【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
年に一度はルカで開かれるブリッツボール大会の応援に行く。
と、言いたい所だが、我々はいちいち球技大会のために、今まで歩いた道のりを往復するほど暇ではない。
故郷のチームの応援をしたいルールーには悪いが、潔く諦めてもらう事にする。
とまぁ、そんな事を言っていた時期も遠に過ぎて、残る旅先もナギ平原とその向こうだけになった僕達の旅は、今まで来た道を戻る物へと様変わりしていた。
つまり今年は、このルカで丁度開催される大会を観る事が出来る訳だ。
「そういえばブリッツボールの試合をちゃんと見るのは初めてだな」
ポツリと呟いた僕の言葉にルールーが驚きの表情で反応した。
「デリング様、ブリッツボールを見た事が無いのですか!? そんな人がスピラにいたなんて驚きです」
「なんかめちゃくちゃ馬鹿にされてる気がする……」
「そういう訳では無いのですが……その、本当に珍しかったので……」
「流石に私だって見た事あるよ」
パインがルーの言葉に同調する。
この世界唯一の娯楽を見た事が無いというのは確かにレアな存在か。
「ああ、スピラの人々はブリッツボール大好きだもんね。僕の場合は実家の関係で、ずっと勉強勉強の毎日だったから見に行く暇もなかった……って事にしといてよ。まあ正直本当はあんまりブリッツボールに興味が無かっただけだけど」
「うふふっ、それなら私がデリング様のブリッツ観戦初体験奪っちゃおうかしら?」
今日のルーは凄くご機嫌だ。
やはり地元のチームの活躍が見れるので嬉しいのだ。
ビサイド村を拠点として活動するチーム、ビサイドオーラカ。
その今年のメンバーにはワッカとその弟のチャップが所属していた。
たまにはこういう息抜きも悪くない。
戦いとセックスばかりじゃ女の子も息が詰まってしまうもんな……。
そんな事を思いながらルーとパインと一緒に、予約していた会場の席に着いた。
電光掲示板と大型モニターにさまざまな情報が映し出される中には、本日の対戦チームの一つであるビサイドオーラカの情報が流れている。
見覚えのある顔を見つけてはルーがはしゃいで、僕とパインはクールに相槌をうってあげた。
正直、ビサイドの奴らのモブ顔とかいちいち覚えてない。
えげつないオレンジ色のモヒカンが目立つワッカぐらいしか見分けがつかず、チャップも名前が表示されてようやく、そういやこんな顔だっけと思い出したぐらいに興味が無い。
三人で一緒にあーだこーだ話しながら待っていると、選手宣誓とか各種スポンサーとお偉いさんの挨拶が始まる。
そうして見にきている寺院のお偉いさんの挨拶が滞りなく終わってから、いよいよ試合は始まった。
そして……オーラカファンにとっては試合時間が一瞬のようにも永遠のようにも感じる、地獄が始まったのだ……。
「思えばブリッツボールの試合会場も、露骨に機械が使われたりしてますね。……これもエボンの賜物──かしら」
「寺院も案外気が利くというか柔軟というか、なんだかんだで民の娯楽を奪いはしない所は良い所……あ、負けた」
「ビサイドのチーム、私の思った以上にやるね……色んな意味で」
『タイムアーップ! 試合終了! ビサイド・オーラカ、今年も予想通り無念の一回戦敗退〜!!!
こぉれが何年続くんだぁ……! この連敗記録の独壇場に歯止めをかけられるチームは、今後果たして現れるのかーッ!!』
機械で増幅された声で、スタジアム全体に実況役の試合終了宣言が響き渡る。
その声に続いてもう一人の解説役も試合後の感想を喋りだした。
『いやぁ、勝利したルカ・ゴワーズは予想通り危ないシーンも無く終始安定した戦いで、これと言って語るべき事はほぼ無いですが……。オーラカは恐ろしいぐらいの負けっぷりで肝が冷えましたよ。選手達死んだりしてないですよね?』
『選手がボールにノックアウトされる事自体はよくあるので、まぁ、大丈夫だとは思いますが…… 。初めて見るようなお客さんには、ショックが大きい試合だったかもしれません。彼等の傷は寺院の救急部隊によってちゃんと治療されるのでご安心ください。最も……心の傷まで癒えるかは分かりませんけどね。ははは』
『このビサイドのチームは弱小すぎて控えにまともに戦える選手も少ないので、ノックアウトされてもレギュラーメンバーが再びフィールドに復帰し続けて、気合いでなんとかごり押ししようとするんですよ。そこが弱小たる所以なんですけど、お陰で良い気合いの入りっぷりだとウケて変な人気を獲得していたりもします。……ですが今回はそれが裏目にでてましたね。何度も復帰してくるキッパ選手とワッカ選手が集中的に狙われて、試合が壊されてしまいました』
『ルカゴワーズは人気のチームですが、こういう所はほんと容赦ないですねぇ〜……。負けん気が強いというか、何というか……弱いものイジメする時も手加減がない』
『とはいえ当然ゴワーズはオーラカを馬鹿にする意識があると思いますが、試合では対等に戦ってはいるので……手を抜いてあげるよりは競技者として正しい姿勢じゃないでしょうか』
水中に浮かぶワッカが担ぎ出されて、担架で運ばれていく様子が、会場の大型モニターに映った。
実況役の言葉通り、きっとこの後寺院の用意した白魔道士部隊に治療されるのだろう。
「……それじゃ控え室に行きましょう、デリング様」
「ルーは今の映像見ても心配しないんだね」
「ええ、死にはしない事がわかってるし、実況の言う通りビサイド・オーラカは毎年こんな感じですから……」
「毎年……そりゃ凄い」
そんな風に余裕のある風なルールーだが、少し敬語を使い忘れて語気が荒くなっている所を見るに、不甲斐ない試合をしたワッカ達に対して少し怒りの気持ちが湧いてるらしい。
試合中も雑談しながら冷静に見てたと思ったが、案外心の中では熱くなっていたようだ。
選手団の控え室に着くまでに、プリプリと怒るルーの愚痴は留まる事を知らなかった。
「いやー負けちまったなぁ……」
「うっ……うっ……あの時俺が顔面に球をぶつけられてなければ……グスっ……」
「泣くなキッパっ……お前の責任じゃねぇ……! 俺がちゃんとブロックしてボールを奪えてればよかった筈なんだっ……!」
「くっそぉ……なんで一回戦でルカゴワーズみたいな優勝候補と当たっちまうんだよっ……うぅっ……」
「地元にブリッツスタジアムがあって本格的な練習がし放題って……やっぱ卑怯だろっ……ちっくしょうっ!」
控え室には田舎から出てきて大敗を期した、悲しき男達が嘆いていた。
体格の良いスポーツマン達がこの空間にチーム丸ごと揃っているのは、なかなかに絵面が汗臭い。
だが臭いのは見た目だけだ。
ブリッツボールは水の中でするスポーツなので、汗臭く無いのが良い点だった。
「なーに泣いてんだか、あんた達が負けるのなんて何時もの事でしょう」
「る、ルー!? なんで此処に!? それに……デリング様までっ」
「なんでって……アンタ達の応援に来たに決まってるじゃない」
驚くワッカに続いて、他の選手もこちらに気づいて驚き露わにする。
ワッカは元々僕の事を、デリングの兄ちゃんとかそんな感じで呼んでいたのだが……。
召喚士になってからは様付けで呼ぶようになった……多分、確か、そう……だったかな。
彼の事がどうでも良すぎて、正直うろ覚えだ。
そんなワッカはルールーの幼馴染であり、このスピラの中で寺院の教えを忠実に守る、平均的エボン教徒といった存在である。
「ルー、召喚士の旅は良いのかよっ……!」
教えに忠実に生きているワッカからしてみれば、巡礼を疎かにするというのは結構問題に感じるかもしれない。
まあこいつがこの件についてどう思おうと興味が無いため、僕がルールーの代わりに適当な返事をする。
「うーんどうだろう。本当はあんまり良くないかもね、ははは」
「里帰りのついでだけど、せっかく応援に来てあげたんだから──もうちょっとマシな活躍を見せて欲しかったわね」
「わざわざそこまでして来てくれたのに……一回戦で負けちまうなんて。すまんルールー! 申し訳ありませんでしたデリング様っ!」
直角に深々とお辞儀をしてキレの良い謝罪するワッカ。
いや、謝らなくて良いって、僕はお前の上司か何かか?
だから君たちが勝とうが負けようがどうでもいいんだよ……。
でも、ルールーはそう思ってないみたいだし、はぁ、適当に慰めとくかぁ……。
「誰しも負けたい筈が無いだろう? ワザとじゃないんだから謝らなくていいよ。それに応援は僕がやりたくてやった事だから、選手達は勝手に応援してるな〜ぐらいに思って、例え負けても重荷に感じないでくれよ」
こういう時こそ人徳を積むチャンスタイムなのだ。
どうでもいいとはいえ平均的エボンの民なので、それ相応に優しく対応してあげますとも。
というか塩対応なんかしたらルーからの好感度下がっちゃいそうだし……。
「ううう、デリングざま゛〜!ア゛ンダっで人は何て素晴らしい御方なんだ゛!! ありがとう……ありがとう……」
僕的にはやる気の無い対応でも、それを受け取る側のワッカにとっては違ったらしい。
彼はめっちゃ泣き出した。
そしてその汚い顔のまま僕にハグしてくる。
離せよ53位、マジで吐き気がするからそういう暑苦しいノリはやめてくれ。
はぁ……ビサイド民ってこいつに限らず、僕に対しては大体がこんな感じなんだよな……。
「そうそう、いちいちショック受けないの。一回戦負けなんて珍しくも無いんだから、そんな暇あるならご飯いっぱい食べて、丈夫な身体作って練習に励みなさい」
いざ控え室で選手と話をすると、憎まれ口を叩きながらも、なんだかんだで優しいのがルールーである。
棘のある口調だが、傷口に塩を塗り込んでいる訳では無い。
檄を飛ばして選手達に喝を入れる肝っ玉姉さんの姿がそこにあった。
それはそうとして……この先程から僕にくっついてくる筋肉達磨を引き剥がしてくれないか、マイハニー達……。
ルールーは僕がワッカ達と仲良しだと思ってる節がある。
なのでこれも良くある男同士のスキンシップ、とでも思っているのだろう。
そうじゃないんだ。
ビサイド村に居る時、どうでもいい存在相手に波風立たないよう普通に接してたら、こいつらがチョロすぎるせいで謎に好感度爆上げしちまってるだけなんだ……。
因みにパインは一言自己紹介した後ここまで無言だ。深く関わりたいとも思って無さそうである。……無情。
一方で彼らに対して有情なルールーはお優しい事に慰めようとしていた。
「ついでにアンタ達と一緒にビサイド島に帰るから、久しぶりに手料理作ってあげるわよ。連敗祝いにね」
「へへへ、こりゃ手厳しいぜ……。ルーの飯、久しぶりに食えるとなりゃあ、腹空かして帰んねぇとな。よーっしお前ら、帰り道もトレーニングしながら行くぞ!」
「「ウッス!!!」」
ワッカはようやく離れてくれた……。もうほんと疲れるわ……。
荷物をまとめて太腿を高く上げながら駆け足で出て行く選手達。
その表情は負けた悲しみをケロッと忘れて、やる気と笑顔に満ち溢れていた。
しっかりと負けた反省を分析する前に忘れるから、君たちのチームは万年最下位なんじゃないのかね。
スピラに元気を届けるスポーツマンとして、その明るさは100点の精神性かもしれないが……。
それも勝てていればの話である。敗者には世間からの評価すらも厳しいのだ。
でも、負けまくってるからと言って、ビサイドオーラカに対する実況の言葉の数々は、いくらなんでもフェアな精神に欠けすぎてると思います(突然の正論)
そうしてオーラカの選手全員が居なくなったので、僕達も喋りながら外へ出る。
「はぁ……バッカじゃないの? 全く……みんな調子良いんだから」
「でもルールーはそんな馬鹿な所、嫌いじゃないんだろ?」
ルーの愚痴にパインの鋭い指摘が入った。
「…………ええ」
「そこで切り捨てないのが、君の良い所だと思うよ」
「ありがとうございます。ですが、それを言うならデリング様もお優しいではありませんか」
「僕が優しいのは何時もの事さ……ってなんかハードボイルドだねこの会話」
些細な疑問にパインがクエスチョンマークを浮かべる。
「ハードボイルド? 初めて聞く言葉だ」
「簡単に言うと、かっこつけてるって意味さ」
「ふふ……確かに今の私達、ちょっとかっこつけすぎてるかもしれないですね」
黒を基調とした大小の美女を両脇に侍らす召喚士。
ちょっとしたカッコいい悪役感あるかもな。
「夜の潮風と街灯が三人をメランコリックに照らし出す……とかいう演出が入ればよかったのにね」
「メラン……コリック……ですか? まあ生憎とビサイドオーラカは1回戦負けなので、まだお昼ご飯前の時間ですね……。どうせお昼を食べて帰るんだから、今から私の為にお腹空かせてどうするのよ……全く」
残念ながら今現在の演出は、夜のスポットライトではなく真昼の元気モリモリ太陽演出だった。
日差しに照らされて輝く銀髪の少女と僕はルールーを揶揄う。
「自分の作るご飯を楽しむために、わざわざ運動してくれるなんて料理人冥利に尽きるね」
「ルーがワッカ達の事で嬉しそうにしてると、ちょっと嫉妬するよ」
「……なら、私たちもビサイドに帰るまでに、運動でもしていきましょうか」
僕は彼女の言葉に乗って身体を寄せて手を絡めた。
しかし、ルーの機嫌がまだ収まってない。それが言葉の節々の雰囲気から感じ取れる。
「あれ? もしかしてまだオーラカが負けた怒りが収まって無い?」
「怒る? 何の事でしょう。負ける事なんて当然ですから──最初っから怒ってません」
「はいはい、故郷でエッチするのは恥ずかしいから、今のうちに沢山しとこうって事だよね〜。わかってるわかってる。オーラカが負けて悔しい腹いせHじゃないもんね」
絶対腹いせだ。
しかし、女の子には言い訳の余地を残してあげるのが浮気をさせる為の良い方法である。(無関係な謎お得情報)
「そ、そうです! 今のうちにヤリ貯めしておきたいだけです! 勘違いなさらないで下さいねっ!」
「『ヤリ貯め』て……。まあ、良いけどさ。……それはそれで恥ずかしい事言ってない?」
「〜っ! もうっ、先に誘って来たのはデリング様ではありませんかっ……知りません!」
彼女がエッチの時以外に、ここまで感情を露わにするのが珍しくて、つい揶揄ってしまう。
「え〜、えっちはしないの?」
「するに決まってますっ!」
「そこで『しない』って突っ張らないルーのそういう所、好きだよ」
無言になってしまったルールーは、可愛らしくぬいぐるみで背中をポカポカ叩いてきた。
やれやれ、見かけによらず情熱的なのは全然変わらないな。
これは今夜が長くなりそうだ。
「はぁ、色ボケも程々にしてよね」
1番年下の彼女が1番しっかりしている。
それが現在の我がパーティーの実情である……。
そういえばどうでもいいけど、チャップって何時頃死ぬんだろう?
まだ元気にブリッツボールやってるけども……。
船に乗ってビサイドへの里帰りの道中、ふとそんな疑問が脳裏に過ったのだ。
チャップがどうなろうが知らんと思ってたし、定期的に帰ってエロくなったルールー自慢してやるとか思ってたけど、それもすぐに忘れてるぐらいには彼に対する興味が無い。
でも一応原作ではルールーの元彼だ。何時死ぬのかな〜って少しは気になった。
なので適当に聞いてみた。
「チャップは討伐隊に入ったりしないのかい?」
討伐隊の話をしていた訳でもないのに、前置き皆無のいきなりすぎる質問。
僕が如何に彼とのコミュニケーションに関心が薄いかがわかるだろう。
そしてチャップはそれとは裏腹に、僕に話しかけられた事が嬉しいと言った風に元気一杯に答えた。
「おっす! デリング様にブリッツボール頑張れって言われたんで! 今は他の事に目を向けてる余裕が無いっす! 目標はビサイドオーラカ絶対優勝! 優勝だ!優勝だ!優勝優勝優勝だ!!」
「あの時のデリング様の御言葉、胸に沁みたよなぁ〜」
僕とチャップの会話を聞いたワッカが、昇天しそうな顔でしみじみと何かを思い出していた。
え? 僕……昔、君達に何か言ったっけ???
久しぶりのビサイド島は変わっていなかった。
あいも変わらずのどかな辺境の地である。
それは景色も、出迎えてくれる村民達も、変わらないぐらいにのどか。
凱旋というにはまだ何も成していない僕達を明るく歓迎してくれる。
当然、新顔のパインに対しても彼らは優しかった。
田舎者は排他的で余所者を嫌う、という定説はこの村には通用しないのだ。
その夜、僕達の里帰りを祝して宴を開いてくれた村人達に挨拶して、一緒に酒を飲んだり飯を食べたりする。
せっかくのご好意だ。受け取らないのも悪だろう。
ビサイドは自然が豊かで食材自体のポテンシャルが半端ないから、田舎と言えども馬鹿に出来ないぐらいには料理が美味いんだよな……。
そうして皆で大きな焚き火を囲いながら、和気藹々と晩飯を喰らう。
僕がパインの事をガードだと紹介したところ、彼女はワッカとチャップに絡まれていた。
「パインっつったか? いやーお前さん、その歳でデリング様のガードに抜擢されるとは、さぞかし優秀なんだろうなぁ」
「うんうん、俺達もアンタみたいな年齢の時に一緒に連れてってくれって言ったけど断られちまってさ。正直ちょっと羨ましいぜ」
「さぁ……どうだか、本当に私が優秀だから連れてったとは思えないけどね……」
銀髪の少女は二人の言葉に困ったように答える。
「いよぅーっし! 俺達がテストしてやる。デリング様クイズだ! 当然ガードなら全問答えられるよな?」
「よっしゃ第一問! デリング様の好きな食べ物は────」
やっぱコイツらとあんまり絡みたく無いわ。
逃げよ。
パイン置いていくから、あとは君たちで楽しく話でもしててね。
なんだかんだでワッカとチャップは悪い奴じゃ無いのは確かだから、変な事が起きる心配は皆無だろう。
「あっ、デリング! 待てっ……私を置いていくな!」
「デリングじゃねぇ、デリング様。だろ?」
「もしやこの娘……呼び捨てを許し合うぐらい、デリング様と気の置けない仲なんじゃ……」
「何勝手な事を……ふざけんな! 気の置けない仲は私じゃ無くてルールーの方だっての!」
「なにぃ!」
「ま、マジかよ……。な、なぁその話、詳しく聞かせてくれないか……?」
凄く面倒臭そうなノリの巻き込まれたパインにエボ賜しながら、僕はその場を離れる。
ガードは召喚士を守る者の事を言う。ならばこれもガードの仕事だ。許せ。
今日は村人達に揉まれたし慌ただしい一日だった。ルールーなんてまだ村人達と旅の思い出話に明け暮れている。
疲れた僕は、宴の中心地から少し離れた人目につかない所で、夜風に当たりながら酔いを覚ますことにした。
「こんばんは、お一人ですか? ようやくゆっくりと二人でお話が出来ますね」
そんな僕に話しかけてきた女の子の声。
彼女は僕がこの村に帰ってくる一番の目的で──。
今まで話をしたかったが、他の人達に譲って自分は最後で良い。
なんてこの娘の考えそうな事だった。
「ユウナ、久しぶり……大きくなったね。今年で何歳になったの?」
「うふふ……デリングさんこそ、大きくなりましたねっ。年頃の女の子に親戚のおじさんみたいな質問しちゃ……ダメですよ?」
久しぶりに見たこの世界のヒロインは、今直ぐに摘み取ってしまいたくなるほどに、蠱惑的で素敵な女性になっていた。
感想とか評価とかここすきとか貰うと、喜んだりモチベが上がったりします。