【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
召喚士の旅に置いて邪魔となる物は幾つか存在する。
一つはモンスター。
一つは『シン』。
そしてもう一つはアルベド族である。
アルベドは環境保護団体的な活動を行なっているスピラの嫌われ者達だ。
保護対象の絶滅危惧種の名を召喚士……という。
まあ彼等も悪気があっての事では無いのだが、現状維持で成り立っているエボンの思想と致命的に噛み合わない。
おまけに『シン』を呼び寄せるからダメだよと、エボンから禁止されている機械に対しても平気で忌憚なく扱う。
彼等の思想はどちらかというと現代人寄りの科学信仰というか、分からない事は解明して一歩ずつ前に進んで行こうという当たり前の感覚を持っている。
だから僕としてもかなり親しみが持てたり、理解ができる考え方をしているのだが……。
残念ながら民意を得る過程をすっ飛ばしているので、中々エボンの民の支持が得られていないのが現状である。
というか言葉も通じないし、現状維持を推奨するエボン教の上層部から見て統治に邪魔な思想を持っているしで、種族として人生ハードモードと言った感じだ。
僕とルールーは二人旅をしているが……このアルベド族に攫われない為に、極力召喚士御一行といった風態をやめて、ラブラブカップルの慰安旅行に偽装して牛歩で旅をしていた。
そもそも知名度が上がらなければ誘拐される心配も無い。
有望な召喚士であればある程に死に近づく事を前提に考えれば、
万が一アルベドにバレたとしても、女遊びにうつつを抜かす不良召喚士など、すぐに旅を諦めそうだし攫う価値も無い……と思ってくれれば嬉しい。
これはルールーにも了解を得ている事だ。
召喚士の使命に敬虔な彼女は、遊び呆けながら諸国漫遊をする事を後ろめたく思っていたが、このような理由をつけるとすぐに納得して、なんだかんだ旅行デートを楽しんでいる。
ぶっちゃけこれらの作戦の第一本命はこっちだった……。
そうして僕達は幻光河にたどり着いた。
大きな川に両断された地形は、うっとりするような景色が見える人気デートスポットの一つだ。
夜の幻光河は、水に寄せられる特性のある幻光虫が集って、美しい光の川を演出するらしい。
そんな河のほとりで、僕とルールーは手を組みながら身を寄せ合い、景色を眺めていた。
「綺麗……」
「君の方が綺麗だよ……」
そんなベタなやりとりを一度やってみたかったので、何の気なしに試してみたら、ルーは夜の幻光虫の放つ朧げな明かりの中でもわかるぐらい、顔を真っ赤にして照れていた。
スピラには娯楽が無さすぎて、こんな使い古した文言の掛け合いですら斬新で最先端なのだ。
例えば「道が無ければ切り開けばいい」とかを言うだけでも、滅茶苦茶感心されてしまう。
そのせいで僕はビサイドの住民から、徳が高くて霊験あらたかだと思われがちだった。
まさに中世風異世界へと現代人が転生した際に巻き起こる、知識チートという奴である。
ビサイド村の人間に敬われた所で、近所の爺さん婆さんが話を聞きに拝みに来る回数が増える。ぐらいのメリットしか体感できていないが……。
いや、ルーから尊敬を集めてられているのは素晴らしいメリットかな。
腕を組んで胸を押し付けてくる女を横目にそんな事を思った……。
その日の幻光河の夜が激しく燃え上がったのは、詳しく語るまでもないだろう。
女遊びに夢中な落ちこぼれ召喚士。
そんな風に見られれば良いなと思っていたのは、どうやら都合のいい考えだったらしい。
僕は三年程で従召喚士を卒業した界隈切っての若手ホープであり、スピラに爆誕した超新星だともっぱらの評判だった。
何故最近そんなに評判が轟いているのかわからなかったが、ある時寺院で訪ねてみたところ、どうやらビサイドの連中が修業中の時から、滅茶苦茶自慢げに吹聴して回っているのがこの幻光河まで届いて来ているようだった。
曰く、デリング様はきっと素晴らしい召喚士になる。
曰く、その才能は大召喚士ブラスカ様にも引けを取らない。
曰く、魔法の基礎を1ヶ月でマスターした。
曰く、異界送りの舞は半年で指南役を超えた。
曰く、人格は素晴らしく、他者への思いやりに溢れた聖人。
曰く、初めて彼と出会った男は、数日でデリング様を崇め奉るようになった。
曰く、容姿も人間離れして美しく、おそらくこの世の者では無い。
曰く、それなのに驕り高ぶる事なく謙虚なので村の女全てが惚れている。
曰く、女だけじゃなく、男も惚れている。
曰く、村で飼っている犬も惚れている。
曰く、村に住んでいる野良猫も……。
etc……。
何処のメアリースーかな?
優秀だった自覚はあるし、嘘じゃ無い部分もある。
……しかし、それだって幼少期から積み上げてきた成果だ。
デリング家の厳しい教育をこなした結果が出ただけ。
これも全てビンザー・デリング終身大統領からの愛の鞭と僕の努力の賜物だ。簡単に天才とか言って欲しくない。
とまあ……そんな男が、記録にある中で修行を開始してからビサイド寺院の歴代最速に近い速度で召喚士になった……。
注目されて当然か。
目立たない様に過ごしたいなんて土台無理な話だったようだ。
何処のラノベ主人公の言い分だよと馬鹿にされてしまいそうな程度には、自己評価が世間様と食い違っていたらしい。
かーっ、つれぇわー。優秀すぎて隠してても目立っちゃうのつれぇわー。
どれだけ謙虚に己は大した者じゃないから広めなくて良いよ?って言っても自然と周囲がほっとかないわー。
あと村の女達からちょくちょく熱い視線貰ってたのも何となく気づいてたわー。
でもルールーと仲良くなるのに一生懸命で、逆に気づいてなかったかもだわー。
モテる男ってつれぇわー。
かーっ。
一応、ここまでの道中ではあまり指を刺される事もなかったので、変装の効果はある程度あったみたいだが……。
いよいよ僕はこの幻光河で、敬虔なエボン教徒の群れに捕まってしまった。
どうやら、胸元をほぼ丸出しにした豊満な乳を持つ女ガードを連れている。という情報が出回ってバレたみたいだ。
それを聞いたルールーは、責任を感じて申し訳無さそうに胸元を手で隠していた。
君ねぇ……隠すのが遅いよ。
普段からその破廉恥ファッションに疑問を持ちなさい。
揉み揉み。
まあ……バレてしまったからには職務を全うしなければなるまい。
召喚士は評判が命。
そこの評価が下がると寺院の査定に響いて、支給される路銀が減ってしまうかもしれない。
故に求められたファンサを袖にするという選択は無かった。
評判を減らしたいと言っていたが、ルールーが言いなりになった今、もう逆にある程度目立った方が得をするかもしれない。
自己顕示欲も相まって、ついに評判を上げる為に壇上に上がった僕は、マイクを取って街頭演説を開始した。
因みにこのマイクはゴリゴリに機械だが、エボン教に許された良い機械なのでセーフだ。
「私が『シン』を倒す為の巡礼をしているというのは皆さんご存知でしょう。
しかし……召喚士が霊峰を越え、ザナルカンドまで辿り着いて『シン』を倒せたのは、この1000年でたったの5人だけ。
あまりにも少なすぎる……。達成できる方が奇跡と言っても過言では無い程だ」
暗い雰囲気になっていくエボンの民達。
僕は気にせず話を続けた。
「────ですが、ご安心ください。私はこの旅に不安など感じた事がありません。
何故ならばっ! 究極召喚を手にいれて、『シン』を倒し、ナギ節を呼ぶ事は……。
私の中で通過点でしか無い、既に決まっている確定事項だからです」
胸を張って心臓に手を当てる。
一人一人の顔をしっかりと見渡す。心を込めて、魂を込めて相手に伝える……ふりをする。
これを真剣にやればやるほど効くんだよなぁ……。
祖国で軍のトップやっていた経験が生きる。
この演説テクで何人の兵士が喜んで死地に向かったことやら。
有象無象に対する演説は、結局内容よりもどれだけ強い気合いでごり押すかみたいな所あるからね。
「私は皆様に損はさせません。あなた方を悲しませたりもしません。そして、期待も裏切りません。
これは、空元気や夢想家の語る現実味の薄い幻想のつもりでは無い。私の中にはしっかりとその道筋が見えている!」
力強くガッツポーズ。
宙に掲げたそれに釣られた人々の視線が、少しだけ上を向いた。
「『耳触りの良い事を言っているだけの若造だ!』と、思う方もいらっしゃることでしょう。
現段階ではその評価、確かに間違いありません。ですが、私を応援してくれている方々。
私の世迷言が現実となって、その評価が覆される未来を想像するとワクワクしませんか?
そう、かの大召喚士ブラスカ様の時のように」
大召喚士の名前を出した事で民衆がざわつく。
「おお……」「確かにブラスカ様もそうだった……」
「ブラスカ様って落ちこぼれ扱いされてたんだったか?」
「当時まさかブラスカ様が『シン』を倒すとは夢にも思ってなかったもんなぁ……」
「ブラスカ様ってそうなのー?」
やはり人気者にあやかるのは良い選択だった。
僕の言葉に一般人達が熱中し始めた。彼等がグッと耳を傾け出す空気が如実にわかる。
「スピラの人間はどこか『期待』ということを忘れかけては居ませんか?
期待する事は罪ではありません。
私の命がかかっているとしても気にせず期待して、明るく応援して頂きたい! そちらの方が嬉しい!
そしてその明るい期待に応え、確かな結果を出す事こそが……。
寺院に所属し召喚士に立候補した私の生き方その物! と言っても過言では無いでしょう。
この私、ビンザー=デリングJr.に対する期待を、日常生活の中で心の片隅にでも置いていて貰えれば幸いです!
本日はわざわざお集まりいただき、ご清聴ありがとうございました!」
拍手喝采が巻き起こる。
とにかく『期待』というワードをわかりやすく掲げて、僕の存在を印象に残した。
本当に適当に考えただけの具体性の無い選挙演説のような物だったが、それでもここまで喜んでくれるのがこの世界の人間だ。
普段、どれだけ素朴な生活を営んでいるかが窺い知れるだろう。
「うおおおおおおっ!」
「流石は噂に名高いデリング様だ!」
「やはり話の通り素晴らしい御方だったわ!」
「ワクワク……期待……そんな気持ち、ブリッツボール以外で感じた事なかったぜ……!」
こんな事でここまで喜んで貰えると、ちょっと馬鹿にする気持ちを通り越して逆に嬉しいまである。
ガルバディア国大統領方式の力強い演説に、エボンの民達は涙を流しながらの大感激で幕を閉じた。
「演説お疲れ様です。初めての演説なのに惚れ惚れするほどお見事でした。流石ですデリング様」
ルールーが僕を褒め称える。
ネット小説みたいな褒め方をするんじゃない。
それじゃあ僕がまるで、異世界からやってきて手軽にチートパワーでハーレムを作る、そんな安っぽい最強主人公だと言ってるみたいじゃないか。
発展途上の文明に現代知識を持ち込んで無双するなんて僕にはとてもとても……。
(確かにFF10はある意味異世界転移物だが、あの頃のスクウェアの感動ストーリーをそれらと一緒にするなよ小娘……)
しかしそのような事をルールーに言ってもチンプンカンプンなので、僕はそれを内に秘めてルーに微笑み誤魔化した。
僕の笑顔を見た彼女は、何故かポッと赤面する。
「ルー、どうかした? もしかして僕の顔に何かついていたかい?」
「い、いいい、いえ……その……ごにょごにょ……」
「え? なんだって?」
「な、なんでもありませんっ」
「? 変なルーだなぁ……」
「もうっ、デリング様はズルすぎますっ」
僕達はそんなレトロなネット小説みたいなクソ気持ちの悪いやりとりをしながら、仲良く旅を再会するのであった。
背後に忍び寄る禁じられた機械に気付かぬまま……。
今思えば、幻光河を渡る最中は格好の誘拐チャンスである。
水辺という地形は、大きな機械を隠しながら運ぶのに適しているのだ。
シパーフに乗って川を進んでいく最中は、とても戦闘できる状況ではない。
原作でもこのタイミングで襲われていたが、あれを撃退できたのは主人公のティーダがブリッツボールの選手だったからだろう。
そんな訳で、警戒の為に僕達は泣く泣くシパーフという水を泳げるゾウに乗る事を諦めて、川沿いを少し離れた状態で徒歩で進んで行く羽目になった。
ところが、川の中を行かなくても襲ってくる事には変わりないらしい。
アルベド族の機械が水の中から飛び出してきて、目の前に姿を表し襲い掛かってきたのだ。
警戒してシパーフに乗らなくて本当に良かったと、襲われているにも関わらず僕は安堵した……。
召喚士を傷つけないように優しめの攻撃方法で向かってくる機械は、思いの外厄介だ。
戦車のような物と生身で相対するのは想像以上に恐ろしい。
更に魔法と召喚獣を邪魔するジャマーを携えているようで、ジョゼ寺院で貰った召喚獣のイクシオンも中々幻光虫が結合せずに呼び出し辛い。
僕とルールーは魔法で応戦するが、こちらも幻光虫に意思を送って発動しているため、機械によるジャマーが致命的に効いてしまっていた……。
「うおっ、ぉぉおお!?」
「デリング様!?」
あまりにも呆気なく機械に捕まってしまう。
僕自身は別に肉弾戦闘を得意とするタイプではないので、こういう策に引っかかった場合なす術もなくやられてしまうのは魔道士の性と言えるだろう。
……なんて、冷静の現状把握している場合ではない。
(不味い、何かないか……!)
奇跡的に誰かに助けて貰おうにも、ここは人通りの無い幻光河の中腹。
誰かが居る筈も無い。
「どうする……。何か解決策は……」
このまま誘拐されても命の補償はされている訳で、そういう意味ではあまり危機的状況ではない。
しかし、話はそう単純じゃない。
(ルールーを置いて誘拐されたら、毎日エロい事できなくて困るだろうが……!)
訂正、話は単純明快だった。
(せっかく最高のバカンス気分でイチャイチャ旅行してたのに邪魔しやがってぇ……! ワッカがアルベド差別する気も理解できるなこれはっ)
僕はこの世界に来て初めてワッカに共感した。
ルールーが僕の物となった今、あんなどうでも良いオスキャラの事など微塵も興味が湧かなかったが……。
今だけは奇跡的にエボウヨ精神と心が通じ合った瞬間だった。
ともかく早いところどうにかしないと、水の中に引きずり込まれてゲームオーバーだ。
幻光虫を介した攻撃が効きづらいならば、幻光虫が関係無い攻撃を行えば良い!
僕は捕らえられた機械の内側から、ストックしていた擬似魔法のサンダーで何度も攻撃する。
まさかこんな風にFF8世界の擬似魔法が活躍する機会があるとは思わなかった。
「フカっ!ハンガ!?ルホっ……フゾアメェ!」
おそらく操縦席からだろう、大声のアルベド語が聞こえたかと思うと、プスプスと煙を上げながら小規模の爆発を起こして、大型の機械は停止する。
「ご無事ですかっ!」
叫びながらルールーが駆け寄ってきた。
ブルンブルンと乳が大迫力で揺れているのが見える。
そうして何やら必死にぬいぐるみでバシバシと機械をタコ殴りにするルールー。
その形相は僕への愛の深さを物語っている。
端的に言って怖い。
美人が怒ると顔がハッキリしているから表情の動きが目に見えてわかりやすいんだなぁ……なんて僕は呑気に考えていた。
ルーの息が切れてきた頃、ようやく僕を捉えていたバリアのようなエネルギーの膜が破壊されて、何とかアルベドの禁じられた機械から抜け出す事に成功したのだった……。
停止していた機械のハッチが開き、中からアルベド族の男が命からがら脱出してくる。
怒り狂うルールーの形相を攻撃される側として見ていたからか、出てきたアルベドの男は身体を恐怖に震わせながら投降。
そんな彼をルールーは即座に魔法で程よく痛めつけて、武装を解除して捕らえた。
本来なら殺してもおかしくない状況だが、僕はルールーに極力殺人は行わないようにと言い聞かせている。
そう、特にアルベド族に関しては……。
悪人ならばいざ知らず、善良な意識から行動を起こす彼等を殺したくない、というぐらいの意識は僕にだってあるのだ。
アルベド族を殺したら将来のオナホ候補のリュックからの好感度がめっちゃ下がりそうなのもある。
というかやっぱりそっちが大本命。
窮地を脱した僕達は捕虜を紐で縛っていると、先程戦ったボロボロになった機械が火花を散らしながら小規模な爆発を起こした。
のんびりと我がガードの死闘を鑑賞していた選択は、流石に危機感が足りなかったのかもしれない。
激しくなっていく機械の爆発音を背に、冷や汗をかきながら珍しく反省するのであった……。
とりあえず僕達は一旦、幻光河の人のいる方面に戻る事にした。
異なる言語を用いる、何喋ってるかわからない奴を連れて長い幻光河を戻っていかなければならない。
これは本当に苦痛で仕方ない。
一日で戻れる筈もなく、数日に分けて進んで行くのだが、その間このアルベド族を見張りながら行動するのだ。
夜中にうかうかエッチも出来やしない。
やっぱ二人旅ってのは流石に不便だなぁ……なんてテンションが下がっていたら、ルールーが僕に話しかけてくる。
「このアルベド族、捨てていかれてはどうですか?」
冷たい視線で言い放つガードからの建設的な提案。
非常にそれを飲みたいところだが、残念ながらそれは却下だ。
「本当はその提案に大賛成なんだけどね……アルベド族と出会える機会は貴重だ。これは真実を探す旅でもある。折角の機会を自ら失うのは勿体無いよ」
「……そうですか。ふん、命拾いしたわね……」
「シデメェアナ、ヨオハカ、ヲウレセルエモ……。セダミサミキ、ワウチグナミゲ……」
「お、なんか言ってる」
「ふんっ……」
「おごっ!ミ、ミチハニハシヌンガヨオトンハ!」
ルールーは何か文句を言ってるっぽいアルベドの無防備な腹を唐突にぬいぐるみで殴りつける。
ここ数日間この男を連れて歩いているせいで、僕とイチャイチャできなくてストレスが溜まっているのだ。
何時にも増して迫力のある冷え切った視線がアルベドの男に突き刺さり、殴られて冷や汗をかいた彼はそれ以降文句を言わなくなった。
いや、言えなくなったの間違いか……。
久しぶりにルーのキレた表情を見た気がする。
僕を見るときは何時も頬を赤らめて視線がトロンとしているので忘れかけてたが……怒るとこの女は怖いのだ。
くわばらくわばら……。
最終的にこのアルベド男はミヘン街道の旅行公司で引き取って貰う事にする。
元々アルベドに関わって、リュックを鞘コレクションにしたいなぁと思っていたのだ。
丁度良い機会だし、彼をアルベド族と本格的に関わるための切っ掛けにしよう。
旅行公司という店はスピラ全土に展開している旅に欠かせない宿泊施設のチェーン店だ。
アルベド族が経営しているので、エボンの民からはあまり評判が良く無いが、それでも活用する人がいる程度には便利な宿兼雑貨屋だ。
反アルベドの論調が寺院から提唱されている中で、これだけの規模商業展開できているのはやはりそれだけ人類にとって有用な商業施設なのであろう。
それに、宿泊施設というのは僕にとって欠かせないエロスポットでもある。
(デリングシティのホテルのあの部屋でジュリアとやった事もあったっけ……懐かしいなぁ……)
という訳で、早速チェックインして店員さんに理由を説明。
強引に頼み込んでお金を払う。
まあお金さえ払えば、色々と便宜を図ってくれそうなのが旅行公司の良い所だ。
結局僕のお願いという名の依頼は受理されて、捕らえた男を返すためにアルベド族に連絡を入れてもらい、彼等と深いコンタクトを取るための言葉を覚える事になった。
引き取りにくるアルベドが来る前に、どれぐらい習得出来るかは未知数だが……。
50音で変換できるタイプで、日本人には覚えやすい言語なのは原作知識から知っているので……なんとかなる事を願いたい。
敬虔なエボン信者であるワッカをガードにしていたら、これら一連の流れにさぞかし口うるさかったであろう。
やはりこういう時、戦力欲しさに無闇矢鱈とガードを増やさなくて良かったとしみじみ思う。
ユウナがアルベド族とのハーフという事もあり、その点にルールーが寛容なのも助かった。
これはジョークでもなんでも無く、僕はビサイドで結構人気者だったのだ。
当然断ったが、デリング様を護るんだ! 的なガード志願者の有志は、ワッカやチャップ以外にも存在していた。
まあ田舎でその地位につける資格を有しているのはルーだけだったが……。
やはり僕が連れて歩くのは信頼できるオナホか、その候補だけでいいのである。
ルールーと一緒にアルベド語を勉強する。
勉強する事は実家でしこたまやったので得意だ。
とりあえず店員にアルベド語を喋ってもらい、簡易的な言語表記一覧を作って二人で会話していく。
「ルールーマ、トっプミ、ベアミメ……」(ルールーは、おっぱい、でかいね……)
「デリングラヤヨホ……トヒンヒン、トトチミカモ?」(デリング様こそ……おちんちん、大きいわよ?)
部屋の中、ぎこちないアルベド会話でイチャイチャしていたら、これが中々面白くてハマってしまった。
たまには旅を中断してこうして部屋の中で遊ぶのも気分転換に良い。
え?何時も遊んでるだろって?
トエガっセ、ヨエベコヤギレシ、ヘっルヌニョヨフ、キセンガボ……。ハレンハモ!
(俺だって、これでも真面目に、セックス旅行、してんだぞ……。舐めんなよ!)
毎日何十時間もそんな馬鹿みたいな会話をしていたら、何時の間にかそこそこアルベド語を喋れるようになっていた。
セックス、アルベド語会話、セックス、アルベド語会話。その繰り返し。
ピロートークもアルベド語。
食事の注文もアルベド語。
これぞセックス式言語習得術。
ウンザリするぐらい怠惰な毎日だが、これはこれで結構楽しい。
普段の共通語では言いづらい本音も、他言語というフィルターを通す事で言い易くなるので、遊び混じりに僕達は心の距離と言語能力を深められた。
そして、この旅行公司に滞在して結構な時間が経過しようとしていた……。
ようやく連絡がついていたアルベド族の迎えが来るらしい。
お陰でアルベド語を習得するまでの時間は稼げたが、旅行公司に長期滞在した費用で財布の中身が悲しい事になってしまった。
アルベドの中には挨拶に行かねばならない相手がいる。
シド。
勿論バラムガーデンの学園長の方のシドではない。
彼はアルベド族をまとめている代表取締役であり、僕のオナホ候補のリュックの親であり、これまた僕のオナホ候補のユウナの叔父である。
ならば挨拶にせねばなるまい。
お義父さん、娘さんを僕に下さい……とね。
途中のネット小説批判はただのギャグ描写です。
作者は異世界転生俺TUEEE系ネット小説を義務教育にして育ってきたので、それらは大好きで個人的な批判の思想やその意図はありません。
感想とか評価とか貰うと喜んだりモチベが上がったりします。