。
倒す方法を考案すれば、それが大手柄となる筈だ。
主役のティーダとユウナの旅が始まるまでは、召喚士としてブラブラ旅行しながら時間潰ししてれば無問題。
旅が始まったら彼等に力を貸しつつ付いていけば良い。
そして、もしかするとだが……。
召喚士になるだけで各地で崇められて、性的な接待とか受けられるのでは……?
うひょひょ、これはやらない手は無いねぇ〜。
(私、召喚士になります! 召喚士になって……『シン』を倒します!)
あと、このスピラは人が死にまくって人口減ってると思うんで、子供沢山作って子孫繁栄させます!
寝床でスピラの女を喜ばせて、外部から来た僕の新しい血と精子で民族浄化してDNAをリフレッシュさせてあげます!
我ながら冴えている。
これもパパが与えてくれた教育の賜物だ。
僕はスピラの風習に則って、この世界で幅を利かせているエボン教式の礼をした。
「あの世(FF8)で見ててくれよ父さん……リノア……。俺、この世界で頑張るぜ!」
その場のノリで一人称も変わり、気分は完全に少年漫画の主人公だ。
そう、これは他の誰でもない。ビンザー=デリングJr.の物語なのである。
数日滞在した僕は村の大人に挨拶を終えてから、仮宿を貸してくれたおっさんに本題を切り出した。
「余所者がいきなりこんな事を言うのもなんですが、僕は召喚士を目指そうと思います」
「ええっ!? 突然どうしたっ! 気でも狂ったのか!!?」
クソ程驚かれてしまった。
驚きすぎたおっさんは、飛び上がってコミカルに尻もちをついていた。
ご年配のそういうリアクションは怪我とかしそうで見てる方が怖い。
「少しだけ記憶を思い出したんです。親しかった友人や家族が『シン』に殺された事を……」
はい、ここで悲しくも真剣見のある表情。
「まだ何処に住んでいたのかも思い出せてないですが、もう帰る場所が無いという事は何となくわかるんです。だから、僕は『シン』を倒したい。いや、倒す事に決めました」
シリアスな表情で理由を説明。
これがゲームなら確実に『ザナルカンドにて』とか『素敵だね』のボーカル無しVer.が流されてる場面だ。
ほら、僕ちんの演説で学んだ演技と過去話に感動しろよおっさん。
「兄ちゃん、まだあんたには未来がある筈だ……。なんて軽々しく止めるのは違うって事ぐらい、その目を見たら俺にもわかる。だが、復讐心でやるならやめといたほうがいいと思うぜ。生きて人生を取り戻すほうが『シン』に対する1番の復讐になると思うからな」
まともなことを言ってくれるが、そんな守りの考えだからおっさんは未婚なんじゃないのか。
僕は違う。
ぬくぬく安全地帯にいるより、多少の冒険をして女を抱いた方がマシだ。
FF8の世界に生まれ変わる前なら、その考えにも賛同できたかもしれないな……。
でもすまん。もう極上の女の味、知っちゃったから戻れない。
まあ安全地帯でぬくぬく過ごしつつ女を侍らせられるなら、それが一番良いと思うけども。
「ご忠告痛み入ります。『シン』によって辛い思いをする人を少しでも減らしたい……。その気持ちはどうやら記憶や知り合いを失う前から持っていたようなんです。
正直これは復讐心とは違いますね……ずっとやりたいと思っていたけど情け無い事にヘタレていたんでしょう。
しかし長々とへたり込んでいた自分が、偶然にも『シン』に追い込まれてようやく覚悟を決めた……。とまあそんな感じです」
とまあそんなそんな感じのバックボーンをここ数日で考えたわけです。
「なるほどな……。立派だぜ兄ちゃん」
大国の政治一家で教育されてきた僕と、田舎者のおっさんが対等に腹芸で渡り合えるはずもなく、簡単に出まかせの理由付けを信じ込ませる事に成功。
おまけに女とやりたいという気持ちを込めた真摯な瞳の説得力で、完璧に納得させてしまったようだ。
おいおい、辛そうな顔すんなよおっさん……。
まだ出会って数日だし親友でもなんでもねぇだろ。
家族や友人は『シン』に殺されて居ない。
こんなふざけた嘘が信じられてしまうだなんて、やはり凄く人間にとって厳しい世界なのだ。
それはそれとしてなんか駄洒落みたいだな……。
(『シン』のせいで“死ん”だなんてフェイクを“信”じられちまう。この辛い“新”世界、正直俺には“しん”どいぜ)
おっさんのどうでも良い感傷を前にして、僕は時間つぶしに脳内でライムを刻んでいると、いつの間にやら話が進み、寺院への紹介をしてくれるという事になった。
全くなんて良い村人なんだ。
上司が部下の功績を奪ったり、一般兵から平気で給料数ヶ月分を没収していた我が祖国ガルバディアとは民度が大違いだった。
「貴方はさっき僕を立派だと言ってくれましたが、本当に立派かどうかはこれからの自分で決めますよ。
だから旅の途中で死んだ時は、立派じゃない人間が一人世界から消えてラッキーとでも思ってください。
旅を完遂してもしなくても世の中が良くなるなんて、これから僕が行く道は勝ち確定の……実に幸運なギャンブルでしょう?」
おっさんは、おどけた僕の言葉を聞いて急に佇まいを治し、エボン式の礼をする。
その目は力強く僕の瞳を見つめ、同時に僕の手を握って語りかけてくる。
「あんたを助けてやれた事は……俺の人生の誇りだ」
(なにこれ、そっち系?)
ガルバディアンジョークを交えた社交辞令に神妙な面持ちで返された僕は、ただただ困惑するしかなかった。
これがカルチャーギャップという奴だろうか……。
このスピラに来てまだ数日だが、既にビサイド村の助け合い精神が前の世界の比じゃない事には気づいていた。
親を失った子供や家族を失う人間は後を立たない。
単純に助け合わなければ人類が滅亡しかねないのが、スピラという死の螺旋なのだろう。
本当に大変そうな世界に流されて来たんだなと、しみじみ思う。
ある意味、僕は流刑地に送られたみたいな状況か。
FF8の世界で好き勝手やりすぎたのはやっぱり悪かったのかもしれない。
まあ反省した所で愛しの妻リノアの下に帰れる訳でも無し、暗く生きるよりポジティブハートで女漁りに性を出した方がマシだろう。
そういえば僕が好き勝手した後のあのFF8の世界ってどうなっちまったんだろうな……。
スコールがアルティミシア倒せずに滅びてそう。
(なんなら倒しててもリノアたんが僕の逸物を忘れられないまま恋人作れず、逃げながら生き続けてアルティミシアになってるまである……)
そんな恐ろしい事を考えていたその時、先程の話を偶然聞いていたらしい女の子がこちらにやってきて、声をかけてきた。
まだ幼さを残している年齢の癖に、生意気にもお胸が発達しているのがわかる。
垢抜けてはいないが、見た目も将来も有望な美少女だ。
「あ、あのっ! そのっ……えと……が、頑張って下さい!」
さすがスピラで人気者のヒーローである召喚士だ、目指す宣言をしただけでさっそく話を知ったメスガキから尊敬の念を抱かれてしまったらしい。
この容姿レベルならば俺のオナホコレクションに加えてやっても良い。
適当に好感度でも上がりそうな対応でもしておくか……。
「ありがとう、期待しててくれ、君の為にも召喚士の修行頑張るよ」
「あ……えと……そうじゃなくって……。その……」
「? 落ち着いて、ちゃんと聞いてあげるからゆっくりで良いよ」
何か言いたそうだが表現力が追いついていないのか、もどかしそうにしている。
そして次第に悲しげな表情になって俯いてしまう女の子。
「応援したいのに……どう応援したら良いのかわからなくて……」
おそらくとても良い子なんだろう。そして頭も良い。
この歳で召喚士が最終的に死ぬ役目だというのを理解している。
そして、応援するとその人間の死を願っている事になってしまう……という所まで理解しちゃったわけだ。
しかし……それでも本当に心の底から応援したい気持ちはあるという、ある種のジレンマのような矛盾に引っかかってしまったらしい。
田舎者は思慮が浅いが故に、他人の気持ちや状況を考えずその場のノリで応援する者が大半だろうが、この娘は違うようだった。
「そうか、君は賢い娘だね。よし……今は時間がある、少し聞かれたく無い話になるだろうから……場所を変えて詳しい話をしようか」
「はい!」
「そういえば自己紹介してなかったね。僕はビンザー=デリングJr.だ。デリングとでも次期大統領とでも好きに呼んでくれ。君の名前は?」
「私の名前はルールーです。よろしくお願いします!」
不意な原作キャラの登場に驚いた。
激エロ原作キャラの1人、ルールー。
なるほど、この娘が将来あの巨乳になるというのだから、既に乳が張ってきている理由も理解できた。
薄々想定してはいたが、どうやら原作の過去にあたる年代にとばされてきたらしい。
(原作キャラを抱ける可能性がある分、数100年前とかじゃ無いのは不幸中の幸いか……)
彼女の素性も分かった事で、早速現在僕の住んでいる仮宿にルールーを招待する。
ここでこの将来ドスケベ確定娘を犯す事はできない。
そんな事をしたら召喚士モテモテ計画は頓挫してしまうだろうし、殺されたり牢屋に入れられたりするだろう。
今は雌伏の時だ。
幸い彼女は僕の言った召喚士になりまぁす! 宣言に好感を抱いてくれている様子だったので、将来抱けるように布石を撒いておくだけにする。
「ルールー、君の抱いた違和感は正しい。召喚士になるという事は死ぬという事……それを応援するというのは、ある意味死んで欲しいと願っているようなものだ」
ルールーはぬいぐるみを抱っこしながら真剣な表情で聞いている。
「この村のみんなは、多分僕が召喚士になる事を喜んで応援してくれるだろう」
「……デリングさんは──それで良いの?」
「それで良い」
「っ……どうして……? この村の人達は本当にみんな良い人なの、だから私はデリングさんがそんな事言われてみんなを嫌な人達だって思って欲しく無い……」
「嫌な人達だなんて思わないよ。彼らは多分、それすらも理解して応援してくれているんだ」
「……?」
「死んだとしても『シン』を倒したいという僕の覚悟を尊重してくれている。そして自分達が遠回しに死ねと言っている事実にも気づいてて、それでも召喚士という人への尊敬も念と応援する気持ちを伝えたいと思っているんだよ。もしそれが自分達の心の重荷になったとしてもね」
「そう……なのかな……」
「ルールー、君もそうだったろ? 薄らと理解していても尚、応援したくなったから僕に声をかけてくれた。その気持ちを僕は嬉しく思うし、嫌いになることなんて無い」
実際に村人がどういう気持ちで召喚士を送り出してるか、なんて知らん。
ルールーの好感度を稼ぐ為に適当に良い話っぽく想像して肉付けしてやったが、本当は何も深く考えず応援している可能性だってなきにしもあらずだ。
何せ寺院の教えだからという脳死な理由で、機械を否定するという事に疑問を抱かずに暮らしていたり、そもそもどれだけ教育を受けて勉強しているのかすらも未知数な田舎者達である。
ビサイド村の人達はちゃんと国語の授業受けてますか?
応援された時の召喚士の気持ちを書きなさい。とか寺院から宿題出たりしてるんすかねぇ?
……いや、想像したら強ちやってないとは言い切れない。
寺院はプロパガンダ込みで、そういうありがたいお話とかを定期的に公演してそうだな……。
まあ今は好感度稼ぎ所なので、そんな考えまで教えるわけ無いが。
「みんな何も考えずに、能天気に暮らしているように見える。けど、本当は色々考えた結果な筈だよ。深く考えてないような振る舞いで、何を思われたとしても明るく送り出すのが一番だと結論を出しているのさ。だからルールーも気にせず応援してくれ。そんな辛い応援をしなきゃいけない期間を減らせると思うと、僕も修行のモチベーションが上がるからね」
「…………うん。デリング様、教えてくれてありがとうございました」
エボンの民特有の挨拶をするルールー。
可愛いけどなんか僕に対する呼び方が様付けになっている。
「まだ召喚士見習いにすらなってないから、様なんてつけなくていいって。それこそ呼び捨てで十分だよ」
というかやめてくれたほうが嬉しい。
何故ならそっちの方が距離感が縮まってエッチに持ち込みやすくなりそうだから。
「ううん、これは……私がそう呼びたいと思ったからやめない。例え──デリング様から嫌がられてもね。ふふ」
おいおい、めっちゃ尊敬されてるやん……。
僕、何かやっちゃいましたか?
ちょっと良い事言ってる風なそれっぽい説法垂れるだけでこうなるんだから、田舎娘ってちょれーなマジで……。
それとも大統領のパパから教えて貰った演説テクが功を奏したか?
この程度の話なんて、地頭の良いルールーなら大人になるにつれて自然と理解していくであろう内容でしかないが……。
まあ尊敬も悪くは無い。
むしろ歳の離れた男相手に体を許す女の心理としては、尊敬出来るという部分が大事な筈だ。
今の内にポイントを積み上げていて損は無い。
はー……ただ女抱きたいだけなのに、めんど。
権力さえあればこんなまどろっこしい事しなくて良いのになぁ……。
ようやく二章始まりました。
FF10が見たかったの!という人にはおまたせしました。お待たせしすぎたのかも知れません。
感想とは評価とか貰えるとモチベが上がったり喜んだりします。