【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
ユウナと婚約した僕は、ビサイドに滞在後少しして旅を再開する事にした。
と言っても、またレベル上げするためにダラダラと諸国漫遊を繰り返すだけだ。
原作の流れの中で、主人公達のパーティはシーモアを殺したりして寺院から反逆者扱いされたりする。
ゲームではRPGの流れとしてバトルとイベントが別れているため、とりあえず戦闘に勝利すれば話は進んで行くわけだが、
それが現実になったとして……本当に原作通り進められるのかという疑問が大いにあった。
例えばユウナが強制的に結婚式をさせられて、そこを助けに行くシーンなんて、真面目に考えたら遠くから銃で撃たれまくって、普通に花嫁まで辿り着く前に死ぬからね。
スフィアとかで身体が強化されていてもやっぱり辛いと思うし、寺院側も当然それぐらい想定して警備してる筈だ。
しかも、たどり着いてもどうにもならないというシーンだから、その後に主人公達を囲んでいる僧兵が早まって銃のトリガーでも引きさえすれば、全てが終わる。
僕がこれまで積極的に動いたり、アルベド族と繋がりを持ったりしたのもそこだ。
原作の設定や知識は信用できるけど。原作の展開までは信用できないのだ。
マカラーニャの寺院から脱出して、そのあと何やかんやで別大陸のビーカネル砂漠まで吹っ飛ばされて、ユウナだけがアルベドのホームに保護されて誘拐されるだって?
んなもん原作通りに進むと思っている方がおかしいだろ。
砂漠で遭難して干涸びて死ぬ方がまだ可能性が高いわ。
大まかな流れを裏で決めてるアーロンですらチャートがガバガバで、その場のノリと勢いで反逆者になったりする。
という訳で、それらのガバに陥った際どうにかする方法があるとすれば、それは結局のところ……力だ。
全てを薙ぎ倒せる力……とまでは言わないが、それを蓄えれば蓄えるほど、原作パーティに合流した時にケアレスミスを突破して上手く行きやすい筈だ。
おそらく保護者枠のアーロンがあそこまで猪突猛進を厭わないのも、そういう経験から導き出した最適解なのだろう。
このような理由で、僕は原作開始まで一旦ビサイドから旅立とうと思ったのだが……。
おかしいな……。
港の向こうから来る船の上に、見覚えのあるシルエットがある。
人影だけで誰か判別出来るのは、どれだけ個性的な容姿の持ち主なのかという話だ。
(はて、彼はなにゆえこのような場所に……? 変な髪型をしておるが……なんという名前じゃったかのう……)
僕が都合良くG.F.の後遺症で痴呆になりながら現実逃避していると、ルールーが余計な事を言って正気に戻してくれた。
「あれは……シーモア様ではありませんか?」
だよね……。
ビサイドの港に向かってくる船の上から、特徴的な人影が此方を見つけたのか、手を振る仕草と共に此方を呼ぶ声が聞こえて来た。
「デリング殿〜〜〜!! 」
誰だよテメェ……。
お前そんな事する奴じゃねぇだろ。
シーモアにあるまじき嘘みたいな爽やかさと青春の雰囲気出してんじゃねぇよ!
船から降りた青ゴキブリは、早速僕の元にカサカサと小走りで駆け寄って来た。
「このような場所でお会いするとは……奇遇ですねデリング殿」
先程爽やかな空気だった気がしていたが、それはただ遠くから見ていたが故の気のせいだったらしい。
近くに寄るとその胡散臭さはご健在であり、ネッチョリ感のある特有の喋り方と雰囲気は相変わらずで、ある意味安心した。
「奇遇とは、またまた……惚けなくても良いですよ。わざわざ僕に逢いに来てくれた……でしょ。違いますか?」
「おや、我が友には私の心は筒抜けですか、その通りです。ベベルでお別れしたあと大切な用事を済ませて、急ぎでデリング殿の元に参ろうかと思った次第でして……」
「わざわざこの最果てのビサイドまで、僕を訪ねていらっしゃるとは……偶然出会えてよかったですね……」
「ええ、危うく入れ違いになる所でしたね。ですがこうして無事出会う事ができたのもエボンの賜物でしょう」
何時ぞやのグアドサラムみたいにくだらない社交辞令の応酬は御免だ。
僕は本題を聞く為、流れをぶった斬った。
「そういえば……シーモア殿は何かご用がおありだったのでは?」
「ああ、言い忘れておりました、実は新たな女性をご用意できるかも知れないと────」
理由なんてどうでも良いし、わざわざ来たのは究極召喚の為の好感度稼ぎに必死なだけなのは、今更言うまでもなく分かりきった事。
シーモアは僕を扱い易い相手だと思っているのか、何時もの如く女の子を斡旋してくれようとする。
だが……その言葉を僕は断ることにした。
「ありがとう。嬉しいよ。でも……もう良いんだ」
「おや? デリング殿が接待を拒絶なされるとは珍しい。如何なされましたか? お加減でも優れないとか……」
お前それ言ってて失礼だからな?
まぁ、自分でも性接待を拒否するとは思ってなかったよ。
結局原作キャラ抱いてると、存在感が違いすぎて雑魚じゃ満足しないんだよね。
それにユウナちゃんと結婚するから、せめて汚い関係は絶って置こうと思う。
「いや、病気になったとかじゃなくてね。結婚するんだ。だからもうこれ以上、女遊びを増やすのはやめようかなと……」
「ご結婚ですか……それはそれは、おめでとう御座います。私も友の門出を祝福しなければなりませんね」
こんな男に祝われても嬉しくないが、一応取り繕っておかなくてはいけない。
「親友からの祝いの言葉を貰えるのは思ってたよりも嬉しいものだね……」
「親友……。そうですね……もう我々の仲は親友と言っても過言ではないでしょう。そう言えば聞いていませんでしたが……お相手はどの様な方なのです?」
こいつはユウナに惚れてしつこくストーキングしていた奴だ、既に彼女はお手付きだとわからせておいた方がいいかも知れん。
「…………相手は大召喚士ブラスカ様の一人娘だよ。幼馴染みたいな物でね、僕と彼女は近所のお兄さんと小さな女の子という関係だったよ。僕のガードのルールーにとっては妹……みたいな物さ」
あぁ……でもやっぱ、こいつだけにはユウナの存在の事を言いたく無かった……。
でもどうせバレる事だからしょうがないけどね……。
「それはまた……お二人は並々ならぬ固い絆を結んでおられるのでしょうね。召喚士ブラスカ様の娘……もしかして彼女は今このビサイド島で、従召喚士として修行を積んでおられるのでは?」
「ふぅ、良く知ってるね。そうだよ、僕の後輩召喚士でもあるというわけだね。まあ……彼女は有名人の娘だからシーモア殿の御耳に入って来るのは当然ですか……」
やっぱり知ってたか。もしや出会う前からユウナのストーカーだったりするのかこの男……。
「有名人の娘というのもありますが、寺院に所属している召喚士と従召喚士に関する情報は、一通り目を通しておく事にしているのです。このスピラのために尽力してくださる方々ですからね、当然でしょう。
とはいえ、ブラスカ様の御息女ともなれば気にならなかったと言えば嘘になります。ユウナ殿……一度顔を合わせてみたい物だ。親友の奥方となられる女性がどの様な御人なのか確かめておかねば」
「いや、それには及ばない。ユウナを君に会わせたくは無いな」
「ほう、その心は?」
お前が原作みたいに、権力で寝取ろうとしてくるかもしれないからだよ。……とは言えない。
「……14歳差なんだ。こんな年下の女の子を本気で口説いた挙句、チョメチョメしまくったのかと思われるのが恥ずかしい。それにね、シーモアはカッコいいだろう? 僕が君に勝ててる所なんて無いんじゃ無いかなぁ……。だから僕の可愛いユウナを盗られないか不安だ。という訳で会わせないことにした、これは決定」
とりあえず既にやりまくってマーキングしたガバ穴ですよ宣言をして牽制しておく。
お前は俺の親友として究極召喚にしてやるから、頼むからユウナタソに目をつけるな。
「ふふ、なかなかシャイな一面を見せてきましたね。今まで散々女遊びに現を抜かしていたデリング殿とは思えません」
「勘弁してくれ、それだけ本気ってことなんだ」
「……の様ですね。親友の真剣な頼みとあらば、ここは一旦大人しく引き下がる事にしましょう。結婚式のその日を楽しみにさせて頂きます」
「はぁ……そうして下さいシーモア殿」
そんな冷や冷やする会話を繰り広げていたのに……それを台無しにする奴がいた。
「デリングさーん! 船っ、そろそろ出発するみたいですよーっ!」
お見送りに来ていたマイワイフが、離れた所から大きな声でお知らせしてくれている。
ユウナちゃん……何時までお見送りをしてくれているんだい……?
悪い人に見つからないうちに早く村に帰ったほうが良いと思うなぁ僕は……。
「パパー!頑張って来てね〜! 私も修行頑張るからー!」
公の場でパパとか言うな……それはプレイ中だけでの約束だった筈でしょっ!
「もしや、デリング殿……彼女が……」
「あ、あぁ。お察しの通り僕の娘です。元気が良くて困りますよほんと……」
「ははは……冗談がお上手だ。彼女はデリング殿の許嫁ではありませんか? 丁度良い。友の伴侶となる方に挨拶をしていきましょう」
さっき会わせたくねぇっつったばっかだろうが!
「もう船が出ますよ、僕を追って来たのならここで降りてもしょうがないでしょう。ほらほら、船内に行きましょうか……」
「……男の嫉妬は見苦しいと世間では言われますが、こうしてその場を実際に見てみると中々どうして……可愛らしさを感じて悪い物ではありませんね。ユウナ殿の愛されっぷりに私も嫉妬してしまいそうですよ」
は? 気色悪い事言うな。
まさかシーモアさんも同性愛者じゃねぇだろうな……。
これが友達の距離感だと思ってやがるのが一番気持ち悪い。
こいつ多分、今まで友達とかいなかったんだろうな。
自分もまともな友達なんて居なかったタイプだけど、こういうホモホモしいやりとりなんて自然にするもんじゃないという事ぐらいは分かる。
…………いや、そういえばワッカとか結構こんな感じか?
アイツらいっつも仲良さそうだったけど、冗談でボディタッチとかしてるしな……。
猿みたいに通りすがり様にケツ揉んだり、ちんこ触りあってキャッキャしてるところ見た事あるわ……。
見てないけど、多分しゃぶったり入れたりもしてるんだろうな。
それに比べたらまだベタベタ触ったりしてこないだけ、シーモアは常識を弁えてるのかもしれん。
結局どっちだよ。
キモすぎて判断がつかないのが厄介で嫌な奴だ。
いや……多分、デリング殿の究極召喚に選ばれる為の新たなライバル的存在が出てきたかも!と思ってるのはわかるよ?
でもライバル視以上に、ユウナ狙ってる説もまだ否定されてないからな?
もう一発釘刺しておいた方が良いな。
「同性の友人から嫉妬される立場というのもなかなか……まぁ、安心してくれて構いません。僕にとっては初めて出来た同性の友ですからね。シーモア殿は特別ですよ」
「ふふっ……それを聞いてホッとしました。私にとっても真に友と呼べる間柄はデリング殿が初めてですから、お互い似た者同士という訳ですね」
やはり友達が居なかった。
距離感の詰めかたバグってたもんなお前。
「とにかく、僕の妻に近寄るのはご勘弁願いたく……」
その時、この場に居ない筈の声を聞いた。
「妻って、私の事?」
え?
「ゆ、ユウナなんでここに……」
「えへへ、離れたくなくて乗って来ちゃった……」
えへへじゃないっ!
でもかわいいっ!
えへへって言いたいのはこっちの方だよ!
「これはこれは可愛いらしいお嬢さんだ。先程我々に船の出港を教えて下さったユウナ殿ですよね? お父様のお噂はかねがね……。私はシーモア=グアドと申します。今自己紹介する肩書きとして一番適切なのは……この隣にいる彼の親友、とでも申しておきましょうか。今後も何かと仲良くさせて頂く機会があると思われますが、どうぞよろしくお願いします」
「は、はいっ!こちらこそよろしくお願いしますっ。ユウナですっ!デリングさんの……その……」
モジモジとしているユウナが言わんとする事を、シーモアが被せるように言った。
「『妻』ですね。ははは……貴女を今、目の前にしてみて、我が友の伴侶にこれほど相応しい女性も居ないだろうと確信出来ました。その明るい性格で是非ともデリング殿の支えて頂ければ幸いです」
「つ、妻だなんて……うふふっ、お上手なんですね。まだ結婚は先の予定なんですけど、実は……私も召喚士を目指してて……。結婚式は召喚士になれた後に一緒にやろうって二人で決めたんです。その時はどうぞよろしくお願い致します」
何を『妻』って言われたのが想定外のサプライズで喜ぶみたいな反応してるのかな?
今僕も言ってたし、ユウナ自身でそれ言おうと思ってたじゃん……可愛いね♡
あとシーモアと仲良さそうに話すな。とりあえず部屋行くぞ。
「あ、彼がその……部屋の中で話したい事があるみたいです。それじゃシーモアさんも後でまたお話ししましょうね!」
させねぇっつってんだろ。
とりあえずこのヤンチャ娘はチンポぶち込んで黙らせてやる。
何笑いながら見てんだシーモア。おまけにルールーまで笑ってやがる。
お前らガードが今までずっと黙ってたのは、微笑ましい光景だとでも思ってたのかよ……。
シーモアは女アテンドしてんだぞ? 悪い奴なんだぞ! もっとソイツに危機感抱けよ!
がるるる……!
僕の急上昇したシーモアへの警戒心とは裏腹に、非常に仲睦まじく和やかに行われた船旅はキーリカを抜けてルカまで和やかに進んでいった。
ユウナはキーリカの港でビサイドに帰したが、こんな男と少しでも話をさせてしまったのは一生の不覚だ……。
パインとルールーは、あんなに嫉妬してる僕を初めて見たから面白いとか言って盛り上がっている。
「これでデリングの女遊びも治ってくれたら良いんだけど」
「そうね、もう私とユウナで十分だもの」
十分じゃないからリュックは加える予定だよ。加えるというか咥えさせるって表現が適切だけどね。
「どうだろうね……。それで済めば私は寺院から命令受けて無い気がする」
「あら? パイン……貴女への命令はガードになれと言われただけじゃないの?」
「そうだけど、そういう流れになったから、しょうがなかったんだ」
パインとは立場を利用して犯し犯されみたいな関係性だが、案外ここまで嫌がる事もなくついて来てくれている。
「なら、もうそれも必要無いって事かしら」
「…………言われたら、やってやっても……良いけど……」
お願いするから今後もやって欲しい。だってパインは美形だ。
しかも発展途上。
これからもっと綺麗になるだろう。
「強がらなくて良いのに、何時もあんなに喘いで──満更でも無さそうじゃない」
「“何時も”って言えるぐらい、私の情事をアンタに見せた覚えはないんだけど……?」
そしてルールーが墓穴を掘った。
「あら……余計な事言っちゃったかしら……」
「まて、もしかして何時も覗いてたのか?」
「それは謝るわ、ごめんなさい」
「……ごめんで済んだらエボンの教えは要らないんだ。幾らルールーでもシメる時はシメるよ?」
ごめんね、どうしてもルーが見たいって言うから……。
「でも、これからは私が覗く必要も無くなるのよ、良かったじゃない」
「だから……無くなるかどうかはデリング次第だって……」
「ふふふ、これからも関係を続けたいのなら素直に言えば良いのに」
「そんな事言えるか馬鹿。私はお前と違ってはしたない事を進んでやりたいと言えるほど、恥の気持ちが無い女じゃないんだ」
責められている筈のルールーがなんでそんなに強気なのかは知らないが、先程から正論を言っている筈のパインはタジタジだった。
「恥の気持ちが無い訳じゃ無いわよ? 恥ずかしいから────気持ちいいんだしね」
「はぁ……お手上げ。アンタには敵わないよ」
悪の女幹部二人組の、ギスギスなのか仲が良いのか分からない会話は興味深い。
そして……それを恨めしい気持ちの横目で見ていた僕の背後には、薄ら笑いを浮かべたシーモアが背後霊のようにべったりとくっついていたのだった────。
最悪だぜ……。
まさかシーモアさんも僕とやりたいんじゃないだろうな……。
ルカについたシーモアは何気なく僕に言った。
日常会話をするように、今までと変わらぬトーンで彼は話しだす。
「そういえば、言い忘れておりましたが、この度、私シーモア=グアドはエボン教の老師に任命させて頂く運びとなりました。その件に関係する事でお話しがあるのですが、これからグアドサラムまで私について来て頂いてもよろしいですか……デリング殿?」
それは完全に不意打ちで……日常会話などではなく……命令だ。
心臓が鷲掴みにされるような感覚に陥る。
シーモアの自信に満ち溢れた怪しげな笑顔を見ると、冷や汗が一気に噴き出して、肌が総毛だった。
僕がのほほんと旅をしながらビサイド島まで辿り着いてバカンスをしている間に、この男は父であるジスカル=グアドを殺して、老師に昇進していた。
ベベルで別れた時の大事な用事とはその件だった訳だ。
旅が和やか進んでいただなんて僕の思い違い。
既にシーモアの準備は整って、その牙を此方へと向け始めている事にようやく気がついたのだ……!
僕はこの瞬間から彼の手の上で命を握られていた……。
いや……絶望するにはまだ早い。
何かをされている訳でもないし、この男が冷徹な異常者だということは分かっていた筈だ。
雰囲気に飲まれてはならない。
自信に満ち溢れた怪しげな笑顔なんて、コイツは何時も浮かべている。
特段何かが変わったわけじゃない。
シーモアはグアドサラムで僕に合わせたい人がいるという。
此方もボロを出さないよう、何時も以上に気を配りながら、彼に無害だとアピールするように各地で何時もの演説を繰り返しながら歩いていった。
アニマを召喚出来るだけでなく、上級魔法を容易に操る事が出来るシーモアが同行する事で、ルーやパインにとっては気楽そうな道中だった。
だが、僕にとっては彼の存在がとてもとても油断できるようなものではなく、心を擦り減らしながら民衆と横の男に良い人アピールを繰り返す辛い旅路だ。
前にマカラーニャの森を抜ける際に同行した際のシーモアはラ系までしか使えなかった筈だが、その後しっかりと修練したのか、平然と更に一段上のガ系魔法を使いこなしている。
召喚獣を行使していなくとも強い。それを肌感で如実に理解させられるようだ……。
しかし、その甲斐あって外れかけていた線路の道筋は元へと戻ったのだと理解した。
何故ならこの男が僕を害そうとする理由がユウナ以外に見当たらないし、これだけの力があるのならば……何時でも僕を殺す事だって容易いだろうからである。
勝手な想像で何かしらの害が加えられる気がしていたのは、ただの被害妄想だったのだ。
全ては順調。
シーモアとの関係性もノープロブレム。
あとは適当にいなしつつ、このまま彼と一緒にザナルカンド遺跡まで行って究極召喚の生贄にしてしまえばいい。
道中のモンスターはこの男が居れば、何の障害にもならずに突破できる。
敵にすると厄介だが、味方にするとこれほど頼りになる存在も居ないだろう。
────それは、僕の思い違いだったらしい。
今までのゆるりとした旅の足取りとは違い、急ぎで目的地のグアドサラムへと着いた僕達は、族長の屋敷に案内された。
目的の合わせたい人物が居るのかと思ったが、そちらはまだ待たせて置いて良いのだと語る。
その者に合わせる前に、やらなければならない事があると言う。
お供のジスメルを下がらせたシーモアは、なにやら決心した顔で僕に話をし出した。
このシチュエーション。
まるであの日、僕がルールーに一部原作知識を打ち明けた時の焼き増しのようだった。
誰もがテーブルに置いてある豪勢な果物を取る気配すら無く……。
人払いされているのか、音が遮断されているのか、部屋の外から声が聞こえる気配も無い静寂。
────そして、緊張感漂う空気の中でシーモアはあの日の僕のように、真剣に打ち明けたのだ。
彼にとって隠しておかねばならない筈のスピラの真実と、究極召喚が行き着く先の悲劇を……。
一体……何がどうなってやがるんだ…………。
感想とは評価とか貰うと喜んだりモチベが上がったりします。