【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
捕虜を迎えに来たアルベド族と話をした結果、僕はシドと会う事になった。
というのもシドとユウナの名前を出したら結構簡単に取り次いでくれたのだ。
当然これは想定通り。
アルベドの船に揺られて海の中を進む。
大型の荷物に偽装されて秘密裏に彼等の船に乗り込んだ僕達は、別のアルベド船へと渡りをつける為に港を出航した。
「本当に大丈夫なのでしょうか……」
不安そうなルールーの手を取り安心させるように言う。
「大丈夫だよ、心配しなくていい。アルベド族にも素行の悪い人はいるだろうけど、基本的に彼等は良い人……な筈だ。それに何かあったら僕がルーを守るさ」
彼女の頬にサッと赤らみが差す。
「お上手ですね……。嬉しいお話ですが、ガードが召喚士に守って貰っていたらお仕事にならないわ。うふふ」
「そのかわり毎晩気持ち良くして貰ってるからおあいこだよ」
「折角かっこよかったのに、すぐそちらの話に持っていくなんて最低ですね?」
彼女はわざと少し冷たい視線で僕を非難する。
それがただ戯れ合う為のフリである事はわかっていた。
「見損なったかな? ルーから見た僕はもうかっこよく無くなっちゃった?」
ルールーの瞳と目を合わせながら質問する。
「もう、知ってる癖にわざわざ聞いてくるなんて卑怯です……」
照れながら視線を逸らした彼女はそそそ、と指を絡めて来た。
僕は彼女の手を握りながら腰に手を添えて抱き寄せる。
「ミヒャミヒャキセウソヨカウミダ、“シド”ダレンアミオチョアムガキサボ! ヨミっ! 」
(イチャイチャしてるとこ悪いが、シドが面会の許可を出したぞ! 来いっ! )
「あっ……はーい、今行きま〜す……」
「流石にもう少し、時と場所は選んだ方がよかったみたいですね……」
どうやら目的のシドが乗っている船が来たらしい。
当然アルベドのホームまで連れて行ってくれるなんて事は無いので海の上での会談となる。
彼等は用心の為に幾つか船を経由してシドに渡りをつけてくれたのだ。
ありがたい事だが、此方はその間どうしても暇になる。
暇になると何をするか……まあそういう何時ものアレだ。
他所の船の中でもやる事はやりますし、結局はそれが良い時間潰しになったので反省はしない……。
「俺がアルベド族の族長って事になってるシドってもんだ」
腕を組んだハゲ坊主のおっさんが挨拶してくる。
「この度はわざわざお時間を割いて頂き……ありがたく存じます。私はビンザー・デリングJr.。まだまだ若輩者ながら召喚士をやらせて頂いてまして……よろしくお願い致します。こちらはガードのルールー」
ルールーは一歩下がり、立場を弁えていますと言った風に静かにお辞儀した。
「さぁて、よろしくするかはまだ分かんねぇな。それはお前の話す内容次第だ。んで、早速だがよ、ユウナについて俺に話してぇ事ってのはなんだ?」
真剣な表情で少し警戒しながらもこちらに質問してくるシド。
それに対して僕は質問で答える。
「その前に確認しておきたい事があります」
「……なんだ? 言ってみろ」
「アルベド族が召喚士を誘拐する理由は、その召喚士が命を落とさないように保護する為……ですよね?」
「ふん……何処でそれを知ったのか知らねぇが……そうだ。うちの若いのがお前さんを攫おうとしたのも同じ理由だぜ」
腕を組みながらシドは質問に肯定を示した。
「やはりデリング様の仰っていた事は本当だったのですね……」
ルールーにはある程度色々な話をしたとはいえ、実際に見聞きした訳では無い。
幾ら信用している召喚士の言う事と言えど、アルベドの船に乗り込むのはかなりの不安を感じていた筈だった。
敵になる可能性がある集団の船に乗り込むというのは、原作知識を信じている僕だからこそ出来る事だ。
特に何時犯されてもおかしくないエロ女が、見知らぬ船にひょこひょこ乗り込んでいくのは身の危険を感じて恐ろしいだろう。
それなのについてきてくれる。
その信頼は少し重いが、やはり彼女に打ち明けた選択は正解だったと言える。
「俺達は少数の命を犠牲にして多数を生かす事に反対してるが、それ以上にエボン教の腑抜け野郎共がなんの改善をしようともせず、その皺寄せが召喚士に来てるのがムカつくってのもある」
まるでエボンから疎まれて色々なすりつけられてる俺達みてぇにな。
そう続けた彼は、そのエボンを批判する言葉のジャブによって此方の反応を伺っているようだった。
おそらくこれはフェイク。
立場的にエボン教に思う所とネガティブな感情があるのは確かだろうが、理解を拒絶するほどに深く敵対心を抱いている訳では無い。
やはり、船にまで乗り込んで来た相手がどんな者なのかを試しているのだ。
とはいえ少し甘いな。
敵対意識が強いならば、端っからリーダー格がわざわざ出向いて顔を合わせよう等とは思わないだろう。
リーダーとなっているが、彼がこうして探り合う交渉事に長けている……という訳では無さそうだ。
おそらくその本質は、熱意や情熱や人情で相手と縁を結ぶタイプと見た。
てか原作知識から考えて多分そうだ。
「ムカつく、ですか……。確かにエボンの民が行ってきたアルベド族への当たりの強さを考えれば、そう思うのも当然です。そしてそれは……ユウナのご両親とも関係がある……。彼女の母親の兄妹である貴方にとって、それは一層腹立たしい事かも知れませんね」
「ちっ……そんな事まで知ってやがんのか。あいつとはもう家族の縁を切ってんだ、部外者に知った風な口を利かれる筋合いはねぇな」
憎まれ口を叩いて己の妹を詰るような発言をするシドだが。
ブラスカと彼の妹が異なる人種間の婚姻を結んだ際に縁を切ったというのは、おそらく妹さんのその後を慮っての事だろう。
エボンの地に嫁ぎに行くのだ。アルベドとの関係性は出来るだけ薄めた方が彼女の為と考えるのは不思議では無い。
何よりユウナの名を出す事でこうして会合の機会を設けてくれるほどに、妹の子であるユウナの事を気にかけている。
それこそが彼の妹に対する家族としての愛情の証明だ。
そんな人間には無駄にこねくり回した損得よりも、それらを度外視した気持ちの強さで押していった方が良い結果を得られる筈……。
「そうですね。あなた方の家族の関係についてとやかく口を挟める立場ではありません。……でも、強ち部外者という訳でもないかも知れない。
ユウナちゃんと僕達は所謂同郷……幼馴染といった所でしてね。大召喚士ブラスカがナギ節を打ち立て、ユウナがビサイドに移住して来たその時からの、家族みたいなものです」
ルーも僕の横で黙って力強く頷く。
彼女の意志の篭った表情はとても説得力を感じさせる物だ。
この場に置いて、彼女ほど僕の話に真実味を持たせてくれる存在もいないだろう。
今ここにいる人間の中で、ルールー以上にユウナに深い情を抱いている者は居ないと僕は断言出来る。
シドはそれを見て大きな溜め息を吐くと、少し表情が和らぎ僕の顔を見た。
「………………んで、ようやく本題か?」
「ええ、ユウナはおそらく召喚士になる気でいます」
「……な、何っ!?」
僕達の事を少し信用してもらった矢先に、このようなせっかく得た信頼を粉々にしかねない話題になった。
驚くタコハゲお義父様には申し訳ないのだが……。
この話は今後の僕の目的を達成するにあたって避けては通れない。
「彼女が召喚士になった暁には、その召喚士誘拐を“待って”頂きたい」
「な、なんだと!? テメェ何言ってるのか分かってんのか! 順序が逆だろうが……ユウナの幼馴染ってんなら、俺に何か頼む前に紐で縛り付けてでもユウナを止めやがれ!」
ユウナはまだ僕達が村を出る時には召喚士になろうと決めてはいなかった。
しかし、原作知識とは別に彼女を実際に見てきた感想として、そうなるだろうというのがヒシヒシと肌感で感じられるのである。
それは同じく彼女を間近で見ていたルールーも肯定してくれていた。
「あの娘……可愛い顔して強情なのよね……」
「ええ、彼女の意思は異常な程に強い……。それこそ幼馴染である僕達が話をしたところで曲げる事が無いぐらいに。
『シン』を倒す旅を彼女に押し付けるのは、僕らも当然良い事では無いとは思っています。ですがユウナの命を消す事無く『シン』を倒せるとしたらどうでしょう?」
「……それはつまり、今までの召喚士がやってきたのとは別に、『シン』を倒す方法がある……って事か?」
怪訝そうに眉を顰めてこちらを窺うシド。
その目をしっかりと見つめ返して僕は話を続ける。
「ええ、それと同時におそらくこの方法が成功すれば『シン』は復活しません」
「へっ、そんな都合の良い方法があるなんて眉唾物だが……エボン教の召喚士様がわざわざアルベドのホームに単身乗り込んで話をしに来た理由は何となく判ったぜ。よほどお宅等の教義にとって都合が悪い内容と見た。……その上で一応話だけは聞いといてやる。新しい方法ってのはなんだ」
「少し長い話になります。まずは『シン』とは何なのか……という事から話しましょうか……。中にはルールーにも初めてする話があるかもしれない。聞いてくれ」
「……ええ、勿論です」
神妙な空気の中、僕のFF10知識解説は始まった。
てか、これからもガード増やしていくなら、裏事情知らない人にはいちいち説明しなきゃいけないのかな。
だとしたら正直……面倒臭いんだけど……。
「僕の実家はエボン教の裏家業……みたいな物に知見のある立場でした。エボン教の中核に位置する人達にはおそらく知られている真実です」
そうして僕はFF10の真実を適当に掻い摘んで語った。
因みに僕の実家がエボンの裏家業について、知見のある立場というのは本当である。
地球に住んでた時FF10をプレイできる環境があったのだから、エボンの裏を知れる立場だったというだけの事だ。
嘘は言ってない。
FF10を実家でプレイした事ある者は皆、エボンの真実を知る凄い御家柄なのである。
少なくともこの世界の人間達にとっては……。
原作知識万歳。
「『シン』はエボンであり、究極召喚ってのはその存在に成り代わる……。そして『シン』という幻光虫の塊を倒しても、核となるエボンが召喚獣に乗り移るせいで『シン』が復活する……か。よく出来た作り話で中々面白かったぜ。まあ、それが本当だったからと言って今までアルベドを迫害して来たお前らと力を合わせる────なんてのは、あまりにも楽観的だし少し虫が良すぎる話だな……。例え俺は良くても俺以外が納得しねぇよ。ふん」
「そうかも知れませんね。しかし僕に出来るのは知っている知識を元に足掻く事ぐらいでしょう。それに……自分がエボン教徒である事が問題ならば、教徒である事をやめてしまえばいい」
「!?」
「な、何を言うのです! 冗談でもそのような事を仰る物ではありません……!」
ルールーが狼狽える。
なんだか普段から彼女を驚かせてばかりいる気がするが、本来ルーはもっと冷静沈着な性格だ。
激情家な面もあるが基本的に物事を冷静に見れる質だ。
エボンの真実を知っている筈のそんな彼女も狼狽えるほどに、宗教から抜けるというのは信じられない程異常な行動。
それこそ一般的なスピラの感性で見るならば、破門や異端認定はその人生の終わりと同義だ。
この様な事を平気で言えるのも、たまたま宗教に重きを置いていない世界を2つ経由してきた僕が特殊なだけである。
エボン教に迫害されているアルベド族さえも、エボン教の歌やお辞儀という宗教的文化は浸透している。
一般的に宗教に傾倒する事が異常だと考えられている日本という国でさえ、その実、神道や仏教という宗教を下地にした文化と理念を色濃く持っている。
無意識のうちに自然とどんな物にでも神は宿ると考えられていたり、無機物への愛情を抱き擬人化したりするような物の見方が存在している。と言えば分かりやすいだろう。
無宗教に見えてその実、ちゃんと国民全体の意識として宗教の思想に影響を強く受けている国だったのだ。
FF8の世界では、そもそも神であるハインからの脱却によって人間が独立したという経緯がある。
既に眉唾物となったそれらの伝承は、真実か否かに関わらず語り継がれて人々の文化と生活に根付いていた。
故にあの世界では目に見える宗教と言った物が存在していなかった訳であるが……。
それもまたある意味では宗教的思想と言えなくも無い。
なので相当特殊な経緯でなければ、宗教という物と人間は切っては切り離せない……現代人が思っている以上に重要な存在なのだ。
ルーが狼狽えるのも無理は無いだろう。
ま、僕としては宗教とか興味無いし、強いて言うなら神はパパか僕だ。
少なくともガルバディアではそうだった。
ひれ伏せ愚民共。
「勿論簡単に、『はいエボン教を辞めます』なんて事になる訳じゃありません。それは信じて貰えない時の最終手段として取っておくことにしますよ」
「はぁ〜……。ったく……ルールーとか言ったか。お嬢ちゃんとこの召喚士と旅するのは、他と比べても飛び抜けて大変そうだな」
「少なくとも、普通の召喚士が行く旅の道筋で無い事は確かですね……」
おい、シド。
どさくさに紛れて俺様の女の乳見てんじゃねぇよ……あ゛?
話は終わってないからこっち向けこっち。
「んでよ、結局『シン』が何かは分かった所で、それをどうすんだって話じゃねぇのか?」
主軸へと話を戻した彼の疑問も最もだ。
それを提案しに来たわけだしね。
「とりあえず鎧の役割をしている大量の幻光虫を剥がして中に入らなければ、核となっているエボンの成れの果てを倒す事はできません。自分がアルベドの方々にコンタクトを取ろうと思った理由もそこにあるのです。公に機械の使用を禁止しているエボン教の膝下では交通手段が無くて、現状どうあがいても『シン』に辿り着く事さえ出来ませんからね……」
「『シン』に近づく……か。……んな事、俺達の機械でもできねーよ。……いや、待てよ? あれを見つけ出して修理すれば……行けるかもな……」
知ってるよ飛空艇でしょ。
それが無いと原作でも『シン』倒せねーもんな。
顎に手を当てて考え込むシドが己の世界に没頭し出す前に、僕が遮る。
「ほら、なんか行けそう。やはりアルベドの技術力は凄いですね」
「軽々しく言いやがって……。大昔に空飛んでたらしい機械の船っぽいのがあるんだが、それも今は海の底に沈んでるのが大半だし、多分ぶっ壊れてて使い物にならねぇ。引き上げてもそんなにすぐ直るもんでもねぇし、まず海域の調査もしなきゃなんねぇからな……今すぐ『シン』の元にって訳にはいかねぇな」
「それでも可能性があるという事は素晴らしいです!」
ルールーが喜ぶ。
現実的に考えたら望み薄でしか無い情報だが。
彼女はまだこのような無限の可能性を信じて突き進む事のできる。そんな“若さ”を持っていた。
それを見たシドは、やれやれと言った風に溜め息を吐いてニヒルに笑う。
「何卒、宜しくお願い致します」
僕は深々と頭を下げた。
彼等の前でするのは違うかもしれないが、一応誠意を込めてエボン式の礼で。
ルーも僕のそれに倣って馬鹿みたいな長乳を見せる。
真面目な場面なのに集中できないからお前はお辞儀やめろ。
「アルベドとエボンの裏切り者が力を合わせた初めての『シン』討伐作戦ってか? これで世界が平和になったら寺院に祈ってた奴らが滑稽で笑えるぜ」
「それはつまり……!」
ルールーの先を促す言葉に、シドは諦めとワクワクの篭ったような声で返事をした。
「ああ! いっちょやってやろうじゃねぇか! スピラを救うのはアルベド族だって証明してやる良い機会だしよ……! 願っても無い提案だぜ!」
結局はぶつくさと文句を言いつつも、心の中では既にノリノリ気分だったのだ。
あと多分 ルールーの長乳谷間プルンプルンにも負けた。
「あ、ありがとうございますっ……! やりましたねっデリング様!」
「いきなり訪ねた私共の不躾な要求に賛同して頂き、誠に感謝の念が絶えません。改めて礼を言わせて頂きたく……ありがとう存じます」
「無駄に畏まりやがって、言葉の通り本当に不躾なお願いをするやつがあるかってんだ……。てめぇの言う事は眉唾物だが、聞いちまったからにはやってやる。『可能性があるってのは素晴らしい事』な〜んて言うエボンの民らしからぬ前向きなお嬢ちゃんに免じてよ……。ま、金も時間もかかるからすぐに全力でって訳にはいかねぇけどな」
そう注約をつけたアルベド族の長は、端から此方に計画の資金を要求するつもりが無いみたいだった。
「スピラを救うには良い機械……面白くて良いダブルミーニングですね」
僕、結構こういう駄洒落みたいな言い回し好きなんだよね。
ガルバディアンジョークでも結構やる類の言い回しだ。
「ダブルミーニング? なんだそりゃ、俺の知らねぇ言語の言葉か何かかよ……若者の話す造語はわかんねぇなぁ〜」
「所謂、駄洒落の事です」
「ああ……駄洒落か。なるほど、機械と機会ね……ふっ。悪かねぇな」
和やかにまとまったこの場には、スピラにあるまじき希望が溢れている気がした────。
「それともう一つ」
僕は深々と頭を下げて言った。
「ギンネムという召喚士見習いが旅に出た暁には、彼女を攫って頂きたいのです。彼女もまた友人なので」
「とりあえずそっちは今すぐやれる事だがよぉ。ユウナと違ってなんでそいつは攫って良いんだ?」
「ユウナが召喚士になる事を止めないのは、そちらの方が『シン』を倒すのに都合が良いから……ですね。
もしも今話した作戦で『シン』を倒せる見込みがなかったら、僕達は究極召喚に頼って一時のナギ節を起こすと決めています。
ユウナには後の『シン』の後始末を任せたい。その時は究極召喚として『シン』になったルールーが、ユウナを中に招き入れる為に頑張る……という保険です。その為に出来るだけ『シン』になっても内部に招き入れる事が出来るほど、想う気持ちが強くなければダメだと思いますからね」
既に十分話し合ってこれはルールーも承諾している。
ユウナの為ならばそれぐらい構わないという彼女の意気込みのとユウナへの想いの強さは、誰にも負けないだろう。
だからこそ少しの期間で仲良くなっただけのギンネムではダメなのだ。
「だからユウナを攫うなって所に繋がってくる訳か……。けっ……それじゃ結局犠牲にしてるのと変わんねぇじゃねぇか。勝手に決め打ちしやがって、それをするユウナの気持ちを考えた事あんのかよ」
「ええ、ですから出来るだけこの方法は取りたく無い。しかし、『シン』を倒せるならやらない手はありません。むしろ召喚士としての意志を貫くならば、今すぐやっても構わないぐらいです。ナギ節が訪れるのは早ければ早い程良いでしょうからね」
「俺達が協力しなきゃ、自分達が犠牲になるぞ!ってか? 自分の命を人質にして要求呑ませようとすんじゃねぇよ馬鹿! あーあー……。そんな事言われちゃ余計協力せざるを得ねぇじゃねぇか。……いや、そうさせない為にアルベドらしくここでお前らを攫ちまうって手もあるな?」
意地悪そうにこちらを見てくるシドだが……残念。
それは勿論対策済みだ。
G.F.と擬似魔法を所持している者をそう簡単に拘束できると思うなよ?
僕もFF8の世界に居る時、バラムガーデンからの刺客をどうするかで頭を悩ませていたが。
結局、同じG.F.使いを大量にぶつけてからドローでジャンクションしているG.F.を没収する。ぐらいしか対処法がなかったのだ。
「そうですね、その時はここに来る原因となったアルベドのあの機械に捕まった時のように脱出できるので……。まあ捕まえるならどうぞと言った所でしょうか」
「ったく、お願いするには太々し過ぎるぜ……。召喚士ってのはどいつもこいつも覚悟が決まりすぎてやがる……」
髪が無い癖に後ろ髪を掻く仕草をした彼は、何かを思い出したような表情になって此方を見てきた。
「あー……俺もあんたらに一つお願いってのがある。こっちが願い事されるばっかりってのも公平じゃねぇからな。俺には娘が居るんだが……これがやんちゃでよぉ。今日も無理矢理ついてきてエボンの言葉を知りてぇ知りてぇって煩せぇんだ。この通り俺もそこそこ共通語は喋れるんだが、いかんせん多忙の身で時間を作ってやれる事がすくねぇのよ。お前らが帰るまでの少しの間、俺達からの信頼を獲得するついでに言葉教えてやってくんねぇか。頼むぜ」
何を要求されるかと思えば、意外にも真の目的は向こうの方から転がり込んできた。
この提案は渡に船である。勿の論で即刻承諾して僕は頷いた。
「こうして人払いをした状態で、面と向かって話し合う機会頂いて、更には娘さんを任される……。その時点で既に中々信頼されてる気もしますが……」
ぼそっとルールーが溢す。
「それはあんたらに対する信用というよりは召喚士全体に対する信用って奴だな。まあ召喚士なら変な気は起こさねぇだろうって事だ。エボンに属してない俺達だってナギ節には感謝してるんだぜ……」
目を閉じてめっちゃ良い話をしてくれている所悪いが、僕は今まで培ってきた召喚士達の信用を裏切るタイプなんだ……。すまない……すまない……。
多分変な気は起こしまくるけど許してくれ。
娘さんには色々教えてあげたいと思います。任せて下さいお義父さん。
感想とか評価とか貰うと喜んだりモチベが上がったりします。
ストックが尽きました。
エタるつもりは無いですがこれからはのんびり描いて行こうかなと思います。