【完結】転生者が権力とかでFF8とFF10のヒロインを食い散らかした挙句、最終的にスピラを救う話。 作:速射弾
シーモアとユウナレスカが本格的に仲間に加わってしまった僕の旅は、行動目的の変更を余儀なくされていた。
僕達の自己強化は、未亡人幽霊と会う前にシーモアの手によって既に終えていた為である。
レベル上げという物は現実になると結果が目に見えづらい行為だが、この世界では、スフィアという幻光虫を封じた水の球のおかげで様々な身体強化が行える。
そんなスフィア盤の技術によって、ある程度強さの目算と目処が立つのだ。
無論、数値や目には見えない技術や闘いのテクニックは別途で鍛える必要があるので、スフィアで強化出来る内容が強さの全てという訳では無い。
スフィア盤で行ける強さという物には限度がある。
そうでなければ適当な権力者が金と人員に物を言わせて『シン』を倒す事も出来てしまいかねない。
まぁ……その権力者が云々というのは、まさに今の僕達の事な訳だが……。
という訳で修行の旅から変更された目的の内容は、差別に対する抵抗活動と『シン』を倒す為の情報収集となった。
特に前者はシーモアがとにかく猛プッシュしてくる案件。
何をするかというと、主にこれまでと大差無い演説や実際に各地へと足を運んでの、現地種族との触れ合い & お悩み解決相談 & 講演会といった、地道な草の根活動だ。
お悩み問題の解決には、若くして老師という立場になった事で有名なシーモアと、終身後名誉監督であらせられるユウナレスカ様の、権力暴力がふんだんに振る舞われる手筈となっている。
はっきり言って僕は存在している意味が無いが……。
その実情に反して、今までの旅で演説を繰り返して好感度稼ぎを行ってきた効果が存分に発揮されてしまう。
シーモアの思惑通り、それら二人の超有名人を付き従えている徳の高い奴という扱いをされて、一目も二目も置かれる立場に祀り上げられていた。
自分で言うのもなんだが、ぶっちゃけ現在のスピラで2番目に注目を浴びていると言っても過言ではない、時の人である。
因みに1番は表舞台に出てきたユウナレスカ様だ。
とにかく彼女は伝説上の生き物で、その憧れの存在が今も死人となって実在しているという話は大騒ぎになった。
エボン教が彼女の存在を肯定するために、その教義の解釈を一部変更せざるを得ない事態となる程に……だ。
基本的に死人には異界送りをして成仏させろ。というのが推奨されている教えである。
だがユウナレスカという英雄は、あまりにもエボン教にとって中核となる存在すぎるのだ。
何せシンを倒すための方法を編み出して、エボン寺院の諸々の全ての祖に近い存在と言っても過言ではない。
各地の寺院には、彼女とゼイオンの巨大で芸術性の高い彫刻がデフォで搭載されていたり。
その名を知らぬエボンの民はおらず、始まりの大召喚士にして、恋愛成就の神として最も崇められていると言えば、如何に凄い歴史上の大英雄なのかが分かるだろう。
そういうわけで彼女と一緒に居る僕は今現在、あまり表に出てこないマイカ総老師以上に市民権を得ているのでは?
と思わなくはない程度には人気を獲得していた。
だが、調子に乗ってFF8世界の頃のように好き勝手しようものなら……シーモアから簡単に切り捨てられるか、失望感でメンヘラと化したユウナレスカから見限られて異界に送られるか……。
どちらの未来も容易に想像できてしまう。
故に僕は、せっかくエボンのトップに近い権力を得ている状況っぽいが、その実態は青髪二人による傀儡政権という悲しい物だった。
おまけに人気取りと反差別のシンボルとして、各地へと脚を運んで地道に労働しなければいけない。
権力で女を虐める極悪非道なプレイも出来ないような今の地位は……な〜んにも嬉しく無い……。
誰かに変わって欲しいし、逃げたくて仕方ないが、常にユウナレスカかシーモアの厄介二人組のどちらかが側で護衛しているので……もう自分の力どころか仲間を頼ってもどうしようもないのだ……。
そもそもルールーは僕が心優しい素晴らしい人間だと思っている節がある。
パインすらも下半身はだらしないけど、他は結構凄い奴かもしれないという好評価だった。
僕が逃げ出したいと思ってる事すら脳裏をよぎって無さそうで、二人とも毎日が充実しており、差別を減らすための啓蒙活動が誇らしいとでも思って居そうな、明るい表情で付き従ってくれていた。
特にパインに関しては、『シン』とは関係無い所で未来を見据えて世の為に活動をするというのが新鮮だと言っていた。
なんか今までの『シン』を常に意識していたスピラとは真逆の行為が、彼女に取っては社会に反発するロック精神溢れるアンチテーゼ思想に思えて、快感を得たらしい。
現状に飽いて不満から逆を行くというのは、普通に良くある思春期の若者思想だった。
つまるところ、僕には味方が居ない。
仲間面した奴が笑顔と同調圧力で僕の周囲をも巻き込む状況。
そしてそんな彼等の言う事を全肯定するbotになりながら、社畜にように働かなければならない状態。
世間から見たら良い事でも、僕に取っては嬉しく無い……。
唯一心が安らぐ時間は愛する女達との性交時だけであろう。
しかしながら、それもちょくちょくシーモアが余計なテコ入れをしてくる。
あの男は、各種族から迎え入れた女を僕へと充てがって、全ての部族との繋がりを持つ為に、将来的な大規模政略結婚を画策しているらしいのだ。
その布石として、今の内からアルベド族以外とは各地で肉体的な関係性を構築しておこうね、という事だそう。
(そんな事はお前がやれば良いじゃないか……)
政治的シンボルとなる存在が大事なのはわかるよ?
でも君だって特徴的な髪型があるのだから、それを活かせばマスコットとして十分に力を発揮できると思うんだよ……。
そう言っても「我が友は謙遜がお上手ですね」と笑っているだけだ。
間違いなく確信犯である。僕になんの恨みがあるのだろうか……。
抱く相手も、百歩譲って人間のブス相手ならまだマシだ。
なんでハイペロ族とかいうカエル人間と交わらなくてはならないのか。
同じ人外でも、抱き心地の良い肉体を持っていたロンゾとは違って、肌も冷たくてガリガリで全然興奮しないんだが?
────なんて……何が原因で心変わりするか分からない親友擬きに、言える筈も無い。
泣く泣く気合いで勃起して、ハイペロ族の女の子を愛してあげましたとも……。
映像スフィアで監視されている可能性もあるし、お相手が不満に感じた場合チクられたら困るので、丁寧にやらないという選択は無い。
お陰で政略結婚予定の相手達からの評判が良くて……嬉しいやら悲しいやら……。
寺院からのエグい額の補助金も出るので、色んな種族からお誘いがある。
だが、いざその場面になってみると相手側からだって、見た目が違いすぎて拒絶反応を示してくる事がしばしばあった。
その度に対応に困るし、なんなら相手の気持ちが僕にも共感できるので「こんな事したくねぇなぁ」と互いに謎の意気投合をする事だってあったぐらいだ。
まあ結局やらないと殺されるという恐怖心は拭えず、せめて苦痛を減らせるようFF8でエロサイトを運営していた頃の知識を駆使して、性の悦びをレクチャーしてあげた。
結果的に好評だったのはある意味嬉しい事だ。
しかし、ルールー達とエッチしてる時間が削られるのは嫌だから、回数に関しては少し譲歩して貰っている。
ユウナレスカからの強めのクレームがシーモアに入ったのも、譲歩が受理された要因の一つだろう。
彼ら青髪組は、ただ結託している一枚岩ではないのだった……。
変更された旅の目的の二つ目である『シン』に対する情報収集活動は、主にジェクトが各地に残したスフィアの収集だ。
人海戦術と圧倒的な資金による絨毯爆撃のようなスフィア収集は一定の成果を上げており、既に幾つかお目当てのジェクトの映像スフィアが回収されていた。
お陰で僕の話した情報の信憑性が増して、ユウナレスカからの信用が上がってしまったという副産物もある。
彼女は徐々に『シン』を倒した後の事も視野に入れ初めており、マイカ総老師含むエボン四老師達に、ユウナレスカがちょくちょく今後の世界の在り方についての、ありがたいお話しをしに行っているらしい。
このマイカ総老師という奴がまた厄介者で、エボンの一番偉い権力者の癖に真面目にスピラの為を思っている節があるから、なんだかユウナレスカの話に乗り気なのである。
悪役の宗教家なら、もっと悪どい事とか裏で悪魔崇拝とかして邪神を呼び出す為に何かを計画していた。とかであってくれないか……?
何を真面目にエボンの民達の事を考えて行動しようとしているのか。
元々今のエボンの在り方を永遠に維持して行こうと思ってる、そんな老害キャラじゃなかったのかよ。
そもそもマイカはこの世で一番ぐらいに偉い立場な筈だが、立場は上でも実質的な権力の頂点はどうやらユウナレスカの方が上なようだ。
やはり究極召喚の秘技を授ける事ができる能力というのは唯一無二であり、最高権力者でも逆らえないらしい。
というか、マイカ自身に逆らう気が無いみたいで、割とユウナレスカの言う事を良く聞く犬みたいになっている。
「ユウナレスカ様が仰られるなら……失敗しても今までと何が変わる訳でもないじゃろう。可能性があるなら別のアプローチから『シン』を倒す試みをするのは、悪い事ではありませんな」
なんて原作とは真逆の事を言ってる姿は、あまりにも狸爺すぎて吐き気を催した。
絶対お前も僕と同じで、暴走した悪霊女に殺されたくないが故に従ってるだけだろ……。
エボンの四老師の内訳としてはシーモアとマイカはともかく、ヒト族代表のキノックとロンゾ代表のケルクがいるが……。
彼らも人種間の問題に関してわざわざ否定する程の材料が無く、表向き手を取り合う事に決めたらしい。
相変わらずアルベドへの差別は行われているが、
今回の反差別運動ではノータッチという宗教的都合のダブスタ具合で、彼らアルベドとの本格的な融和の機会は折を見てからになるだろう。と話は閣議決定した。
尚、何故かその会議に一般平社員召喚士の僕もお呼ばれして、参加させられていた模様。
いきなり出世しすぎて怖いですね。ええ。
そんなこんなで圧倒的情報量と共に、寺院の内部事情は激動だったこの1年半は過ぎ去り、その時はやってきた。
今年のルカでのブリッツボール大会である。
僕や寺院の環境はてんやわんやだったが、世間は少し差別に対する問題が柔らかくなったのと、ユウナレスカ様万歳と言うぐらいで、あまり大規模に急激な変化が起きては居なかった。
その為、当然ながら例年通り大スピラ水泳球技大会の開催が行われる。
毎回寺院の偉い人が大会開始前の演説を行う事になっているこの催し。
今回はシーモア老師の番だった……のだが……。
案の定、彼のゴリ押しで僕が矢面に立たされることになる。
その両脇をシーモアとユウナレスカが固めた、一分の逃げ出す隙もないトライアングルフォーメーション。
何時もと違って注目株が三人も来るので、会場では何時もより豪華な開会式を行う手筈になるという。
ルカのお偉いさん方や各チームの選手達は、今まで以上に無様な姿は見せられないと、ますます気合が入っているらしい。
報告してきた係の人間によると、今年のブリッツボールは例年よりも熱い試合になるだろうとの事。
あぁ^~くっそどうでもええんじゃぁ^~。
そして、試合は始まった。
驚くべき事に、今年の試合が例年とは違うという予測は的中したらしい。
『おおーっと! ここで試合終了ーっ!! な、ななな何と! ビサイドオーラカ二回戦進出けってーい!! まさかこんな奇跡を目の当たりにする日が来るなんて! おいおい今年の大会は波乱の幕開けだぞ〜!?』
勝ったのにオーラカに対する当たりが強い実況解説の言葉を聞きながら、選手達の様子が映し出されているモニターを見る。
そこには勝利の喜びを隠しきれないワッカ達の中で、茶髪で少し日焼けしたギャル男が居た。
一般的なスピラの人間と比べて大分マシな容姿をしている彼は、普段目にするのとは少し違う風変わりな衣類を身につけて目立っている。
この一回戦の試合でも、ビサイドオーラカのエースという役目を見事にこなした期待の新人だった。
ティーダという名前の新たなるエースは、万年一回戦落ちのオーラカを勝利へと導いて、客の注目を一身に浴びている。
その堂々たる受け答えと、会場を盛り上げる陽気な立ち振る舞いは、まさにワッカ達とは比べ物にならない本物の一流スター選手だ。
この試合、対戦相手だったアルベドサイクスの選手は彼の放つ必殺シュートにダブルノックアウトされて、容易くシュートを決められた。
それは、前に見に来た時のオーラカの在り方とは正反対。
大会前から既に結果が決まっていると思われていた勝者と敗者の立ち位置は逆転し、その試合を見ていた数少ないオーラカサポーター達は狂喜乱舞する。
現に僕の隣で見ていたルールーも、歴史的勝利に大はしゃぎで喜んでいた。
苦渋を飲み続けていた推しチームの勝利というカタルシスは、かれらオーラカファンにとって圧倒的なエンドルフィンを脳内に発生させた事だろう。
しかしながら、僕にとってそんな事などどうでも良かった。
ビサイドオーラカの勝利よりも原作が始まった方が重要だったのである。
僕にとってティーダという存在は、原作主人公兼『シン』を倒すための生贄だ。
彼が存在するおかげでジェクトが元凶であるエボンジュまで導いてくれるし、『シン』という呪いを倒す事が可能になる。
そんな必須アイテム。
既にユウナの処女をぶち抜いて婚約までしている自分にとって、それ以上でもそれ以下でも無い。
例え、全てが終わった後に消えようがどうでもいい奴。
それが原作主人公だった。
ビサイドオーラカはその後も勝ち進んで行ったが、一人が強いだけで優勝できるほど、このスポーツは甘くなかったらしい。
連戦が響いて選手達の疲労が積み重なる事で、控えの層が薄いオーラカはその影響をモロに受けて、試合数を進めて行く毎にチームの各種ポジションはガタガタになって行く。
ティーダすらも疲弊が隠せなくなってきた状況下での決勝戦。
ワッカとチャップという二人の兄弟は、これまで弱小チームの中に隠れては居たものの、その練習量は人一倍熱心であり、怪我すらも厭わず白魔法で治しながら苦行とも言える程の修練を繰り返していた。
それがこれまで実らなかったのは、ひとえにこれがチームスポーツだったからだ。
一人が多少強いだけでは勝利には届かない。
二人が普通に強いだけでもまだ勝利は遠い。
だが、そこに最後のピースが何処からともなく現れて嵌まった。
ザナルカンド・エイブスという謎のチームから移籍してきたティーダという三人目が、ビサイドオーラカに勝機をもたらしたのだ。
どれだけ練習を積んでも、二人が平均より少しやれるだけではダメだった。
しかしまともに使える人間が三人となれば話はガラッと変わってくる。
故に、今大会これまでの試合での勝利はたまたまや奇跡などではなく、必然的な勝利。
そのトライアングルフォームが、この決勝戦の大一番で疲労によって満足に立ち行かなくなった……。
ならば今度は必然的な敗北がもたらされるのが道理。
────その筈だった。
疲労しているのはキーリカだけではない。
相手チーム、ルカ・ゴワーズもここまで控えの選手を駆使して戦いに明け暮れていたのだ。
例年には無いユウナレスカ様達が見ている中で無様な試合などしてなるものか。
そんな気合は全てのチームのやる気と粘り強さを大幅に上昇させて、ゴワーズにも牙を剥いた。
互いに限界に近い状況で、一体何が勝利を手繰り寄せるのだろうか────。
客の声援は圧倒的に万年最下位だったビサイドオーラカの奇跡を応援し、実況解説はいつのまにか地元チームでは無く完全にビサイド側の視点で物を語る。
アウェイとなったゴワーズに残された「こんな雑魚どもに負けてなるものか」という気合は、それでも確かに彼らを奮い立たせて勝機を掴むチャンスを生み出した。
────だが、負けてなるものかという想いすらも、今のオーラカの方が強い。
決勝戦まで来れるチームが負けたく無いだと?
笑わせるな。
オーラカは公式戦で何年勝ててないと思ってやがる。
23年連続、初戦敗退だぞ。
それに比べてお前らルカ・ゴワーズは万年優勝候補筆頭だと?
誰しもが優勝を目指して頑張ってるかもしれねぇ。
だけど、その中でも俺達の方が圧倒的に雑魚だ。今期の勝利にかける思いの濃さが違う。
優勝経験がある分際で、舐めた口を聞くんじゃねぇよ!
俺達はこれを逃したら、もう二度と勝つ事はできはしない。
オーラカが優勝なんて……未来永劫来なくてもおかしくは無い。
それになぁ────。
今まで何度も馬鹿にされた事があった。痛みに耐えながら拷問のようなトレーニングを続けた。
大好きな幼馴染の応援の応えられないまま、スタジアムで生き恥を晒した。
俺達に期待してくれた召喚士様に、勝手に応援してるだけだから負けても気にしないでくれ──なんて言わせちまった。
「引退を考える歳になった俺達にはもう後がねぇんだ! 」
「あの日二人でデリング様に優勝を届けるって約束したんだ!」
そんな兄弟の気持ちが奇跡の覚醒を起こしたのだ。
積み重ねてきた努力は裏切らなかった。
その想いの強さと精神力は、間違いなくゴワーズの誰よりも強く、会場の熱気をも凌駕していただろう。
後にオーラカスピリッツと呼ばれる事となるその技は、この時、ブリッツボールの歴史上で初めて産声を上げたのだ────。
とかなんとかそんな感じの内容を、ワッカが優勝者インタビューで語っていた。
すまん、何度も言わせてもらうが……。
これらブリッツボールの全部が、僕にとっては徹頭徹尾、マジでどうでも良い話だった────。
今回キャラ同士の会話が少ないですが、この後から山ほど増えると思うので許してください。
次回ようやく原作開始。ティーダきゅんも出てきます。
感想とか評価とか貰うと喜んだりモチベが上がったりします。