※この作品はR-18です。

【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。   作:速射弾

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FF10編 10話 シーモア良いヒト、グアドの民、嘘ツカナイ。

 

 

シーモア=グアド老師という召喚士がいる。

老師という階級名とは裏腹に端正な容姿で若々しい年齢の彼は、このスピラを憎み、スピラの全てに復讐しようとしている悪役だ。

 

ユウナを権力で手篭めにしようとして、強制結婚式とファーストキス奪取のダブルコンボを決めた事はあまりにも有名。

すごいなーあこがれちゃうなー。

 

おまけに死は救済という考えも若干持っているらしい、大体のFF10プレイヤーから蛇蝎の如く嫌われているナイスガイである。

 

スピラを滅ぼして皆が死ねば悲しみは無くなるという考えは、極論としては一理あるのかもしれない。

現状あまりにも救いが無いし、疲れ切った人類が休息をもとめているならば、中には死にたいと思う人も居るだろう……。

何よりこの世界、死んだ人間の想いが強ければ、幻光虫を介して見た目固定で半永久的に生き続ける事が可能なのだから。

 

しかし僕はその考えに真っ向から反対したい。

誰しもが強い気持ちを抱いて死人になれる訳でも無いし、みんなが死んだら可愛い女を孕ませるという最高の興奮材料がなくなるではないか。

死人は当然子供を孕む事も産む事もできない。

なんなら射精すら出来ないのではないだろうか。

 

そんなのやだ!

女をボテ腹にするのが一番興奮するの!

生ハメセックスしましたよという証を親兄弟の前に晒し、結婚式をする姿を見せたいのっ!

黒く変色した産経婦乳首にむしゃぶりついて、赤ちゃんから横取りした母乳をゴクゴク飲みたいの!

 

だからシーモアは、このスピラ全体の問題として、何時か誰かがどうにかしないといけないのだが……。

怖いし強いので……できれば関わりたく無い。対処は原作パーティーに任せるのが吉。僕はそう判断していた。

 

 

 

何故こんな話をしたかというと、マカラーニャの寺院を目指す際に、たまたまその通過地点のグアドサラムにいたシーモアとエンカウントしてしまったのだ。

 

「もしや……貴方はビンザー・デリングJr.殿では御座いませんか? このようなところでお会い出来るとは、僥倖以外の何物でもありませんね。私はこの地の族長補佐役を仰せ使っております、シーモア=グアドと申します」

 

にこやかに会釈をする凄い髪型のハンサム君。

おっ広げた胸元が気持ち悪いセクシーさを演出していて、折角のイケメンを台無しにしている。

 

そういえばこいつ確か、グアドサラムを本拠地とするグアド族の族長だった……。

現在はまだ老師でも無いし族長補佐らしいが、すぐに実の父親を殺して族長に就任後、エボン教の老師階級になるだろう。

 

怖い。

 

父のデリングを尊敬している僕としては、親父を殺すとか……最低すぎると思う次第である。

 

こいつは弱体化しているとはいえ、究極召喚であるアニマを操れる程の召喚士だ。

はっきり言って戦闘になった時、今の僕達では手も足も出ずに瞬殺される可能性が高い。

それにしても何故、自分の事を知られているのか……。

 

「おや、どうかなされましたかデリング殿……おっと、もしや旅の疲れが……? これは気が利かなくて申し訳ない。早速最高級の宿をご用意させましょう。トワメル、客人をご案内して差し上げなさい」

「……かしこまりましたシーモア様」

 

ニコニコと機嫌が良さそうなシーモア=グアド。

不気味すぎるが、外面だけは良い猫っかぶりキャラだったので、実際に会ってみるとこんな物なのかもしれない……。

 

「デリング殿のお噂はかねがね……。従召喚士の修行をたった3年で終えられた天才が居るという話は私の耳にも届いています。是非とも一度会ってお話しをしたいと思っていました。……とはいえ今は長旅でお疲れでしょう。後日色々会談の機会を頂きたく……」

 

ビサイドのクソども、お前らが有る事無い事言いふらすせいで、こんな奴にも知られちまったじゃねーか……どうしてくれんだよ!

 

……とはいえ、やっぱりおかしい気がする。

所詮噂如きで、めっちゃ話しかけてくるのは何故なんだ……。

怖いから本当に勘弁してくれないですかね。

 

 

 

結局断りきれず、流れでトワメルと呼ばれたグアド族の執事について行くと、この地で最も豪華な宿へと案内された。

ついでに横を歩くシーモアが喋りかけてくる。

 

「あなた方がグアドの地やマカラーニャに居る間は私も予定を空けておきますので、用が有ればなんでも遠慮無く仰られてください。我々は同じ『シン』を倒したいという気持ちを持つ……言わば同士です。出来うる限りの助力をさせて頂く事こそがエボンの、引いては民の為になる事でしょう」

 

ベラベラと長い前置き挨拶するのに慣れてそう(小並感)

権力者ってそういうの地味に大変だよね、僕も昔そっち側の立場だったからわかるわかる。

 

(つーかそんな事よりも、やっぱりやけにテンション高くねーかこいつ……)

 

とりあえず下手に目をつけられないように、当たり障りのない対応で躱そうか……。

 

 

「ええ、御心遣いありがたく思います。しかしシーモア殿も立場のあるお方でしょう。そのような貴重な時間を浪費させては申し訳ないので────」

「いえいえ、浪費だなんてとんでもない! 噂通りデリング殿は謙虚で他人を慮れる、素晴らしい人格をお持ちのようだ……。私達は仲良くなれそうな気がしてきました。時間の許す限り、是非とも交流を深めたいですね」

 

口先だけでは耳触りの良い言葉を吐いているが、その目が笑って無い────なら良かったんだが……。

声色も表情も目も、心の底から嬉しそうだ。

 

(ふぇぇ……僕何もしてないのにキモいイケメンから好かれてるよぉ……)

 

いやほんとに、僕……何か変な事しちゃいましたか?状態だ。

結局、意味がわからないまま適当に社交辞令のジャブを打ち合って、彼の方から気を利かせて僕の前から立ち去ってくれた……。

何が「長旅でお疲れでしょう」だよ、一番疲れたのはお前とのお喋りだ馬鹿野郎。

 

 

ご機嫌なシーモアが立ち去った後、ルールーが喋りかけてくる。

 

「シーモア様、とても良い御方でしたね」

「……そうだね」

 

原作ではめっちゃしつこくて嫌な悪役だったけどね……。

なんならさっきのお喋りすらも、やたらとしつこかったけどね……。

 

「会ったばかりでデリング様の素晴らしさに気付くとは……流石、あの若さで族長補佐まで上り詰めた召喚士だけあります」

「多少僕が褒められたからって喜びすぎだよ。ルーは可愛いね……」

「宿に着いて早速ですか……? うふふ♡」

 

こんな時は、美人で可愛い女の子を見て癒されるのが一番だ。

幸いここは最高級ホテルのスウィートルーム。

マカラーニャの木をステンドグラスのように併せた幻想的な景色も、最高のデートスポットだ。

考えても答えの出ないシーモアの機嫌の良さなんて気にするだけ無駄。

そんな事してる暇があるなら、エッチでもしていた方が百万倍マシである。

 

……これは現実から逃げているのでは無い。 戦略的セックスだ!

 

 

 

翌日、早朝の気持ち良い空気を吸いに外でブラブラしていると、たまたま出会ったシーモアに捕まってしまった。

気分は最悪。

反対に族長補佐殿は、相変わらず何故か機嫌が良い……。

「これは運命かも知れませんね」とかキザな事を言ってくる。

青色の変な髪型してる男からそんな口説き文句言われても、僕は全く嬉しく無かった。

 

あとさぁ……何でこんな時間に一人で外彷徨いてんだよこいつは。

お前が活発に動くのは原作開始後で良いから……。

そんな事を思っていると、何やら口元を手で隠してこっそりと囁いてくる。

 

「いきなり聞くのも不躾な話ですが……。デリング殿はどうやら女遊びが大層お好きだと耳に致しました、本当でしょうか?」

 

ああ……これは、僕が女のガード探してるのまで伝わってしまっている……。

あとギンネムも寺院にデリングJr.から口説かれたって報告してそう……。

 

(ブスがモテる自慢して寺院にチクってんじゃねぇよクソが!)

 

僕は脳内で勝手にギンネムの罪を捏造しながら焦る。

女に軟派とかそんな情報、絶対男からは良い風には見られないだろう。

多分、シーモアは老師じゃ無いだけで、エボン教内部でもかなり良い地位に居るのではなかろうか。

仮にも高い戦闘能力と、究極召喚を所持している召喚士だ。

おまけに経験やグアド由来の様々な真実を知っている……。

この青ゴキブリに高い地位を与えない理由が存在しない。

 

そんな男から下手に嫌われると、いざという時、異端者狩りの捨て駒とかに利用されそうで怖い。

とりあえず何か言い訳して損は無い筈だ。というか、絶対に言い訳しないといけない状況だ。

なんでグアドサラムは朝からこんなにハードなんだよ……。

とにかく、なんか言ってシーモアの言及を誤魔化さなきゃ……。

 

「ええ、『シン』を討伐する時に召喚士は死んでしまうでしょう? ですからその前に大好きな女遊びは目一杯しようかなと思いまして……。とはいえ、これでも自分は一度愛した女は囲って生涯大事にする覚悟で居るのです。ただ遊んで捨てるなんて──男としての器が下の下だと思ってますからね」

 

分かりやすい言い訳として、囲った女は大事にしますよ宣言をする。

シーモアは父に捨てられた母親と一緒に島流しにされて苦労してきた。みたいなバックボーンがあるので、パートナーを蔑ろにする男は確実に地雷だろう。

そこの悪印象を和らげたい……。頼む、殺さないでぇ……。

プルプル……僕、悪いデリングじゃないよ……。

 

「なるほど、デリング殿はなかなかに器の大きい色男のようだ……。それに、使命に殉じる前に心残りを減らしたいというのは誰しもが望む事でしょう。よろしければこちらでデリング殿のお眼鏡に叶う女性を手配致しましょうか?」

 

「マジでっ!?」

 

マジでっ!?

 

「ええ、マジです。本来なら権力をこのような事に使うのは憚られるのですが……。私も召喚士として『シン』の討伐に赴いてない事への負い目がありますからね……。その道への覚悟を持って巡礼に挑まれているデリング殿に敬意を表して、今回ばかりは特例と致しましょう、他の者達には内緒ですよ?」

 

なにそれ、すげー良いやつじゃんこいつ! やっぱ権力者って最高ぅ!

久しぶりに権力で女抱けるのめっちゃワクワクするんだが?

一気に風向きが良い方に変わったわ。

はぁ〜これもエボンの賜物ですね……。

 

「おっと、しかしデリング殿は一度手を出した女性は大切になされると話をしたばかりですね……。この様な接待で女性に手を出すのはあまり好ましく思いませんか………」

 

待たれよ待たれよ、ちょっとそれは無いんじゃないかいシーモアっち。

僕が誰かの贈り物を素気無く断るような人非人だとは、思わないでくれたまゑよ。(古き良きグアド語)

 

 

「いやいや、ビジネスライクな関係ならば別腹です。相手がお仕事でその様な行為に及ぶ事を了承しているなら、それを否定するのは職業差別という物。差別は僕の最も憎む事ですからね。それに……お仕事上の関係を持った相手にしつこく愛を押し付ける方が不躾な行為になりますから」

 

「左様ですか、問題無いみたいで安心致しました。いやはや、善意の贈り物が不興を買ってしまったかと思い焦りましたよ」

 

此方こそ目の前にぶら下げられた人参を取り上げられたかと思って焦りましたよ……。

 

「シーモア殿……そのご厚意、有り難く頂きたいと存じます。勿論この事は誰にも……。バレたら僕のガードに大目玉を喰らいそうですからね」

「デリング殿のガードというと……ああ、あのお美しいお嬢さんですか。彼女のような気量の良さそうな女性に好意を寄せられているとは。流石の色男っぷりですね」

 

上手に持ち上げやがって、お前だってイケメンの色男だろうが、このこのぉ〜。

今日も個性的な髪型がイカしてるねぇ〜!

 

「いやぁ、僕が色男とは……それほどでもありますよ。では早速お願いしたいのですが……。実は一度ロンゾ族の女性を抱いてみたいと思っておりまして……」

「ほう、ロンゾの女性ですか……。それは……確かに普通では難しいでしょうね……。ですがお任せください。私が“友”のために多少の無理でも通して見せましょう。このシーモア=グアドの名に誓って」

「友……?」

 

ほえ〜……ぼく、このお兄ちゃんと、ともだちになったのぉ?

友達ってこういう風にできるのか〜。

 

「ええ、私は既にデリング殿を友だと思っております。とはいえ、これは私の勝手な気持ちの押し付けにすぎません。お嫌でしたら即座に訂正致します」

「……いやいや、そんな事は無いですよ。友ね、友。良い響きです。今日から我々は友達ですね」

「フフ……私はただの友達とは思ってません。もしかすると、私達はいずれ親友になれるやもしれません。その日が来る事を切に願って居ますよ……」

 

まぁ、原作知識があったからだが、ここまであからさまだと流石にわかる。

シーモアは僕との友情を通じて究極召喚、引いては『シン』になりたいという原作通りの思惑があるらしい。

 

(そういえば、今はまだユウナが召喚士になってるわけじゃないもんなぁ……)

 

そんな中で才能豊かで『シン』を倒せそうな僕ちんみたいなのが出てきて、気分はアゲアゲって訳かい……。

普通にキモくて嫌だが、こいつには利用価値がある。

というか、

 

(宗教を通じて女を自由に用意してくれるって神かよ……)

 

せっかくのチャンスだ。こいつの権力を使ってスピラ中の良い女をむしゃぶり尽くしてやろう。

ついでにシーモアを僕の究極召喚にしてやっても良いかもしれない。

究極召喚は『シン』に乗り移られたら、術者も愛する者が変容して行くショックの大きさで死に至る。

だが逆説的に言うと、術者と究極召喚の人柱の絆が深くなければ、召喚士側が死ぬ事は無い。

これはおそらく原作知識からでしか知り得ない事で、実際に『シン』になった者達ぐらいにしか分かりっこ無い、微細だが重要な情報。

 

ならば、それを知りもしないこいつを祈り子にして、無駄に命を散らせるというのは、自分の戦闘力増強&シーモア攻略法として割とありなのではと思うのだ。

深い情を感じ無ければ僕はこいつを究極召喚にしても死なないし、シーモアが『シン』になったとしても原作パーティー達で十分倒せるのである。

という訳で……シーモア君、今日から俺たちは親友だ。よろしくな!

 

 

 

 

 

問題は、シーモアが悪い奴なので究極召喚にして殺します。なんて言ったらルールーに軽蔑されそうな事だ……。

裏では悪人ですよなんて言った所で信じて貰えないぐらい、我が親友は外面が良いのだ。

友の有能さが憎い……!

 

あっ、そうか。女を上納してくれてるって言えば、ルーからのシーモアに対する好感度は地の底に落ちるわ。

なーんだ簡単な問題だったね。

斡旋された女達は、抱かれないと彼女等が寺院から何されるかわからないから……という言い訳で、取り敢えず抱こう。

そうだ、そうだ、そうしよう。(幼稚園児演劇セリフ並みの感想)

 

 

 

グアドサラム滞在中に僕とシーモアは積極的に交流を繰り返した。

そして今日……。リスクを取って深い話をする。

虎穴に入らずんば虎子を得ず。

彼がこちらを害する意思がないという安全マージンがあるならば、多少のリスクぐらい平気で冒してみせよう。

それが優秀な政治一家の長男としての、行動力の証明だ。

 

「シーモア殿、失礼ながら自分もシーモア殿については少し聞き及んでおります。なんでも人種問題で母子共々島流しにされ、それはそれはお辛い経験をしてきたとか……」

 

「ほう……随分と私について調べてくれているみたいですね」

 

シーモアの目が細まる。心なしか声も低くなった気がする。

しかし、踏み込んだ話をしなければ、人と人とは本当の信頼を勝ち取れないものだ。

ガルバディア兵達が普段から上官に感じている圧力を思うと、この程度のピリついた雰囲気ぐらいガ軍トップだった僕が耐えられなくてどうするという話だ。

懐かしのガルバディア魂、見せたるわい!

 

「そして、母の汚名をそそぐ為に大変なご活躍をされて、今では老師の位にあと一歩で手をかけるまで上り詰めたと聞きました。

そんな御方が友と言って下さるならば、私の事も話しておかねば失礼に値するというもの……。

シーモア殿のご好意は社交辞令では無いと感じました。だからこそ此方だけが知っているのは……友として公平じゃない」

 

「ふぅ……確かに、友だと言った言葉は上部だけのものではありません。初めて顔を合わせたばかりなのに何故でしょうね、貴方にはとても……似たような物を感じたのです」

 

己が次代の『シン』になるために接触してきているだけなのに、良く言う。

『シン』だけに“シン”パシー感じたってか? やかましいわ。

 

「実は……烏滸がましい話ですが、僕もシーモア殿にはどこか他人とは思えない物を感じておりました」

「ほう、それは嬉しい話ですね。ですが何故……?」

 

「一緒にするのは失礼だと承知でお話し致しますが、実は自分も親から捨てられた経験があるのです」

「なんと……!」

 

若干目を見開き、驚きを見せる表情。

この男のこんな顔はもう二度と見れないかもしれない。

 

「僕の場合は父に流されたシーモア殿とは違い、母親に見捨てられました。……幼い頃の話です。理由はなんの事はない良くある育児放棄。僕に対する愛情が育児の疲れにより早急に減退していったのでしょう。ある時から僕を詰り出して……顔も合わせてくれなくなり、疎遠となりました」

 

「それは……さぞかしお辛かったでしょうね……」

 

「ええ、幼い頃の僕は本当に母の事が大好きだったので、それはもう。今の自分が女遊びに傾倒してしまうようになったのも、母親からの愛を未だに求め続けているからなのだと、薄ら自覚してはいるのです」

 

「…………」

 

こんな事、普通の人なら語られても困るだけだろうな。

だがこの男から手っ取り早く信用を得るならば、これほど効果的な話もあるまい。

 

「とはいえ流石にチャラつきすぎかな? とは思いますがね、ははは。

だからですかね、シーモア殿の経歴を見た時……他人事とは思えなかった……。

聞けばシーモア殿も、召喚士の旅をする最中にお母様がお亡くなりになられた……と。

愛してくれたであろうお母様を失う辛さは、ただ愛されなかっただけの私の比では無いでしょう」

 

「……デリング殿は、お母様を恨んでおられないのですか……?」

「ええ、恨みはありません。これっぽっちも……。不思議ですよね。あんな酷い扱いをされて捨てられたのに……今でも母の事が大好きなんですよ。……もう、この世には居ないので会えませんが……」

 

もう会えないのは本当の事。悲しいのも本当の事。

故にこの話に疑いの余地は無い。嘘を吐くなら真実に隠すべし……だ。

 

「…………」

「そして、『シン』によって親の愛を喪うというのは、正にこのスピラでは良くある事……。

一時でもその悲しみを産むかも知れない時間を止めたい。それが自分が召喚士となった理由なのです」

 

「自らが享受できなかった環境を持つ者達の為に、命を捨てる覚悟がお有りだ、と?」

 

彼も彼で中々鋭く、此方の心に踏み込んで来る。

 

「ふふ……勿論、命を捨てないに越した事はないと思いますが……。『シン』を倒すには避けて通れないのでその道を行くしか無いと言った所でしょうか。

正直なところ……母の愛を受けて育つ者達を妬む気持ちが無いとは言い切れません。しかし、それ以上に私の様な悲しみを味わって欲しくないし、そのような状況に陥る子供達を見たくも無い。というだけのわがままですよ……」

 

「……謙遜なされる、御立派だと思いますよ」

 

「そうですか……。褒められる為にやっているつもりもありませんでしたが、恥ずかしながら……いざ褒めて貰えると嬉しい物ですね……」

 

気を許したような表情で彼に目を向けると、シーモアもまた、真摯な態度で瞳を閉じて頷いた。

 

「なかなか興味深いお話しを聞かせていただき感謝を……。

グアドサラムは死者と話ができる異界に繋がっています。

もし時間が許されるのであれば、その美しい景色と過去の思い出を一目見て行かれるとよろしいでしょう。

私はこれから少々用事があるので、今日はこの辺で……。

貴方のお考えは素晴らしい物だ……その旅を心より応援させて頂きます。では……」

 

これでシーモアくんは僕の事、信頼してくれるようになったかな?

まあ元より此方が疑って居るとも思っていなさそうだが、信頼を積み重ねるに越した事はない筈だ。

 

俺に必要なのは同性の友では無く、異性の愛人だ。

邪魔なんだよ、偽物の親友気取りが……。

散々アテンド係として使い倒して、ボロ雑巾のように捨ててやる!

 

 

 

 

 

 

……この時はまだ、真剣に想定していなかったのだ。

シーモアが僕にとって……最も邪魔で目障りな存在になる事を……。

 





感想とか評価とかされると喜んだりモチベが上がったりします。
あと今まであんまり言及してなかったですが、ここすきしてくれる方々もありがとうございます。めっちゃ嬉しく思ってます。
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